介護保険料の計算方法、65歳からの負担額と節約術

介護保険料の計算方法、65歳からの負担額と節約術

介護保険料の計算方法と65歳からの仕組みを徹底解説

65歳になっても年金が月1万5,000円以上あれば、介護保険料は有無を言わさず天引きされ、自分では止められません。


📋 この記事の3つのポイント
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65歳以降は「第1号被保険者」に切り替わる

40〜64歳(第2号)とは計算方法が異なり、市区町村が独自に設定した「基準額×所得段階別の割合」で保険料が決まります。

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所得段階は最大20段階まで細分化されている

国の標準は13段階ですが、自治体によって最大20段階まで設けており、所得・資産の状況によって保険料が大きく変わります。

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合法的に保険料を抑える方法がある

所得控除の活用や、収入の種類による課税・非課税の区分を理解することで、所得段階を下げられるケースがあります。


介護保険料の計算方法:65歳以上「第1号被保険者」の基本構造


介護保険制度では、年齢によって被保険者の区分が2つに分かれています。40〜64歳は「第2号被保険者」として健康保険料に上乗せされる形で納付しますが、65歳の誕生月からは「第1号被保険者」に切り替わります。


切り替わりが起きます。


第1号被保険者の保険料は、各市区町村(または広域連合)が3年ごとに見直す「基準額」をベースに、個人の所得状況に応じた「段階別の割合」をかけて算出されます。計算式を示すと、以下のようになります。


計算要素 内容
基準額 市区町村が3年ごとに設定。全国平均は約6,000〜6,500円/月(2024年度〜第9期)
所得段階別の割合 低所得者は基準額の0.285倍〜、高所得者は2.4倍超まで幅がある
年間保険料 基準額(月額)×12×段階別割合で概算可能


たとえば基準額が月額6,200円の自治体で、標準的な中間所得層(割合1.0倍)なら年間保険料は約74,400円です。これはコーヒー1杯500円換算で約149杯分、つまり毎週3杯ほどのコーヒー代が丸ごと介護保険料に消える計算になります。


つまり基準額と割合の2つが条件です。


2024年度からスタートした第9期(2024〜2026年度)では、全国の基準額平均が約6,225円に引き上げられました。第8期(2021〜2023年度)の約6,014円から約3.5%上昇しており、長期的に右肩上がりの傾向が続いています。金融に関心のある方であれば、この「3年ごとの見直し」がインフレ的な負担増につながっていることに気づくはずです。


参考:厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213177_00060.html


介護保険料の所得段階別の計算方法:65歳からの13段階の詳細

国が定める標準的な所得段階は13段階ですが、自治体によっては最大20段階まで細分化しているところもあります。これは知らないと損する情報です。


段階 対象者の目安 基準額に対する割合(標準)
第1段階 生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税 0.285倍
第2段階 世帯全員住民税非課税かつ合計所得+年金収入が80万円超〜120万円以下 0.485倍
第3段階 世帯全員住民税非課税かつ合計所得+年金収入が120万円超 0.685倍
第4段階 本人は住民税非課税だが世帯に課税者がいる(合計所得80万円以下) 0.90倍
第5段階 本人は住民税非課税だが世帯に課税者(合計所得80万円超) 1.00倍(基準額)
第6段階 住民税課税・合計所得120万円未満 1.20倍
第7段階 住民税課税・合計所得120万円以上210万円未満 1.30倍
第8段階 住民税課税・合計所得210万円以上320万円未満 1.50倍
第9段階 住民税課税・合計所得320万円以上420万円未満 1.70倍
第10段階 住民税課税・合計所得420万円以上520万円未満 1.90倍
第11段階 住民税課税・合計所得520万円以上620万円未満 2.10倍
第12段階 住民税課税・合計所得620万円以上720万円未満 2.30倍
第13段階 住民税課税・合計所得720万円以上 2.40倍


第1段階と第13段階を比べると、保険料の差は実に約8.4倍になります。差が大きいですね。


具体的に数字で見てみましょう。基準額が月6,200円(年74,400円)の自治体の場合、第1段階なら年間約21,200円、第13段階なら年間約178,600円となります。年間で約15万7,400円もの差が生まれることになり、これは株式の配当収入で例えるなら利回り3%の投資信託に約524万円を投資したときの年間分配金に相当します。


所得段階の判定には「合計所得金額」が使われます。給与所得・事業所得・不動産所得譲渡所得などがすべて合算されるため、FXや株式の利益(分離課税の場合も一部影響)、不動産収入なども注意が必要です。


合計所得に注意が原則です。


参考:厚生労働省「介護保険制度の概要」所得段階に関する解説ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html


65歳以上の介護保険料の徴収方法:特別徴収(天引き)と普通徴収の違い

65歳になった後、介護保険料はどのように徴収されるのでしょうか?


徴収方法は大きく2種類に分かれています。年金受給額が年額18万円(月額1万5,000円)以上の場合は「特別徴収」、つまり年金から自動天引きとなります。一方、それ未満の場合や65歳になりたての移行期間は「普通徴収」として、自分で納付書や口座振替で支払う形になります。


徴収方法 条件 納付タイミング
特別徴収(天引き) 年金受給額が年18万円以上 年6回(偶数月)の年金支給時に自動控除
普通徴収(自払い) 年金受給額が年18万円未満、または65歳到達直後 市区町村から送付される納付書で支払い


注意すべきは、特別徴収の対象となる年金は「老齢基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金」などに限られ、遺族年金障害年金からは天引きされないという点です。意外ですね。


また、65歳になった当初の数ヶ月は処理の都合上、普通徴収になることがほとんどです。この期間に納付書を放置してしまい、後から延滞金が発生するケースが実際に起きています。65歳の誕生月前後には必ず市区町村から書類が届くので、見落とさないようにすることが重要です。


期限を見落とさないことが条件です。


さらに、介護保険料は社会保険料控除の対象です。特別徴収で天引きされた場合も、確定申告や年末調整で控除を受けられます。年間7〜17万円規模の控除が受けられるため、所得税・住民税の節税効果として見逃せません。


これは使えそうです。


参考:日本年金機構「介護保険料の特別徴収について」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html


介護保険料の計算方法で見落とされる「65歳繰上げ受給」との関係

老齢年金の繰上げ受給を選んだ場合、介護保険料はどうなりますか?


60歳から年金の繰上げ受給を始めた場合でも、介護保険の第1号被保険者になるのは65歳の誕生月からです。60〜64歳の間は、繰上げ年金を受け取っていても第2号被保険者として健康保険料に合算されたかたちで介護保険料を払い続けます。区分は65歳にならないと変わりません。


ここで見落とされやすいのが「住民税の課税状況」との連動です。繰上げ受給で得た年金収入は雑所得として課税対象になります。65歳より前に大きな繰上げ年金収入が生じると、65歳到達時点の住民税の課税区分が上がり、介護保険料の所得段階が想定よりも高い段階に設定されてしまうリスクがあります。


つまり繰上げ受給は保険料にも影響します。


具体例で考えてみましょう。仮に繰上げ受給で年間180万円の雑所得が発生し、それ以外の収入がない場合、住民税は課税される可能性があります。その結果、65歳到達後の介護保険料が第6段階(基準額×1.20倍)以上に設定されることも十分あり得ます。一方、繰上げ受給をせずに65歳まで待てば、同じ収入水準でも65歳の誕生月をまたいだ前年所得の状況で段階が決まるため、タイミングの違いが年間数万円の差につながることがあります。


老後の資産形成を考える際に繰上げ受給か否かの判断をする場合は、単純な年金総額の比較だけでなく、介護保険料や健康保険料(後期高齢者医療保険料)への波及効果も含めて試算することが賢明です。FPや税理士への相談、または「公的年金シミュレーター」(厚生労働省提供)を活用して、トータルコストで判断する視点が重要になります。


参考:厚生労働省「公的年金シミュレーター」
https://nenkin-shisan.mhlw.go.jp/


介護保険料の計算方法を理解して65歳以降の保険料を合法的に抑える方法

介護保険料を抑えることは合法的に可能です。ただし「脱法的な節税」ではなく、制度の仕組みを正確に理解したうえでの適切な所得管理の話です。


まず基本として、介護保険料の所得段階は「前年の合計所得金額」をもとに毎年4月〜6月に更新されます。つまり、前年に収入が大きく変動した場合は翌年の保険料にすぐ反映されるということです。


前年の所得が条件です。


所得を抑えるうえで有効な控除の代表例は以下のとおりです。


  • 💼 社会保険料控除国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料自体も控除対象になり、合計所得から差し引くことが可能です。
  • 🏥 医療費控除:年間10万円超(総所得の5%超)の医療費がある場合、超過分を合計所得から控除できます。持病や介護関連の医療費が多い方は要確認です。
  • 🏠 不動産所得の青色申告特別控除:不動産収入がある65歳以上の方が青色申告を選択すると、最大65万円の控除が受けられます。
  • 📉 株式等の損益通算:上場株式・投資信託などの譲渡損失を配当所得と損益通算し、確定申告することで合計所得を圧縮できる場合があります。


ただし、株式の損益通算を確定申告で行うと、「申告不要制度」を使わなかったことになり、その分が合計所得に加算されて介護保険料の段階が上がることがあります。これが「申告することで保険料が増える逆転現象」と呼ばれるケースです。厳しいところですね。


2023年度税制改正では、2024年以降の申告から上場株式等の配当・譲渡所得を確定申告した場合も、介護保険料の算定に影響しない仕組み(国民健康保険料・介護保険料への算入の見直し)が一部自治体で段階的に実施されています。最新情報は住んでいる自治体の窓口か、税理士に確認するのが確実です。


自分の合計所得が現在どの段階にあるかを把握するには、市区町村の介護保険課に問い合わせるか、「介護保険料 試算 ○○市」で検索すると多くの自治体が試算ツールを公開しています。まずは自分の段階を確認する、それだけで十分です。


参考:総務省「介護保険料に係る所得段階の設定について」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000821669.pdf




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