

紙の申告書を窓口に持っていけば、収受印(受付印)が押してもらえると思っていませんか?実は、2025年1月から収受印の押なつは廃止され、紙で出しても「出した証拠」が残りません。
e-tax(イータックス)とは、国税庁が運営する「国税電子申告・納税システム」のことです。所得税・消費税・贈与税などの申告から、納税・各種申請まで、インターネット上で一括して手続きができる公的サービスです。
正式には「National Tax Agency」が管理し、その対象は個人事業主・フリーランスだけでなく、副業収入がある会社員や、医療費控除・住宅ローン控除などで還付を受けたい給与所得者まで幅広くカバーしています。
重要なのは、e-taxは「送信するだけでよい」という点です。申告書の作成は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で行い、そのままe-taxで送信します。つまり申告書の作成と提出が一気通貫で完結します。
また、e-taxは地方税(住民税など)には対応していません。地方税の申告が必要な場合は別途「eLTAX(エルタックス)」を利用する必要があるので、混同しないように注意してください。
e-taxが使える手続きは主に次の3種類です。
これだけカバーできれば十分ですね。e-taxを一度使いこなせば、毎年の確定申告がほぼ自宅で完結するようになります。
参考になる公式情報はこちらで確認できます。
e-Taxの利用開始と手続きの流れについて詳しく説明されています。
【e-Tax】国税電子申告・納税システム ご利用の流れ(国税庁)
e-taxで確定申告をするには、いくつかの事前準備が必要です。ただし、これは「最初の一回だけ」の作業で、翌年以降はほとんど省略できます。
まず必要なものを確認しましょう。
マイナンバーカードの読み取り方法は2つあります。1つ目が「マイナンバーカード対応スマホ」でNFC読み取りする方法、2つ目が家電量販店で1,000〜3,000円程度で購入できるICカードリーダライタをパソコンに接続する方法です。最近のiPhone(7以降)やAndroid機種の多くはNFC対応ですので、追加購入なしでも利用できるケースがほとんどです。
利用者識別番号の取得はe-taxの公式サイトからオンラインで完結します。マイナンバーカードを使ってWebからアカウント登録するのが最も手軽です。税務署に出向く必要はありません。
2025年10月にはID・パスワード方式の新規発行が停止されましたが、既に発行済みの方は引き続き使えます。新規でe-taxを始める場合はマイナンバーカード方式が基本です。
準備が整えばOKです。次のステップで実際の申告手順に進みましょう。
e-Taxの推奨環境と対応ブラウザについての公式情報はこちらで確認できます。
実際にe-taxで確定申告を行う手順は、大きく「申告書の作成」と「送信(提出)」の2ステップで構成されます。手順はシンプルです。
【スマホで申告する場合の流れ】
スマホ申告の最大の利点はマイナポータル連携です。医療費・生命保険料・地震保険料・住宅ローン残高などの控除情報が自動で申告書に流し込まれるため、手動での転記作業がほぼゼロになります。これは使えそうです。
【PCで申告する場合の流れ】
PCの場合も基本的な流れはスマホと同じです。e-taxのWebサイトにログインし、確定申告書等作成コーナーで申告書を作成してそのまま送信します。freee・弥生会計・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使っている場合は、ソフト内からダイレクトにe-tax送信が可能で、入力の手間をさらに省けます。
送信後にやることは2つだけです。まず「受信通知」をメッセージボックスで確認すること、次に添付書類の保管です。e-taxでは多くの書類の提出が省略できますが、提出省略した書類は破棄してはいけません。確定申告期限(原則3月15日)の翌日から5年間は手元に保管しておく義務があります。
また、申告後の還付処理状況は国税庁の「還付金処理状況確認」画面でリアルタイムに確認できます。申告から約2週間後に確認できる状態になります。
個人事業主・フリーランスにとって、e-taxを使う最大の経済的メリットは「青色申告特別控除の65万円」です。これが条件です。
具体的に何が変わるかというと、青色申告で確定申告を行う場合、控除額は申告方法によって以下のように変わります。
| 申告方法 | 青色申告特別控除額 |
|---|---|
| 紙(書面)で申告 | 最大55万円 |
| e-taxで電子申告 | 最大65万円 |
差額は10万円です。所得税率が20%の方であれば、この10万円の控除差で年間2万円の節税になります。税率30%なら3万円の差になります。e-taxを使うだけでこれだけの差が生まれます。
65万円控除を受けるには3つの条件を同時に満たす必要があります。
つまり、複式簿記で帳簿をつけていても、紙で申告してしまうと控除は65万円ではなく55万円に下がってしまいます。毎年この差を見逃している個人事業主は意外と多いです。
「複式簿記が難しい」と感じる場合、freee会計・弥生の青色申告・マネーフォワードクラウド確定申告などのクラウド会計ソフトを使うと、日々の収支を入力するだけで自動的に複式簿記の帳簿が完成します。こうしたソフトにはe-tax連携機能もついており、申告書の作成から電子送信まで一貫して対応できるものが多いです。月額1,000円前後から使えるので、10万円の控除差と比べれば十分に元が取れます。
青色申告特別控除の要件について国税庁の公式情報はこちらで確認できます。
e-taxの手順を覚えただけでは不十分です。知らないと実際に損をするルールが3つあります。
① 還付金の受取が書面より圧倒的に早い
e-taxで申告した場合の還付金の入金目安は2〜3週間です。書面(紙)での申告では1ヶ月〜1ヶ月半かかるのと比べると、半分以下の期間で受け取れます。
さらに、e-taxは2月16日の申告開始を待たずに申告できます。還付申告(税金が戻ってくるケース)であれば1月1日から受付が始まります。e-taxなら年明け早々に申告を済ませて、2月中には還付金が口座に振り込まれる、という段取りも可能です。つまり早期申告が原則です。
② 期限を1日でも過ぎると無申告加算税が発生する
確定申告の期限(令和7年分は2026年3月16日)を過ぎて申告した場合、自主的な期限後申告でも納付税額の5%が無申告加算税として上乗せされます。税務署から指摘を受けた後だと10%〜20%に跳ね上がります。痛いですね。
さらに悪質と判断されるケース(故意の無申告)では、5年以下の懲役または500万円以下の罰金という刑事罰の対象にもなります。
重要なのは「還付申告と納付申告では扱いが異なる」点です。医療費控除など還付を受ける申告の場合、延滞税のペナルティは発生しません。ただし青色申告特別控除の65万円・55万円控除は「期限内申告」が条件なので、期限を過ぎると控除が10万円に下がってしまいます。
③ 紙申告は2025年から「出した証拠」が残らなくなった
2025年1月から、税務署窓口や郵送で紙の申告書を提出しても、控えに収受日付印(受付印)が押してもらえなくなりました。従来は「窓口で印鑑をもらった控え」が申告の証拠になっていましたが、それができません。
一方、e-taxで申告すると「受信通知(送信票)」がメッセージボックスに自動で保存されます。送信日時と申告内容が記録されているため、ローン審査や補助金申請など「申告書の控えが必要な場面」でもe-taxの受信通知が証明書類として使えます。これは覚えておけばOKです。
e-taxで還付申告した場合の処理状況は、国税庁の専用ページでリアルタイム確認が可能です。
確定申告の期限と期限後申告のペナルティについての詳細はこちらです。
「e-taxは手続きが複雑そう」という印象を持っている人が多いですが、マイナポータル連携を使うと、むしろ紙の確定申告より入力項目が少なくなります。これは意外ですね。
マイナポータルとe-taxを連携させると、確定申告に必要な以下のデータが申告書に自動で流し込まれます。
| 項目 | 自動入力される情報 |
|---|---|
| 給与所得 | 源泉徴収票情報 |
| 医療費控除 | 医療費通知情報(健保組合のデータ) |
| ふるさと納税(寄附金控除) | 寄附金受領証明書・寄附金控除に関する証明書 |
| 生命保険料控除 | 生命保険料控除証明書 |
| 地震保険料控除 | 地震保険料控除証明書 |
| 住宅ローン控除(2年目以降) | 年末残高等証明書 |
| 社会保険料控除 | 国民年金保険料控除証明書 |
| iDeCo・小規模企業共済 | 掛金控除証明書 |
これらを手動で書類を集めて転記していた手間が、ほぼゼロになります。マイナポータル連携さえ設定すれば、申告書の記入時間が従来の数十分から数分に短縮されるケースもあります。
ただし1点注意があります。医療費通知情報(医療費のお知らせ)がマイナポータルで取得できるのは、例年2月9日以降です。1月中に早期申告をしたい場合は、医療費の通知情報だけ手動入力が必要になります。1月申告を選ぶか、自動入力の便利さをとって2月以降に申告するか、自分のスタイルに合わせて選択するとよいでしょう。
マイナポータル連携の設定は、確定申告書等作成コーナーにマイナンバーカードでログインした直後に行えます。手順は画面の指示に沿うだけで、特別な知識は不要です。初年度に一度設定しておけば、翌年からは連携済みの状態で始められます。
金融に興味がある方にとって、iDeCoや株式等の特定口座年間取引報告書も自動入力できる点が特に有用です。手動で入力する際のミスによる過少申告を防ぐ効果もあります。過少申告加算税(納付税額の10〜15%)を払わなくて済むようにするためにも、自動入力の活用は賢い選択です。
マイナポータル連携で自動入力できる項目の公式一覧はこちらで確認できます。
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