年金の確定申告方法と損しないための完全ガイド

年金の確定申告方法と損しないための完全ガイド

年金の確定申告方法と申告しないと損するケースを徹底解説

年金が400万円以下なら確定申告しなくていいと思っていても、それで数万円以上の税金を払いすぎている可能性があります。


📋 この記事の3つのポイント
💡
確定申告が「不要」でも申告した方が得なケースがある

公的年金400万円以下なら申告不要制度の対象ですが、医療費控除・生命保険料控除などを申告しないと税金を払いすぎたままになります。

⚠️
「確定申告不要」でも住民税申告は別に必要な場合がある

所得税の申告が不要でも、住民税の申告を別途しないと翌年の住民税が高くなるケースがあります。見落としがちな落とし穴です。

📱
スマホ+マイナンバーカードでe-Tax申告が完結する

税務署に行かなくても、マイナンバーカードとスマホだけで確定申告書の作成・送信が可能。マイナポータル連携で源泉徴収票データの自動入力もできます。


年金の確定申告が「必要な人」と「不要な人」の判断基準


年金にも所得税がかかります。老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は「公的年金等にかかる雑所得」として課税対象です。これが大前提です。


ただし、すべての受給者が毎年確定申告をしなければならないわけではありません。国は高齢者の申告負担を減らすために「確定申告不要制度」を設けています。以下の2つの条件を両方満たす場合、所得税の確定申告は不要です。


| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 公的年金等の収入合計 | 年間400万円以下、かつすべて源泉徴収の対象 |
| ② その他の所得 | 公的年金等以外の所得(給与・事業・不動産・雑所得など)が年20万円以下 |


日本年金機構のデータによると、年金収入が月30万円超(年400万円超)の受給者は全体の0.1%程度です。つまり、大多数の受給者は確定申告不要制度の対象に該当します。


ただし、これは「所得税の申告が不要」という話です。住民税については別ルールが適用されるため、注意が必要です。この点は後述します。


また、年金の種類によっても課税・非課税が異なります。


| 年金の種類 | 課税区分 |
|---|---|
| 老齢年金(国民年金・厚生年金) | 課税対象(雑所得) |
| 遺族年金 | 非課税(申告不要) |
| 障害年金 | 非課税(申告不要) |
| 個人年金(民間生命保険会社) | 課税対象(公的年金等以外の雑所得) |


課税される年金は老齢年金のみです。遺族年金・障害年金は非課税のため確定申告に含める必要はありません。個人年金は別計算が必要という点も覚えておきましょう。


自分が申告不要かどうかを確認するには、毎年1月ごろ日本年金機構から郵送される「公的年金等の源泉徴収票」を確認します。「支払金額」欄が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら原則として申告不要です。


参考情報:確定申告不要制度の公式解説


年金の確定申告をしないと損するケース一覧

申告不要制度の対象であっても、確定申告をすることで税金の還付や翌年の住民税軽減につながるケースが多くあります。年金から源泉徴収税額が引かれている方は、納めすぎになっている可能性があります。


以下のケースに当てはまる場合は、申告不要制度の対象であっても確定申告をする価値があります。


🏥 医療費控除


現役時代は「医療費が年間10万円を超えないと使えない」というイメージがあるかもしれません。意外なのです。年金受給者は所得が200万円未満になるケースが多く、その場合は「年間医療費が所得の5%を超えた部分」から控除が適用されます。


たとえば所得が100万円なら、医療費が年5万円を超えれば医療費控除が使えます。10万円の壁は関係ありません。


🛡️ 生命保険料控除・地震保険料控除


生命保険料や地震保険料を支払っている場合、確定申告で申告することで税金が減ります。年金の源泉徴収にはこれらの控除が自動では反映されないため、自分で申告する必要があります。


新制度(2012年以降の契約)では、所得税で最大12万円の控除が受けられます。


📋 社会保険料控除


源泉徴収票には、年金から天引きされた介護保険料は記載されています。しかし、別途納付した国民健康保険料などは反映されていません。申告することで所得を下げることができます。


🎁 ふるさと納税寄付金控除)


ふるさと納税をした年金受給者も、確定申告で寄付金控除を受けられます。年金収入が250万円・65歳独身の場合の寄付上限目安は約2万4,000円です。3割相当の返礼品も受け取れます。これは使えそうです。


📉 投資損失の損益通算・繰越控除


複数の証券口座を持ち、一方で利益・他方で損失が出た場合、確定申告で損益通算をすることで課税対象の利益が減ります。さらに、損失を翌年以降3年間繰り越す繰越控除も活用できます。投資をしている年金受給者は要確認です。


🏠 住宅ローン控除・リフォーム控除


住宅ローンで自宅を購入した場合や、バリアフリー・省エネ・耐震リフォームをした場合にも控除が受けられます。リフォーム促進税制は2026年度税制改正でさらに延長される見通しです。


😔 年途中で退職した場合(年末調整なし)


年の途中まで働いて退職した場合、年末調整を受けられずに所得税を納めすぎているケースがほとんどです。確定申告で正しい税額に調整されます。


参考情報:年金受給者が確定申告で得するケース8選(経済評論家・頼藤太希氏監修)
Mocha「【知らないと大損】年金受給者が確定申告で得になる8つのケース」


確定申告不要でも住民税申告が必要なケースと落とし穴

「確定申告不要制度の対象だから、何も申告しなくていい」と思うのは間違いです。これが大きな落とし穴です。


所得税の確定申告が不要であっても、住民税の申告は別ルールで必要になる場合があります。


所得税の「20万円ルール」は、公的年金以外の所得が20万円以下なら申告不要というものです。しかし住民税には同じ20万円ルールは存在せず、1円でも所得があれば課税対象になりえます。


具体的に住民税の申告が必要になる主なケースは次のとおりです。


- 公的年金以外の所得(アルバイト収入・不動産収入・個人年金など)が発生しているが20万円以下のため所得税の申告をしていない場合
- 「公的年金等の源泉徴収票」に記載されていない控除(生命保険料控除・医療費控除など)の適用を受けたい場合


また、住民税申告をきちんと行わないと、翌年の住民税が高くなる・あるいは各種控除が反映されないという金銭的損失が生じます。


住民税の申告は、確定申告(所得税)とは別に、お住まいの市区町村の窓口に提出します。ただし、所得税の確定申告をした場合は、その情報が市区町村に自動で共有されるため、別途住民税申告は不要です。つまり確定申告をすれば一石二鳥です。


自分の状況が住民税申告に該当するかどうか迷う場合は、お住まいの市区町村の税務課に一度確認しましょう。


参考情報:確定申告不要でも住民税申告が必要なケースを税理士が解説
良い税理士.com「年金受給者が知らない落とし穴!確定申告不要でも住民税が課税されるケース」


年金の確定申告の具体的な手順(書類・記入・提出方法)

確定申告が必要、あるいは申告した方が得だとわかったら、次は実際の手順です。申告期間は毎年2月16日〜3月15日(還付申告のみ1月1日から)です。


① 必要書類を揃える


まず手元に揃えるべき書類は以下のとおりです。


| 書類 | 説明 |
|---|---|
| 公的年金等の源泉徴収票 | 毎年1月ごろ日本年金機構から郵送される |
| マイナンバーカードまたは身分証 | 本人確認のために必要 |
| 医療費控除を受ける場合 | 医療費の領収書または医療費通知書 |
| 生命保険料控除を受ける場合 | 10〜11月ごろ届く保険会社の控除証明書 |
| 社会保険料控除を受ける場合 | 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 |
| ふるさと納税をした場合 | 各自治体発行の寄附金受領証明書 |
| 還付金を受け取る口座 | 申告者名義の預貯金口座番号 |


② 確定申告書を作成する


申告書の作成には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うのが最も確実です。画面の案内にしたがって数字を入力するだけで税額が自動計算されます。医療費控除や所得金額調整控除など、手書きだと見落としやすい控除も自動で判定してくれます。


ミスが防げるということですね。事前に還付見込み額をシミュレーションしてから申告するかどうか判断することもできます。


③ 申告書を提出する


提出方法は3種類あります。


- e-Tax(電子申告):スマホ+マイナンバーカードで自宅から送信、最も便利
- 郵送:印刷した申告書を所轄の税務署へ郵送
- 税務署窓口への持参:職員に相談しながら作成できる


e-Taxを使う場合は、マイナンバーカードとマイナポータルアプリのインストールが必要です。マイナポータル連携機能を使えば、源泉徴収票の情報を自動取得・自動入力することができ、入力の手間が大幅に減ります。


初めての申告で不安な方は、税務署に直接出向くか、各地で開催される「確定申告相談会」を利用するのが安心です。確定申告会場は混雑が激しい時期もあるため、できるだけ2月中の早い段階に動くのが理想的です。


参考情報:スマホ・マイナンバーカードを使ったe-Tax申告の手順(国税庁公式)
国税庁「スマホとマイナンバーカードでe-Tax!」


過去5年分の還付申告という方法と独自視点の活用戦略

「もう申告期限が過ぎてしまった」と思っている方も、あきらめる必要はありません。税金の還付を受けるための「還付申告」は、対象年の翌年1月1日から5年間さかのぼることができます。


たとえば、2026年の今であれば、2021年分(令和3年分)まで遡って申告が可能です。5年分の医療費控除や生命保険料控除の申告漏れを一度に取り戻せる可能性があります。期限には余裕があります。


ただし、還付申告と無申告・修正申告は性質が異なります。税金を追加で納める必要がある申告(納税申告)については、申告期限を過ぎると無申告加算税延滞税が発生するリスクがあります。「取り戻す申告」と「追加で納める申告」を混同しないよう注意してください。


💡 独自視点:確定申告書で「所得金額調整控除」の見落としに要注意


金融に興味のある読者が見落としがちなのが「所得金額調整控除」です。この控除は、給与と年金の両方を受け取っている方を対象に、給与所得公的年金等の雑所得の合計が10万円を超える場合に最大10万円の控除が受けられるものです。


手書きや一般的なソフトでは見落としやすく、確定申告書等作成コーナーを使っても入力を省いてしまうことがあります。


具体的には次のように機能します。


- 給与所得+公的年金等の雑所得の合計が10万円超の場合 → 最大10万円の控除
- 給与収入が850万円超で障害者や特定のお子さんがいる場合 → 最大15万円の控除と併用可(最大25万円)


さらにもう一つ、金融に興味のある方が見落としやすいのが「損益通算後の社会保険料への影響」です。投資で損失が出て確定申告で損益通算・繰越控除を行った場合、損失が残っているからといって社会保険料(国民健康保険料・後期高齢者医療保険料)が減ることは原則ありません。一方、利益が残っていれば社会保険料は増加します。税金の減額だけを見て得した気になっても、社会保険料の増加分を差し引くと実質的な利益が小さくなるケースがあります。確定申告の前にトータルでの収支シミュレーションを行うことが重要です。


また、5年以内の還付申告については、各年ごとに申告書を作成する必要があり、年をまたいで一括申告することはできません。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、過去年分の申告書作成もできるため、積極的に活用しましょう。


参考情報:過去5年分の還付申告が可能な仕組みについて(国税庁公式)
国税庁「確定申告が間違っていたとき・確定申告を忘れていたとき」






【中古】 図解 いちばん親切な年金の本 オールカラー(19−20年版) 知っておきたい暮らしのお金/清水典子(著者)