特定口座年間取引報告書の見方をSBIで完全解説

特定口座年間取引報告書の見方をSBIで完全解説

特定口座年間取引報告書の見方をSBIで完全解説

源泉徴収ありの特定口座でも、確定申告しないと約4万円を損するケースがある。


📄 この記事でわかること
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報告書の入手・確認方法

SBI証券での特定口座年間取引報告書の閲覧手順を、電子交付・郵送それぞれのケースで解説します。

📊
各項目の見方と意味

「差引金額」「源泉徴収税額」「譲渡損失の金額」など、ひとつひとつの項目が何を意味するのかをわかりやすく説明します。

💡
確定申告との関係と注意点

「源泉徴収ありだから申告不要」と思っていると損する場面を具体的な金額で解説。損益通算・繰越控除の活用方法まで紹介します。


特定口座年間取引報告書とは何か|SBI証券での位置づけ

特定口座年間取引報告書とは、証券会社が投資家に対して毎年1月末までに交付する、1年間の株式等の取引損益をまとめた書類です。正式名称は「特定口座年間取引報告書」で、2003年1月に導入された特定口座制度にもとづき発行されます。


SBI証券では、特定口座を開設しているすべてのお客さまに対し、前年1月1日から12月31日までの取引が対象として記載されます。つまり、報告書には「いくら売って」「いくらで買ったか」「差し引き何円の利益か損失か」が一目でわかる形にまとめられているわけです。


この書類が重要なのは、確定申告の際にそのまま使える点にあります。特に「源泉徴収なし」を選んでいる方は、この報告書を使って自分で確定申告を行う必要があります。一般口座の場合は別途「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を作成しなければなりませんが、特定口座なら報告書1枚で代用できます。これが便利です。


なお、この報告書は証券会社から税務署にも提出されているため、記載内容と申告内容に矛盾がある場合、税務署から問い合わせが来る可能性があります。内容をきちんと把握しておくことが大切です。


特定口座は1つの証券会社につき1人1口座のみ開設可能です。複数の証券会社を使っている場合は、それぞれから報告書が届きます。


参考:SBI証券の特定口座と確定申告の詳細ページ
特定口座での取引の確定申告|SBI証券


特定口座年間取引報告書をSBIで確認・ダウンロードする手順

SBI証券で特定口座年間取引報告書を確認するには、電子交付と郵送の2つの方法があります。多くの方は電子交付を選択しているため、まずそちらの手順を確認しましょう。


電子交付の場合の手順は以下の通りです。



  • SBI証券WEBサイトにログインする

  • 「口座管理」タブをクリックする

  • 「取引報告書等(電子交付)」を選択する

  • 「報告書および年間損益の確認」メニュー内から「国内株式/投資信託/債券/外国株式/SBIラップ(特定口座/一般口座)」横の「報告書閲覧」ボタンを押す

  • PDF形式で報告書が表示される(Adobe Reader XI以上が必要)


注意点が1つあります。スマホアプリからは電子交付の報告書を閲覧できません。PCサイト(またはスマホでPCサイト表示)からログインする必要があります。スマホだけで済ませようとするとつまずくので気をつけましょう。


また、e-Taxで確定申告をする方は、同じ画面からXMLデータのダウンロードが可能です。このXMLデータをe-Taxに読み込ませると、報告書の数字を手入力する必要がなくなります。時間の節約になりますね。


郵送交付を選択している方には、毎年1月下旬から2月初旬ごろに自宅へ郵送されます。電子交付に切り替えることで、来年からはWEB上で即時確認が可能になります。切り替え自体は「口座管理」→「電子交付書面」から設定できます。


報告書は過去分も含めてWEBで閲覧できるため、過去の年度の取引内容を確認したい場合にも便利に使えます。


参考:SBI証券の電子交付サービスの詳細
報告書等の電子交付|SBI証券


特定口座年間取引報告書の見方|SBIの各項目を完全解説

報告書の各項目は、大きく「譲渡に係る年間取引損益」と「配当等の額」の2ブロックに分かれています。ここでは主要な項目をひとつずつ確認しましょう。


① 勘定の種類


報告書の右上にある欄で、「保管」「信用」「配当」の3区分に○がついています。「保管」は現物取引口座、「信用」は信用取引口座、「配当」は配当金等を譲渡益と通算する口座を指します。信用口座を未開設でも「信用」に○がつく場合があるため、驚かないようにしましょう。


② 源泉徴収の選択


「有」か「無」のどちらかに○がつきます。「有」は証券会社が自動で税金を差し引いてくれる口座です。


③ 譲渡の対価の額(収入金額)


1年間に売却した株式等の売却代金の合計です。手数料は含まれていません。注意したいのは、この金額が「利益」ではなく「売却金額の総額」であるという点です。収入金額が大きくても、取得費も大きければ損失になることもあります。つまり収入金額だけを見ても損益はわかりません。


④ 取得費及び譲渡に要した費用の額等


株式等の購入代金に加え、売却時・購入時の手数料(税込)の合計額です。SBI証券では国内株式の手数料が無料のため、信用取引や外国株式を利用している方以外は手数料が0円になります。


⑤ 差引金額(譲渡所得等の金額)


③から④を差し引いた金額です。プラスなら利益、マイナスなら損失を意味します。これが実際の年間の株式等の損益です。確認すべき最重要項目といえます。


⑥ 源泉徴収税額(所得税)・株式等譲渡所得割額(住民税


「源泉徴収あり」を選択している場合に、⑤の差引金額に対して課税された税金が記載されます。税率は所得税(復興特別所得税含む)15.315%、住民税5%、合計20.315%です。たとえば年間利益が50万円なら、約10万円が源泉徴収されていることになります。金額として具体的にイメージするとわかりやすいですね。


⑦ 配当等の額


SBI証券を通じて受け取った株式の配当金、投資信託の普通分配金、債券の利金の合計額です。投資信託の特別分配金(元本払戻金)は非課税なため、この欄には含まれません。


⑧ 譲渡損失の金額


差引金額(⑤)がマイナスの場合に記載される欄です。プラスの場合は「0」と表示されます。


⑨ 差引金額(配当等との通算後)


配当等の額から譲渡損失を差し引いた金額です。マイナスになる場合は「0」と表示されます。


⑩ 還付税額


すでに源泉徴収された税額が、年間を通じた損益通算の結果として超過していた場合に還付される金額です。還付金は毎年1月初旬に証券口座へ入金されます。


参考:SBI証券の年間取引報告書の記載項目について
「年間取引報告書」の記載項目について教えてください|SBI証券


差引金額がマイナスのとき|損益通算と繰越控除の活用法

差引金額がマイナス、つまり年間で損失が出た場合、多くの方は「申告しなくていいか」と思いがちです。しかし、これは大きなチャンスを見逃しているかもしれません。損失の繰越控除は知ってると得する制度です。


損益通算とは、複数の証券会社の口座間で生じた利益と損失を合算することです。たとえば、SBI証券の特定口座では30万円の損失が出ていて、楽天証券の特定口座では20万円の利益が出ていた場合、確定申告で合算すると差し引き10万円の損失になります。すでに楽天証券で源泉徴収された約4万円(20万円×20.315%)を取り戻すことができます。


さらに強力なのが、「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」です。年間の損失を確定申告で申告しておくと、翌年から最大3年間にわたってその損失を将来の利益と相殺できます。


たとえば今年100万円の損失を申告した場合、翌年に60万円の利益が出ても相殺されて課税ゼロ、さらに翌々年に50万円の利益が出ても残り40万円の損失と相殺されて課税されるのは10万円だけです。3年間で合計10万円の損失のみ課税対象となります。繰越控除は必須です。


ただし、繰越控除の適用を受けるためには、損失が発生した年に必ず確定申告をしていることが条件です。「今年は損したからどうせ申告しなくていい」と放置してしまうと、将来の節税チャンスを失います。これは大きなデメリットです。


損失が出た年の確定申告では「株式等に係る譲渡所得等の申告分離課税の申告書(第三表)」と「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受ける場合の明細書」が必要になります。e-Taxなら画面の案内に従って入力するだけで作成できます。


参考:国税庁の特定口座制度についての公式ページ
No.1476 特定口座制度|国税庁


源泉徴収ありでも確定申告すべきケース|見落としがちな4つの状況

「源泉徴収ありの特定口座を使っているから、確定申告は一切不要」と考えている方は少なくありません。しかし実際には、確定申告をすることで税金を取り戻せる場面が複数あります。見逃すと損です。


ケース1:複数の証券会社口座間で損益通算する場合


SBI証券で利益が出て、別の証券会社で損失が出ている場合、それぞれの特定口座内では自動通算されません。損益を合算して税金を取り戻したい場合は、自分で確定申告をする必要があります。


ケース2:年間利益が20万円以下の給与所得者の場合


給与所得が2,000万円以下の給与所得者で、株式等の利益が年間20万円以下の場合、「源泉徴収なし」や「一般口座」であれば確定申告不要です。しかし「源泉徴収あり」の場合は、20万円以下の利益でも自動的に約20.315%が徴収されます。たとえば利益が20万円なら約4万円が引かれますが、本来払わなくてよいお金です。残念ながらこの徴収分は確定申告でも取り戻せないため、翌年からの口座設定の見直しを検討する価値があります。


ケース3:損失の繰越控除を利用する場合


前述の通り、損失を翌年以降に繰り越すには確定申告が必須です。「源泉徴収あり」でも確定申告は可能です。


ケース4:配当控除を受ける場合


国内株式の配当収入について「総合課税」を選んで確定申告すると、「配当控除」という税額控除が受けられます。課税所得が低い方ほど有利になる制度です。源泉徴収で引かれた20.315%より実際の税率が低い場合、差額が還付されます。


源泉徴収ありが有利なのは「申告不要でよい」というケースに限ります。上記4つのどれかに当てはまる場合は、申告することで節税になります。


参考:特定口座「源泉徴収あり」でも確定申告が有利になるケースの解説
特定口座「源泉徴収あり」でも確定申告をしたほうが有利になる場合とは?|松井証券


SBI証券の年間取引報告書とe-Tax連携|知らないと手間が10倍になる裏技

SBI証券の特定口座年間取引報告書は、e-Taxとの連携機能を活用することで確定申告の入力作業を大幅に省略できます。これを知らずに手入力している方が意外に多いです。


主な連携方法は2種類あります。1つ目は「マイナポータル連携」、2つ目は「XMLデータの読み込み」です。


マイナポータル連携を使うと、SBI証券の口座情報を事前にマイナポータルに紐づけておくことで、確定申告書等作成コーナーにアクセスした際に取引データが自動で取得・入力されます。マイナンバーカードが必要ですが、一度設定してしまえば翌年以降も継続して使えます。


XMLデータ読み込みの手順は以下の通りです。



  • SBI証券WEBサイトにログイン後「口座管理」→「取引報告書等(電子交付)」へ進む

  • 「報告書閲覧」ボタンから報告書画面を開く

  • XMLデータのダウンロードボタンを押して保存する

  • e-Taxの確定申告書等作成コーナーで「XMLデータを読み込む」を選択して取り込む


これを使えば、報告書の数十項目を手で入力する手間がゼロになります。入力ミスのリスクもなくなります。これは使えそうです。


なお、複数の証券会社を利用している場合は、それぞれからXMLデータをダウンロードして取り込む必要があります。ただし、e-Taxの作成コーナーでは複数の報告書を順番に取り込んで一括入力できる設計になっています。


スマートフォンからe-Taxで確定申告をする場合も、マイナポータルアプリを使ってデータ取得が可能です。スマホ完結で確定申告まで終わらせることもできるようになっています。確定申告のハードルは年々下がっています。


参考:国税庁の確定申告書等作成コーナー
確定申告書等作成コーナー|国税庁