均等割資本金等の額計算方法と税率区分の効果的な節税対策

均等割資本金等の額計算方法と税率区分の効果的な節税対策

均等割資本金等の計算と税率区分の基準

均等割における資本金等の額の重要性
💰
税率区分の決定要素

資本金等の額は法人住民税均等割の税率区分を決定する最重要要素で、従業者数とともに納税額を左右します

📊
計算方法の複雑性

法人税法上の資本金等の額は会計上の資本金とは異なり、無償増減資等の調整が必要となります

⚖️
比較による最終決定

調整後の資本金等の額と資本金・資本準備金の合算額を比較し、大きい方が税率区分の基準となります

均等割資本金等の額の基本的な算出構造

法人住民税の均等割における「資本金等の額」は、単純に会計上の資本金を指すものではありません 。法人税法第2条第16号に規定する資本金等の額をベースとして、無償増減資等による調整を行った金額が基準となります 。
参考)均等割の税率区分の基準となる「資本金等の額」チェックポイント

 

具体的な算出方法は以下の通りです。

この計算により、実際の事業規模に見合った税負担を求めることが平成27年度税制改正の主たる目的でした 。
参考)均等割の税率

 

均等割税率区分と従業者数による分類体系

均等割の税率は資本金等の額と従業者数の組み合わせによって決定されます 。市町村民税における標準的な税率区分は以下の通りです:
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/corporate-inhabitant-tax/

 

資本金等の額1,000万円以下の法人

  • 従業者数50人以下:50,000円
  • 従業者数50人超:120,000円

資本金等の額1,000万円超1億円以下の法人

  • 従業者数50人以下:130,000円
  • 従業者数50人超:150,000円

資本金等の額1億円超10億円以下の法人

  • 従業者数50人以下:160,000円
  • 従業者数50人超:400,000円

道府県民税についても同様の区分が設けられており、資本金等の額が大きくなるほど税負担が急激に増加する構造となっています 。

均等割計算における従業者数の正確な算定方法

従業者数の算定は均等割の税率区分に直接影響する重要な要素です 。従業者には給与等の支払いを受ける役員も含まれ、常勤・非常勤を問いません 。
参考)https://www.tkc.jp/consolidate/webcolumn/023727

 

パートタイマー等の特殊計算
アルバイト、パートタイマー、日雇者等については、実際の人数ではなく総勤務時間数による換算が可能です :
参考)期末従業者数について|きたに税理士事務所

 

  • 算定期間末日を含む直前1ヶ月の総勤務時間数を170で除した数値
  • 1人に満たない端数は1人として計算
  • この計算により50人超から50人以下への区分変更が可能となるケースも多い

例えば、役員2人・社員14人・アルバイト40人の企業で、アルバイトの月間総勤務時間が2,200時間の場合:2,200時間÷170=12.94→13人(端数切上げ)となり、合計29人として50人以下の区分が適用されます 。

均等割節税における無償減資活用の実務ポイント

平成27年度税制改正により、無償減資による欠損填補を活用した均等割の節税が可能となりました 。これは従来の制度では実現できなかった画期的な変更です。
無償減資の適用要件
節税効果が認められる無償減資は以下の期間に限定されています :
参考)【法人税】法人住民税の均等割りを節税するための無償減資

 

  • 平成13年4月1日~平成18年4月30日:無償減資・資本準備金による欠損填補
  • 平成18年5月1日以後:剰余金による損失填補(資本金等減少から1年以内の填補に限定)

具体的な節税効果
資本金1億円、利益剰余金▲5,000万円の法人が無償減資を行った場合。

  • 改正前:資本金等の額1億円→均等割変更なし
  • 改正後:調整後5,000万円と会計上資本金5,000万円を比較→5,000万円で判定

これにより1億円超の区分から1億円以下の区分への変更が可能となり、大幅な税負担軽減が実現します 。

均等割における資本金等マイナス時の特殊取扱い

自己株式の大量取得や組織再編等により、法人税法上の資本金等の額がマイナスとなるケースが存在します 。このような状況では、事業規模に比して極端に少ない税負担となることを防ぐため、特別な取扱いが設けられています。
参考)https://www.tsukubair.co.jp/wp/wp-content/uppdf/mreport/2016/02/201602_13.pdf

 

マイナス時の判定基準
資本金等の額がマイナスとなった場合でも、会計上の「資本金+資本準備金」の合算額と比較し、より大きい金額が均等割の基準となります 。これにより大企業が中小企業と同水準の均等割となることを防いでいます。
実務上の注意点

  • 自己株式取得による資本金等の額減少効果の限界
  • 決算書上の資本金・資本準備金額の重要性
  • 組織再編時における資本金等の額の変動リスク

この仕組みにより、実質的な企業規模に応じた適正な税負担が確保されています 。