利子所得とは簡単に理解する税金と非課税制度の全知識

利子所得とは簡単に理解する税金と非課税制度の全知識

利子所得とは簡単に理解する税金と非課税制度の完全ガイド

海外口座の利息を「ほったらかし」にすると、最高税率約55%で課税されて大損します。


この記事でわかること3つのポイント
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利子所得とは何か

所得税法上の10種類の所得のひとつ。銀行預金・公社債の利子などが該当し、計算式は「収入金額=利子所得の金額」とシンプルです。

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税率と課税方式

原則20.315%の源泉分離課税で確定申告不要。ただし海外口座の利息は総合課税となり、最高税率約55%が適用されるケースがあります。

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非課税にできる制度がある

マル優(障害者等の少額貯蓄非課税制度)や財形貯蓄制度を使えば、一定額まで利子所得を非課税にすることが可能です。


利子所得とは何か:所得税法上の10種類の区分で理解する

利子所得とは、所得税法が定める10種類の所得区分のひとつです。名前のとおり「利子」にかかる所得を指し、簡単にいえば金融機関にお金を預けたり貸したりすることで受け取る利息のことです。


所得税法では、個人が1年間に得た利益をその性質や発生のしかたによって10種類に分けています。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得譲渡所得、一時所得、雑所得の10つです。それぞれで計算方法や税率・課税方式が異なるため、自分が受け取るお金がどの区分に当たるかを知ることが節税の出発点になります。


利子所得が基本です。


利子所得に該当するのは、預貯金(銀行口座・郵便貯金・勤務先預金)の利子、公社債の利子、公社債投資信託収益分配金、公募公社債等運用投資信託の収益分配金、合同運用信託の収益分配金、抵当証券の利子など多岐にわたります。


一方、すべての「利子っぽいもの」が利子所得になるわけではありません。個人間でお金を貸した場合の利子は事業所得または雑所得に分類されます。また、退職者や役員家族が会社に預けた預金の利子や、所得税の還付加算金なども利子所得には含まれず、雑所得として扱われます。つまり利子所得が問題ありません。


なお、公社債投資信託の代表例として挙げられるのがMRF(マネーリザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マーケット・ファンド)です。証券会社の総合口座でよく目にするこれらの商品の収益分配金も、利子所得として課税される点を覚えておくとよいでしょう。


利子所得の金額の計算方法はシンプルで、以下の一式で表されます。


計算式 内容
利子所得の金額 収入金額(源泉徴収前の受取利子の金額)


配当所得のように「収入金額−必要経費」といった差し引きはなく、受け取った利子の全額がそのまま所得金額となります。これは利子所得の大きな特徴のひとつです。


参考:国税庁タックスアンサー「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1310.htm


利子所得の税率と計算方法:20.315%の内訳を簡単に把握する

利子所得にかかる税率は、原則として一律20.315%です。この数字は所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%の合計で構成されています。


意外ですね。


復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源を確保するために設けられた上乗せ税率で、2013年(平成25年)1月1日から2037年(令和19年)12月31日まで適用されます。所得税15%の2.1%相当にあたる0.315%が加算されるため、合計は20.315%になります。「20%」と思っていた方は、正確には20.315%が条件です。


税額の計算は非常にわかりやすい形式です。たとえば、100万円を年利0.02%の定期預金に1年間預けた場合を考えてみましょう。


項目 金額
預入元本 100万円
利子(税引前) 200円(100万円×0.02%)
源泉徴収税額 約40円(200円×20.315%)
実際の手取り利子 約160円


受け取れるのは160円です。元本100万円に対してたった160円の利子から、さらに税金が引かれる点を見ると、現在の低金利環境での預貯金の税負担感が実感できるでしょう。


課税方式は「源泉分離課税」です。これは利子を受け取る際に金融機関が自動的に税金を差し引いて納税を完了させる仕組みで、受け取る側は原則として確定申告をする必要がありません。給与所得者が確定申告書の「利子所得」欄に何も記入しないのも、この仕組みがあるためです。


ただし、2016年(平成28年)1月1日以降、特定公社債(国債・地方債・公募公社債・上場公社債など)の利子については「申告分離課税」も選択できるようになりました。申告分離課税を選ぶと、上場株式の譲渡損失と損益通算できる可能性があります。株式投資で損失が出ているときは、債券の利子所得と損益通算することで税負担を軽くできるケースがあります。これは使えそうです。


参考:国税庁「株式・配当・利子と税」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_5.htm


利子所得の確定申告が必要なケース:海外口座の落とし穴を知る

「利子所得は確定申告不要」という認識は、国内口座に限った話です。海外の金融機関に預けた預金から得る利息は、取り扱いがまったく異なります。


痛いですね。


国内の銀行口座に発生する利息は源泉分離課税で完結しますが、海外の銀行の国外口座において受け取る利息は、原則として確定申告が必要な「総合課税」の対象となります(デロイトトーマツグループの情報より)。総合課税とは他の所得と合算して累進税率を適用する方式で、給与所得や事業所得が多いほど税率が上がります。最高税率は所得税45%+住民税10%で、合計約55%にもなります。


たとえば年収1,500万円の会社員が海外銀行口座で年間10万円の利息を受け取った場合、国内口座なら20.315%(約2万円の税金)で済みますが、海外口座では総合課税により約50%近い税率が適用され、約5万円の税負担になる可能性があります。差額は約3万円。これが申告漏れになると、延滞税無申告加算税が追加されます。


確定申告が必要になる主なケースをまとめると以下のとおりです。


  • 海外の金融機関の国外口座から受け取る利息(総合課税対象・確定申告必須)
  • 同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等が支払を受ける場合(総合課税対象)
  • 令和3年4月1日以後に支払を受ける、同族会社が発行した社債の利子で、法人との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある個人等が受け取るもの


確定申告が必要なケースで申告を怠ると、無申告加算税(通常15%、悪質な場合40%)と延滞税がかかります。海外口座をお持ちの方は、利息の金額にかかわらず申告義務の有無を確認しておくことが重要です。


なお、海外口座の残高が5,000万円以上になる場合には、国外財産調書の提出義務も発生します。利息とは別の義務なので、資産規模によっては複数の申告が同時に必要になることも覚えておいてください。


参考:デロイトトーマツ「個人が海外の資産を保有している場合の留意点」
https://www.deloitte.com/jp/ja/services/deloitte-private/perspectives/jp-fc-newsletter-sep2022.html


利子所得の非課税制度:マル優・財形貯蓄で合計1,250万円まで節税できる仕組み

利子所得は原則として課税対象ですが、制度を活用すれば一定の範囲で非課税にすることができます。代表的な制度は「マル優」と「財形貯蓄」の2つです。


つまり制度の活用が原則です。


マル優(障害者等の少額貯蓄非課税制度)は、障害者手帳の交付を受けている人、遺族基礎年金を受け取っている妻、寡婦年金受給者障害年金受給者などを対象とした制度です。預貯金の元本350万円までの利子が非課税になる「通常のマル優」と、国債・地方債の額面350万円までの利子が非課税になる「特別マル優」があります。両方を合わせると、元本合計700万円までの利子が非課税の対象になります。


財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の利子非課税制度は、55歳未満の勤労者が会社の給与天引きで積み立てる制度です。財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の元本合計が550万円までの利子が非課税となります。住宅購入やリフォームを目的とした財形住宅貯蓄、老後の年金受取を目的とした財形年金貯蓄の2種類があり、5年以上の積立が要件です。


2つの制度を組み合わせた場合の最大非課税枠をまとめると以下のとおりです。


制度名 対象者 非課税元本上限
マル優(通常) 障害者等 350万円
特別マル優 障害者等 350万円(国債・地方債)
財形住宅・年金貯蓄 55歳未満の勤労者 550万円(合算)


注意したいのは、マル優と財形貯蓄は対象者が異なる点です。マル優は障害者等の一定の方のみ利用でき、財形貯蓄は勤労者であれば年齢要件を満たせば利用できます。


また、財形年金貯蓄で生命保険などの保険型商品を選んだ場合は、払込ベースで385万円までが非課税上限となる点にも注意が必要です。制度の内容に関しては、勤務先の担当部署や金融機関の窓口、あるいは税理士に確認すると確実です。


参考:国税庁「No.1313 障害者等のマル優」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1313.htm


参考:厚生労働省「財形貯蓄制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106564.html


利子所得と配当所得の違い:金融に興味ある人が混同しやすい2つの所得を整理する

資産運用を始めると、利子所得と配当所得を混同してしまうケースが少なくありません。両者は似て非なるもので、課税方式・税率の選択肢・確定申告の扱いがそれぞれ異なります。違いが重要です。


最も根本的な違いは「収益源」です。利子所得は銀行や債券の発行体から受け取る「利息」であるのに対し、配当所得は株式会社が利益の一部を株主に還元する「配当金」です。見た目はどちらも「お金が振り込まれる」ですが、税の世界では別物として扱われます。


項目 利子所得 配当所得
主な収益源 銀行預金・公社債・公社債投資信託 上場株式の配当・株式投資信託の分配金
計算方法 収入金額=所得金額(必要経費なし) 収入金額−株式取得のための負債利子
課税方式の選択 源泉分離課税のみ(特定公社債は申告分離も可) 総合課税・申告分離課税・申告不要から選択可
確定申告 原則不要 選択次第で申告可能・申告により税を最適化できる
配当控除 適用なし 総合課税を選択した場合に適用可
損益通算 特定公社債のみ上場株式等の譲渡損失と通算可 申告分離課税選択時に上場株式等の譲渡損失と通算可


特に注意すべき点は、配当所得には「課税方式の選択肢」がある点です。課税方式が条件です。配当所得は総合課税・申告分離課税・申告不要の3つから選べるため、他の所得や投資損益の状況によって最も有利な申告方法を選択できます。たとえば、所得が少ない年は総合課税で配当控除を受けた方が有利なケースがあります。


これに対して預貯金の利子は源泉分離課税のみで、課税方式を選ぶ自由はありません。この非対称性が、金融に興味を持ち始めた方が最初につまずきやすいポイントです。


また、「MRFから受け取った分配金」は利子所得に分類されるのに対し、「株式投資信託(日本株ファンドなど)から受け取った分配金」は配当所得に分類されます。同じ「分配金」という名前でも、ファンドの投資対象によって所得区分が変わる点も押さえておくとよいでしょう。


参考:freeway経理「利子所得と配当所得の違いとは?」
https://freeway-keiri.com/blog/view/1036