
法人住民税の均等割における「資本金等の額」は、単純に会計上の資本金を指すものではありません 。法人税法第2条第16号に規定する資本金等の額をベースとして、無償増減資等による調整を行った金額が基準となります 。
参考)均等割の税率区分の基準となる「資本金等の額」チェックポイント
具体的な算出方法は以下の通りです。
参考)無償減資で法人住民税の均等割額が引き下げ可能に!?税制改正ま…
この計算により、実際の事業規模に見合った税負担を求めることが平成27年度税制改正の主たる目的でした 。
参考)均等割の税率
均等割の税率は資本金等の額と従業者数の組み合わせによって決定されます 。市町村民税における標準的な税率区分は以下の通りです:
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/corporate-inhabitant-tax/
資本金等の額1,000万円以下の法人
資本金等の額1,000万円超1億円以下の法人
資本金等の額1億円超10億円以下の法人
道府県民税についても同様の区分が設けられており、資本金等の額が大きくなるほど税負担が急激に増加する構造となっています 。
従業者数の算定は均等割の税率区分に直接影響する重要な要素です 。従業者には給与等の支払いを受ける役員も含まれ、常勤・非常勤を問いません 。
参考)https://www.tkc.jp/consolidate/webcolumn/023727
パートタイマー等の特殊計算
アルバイト、パートタイマー、日雇者等については、実際の人数ではなく総勤務時間数による換算が可能です :
参考)期末従業者数について|きたに税理士事務所
例えば、役員2人・社員14人・アルバイト40人の企業で、アルバイトの月間総勤務時間が2,200時間の場合:2,200時間÷170=12.94→13人(端数切上げ)となり、合計29人として50人以下の区分が適用されます 。
平成27年度税制改正により、無償減資による欠損填補を活用した均等割の節税が可能となりました 。これは従来の制度では実現できなかった画期的な変更です。
無償減資の適用要件
節税効果が認められる無償減資は以下の期間に限定されています :
参考)【法人税】法人住民税の均等割りを節税するための無償減資
具体的な節税効果
資本金1億円、利益剰余金▲5,000万円の法人が無償減資を行った場合。
これにより1億円超の区分から1億円以下の区分への変更が可能となり、大幅な税負担軽減が実現します 。
自己株式の大量取得や組織再編等により、法人税法上の資本金等の額がマイナスとなるケースが存在します 。このような状況では、事業規模に比して極端に少ない税負担となることを防ぐため、特別な取扱いが設けられています。
参考)https://www.tsukubair.co.jp/wp/wp-content/uppdf/mreport/2016/02/201602_13.pdf
マイナス時の判定基準
資本金等の額がマイナスとなった場合でも、会計上の「資本金+資本準備金」の合算額と比較し、より大きい金額が均等割の基準となります 。これにより大企業が中小企業と同水準の均等割となることを防いでいます。
実務上の注意点
この仕組みにより、実質的な企業規模に応じた適正な税負担が確保されています 。