
毎月の給与から天引きされる所得税は、年間の課税所得が確定しない中で概算として計算される仕組みです。 会社員の給与には年間の課税所得に応じて所得税が課されますが、1年が終わらないと正確な税額を算出できないため、月々の給与から概算で源泉徴収が行われます。
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この概算による徴収額は、所得税法に規定する「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に基づいて決定されており、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」によって税額が決まります。
📝 計算の基本流れ
源泉徴収税額表には給与の支払い形態に応じて3種類があり、それぞれ異なる用途で使用されます。
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月額表
日額表
賞与表
各税額表は「甲欄」「乙欄」「丙欄」に分かれており、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無や雇用予定期間によって使い分けます。
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月額での所得税計算では、給与所得控除が重要な役割を果たします。給与所得控除は会社員の必要経費に相当するもので、給与収入から一定額を控除できる仕組みです。
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電算機計算の特例を使用する場合、給与所得控除の計算には以下の表が適用されます。
参考)https://support.yayoi-kk.co.jp/faq_Subcontents.html?page_id=19590
給与所得控除の算出表
この控除額を適用することで、「その月の課税給与所得金額」が算出され、これに税率を乗じて所得税額が決定されます。
電算機計算の特例は、源泉徴収税額表を使用せず、財務省告示で定められた計算式により直接税額を算出する方法です。 この方法は「月額表の甲欄を適用する給与等」に限定され、給与計算システムや電子計算機を用いる場合に利用できます。
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計算手順
税額計算式
参考)令和6年 源泉徴収所得税額の自動計算(電算機計算の特例:月額…
この特例により求めた税額は、税額表による税額と必ずしも一致しませんが、年末調整で差額は精算されます。
平成25年1月1日から令和19年12月31日まで、源泉所得税と併せて復興特別所得税の徴収が義務付けられています。 復興特別所得税は「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」により創設された税制です。
参考)https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/jukyushatodoke/rourei/fuyoushinkoku/shotokuzei/20140421-17.html
復興特別所得税の計算は、源泉徴収される所得税の2.1%相当額とされており、所得税の源泉徴収の際にあわせて行います。 実際の計算では、源泉徴収の対象となる支払金額等に対して合計税率を乗じて計算した金額を源泉徴収します。
実務での注意点
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/how-to-calculate-yearend-adjustment/
この制度により、月額の給与計算では従来の所得税額に2.1%を加算した金額が最終的な源泉徴収税額となり、給与明細に記載される所得税として表示されます。