個人事業開業の流れと必要な手続き・書類を徹底解説

個人事業開業の流れと必要な手続き・書類を徹底解説

個人事業開業の流れ

開業届を出さなくても罰則はありません。


参考)開業届には提出期限はいつまで?出し忘れた時の対応策やペナルテ…

📋 この記事のポイント
📝
開業届は1ヶ月以内が原則

事業開始日から1ヶ月以内に提出が義務付けられているが、遅れてもペナルティはない。ただし青色申告のメリットを受けるには期限厳守が重要

💰
青色申告で最大65万円控除

青色申告承認申請書を開業日から2ヶ月以内に提出すれば、最大65万円の特別控除により大幅な節税が可能になる

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屋号は必須ではない

屋号なしでも開業可能。ただし屋号があれば事業用口座の開設やクレジットカード作成がスムーズになる

個人事業開業前に準備すべきこと

個人事業主として開業する前には、事業内容の決定や資金計画、人脈作りなどの準備が必要です。


参考)https://manabi.lomo.jp/personal-business/open

会社員のうちに取引先やパートナーとなる人脈を作っておくことが重要です。技術やノウハウも会社員時代に身につけておきましょう。

資金繰りの計画も欠かせません。開業後すぐに安定した収入が得られるとは限らないため、最低でも半年分の生活費を貯金しておくと安心です。

競合調査も行いましょう。同じ事業を行っている個人事業主や企業がどのようなサービスを提供し、どの程度の価格設定をしているかを把握することで、自分の事業の立ち位置が明確になります。

事業形態(個人事業主か法人か)の決定も必要です。個人事業主は設立が簡単で費用もかかりませんが、法人は信用度が高く節税効果も大きくなる場合があります。


個人事業開業届の記載事項と提出方法

開業届には氏名、生年月日、納税地、個人番号(マイナンバー)、職業、開業日、屋号、事業の概要などを記載します。

提出期限は事業開始日から1ヶ月以内です。


参考)No.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁


提出方法は3つあります。所轄の税務署への持参、郵送、e-Taxを利用した電子申請です。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kaigyou/basic-knowledge/

開業届とマイナンバーカードがあれば提出可能です。

マイナンバーカードを持っていない場合は、通知カードまたはマイナンバーが記載された住民票の写しと、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要になります。

開業届は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。


記入は難しくなく、15分程度で完了します。


国税庁「新たに事業を始めたときの届出など」
開業届を含む各種届出書のダウンロード方法や提出期限の詳細が確認できます。


個人事業開業届の屋号は必須か

屋号は個人事業主に必須ではありません。


参考)開業届と屋号の関係性とは?屋号のつけ方や変更方法を解説 &#…

屋号なしでも開業届は提出可能です。屋号欄を空欄にして提出しても問題ありません。


参考)個人事業主の屋号は必要?決め方や屋号例、変更方法など

ただし屋号を設定すると、屋号での銀行口座開設や法人用クレジットカードの作成ができるメリットがあります。


参考)個人事業主必見!開業届を出すメリット・デメリットとは?書き方…

屋号を決める際は、事業内容がイメージしやすく印象に残りやすい名前が推奨されます。

「○○会社」「○○法人」といった表現は使用できません。一般的には「○○商店」「○○事務所」などの屋号が多く使われています。

屋号は後から変更することも可能ですが、顧客や取引先への周知が必要になるため、長く使える名前を最初から選ぶことが望ましいでしょう。

個人事業開業時の青色申告承認申請

青色申告をするには、事業開始日から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

最大65万円の特別控除が受けられるのが大きなメリットです。


参考)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0021010-076.pdf


例えば所得税率20%が適用される個人事業主の場合、65万円の控除により13万円の節税効果があります。


参考)青色申告特別控除65万円を活用するといくら税金が少なくなるの…

赤字の繰り越しも可能です。

例えば1年目に100万円の赤字、2年目に100万円の赤字、3年目に200万円の黒字が出た場合、3年間の合計は0円となり、3年目の200万円に対する課税がなくなります。

e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿の保存を行うと、最大65万円の控除が適用されます。それ以外の場合は最大55万円の控除となります。

ただし開業日前に単発で得た所得は、事業所得ではなく雑所得とみなされるため、青色申告の恩恵を受けられません。

個人事業開業時の従業員雇用に関する届け出

従業員を雇用して給与を支払う場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。

提出期限は開設の事実があった日から1ヶ月以内です。

ただし開業届の「給与の支払の状況」欄に記入すれば、給与支払事務所等の開設届出書の提出を省略できます。


参考)記入例、開業届出書、開業と同時に従業員を雇用して給与を支払う…

個人事業主が1人で開業する場合は、この欄は空欄でOKです。

給与支給人員が常時10人未満の場合、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すると、源泉所得税の納付を年2回にまとめることができます。

青色事業専従者給与額を必要経費に算入する場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」も必要です。提出期限は青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(開業日から2ヶ月以内)です。

個人事業開業届を出し忘れた場合の対処法

開業届を出し忘れてもペナルティや罰則は特にありません。


所得税法第229条により開業日から1ヶ月以内の提出が義務付けられていますが、遅れても罰金などは課されません。

開業届はさかのぼって提出することもできます。開業日から2ヶ月、1年、5年、10年と長い期間が経っていても受け付けてもらえます。

ただし青色申告のメリットを受けられない点には注意が必要です。青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内に提出しなければならず、この期限を過ぎると当該年度の青色申告はできなくなります。

例えば開業日から2ヶ月が過ぎてしまった場合、その年は白色申告となり、最大65万円の特別控除や赤字の繰り越しといった青色申告のメリットを受けられません。


開業届を出していないと、屋号での銀行口座開設や法人用クレジットカードの作成もできません。

気づいた時点ですぐに提出することが推奨されます。遅れたからといって提出をあきらめる必要はありません。


個人事業開業時のその他の届け出

消費税に関する届け出もあります。免税事業者が課税事業者になることを選択する場合は、「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。

簡易課税制度を選択する場合は「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。

適格請求書(インボイス)を発行する事業者になるには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します。

棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法を選択する場合は、「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」を提出します。


提出期限は確定申告期限までです。



納税地を変更する場合は「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出します。住所地に代えて事業所の所在地を納税地とすることもできます。

都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署などにも届け出が必要な場合があります。


各行政機関への確認をおすすめします。



マネーフォワード「開業時に提出が必要な開業届以外の書類」
開業時に必要な各種届出書の詳細と提出タイミングが網羅的に解説されています。