

補助金は入金後に確定申告が不要だと思っていませんか?
補助金申請では、事業実態や所得状況を証明するために確定申告書の提出が求められます。
個人事業主の場合、確定申告書第一表・第二表に加えて、収支内訳書(白色申告の場合は1・2面)または所得税青色申告決算書(青色申告の場合は1~4面)の全てが必要です。これらの書類には、税務署の収受日付印が押されているか、電子申告の場合は受付結果(受信通知)の添付が原則として求められます。
参考)https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_kakutei_chui.pdf
法人の場合は、法人税確定申告書の別表一・別表四に税務署受付印があるもの、または電子申告の受信通知が必要になります。
参考)https://www.pull-net.jp/it-subsidy-2025/final-tax-return/
税務署受付印がない場合の代替手段として、納税証明書(その2:所得金額の証明書)を添付する方法も認められています。この納税証明書は税務署またはe-Taxで取得可能で、発行から3か月以内の書類が望ましいとされています。
2025年1月から税務署における収受日付印の押印が廃止されたため、補助金申請における必要書類の取り扱いに影響が出ています。
参考)ほどく行政書士事務所_税務申告は電子申請がおすすめ!補助金申…
電子申告(e-Tax)を利用していない場合、申告書の提出証明が難しくなります。
つまり従来の方法が使えないということですね。
参考)収受日付印は令和7年から廃止!税務署に紙で申告した際の確認方…
電子申告を利用すれば、e-Taxページから「受付結果(受信通知)」を出力でき、これが収受日付印の代わりとして使用可能です。受信通知には受付番号や受付日時が記載されており、申告の事実を明確に証明できます。
紙での申告を続ける場合は、税務署での閲覧サービスや納税証明書の交付請求を通じて申告の事実を確認する方法があります。納税証明書は申告書に記載された所得金額や納税額を証明できますが、申告書の原本やコピー自体を直接確認することはできません。
補助金申請の書類不備を防ぐには、印字が鮮明であること、所定の様式に記載されていること、受付証明が添付されていることを事前に必ず確認する必要があります。
国税庁の納税証明書の請求手続き
納税証明書の種類や請求方法について詳しく記載されており、補助金申請で必要な「その2(所得金額の証明書)」の取得方法が確認できます。
補助金を受け取った際の勘定科目は「雑収入」です。
参考)補助金を受給したときは確定申告が必要なのか?ポイントを交えな…
補助金は本業の売上げ以外の収益となるため、事業所得に加算されますが、売上高とは区別して計上します。損益計算書では営業外収益に該当し、消費税は課税されません。
参考)助成金や補助金、支援金・協力金の仕訳に使える勘定科目まとめ
例えば200万円の補助金を受け取った場合、仕訳は以下のようになります。
参考)補助金を仕訳する際の勘定科目は?会計処理の注意点や記入例をわ…
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 預金 | 200万円 | 雑収入 | 200万円 |
計上時期については、入金日ではなく「交付決定通知日」(または額の確定日)に収入として計上するのが正しいルールです。年末付近に通知が来た場合、入金が翌年でも通知を受けた年の収入として計上する必要があります。
参考)補助金・助成金の確定申告は必要?課税判定と仕訳・計上時期を解…
これを間違えて入金日で申告すると、「売上の計上漏れ」として税務署から指摘されるリスクがあります。
交付決定通知日が基本です。
法人の場合、法人税申告書に添付する勘定科目内訳明細書の「雑益・雑損失等の内訳書」において、雑収入の内訳を記載する必要があります。仕訳の際は補助科目や摘要を活用して内容を明確にしておくことが重要です。
補助金の名称を含む支援制度は確定申告が必要になる傾向がありますが、確定申告が不要となる支援制度も存在します。
感染症や被災地に関する支援制度は特例措置にあたる傾向があり、原則として確定申告が不要です。一方、事業の発展を支援する一般的な補助金は、事業所得に加算されるため確定申告が必要になります。
個人事業主が受け取る補助金は「一時所得」として扱われる場合があります。一時所得には特別控除額50万円があり、年間の一時所得の合計が50万円を超えた場合に課税対象になります。
参考)住宅関係の補助金をもらったら確定申告が必要?知らないと損する…
具体的には、補助金を含めた一時所得が年間90万円を超える人は確定申告が必要です。計算式は(補助金90万円-特別控除額50万円)×1/2=20万円となり、この20万円が課税所得に加算されます。
参考)【住宅省エネキャンペーン】交付された補助金はいくらから課税対…
給与所得者の場合、給与以外の所得が20万円を超えないときは確定申告の必要はありません。ただし、補助金を含めた課税所得が増えると税金が変わる人は申告が必要です。
申告せずに放置すると、税務調査で指摘され、追徴課税(追加の税金+延滞税)を支払うことになる可能性があります。意図的でなくても「申告漏れ」と判断されるため、もらった補助金の金額をしっかり確認し、必要なら確定申告を行いましょう。
補助金を使って固定資産を取得した場合、課税の繰り延べができる制度があります。
それが圧縮記帳です。
圧縮記帳の対象は、国庫補助金や地方公共団体の補助金に限定されます。法人税法で限定列挙されており、それ以外の補助金は適用できません。交付決定通知書に「国庫補助金」「地方公共団体補助金」と明記されているかを確認する必要があります。
圧縮記帳を適用できる要件は、補助金を固定資産の取得または改良に充てることです。人件費や運転資金に流用した場合は対象になりません。
対象となる資産は、店舗の改装や設備の購入といった資産計上が必要な部分です。小規模事業者持続化補助金の対象に含まれる広告やホームページ作成費用は対象となりません。
圧縮記帳した金額は、固定資産の取得価額から差し引いた扱いとなるため、税額控除の計算基礎には含まれません。税額控除の計算時は、圧縮後の金額を基準とする必要があります。
個人事業主の場合、圧縮記帳は利用できません。個人事業主が補助金を受け取って固定資産を購入した場合には、「国庫補助金等の総収入金額不算入」の特例で補助金分を差し引くことになります。
参考)個人事業主は圧縮記帳を使えない!国庫補助金等の総収入金額不算…
この特例を適用するには、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出する必要があります。国庫補助金の場合は、確定申告時にこの明細書を作成し、一時収入から除外することで課税対象から外せます。
書類を添付しなかった場合や記載内容が不十分な場合には、適用が認められず、補助金収入が課税所得に算入されるため税負担額が大幅に上がります。
国税庁の国庫補助金等を受け取ったときの解説
国庫補助金等の総収入金額不算入の特例について、対象となる補助金の種類や必要な手続きが詳しく記載されています。
補助金を受け取ったにもかかわらず確定申告をしないと、無申告加算税や延滞税などの追徴課税が課されます。
参考)コロナ禍で支給される給付金目当てで確定申告をしたら税務調査が…
無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合で課税されます。原則として正当な理由なく申告期限内に申告をしなかった場合にペナルティとして課されます。
参考)追徴課税のルール【税務レポート】
延滞税は日ごとに発生し、申告が遅れるほど負担が増えます。無申告の期間が長いと、重加算税などの追徴課税が徴収され、通常の税金よりも多額の納税義務が発生します。
税務調査で指摘を受けて修正申告をした場合、支給された補助金を上回る税額を現金で一括払いしなければならないケースもあります。
厳しいところですね。
申告漏れに気づいた場合は、速やかに「修正申告」を行う必要があります。税務署から指摘される前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税などのペナルティが免除または軽減される場合があります。
放置すると延滞税も増え続けるため、気づいた時点で早急に対応しましょう。無申告期間がある場合は、前年度分に限らずすべて遡って確定申告することで、重加算税の課税を回避できる可能性が高まります。
青色申告の承認を受けている場合、無申告が続くと青色申告特別控除の喪失や承認取消のリスクもあります。
✅ 補助金受給後は必ず交付決定通知日に計上し、期限内に確定申告を行う
✅ 電子申告を利用すれば受信通知で申告の事実を証明できる
✅ 圧縮記帳や総収入金額不算入の特例を活用し、適切な書類を添付する
✅ 申告漏れに気づいたら速やかに修正申告を行い、ペナルティを最小限に抑える
補助金申請と確定申告書の関係を正確に理解し、税務処理を適切に行うことで、事業の健全な発展を支えることができます。

第4版 税理士のための”中小企業の補助金”申請支援マニュアル――採択率を上げる申請書・事業計画の作成支援から、アフターフォローまで