配偶者特別控除 配偶者控除 違いと適用条件の詳細解説

配偶者特別控除 配偶者控除 違いと適用条件の詳細解説

配偶者特別控除 配偶者控除 違い

配偶者特別控除と配偶者控除の基本的な違い
📊
適用条件の違い

配偶者の年間所得金額で決まる適用範囲が異なります

💰
控除額の違い

所得に応じて段階的に変動する控除額の仕組み

📋
手続きの違い

年末調整や確定申告での申告方法の相違点

配偶者控除の基本的な適用条件と控除額

配偶者控除は、配偶者の年間合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)の場合に適用される所得控除制度です 。この制度を利用することで、納税者の所得税や住民税の負担を軽減できます。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/yearend-adjustment-exemption-for-spouses/

 

適用を受けるための主要な条件は以下の通りです :
参考)https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/taiyo-magazine/women/009/index.html

 

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は対象外)
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 配偶者の年間合計所得金額が58万円以下であること
  • 青色申告者の事業専従者として給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと

控除額は納税者本人の所得に応じて決まり、年間合計所得900万円以下なら38万円、900万円超950万円以下なら26万円、950万円超1,000万円以下なら13万円となります 。なお、70歳以上の配偶者の場合は老人控除対象配偶者として、それぞれ10万円ずつ加算されます 。
参考)https://www.manulife.co.jp/ja/individual/about/insight/column/article/column130.html

 

配偶者特別控除の詳細な適用要件と計算方法

配偶者特別控除は、配偶者の年間合計所得金額が58万円を超え133万円以下(給与収入のみの場合は123万円超201万6千円未満)の場合に適用される制度です 。この制度は配偶者控除が適用されない場合の税負担軽減措置として設けられています。
参考)配偶者特別控除とは?配偶者控除との違いと適用条件をわかりやす…

 

配偶者特別控除の特徴的な点は、配偶者の所得額に応じて控除額が段階的に変動することです 。配偶者の合計所得金額が58万円超95万円以下の場合、納税者の年間合計所得が900万円以下なら満額の38万円が控除されます。しかし、配偶者の所得が95万円を超えると控除額は段階的に減少し、130万円超133万円以下では最小1万円となります 。
参考)配偶者(特別)控除と年収の関係|扶養控除との違いもわかりやす…

 

💡 注意すべき点として、配偶者特別控除を受ける場合でも、配偶者自身の所得が58万円を超えると配偶者本人に所得税の納税義務が発生します 。また、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除・配偶者特別控除ともに適用されません 。

年収の壁と税制改正による配偶者控除への影響

2025年の税制改正により、配偶者控除の適用条件が大幅に変更されました 。これまで「103万円の壁」と呼ばれていた所得税の課税ライン(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)が、基礎控除の引き上げにより実質的に「123万円の壁」へと変更されています。
参考)配偶者控除・配偶者特別控除とは?違いや計算方法について解説

 

この改正により、給与収入のみの配偶者の場合、年収123万円以下であれば配偶者控除が受けられるようになりました 。さらに、配偶者特別控除についても満額適用される上限が年収150万円から160万円に引き上げられており、より多くの世帯で控除の恩恵を受けやすくなっています 。
参考)配偶者控除と配偶者特別控除の違いとは?誰がいくら税負担を軽減…

 

一方で「130万円の壁」は社会保険の扶養要件に関わるため変更されておらず、この金額を超えると配偶者自身が社会保険料を負担する必要があります 。金融業界で働く方々にとって、顧客への適切なアドバイスを行うためには、これらの年収の壁の違いを正確に理解することが重要です。
参考)130万円の壁とは?103万円の壁との違いや超えた場合の扱い…

 

年末調整と確定申告での配偶者控除申告手続き

配偶者控除や配偶者特別控除の申告は、主に年末調整で行われますが、場合によっては確定申告が必要となることもあります 。給与所得者の場合、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を年末調整時に提出します。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/deduction-for-spouse/

 

申告書に記載する主な項目には以下があります :

  • 配偶者の氏名・マイナンバー・生年月日
  • 配偶者の年間合計所得の見積額
  • 区分II(判定欄①〜④のうち該当するもの)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の控除額
  • 配偶者定額減税対象への該当有無

⚠️ 年末調整で配偶者控除等を申告した場合でも、医療費控除や寄附金控除を受ける際には確定申告が必要です 。また、年末調整後に配偶者の所得が変更となった場合や、申告内容に誤りがあった場合は、確定申告での修正が必要となります。

配偶者控除適用時の注意点と自治体制度への影響

配偶者控除から配偶者特別控除に変更となる場合、単純な税負担の変化だけでなく、自治体の各種制度にも影響を与える可能性があります 。例えば、児童手当の所得制限額の計算において、配偶者控除の場合は扶養人数にカウントされるが、配偶者特別控除の場合はカウントされないという自治体もあります。
参考)「妻が配偶者控除から配偶者特別控除になった場合のデメリット」

 

配偶者が事業専従者として働いている場合は、配偶者控除・配偶者特別控除ともに適用対象外となるため注意が必要です 。これは、事業専従者給与として経費計上することで、二重の控除を防ぐためです。親族が経営する事業で働いている配偶者がいる場合は、事前に税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
📌 実務上の重要なポイントとして、夫婦がお互いに配偶者特別控除を適用することはできません 。また、配偶者控除と配偶者特別控除を同時に受けることも不可能です 。金融機関で顧客サポートを行う際は、これらの制度の排他性についても正確に説明する必要があります。
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/03/order3/3-3_17.htm

 

参考:国税庁「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
参考:国税庁「配偶者特別控除の詳細」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm