確定申告の対象者と年収の条件を徹底解説

確定申告の対象者と年収の条件を徹底解説

確定申告の対象者と年収の判断基準を正しく理解する

副業で20万円以下しか稼いでいないのに、住民税の追徴課税が届いた人がいます。


📋 この記事の3ポイントまとめ
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確定申告の必要・不要は「年収」ではなく「所得」で決まる

年収と所得は別物。給与所得控除や必要経費を差し引いた「所得」が判断基準になります。勘違いすると申告漏れのリスクがあります。

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副業20万円以下でも住民税の申告は別途必要

所得税の「20万円以下不要ルール」は住民税には適用されません。1円でも副業収入があれば市区町村への住民税申告が必要です。

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申告義務がなくても確定申告をすると「お金が戻る」ケースがある

医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除など、申告することで年間数万〜数十万円の還付を受けられる可能性があります。


確定申告の対象者は年収ではなく「所得」で判断する基本ルール


「年収がいくらから確定申告が必要か」という問いに対して、多くの人が年収の金額だけで判断しようとします。しかし、正確には確定申告の要否は「収入(年収)」ではなく「所得」の金額で決まるという点を、まず押さえておく必要があります。


収入とは1年間に受け取った給与や売上の合計額です。一方、所得とはそこから「給与所得控除」や「必要経費」を差し引いた残りの金額を指します。つまり、同じ年収500万円でも、会社員個人事業主では「所得」の計算方法が全く異なるため、確定申告の必要性も変わってきます。つまり年収だけで決まるわけではないということです。


2025年(令和7年)分からの税制改正では、基礎控除額がこれまでの一律48万円から最大95万円に引き上げられました。合計所得金額が132万円以下の場合は95万円、132万円超〜336万円以下の場合は88万円というように、所得水準に応じて段階的に設定されています。この改正により、特に低〜中所得層では申告が不要になるボーダーラインが引き上げられた点は重要です。


給与所得控除についても改正があり、2025年(令和7年)分からは最低保障額が55万円から65万円に引き上げられています。これは年収190万円以下のすべての給与所得者に恩恵が及ぶ改正です。これが条件です。


所得の種類によって確定申告の要否の基準が異なるため、以下のように立場別に整理しておくと分かりやすくなります。


| 立場 | 申告が必要になるボーダーライン(2025年分) |
|---|---|
| 個人事業主・フリーランス | 所得が95万円を超える場合(旧:48万円) |
| 給与所得者(会社員) | 給与収入が2,000万円を超える場合、または副業所得が20万円を超える場合 |
| 公的年金受給者 | 年金収入が400万円を超える場合 |
| パート・アルバイト | 年収160万円(2024年分までは103万円)を超え、年末調整未実施の場合 |


参考:2025年分の確定申告の変更点(基礎控除・給与所得控除の改正内容)
2026年提出(令和7年分)の確定申告の変更点まとめ|マネーフォワード クラウド確定申告


確定申告の対象者:給与所得者が申告必須になる年収と具体的な条件

会社員は通常、勤務先が年末調整を行うため確定申告は不要です。これが基本です。しかし、以下の条件のいずれかに当てはまる場合は、たとえ会社員であっても自分で確定申告をしなければなりません。


① 給与収入が年間2,000万円を超える人


給与・賞与の合計が2,000万円を超えると、年末調整の対象から外れます。これは所得税法の規定によるもので、高収入の方でも漏れなく確定申告が必要です。意外ですね。


② 副業所得が年間20万円を超える人


本業の給与以外に、フリーランスの仕事・ネット販売・FX・暗号資産などで年間20万円を超える所得があった場合、確定申告が必要です。なお、ここでいう「20万円」は「収入」ではなく「所得(収入−必要経費)」であることに注意が必要です。


③ 複数の勤務先から給与を受け取っている人


メインの勤務先で年末調整を受けていても、副業先でアルバイト収入などがある場合、副業先の給与収入が20万円を超えると確定申告が必要です。この場合は「所得」ではなく「収入額」が判断基準になる点が、③だけ②と異なります。


同族会社の役員で、その会社から利子や賃貸料を受け取っている人


国税庁の規定により、同族会社の役員が自身の会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている場合は、金額にかかわらず確定申告が義務づけられています。


参考:給与所得者で確定申告が必要な人の条件(国税庁公式)
No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁


確定申告の対象者:副業の20万円ルールと住民税申告の落とし穴

「副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要」というルールは、多くの人が知っています。これは正しい知識です。しかし、このルールには大きな落とし穴が一つあります。


所得税の「20万円以下は申告不要」という制度は、あくまで所得税の確定申告に限った話です。住民税については、この免除規定は一切存在しません。痛いですね。


つまり、副業で1円でも利益が出た場合、住民税の申告はお住まいの市区町村に対して行う必要があります。確定申告を行えばその情報が自動的に市区町村に連携されますが、確定申告をしない場合は自分で住民税申告を行わなければなりません。


この点を見落としていると、後日「住民税の申告漏れ」として追徴課税の通知が届く可能性があります。実際に国税庁が令和3年事務年度に行った調査では、約60万件の調査対象のうち31万件以上で申告漏れが指摘されており、その中には副業の申告漏れも多く含まれると見られています。申告漏れは他人事ではありません。


副業収入がある場合の住民税対策として、確定申告書を提出する際に「住民税の徴収方法」を「普通徴収(自分で納付)」に設定することが重要です。この設定をしておけば、副業分の住民税は会社の給与から天引きされず、自宅に納付書が届く形になります。これにより、副業収入が会社側に漏れるリスクも軽減されます。


参考:副業所得が20万円以下でも住民税申告が必要な理由


確定申告をしなかった場合のペナルティ:無申告加算税と延滞税の実態

確定申告をしなければならないにもかかわらず申告を怠った場合、本来の税金に上乗せして「無申告加算税」と「延滞税」が課されます。これは必須の知識です。


無申告加算税の税率


無申告加算税は、申告しなかった理由や発覚のタイミングによって税率が異なります。


- 自主的に期限後申告した場合:納税額の5%
- 税務署から指摘される前に申告した場合:納税額の5%(軽減)
- 税務調査後に申告した場合(50万円以下の部分):15%
- 税務調査後に申告した場合(50万円超〜300万円以下の部分):20%
- 税務調査後に申告した場合(300万円超の部分):25%


具体例を挙げると、本来納めるべき所得税が50万円あった場合、税務調査後に発覚した時の無申告加算税は最低でも7万5,000円(15%)になります。さらに延滞税も加算されるため、負担はさらに膨らみます。


延滞税の仕組み


延滞税は、申告・納税の期限を過ぎた日数に応じて計算されます。例えば、所得税30万円を納付期限から60日後に納付した場合の延滞税はおよそ1,100円程度ですが、長期間放置すると税率が切り上がり、最大で未納額の14.6%が課される仕組みです。


申告漏れに気づいた時点でできるだけ早く自主申告することで、ペナルティを最小限に抑えることができます。これに注意すれば大丈夫です。


参考:確定申告を忘れた場合の加算税・延滞税の計算方法
No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁


申告義務がなくても確定申告で取り戻せる:還付申告を活用すべき年収帯

確定申告には「しなければならない人」だけでなく、「した方が得をする人」もいます。これを「還付申告」といい、払いすぎた所得税を取り戻すことができます。これは使えそうです。


年末調整を受けている会社員でも、次のようなケースでは確定申告をすることで税金が戻ってきます。


🏥 医療費控除(年間医療費が10万円超の場合)


1年間に本人や家族の医療費が10万円を超えた場合(※所得が200万円未満の方は所得の5%超)、超えた分の金額に対して所得税率に応じた還付が受けられます。歯の治療費・入院費・通院の交通費なども対象になります。年間医療費20万円の場合、10万円を超えた分(10万円)が控除対象となり、所得税率10%の人なら1万円の還付が見込めます。


🎁 ふるさと納税(ワンストップ特例制度を使わない場合)


ふるさと納税を行った場合、確定申告または「ワンストップ特例制度」で控除を受けられます。ただし、医療費控除を申告したい年や6自治体以上にふるさと納税した場合はワンストップ制度が使えないため、確定申告が必須になります。確定申告でまとめて申告するのが原則です。


🏠 住宅ローン控除(1年目のみ確定申告が必要)


住宅ローンを組んで一定の要件を満たす住宅を取得した場合、年末ローン残高の0.7%を最大13年間(新築住宅の場合)、所得税から控除できます。1年目は必ず確定申告が必要で、2年目以降は会社員であれば年末調整で手続きができます。


📉 年の途中で退職した人(年末調整を受けていない人)


年途中に退職し、年内に再就職していない場合は年末調整が行われていません。その年の所得が低くなっているため、確定申告をすれば源泉徴収された所得税の一部または全部が還付される可能性があります。


還付申告は申告義務がある確定申告と異なり、翌年1月1日から5年間いつでも行うことができます。いいことですね。


参考:会社員でも確定申告をした方が得になる代表的なケース


確定申告の対象者が知っておくべきe-Tax活用術と申告の効率化

確定申告の方法は、税務署に紙の申告書を持参する方法だけでなく、国税庁の電子申告システム「e-Tax」を使ったオンライン申告も選択できます。2026年現在、スマホ一台とマイナンバーカードがあれば、自宅から確定申告が完結するようになっています。


e-Taxのおもな特徴と利点


- マイナポータルと連携することで、給与情報・医療費・ふるさと納税額が自動入力される
- 税務署への来訪・郵送が不要で、24時間いつでも申告可能
- 書類の保管義務が軽減される(電子申告の場合、一部書類の添付省略が可能)
- 還付申告の場合、e-Taxで提出すると還付金の振込が早い(約3週間が目安)


スマホでのe-Tax利用には、マイナンバーカードと対応スマートフォン(NFCカード読み取り対応機種)が必要です。マイナンバーカードを持っていない場合は、事前にID・パスワード方式の届出をすることでも利用できます。


確定申告書の作成は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(https://www.keisan.nta.go.jp/)から無料で行えます。画面の案内に従って収入・控除の金額を入力していくだけで申告書が自動作成され、そのままe-Taxで送信できます。


個人事業主やフリーランスで、帳簿管理から確定申告書の作成までをまとめて効率化したい場合は、弥生の「やよいの青色申告 オンライン」や「freee確定申告」といったクラウド会計ソフトを活用する選択肢もあります。これらは領収書の読み取りや銀行明細の自動取り込みにも対応しており、記帳の手間を大幅に削減できます。確定申告の負担を下げる手段として、一度試してみる価値があります。


参考:スマホとマイナンバーカードを使ったe-Taxの手順(国税庁公式)
スマホとマイナンバーカードでe-Tax!|国税庁 令和7年分確定申告特集






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