遺族年金廃止いつから?2025年改正詳細

遺族年金廃止いつから?2025年改正詳細

遺族年金廃止いつから制度改正

遺族年金制度改正の全体像
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施行時期

2028年4月から段階的に改正開始

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改正目的

男女間格差の解消と制度の現代化

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主な対象

20代~50代の子のない配偶者

遺族年金廃止は誤解?2028年4月改正内容

「遺族年金が廃止される」という情報がSNSを中心に拡散していますが、これは完全な誤解です。実際には遺族年金制度そのものが廃止されるわけではなく、2025年に制度見直しが決定し、2028年4月から段階的に改正が施行される予定となっています。

 

厚生労働省が2025年5月16日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を国会に提出し、6月13日に成立しました。この法律により、遺族年金制度は現代の社会情勢に合わせて大幅に見直されることになります。

 

改正の主な背景には、女性の社会進出や共働き世帯の増加があります。現行制度では、子のない55歳未満の夫には遺族厚生年金の受給権がないなど、明らかな男女格差が存在していました。この格差を解消し、現代の家族形態に適した制度に改めることが今回の改正の核心です。

 

重要なポイントは、遺族年金が完全になくなるわけではなく、給付方法や対象者が変更されるということです。既に遺族年金を受給中の方や、今後60歳以降に受給権が発生する方については、基本的に現行制度が維持されます。

 

遺族年金5年有期給付対象者と施行時期

2028年4月の制度改正で最も大きな変化となるのが、無期限給付から5年間の有期給付への変更です。この変更により影響を受ける対象者と施行時期について詳しく解説します。

 

対象となる方:

  • 18歳年度末までの子がいない配偶者
  • 2028年度末時点で40歳未満の女性(段階的に年齢引き上げ予定)
  • 20代~50代で妻を亡くした男性(新たに給付対象に)

現行制度では、30歳以上の女性が夫を亡くした場合は生涯にわたって遺族厚生年金を受給できました。しかし改正後は、原則として5年間の有期給付に変更されます。

 

一方で男性については、現在は55歳未満で妻を亡くした場合は給付対象外でしたが、改正後は施行直後から5年間の有期給付を受けられるようになります。これにより男女間の不平等が解消されることになります。

 

施行時期の詳細スケジュール。

  • 2028年4月:男性への新たな給付開始
  • 2028年4月以降:女性の有期給付対象年齢を段階的に引き上げ
  • 20年間をかけて:完全移行を目指す

ただし、配慮が必要な方については5年間の有期給付後も継続給付される場合があります。具体的には、障害年金受給者や前年所得に基づく支給調整が必要な方が該当します。

 

遺族年金改正で変わる男女差解消内容

今回の遺族年金制度改正の核心は男女差の解消にあります。現行制度における不平等な取り扱いを是正し、性別に関係なく公平な給付制度を構築することが目標です。

 

現行制度の男女差:

性別 年齢条件 現行の給付内容
女性 30歳未満 5年間限定給付
女性 30歳以上 生涯給付
男性 55歳未満 給付なし
男性 55歳以上 60歳から無期給付

改正後の統一ルール:

性別 年齢条件 改正後の給付内容
男女とも 60歳未満 原則5年間給付
男女とも 60歳以上 無期給付

この変更により、これまで給付を受けられなかった20代~50代の男性も新たに5年間の有期給付を受けられるようになります。

 

さらに制度改正では、有期給付加算という新たな仕組みも導入されます。これは5年間の有期給付期間中に通常の遺族厚生年金に上乗せして支給される加算です。有期給付化による給付総額の減少を一部補完する役割を果たします。

 

また、現行制度にある年収850万円の受給要件も廃止されます。これまでは一定以上の収入がある場合は遺族年金を受け取れませんでしたが、改正後は収入に関係なく給付を受けられるようになります。

 

中高齢寡婦加算の段階的廃止も重要な変更点です。現在は40歳から65歳までの女性に年間612,000円が加算されていましたが、男女平等の観点から段階的に廃止される予定です。

遺族年金制度見直し対象外の人とは

2028年4月の制度改正においても、影響を受けない対象外の方々が存在します。これらの方は現行制度のまま給付を受け続けることができるため、改正による不安を抱える必要はありません。

 

制度見直しの対象外となる方:
🔹 既に遺族厚生年金を受給している方
現在既に遺族年金を受給中の方は、改正による影響を受けません。継続して現行制度での給付が維持されます。

 

🔹 60歳以降に受給権が発生する方
2028年4月の施行時点で60歳以上の方、または60歳以降に配偶者を亡くした方は、従来通り無期給付の対象となります。

 

🔹 18歳年度末までの子がいる配偶者
子供がいる場合は、遺族基礎年金の仕組みが優先されるため、今回の改正による5年有期給付の対象外となります。ただし、子が規定年齢を超えた後は5年間の増額給付の対象となる場合があります。

 

🔹 2028年度に40歳以上になる女性
施行時点で40歳以上の女性については、段階的移行期間中は現行制度が適用されます。完全移行までには20年程度の期間が設けられています。

 

さらに、特別な配慮が必要な方については、5年間の有期給付終了後も継続給付される場合があります。具体的には。

  • 障害年金受給者:障害状態にある方
  • 所得調整対象者:前年所得に基づく支給調整が必要な方
  • その他特別な事情がある方:個別に継続給付の必要性が認められる場合

これらの配慮措置により、改正による急激な生活水準の低下を防ぐ仕組みが設けられています。

 

厚生労働省の遺族年金制度見直しに関する詳細情報
厚生労働省|遺族厚生年金の見直しについて

遺族年金改正への対策と注意点

2028年4月からの遺族年金制度改正に備えて、現役世代が今から準備できる対策について解説します。特に20代~50代の夫婦にとっては、従来の遺族年金に頼った生活設計の見直しが必要となります。

 

💰 生命保険の見直しが急務
5年間の有期給付化により、長期的な生活保障が不十分になる可能性があります。特に住宅ローンや教育費など、5年を超える長期的な支出に備える必要があります。

 

見直しのポイント。

  • 現在の生命保険金額が適切か再計算
  • 5年間の有期給付終了後の生活費を考慮
  • 収入保障保険や定期保険の活用検討

💼 共働き世帯の家計管理
男女差解消により、夫婦どちらが亡くなっても同じ条件で遺族年金を受給できるようになります。これまで「夫の収入に依存」していた家計構造の見直しが重要です。

 

準備すべき項目。

  • 夫婦それぞれの収入状況の把握
  • 家計管理の共有化
  • 緊急時の資金計画策定

📈 個人年金・資産形成の重要性
有期給付化により、老後資金の自助努力がより重要になります。iDeCoやNISAなどの税制優遇制度を活用した長期的な資産形成が必要です。

 

おすすめの準備。

  • iDeCoによる個人年金の積立
  • つみたてNISAでの長期投資
  • 企業年金制度の確認と活用

⚠️ 制度移行期間の注意点
2028年4月から20年間をかけた段階的移行期間中は、制度が複雑になる可能性があります。

 

注意すべきポイント。

  • 年金事務所での定期的な確認
  • 制度変更に関する最新情報の収集
  • 専門家(社労士・FP)への相談検討

🏥 健康管理の重要性
有期給付化により、配偶者の健康がより重要な要素となります。定期健診や生活習慣の改善により、長期的な健康維持を図ることが大切です。

 

日本年金機構の最新情報
日本年金機構|年金に関する最新情報
制度改正は既定路線であり、2028年4月の施行は確実です。「遺族年金廃止」という誤った情報に惑わされることなく、正確な情報に基づいた準備を今から始めることが重要です。
特に現役世代の夫婦は、従来の「夫が働き、妻が専業主婦」という前提で設計された遺族年金制度から、男女平等で有期給付中心の制度への大きな転換点に直面しています。この変化を機会と捉え、より自立した生活設計を構築していくことが求められています。