
地方税は大きく都道府県税と市町村税の2つに分類され、日本の税制における重要な柱を形成しています 。都道府県税には個人住民税、法人住民税、事業税、不動産取得税、自動車税などが含まれ、市町村税には固定資産税、都市計画税、軽自動車税などが該当します 。
参考)No.9000 国税と地方税の種類|国税庁
これらの税目は、さらに直接税と間接税、普通税と目的税という分類で整理されています 。直接税は納税者本人が税負担する税金で、間接税は他者を経由して納付する税金を指します。普通税は使途が特定されない税金、目的税は特定の用途に限定される税金です 。
参考)税金の種類/京都府ホームページ
地方税は地方自治体の行政サービス提供における基幹財源となっており、固定資産税だけで大阪市の市税収入の約半分を占めるなど、地域の福祉、教育、インフラ整備に不可欠な財源として機能しています 。
参考)大阪市:固定資産税 (…href="https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000021272.html" target="_blank">https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000021272.htmlgt;固定資産税href="https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000021272.html" target="_blank">https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000021272.htmlgt;土地)
個人住民税は「所得割」と「均等割」の2つの要素から構成され、前年の所得に基づいて課税される仕組みです 。所得割は課税総所得金額に10%(道府県民税4%+区市町村民税6%)の税率を適用し、均等割は全国一律5,000円(都道府県民税1,000円+区市町村民税4,000円)が課税されます 。
参考)神戸市:住民税(市県民税)の税額の計算方法
計算プロセスは以下の段階を踏みます。まず収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を求め、次に所得金額から所得控除額を引いて課税標準額を算出します 。その後、課税標準額に税率10%を乗じて税額控除前所得割額を計算し、最後に各種税額控除を適用して最終的な所得割額を決定します 。
参考)個人住民税の税額計算方法(令和7年度) - 南あわじ市ホーム…
給与所得者の場合、年収500万円のサラリーマンで妻(非課税)と子2人(17歳、12歳)の世帯では、給与所得346万円から各種控除を差し引いて課税総所得金額を算出し、これに10%を乗じて所得割額を計算します 。この計算には社会保険料控除や生命保険料控除なども考慮されます。
参考)住民税の計算方法と計算例(令和2年度まで)/那須塩原市
固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産(土地・家屋・償却資産)の所有者に対して課税される税金で、標準税率1.4%が適用されます 。課税標準は固定資産課税台帳に登録されている価格を基準としますが、住宅用地などでは特例措置により価格と課税標準額が異なる場合があります 。
参考)地方税 - 税金の種類 │税務コンテンツ
住宅用地に対しては大幅な課税標準の特例が設けられており、小規模住宅用地(200㎡以下)は価格の6分の1、一般住宅用地(200㎡超)は価格の3分の1まで課税標準額が軽減されます。新築住宅についても、一定の要件を満たす場合は120㎡相当分まで3年間(耐火構造等は5年間)税額が2分の1に減額されます 。
都市計画税は都市計画法による市街化区域内の土地及び家屋に対して、固定資産税と合わせて課税される目的税で、税率の上限は0.3%に設定されています 。この税収は都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充当され、都市基盤整備の重要な財源となっています。
個人事業税は年間所得が290万円を超える個人事業主に課税され、事業の種類により3%から5%の税率が適用されます 。法人事業税は法人の所得金額や収入金額等を課税標準とし、資本金や所得規模により異なる税率体系を採用しています 。
参考)法人府民税・法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税の税率…
不動産取得税は土地や家屋の取得時に一度だけ課税される税金で、有償・無償の別、登記の有無にかかわらず課税されます 。標準税率は4%ですが、住宅及び住宅用地については3%の軽減税率が適用され、宅地については評価額の2分の1で課税される特例措置があります 。
参考)よくある質問(Q&A)
住宅取得に関しては豊富な軽減措置が設けられており、新築住宅では床面積50㎡以上240㎡以下の要件を満たす場合、価格から1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)が控除されます 。住宅用土地についても、住宅の床面積の2倍(上限200㎡)相当分の軽減措置があり、実質的に税負担が大幅に軽減される仕組みとなっています。
参考)不動産取得税/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka…
地方税には様々な減免制度が設けられており、生活保護受給者、失業者、災害被災者などが対象となります 。失業による住民税減免では、前年の合計所得金額や扶養親族数に応じて全額免除から5割減額まで段階的な軽減措置が適用されます 。
参考)個人市民税・府民税の減免
電子申告システムの普及により、スマートフォンやパソコンを使った申告手続きが可能となっています 。法人の場合、e-TaxとeLTAXの両方に対応した電子申告が可能で、マイナンバーカードを活用した認証により手続きの簡素化が図られています 。
参考)https://support.freee.co.jp/hc/ja/articles/4404860096665-%E6%B3%95%E4%BA%BA%E3%81%8C%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%81%A7%E9%9B%BB%E5%AD%90%E7%94%B3%E5%91%8A%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86
中小企業向けの税制支援として、企業版ふるさと納税制度があり、地方創生プロジェクトへの寄附により法人住民税、法人事業税、法人税から税額控除を受けることができます 。この制度は地方の活性化と企業の社会的責任を両立させる重要な政策ツールとなっています。
参考)法人向け「企業版ふるさと納税」とは?メリット・デメリットを解…
タイトル: 税制改正2025住民税の変更点と影響範囲の詳細解説
2025年の税制改正では、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に10万円引き上げられました 。この改正により、給与収入190万円以下の給与所得者全てに一律65万円の給与所得控除が適用されます 。
参考)https://www.smbcnikko.co.jp/service/tax_sys/kinyu/2025/
従来の給与所得控除は年収額に応じて段階的に設定されていましたが、今回の改正で190万円以下の収入については一律65万円となり、計算がより簡素化されています 。この変更は2026年度分(2025年分所得)から適用され、住民税の計算において重要な変更点となっています 。
参考)[2025年(令和7年)]年末調整の変更点3つと実務対応の注…
給与所得者にとって直接的な税負担軽減効果をもたらし、特に低所得者層への配慮が強化された形となります。この改正により、給与所得者の手取り収入の実質的な増加が期待されています 。
参考)続:2025年度税制改正 住民税の課税最低ライン引き上げとそ…
住民税の非課税限度額については、基準額そのものは変更されていませんが、給与所得控除の引き上げにより実質的な変更が生じています 。単身者の場合、従来は給与収入100万円以下で住民税非課税でしたが、2026年度分からは110万円以下まで非課税範囲が拡大されます 。
参考)給与所得者で2025年の住民税がかからない年収。2026年は…
この変更により、いわゆる「100万円の壁」が「110万円の壁」に変更となり、パートタイム労働者や副業従事者にとって働き方の選択肢が広がります 。扶養親族がいる場合の計算式は「35万円×(扶養親族の数+1)+10万円」として従来と同様ですが、給与所得控除の変更により実質的な非課税限度額が上昇しています 。
住民税は前年所得に基づいて課税されるため、2025年中の収入に対しては2026年度から新基準が適用される点に注意が必要です 。
参考)神戸市:2026年度(令和8年度)からの住民税の主な改正内容
基礎控除の見直しに伴い、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件が大幅に緩和されました 。扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子の所得要件が、従来の48万円以下から58万円以下(給与収入123万円以下)に10万円引き上げられています 。
参考)2025年/令和7年度の年末調整の変更点まとめ
配偶者特別控除の対象となる配偶者についても、所得要件が58万円超133万円以下(給与収入123万円超201万5,999円以下)に変更となり、従来より適用範囲が拡大されています 。これにより、「103万円の壁」が「123万円の壁」へと変更され、配偶者の就労促進効果が期待されています 。
参考)2025年制度改正で「年収の壁」はどの程度動いたか
勤労学生控除についても、所得要件が75万円以下から85万円以下(給与収入150万円以下)に引き上げられ、アルバイト収入のある学生の税負担軽減が図られています 。
今回の税制改正では、所得税制と住民税制で異なる取り扱いがなされている点が重要です 。所得税の基礎控除は大幅に引き上げられ、合計所得金額に応じて最大95万円まで適用される場合がありますが、住民税の基礎控除は従来どおり43万円で据え置かれています 。
参考)一般社団法人 神奈川青色申告会
所得税では合計所得金額132万円以下の場合に95万円の基礎控除が適用され、給与所得控除65万円と合わせて最大160万円まで非課税となりますが、住民税では110万円が非課税限度額となっています 。この差異により、年収110万円超160万円以下の給与所得者は所得税非課税でも住民税課税となる場合があります。
参考)基礎控除が160万に?上乗せ特例について解説
金融業従事者としては、顧客への税務アドバイス時にこの所得税と住民税の取り扱いの違いを正確に説明し、総合的な税負担を考慮したコンサルティングが求められています 。
参考)株の利益で住民税も増加?知っておきたい税金対策
金融商品を保有する顧客にとって、今回の住民税改正は分離課税所得との関係で注意すべき点があります 。株式投資などの分離課税所得は総合課税の所得とは別計算となるため、給与所得が住民税非課税範囲内であっても、分離課税所得により住民税が課税される場合があります 。
参考)株で“億り人”になっても「住民税非課税」世帯として給付金が受…
特に、NISA口座以外での株式投資や債券投資を行っている顧客については、配当所得や譲渡所得に対する住民税5%が課税され、年収110万円以下の非課税メリットを享受できない可能性があります 。このため、金融業従事者は顧客の総合的な所得状況を把握し、税務効果を考慮した金融商品の提案が重要となります。
また、利子割税収の地域偏在問題も注目されており、ネット銀行や東京本店の銀行利用者の住民税が東京都に集中する現象が起きています 。これらの税制の仕組みを理解し、顧客に適切な情報提供を行うことが金融業従事者の専門性として求められています。
参考)預貯金の利子にかかる住民税分、東京への流入が急増している 原…