

配当所得は申告不要にしても総合課税にしても良いと勘違いしがちですが、一度確定申告で総合課税を選ぶとその年は絶対に変更できません。
総合課税とは、納税者が1年間に得た各種の所得を合算し、その合計額に対して所得税を計算する制度です。給与所得、事業所得、不動産所得、配当所得、一時所得、雑所得など、複数の所得がある場合でも、それぞれを個別に計算するのではなく、すべてを足し合わせた金額に課税されます。
この制度の特徴は、累進税率が適用される点です。所得が増えるほど税率が高くなる仕組みで、課税所得金額に応じて5%から45%まで7段階の税率が設定されています。
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たとえば給与所得が500万円、不動産所得が200万円ある場合、合計700万円に対して税率を適用します。所得控除を差し引いた後の課税所得に税率を乗じることで、最終的な所得税額が確定します。
参考)総合課税とは?基本知識から分離課税との違い、税率、確定申告ま…
つまり合算が基本です。
総合課税の対象となる主な所得は、不動産所得、事業所得、給与所得、配当所得の一部、譲渡所得の一部、一時所得、雑所得の7種類です。
参考)https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_1193.html
給与所得と不動産所得は、すべてが総合課税の対象となります。事業所得も基本的に総合課税ですが、株式等の譲渡による所得は除外されます。配当所得については、上場株式等の配当は総合課税と申告分離課税のどちらかを選択できます。
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譲渡所得では、土地・建物・株式以外の資産の譲渡が総合課税の対象です。ただし30万円を超える宝石やヨット、絵画、ゴルフ会員権などの生活に通常必要でない資産は例外扱いとなります。一時所得には懸賞金や生命保険の満期保険金などが含まれますが、保険期間5年以下の一時払い養老保険金は分離課税です。
これが対象範囲です。
総合課税の所得税額は、「(総合課税の対象となる所得の合計額 − 所得控除の合計額) × 所得税率 − 控除額」という式で計算します。
参考)総合課税とは? 分離課税との違いや計算方法をわかりやすく解説
まず各種所得の金額を個別に計算した後、それらを合算して総所得金額を求めます。次に基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除など15種類の所得控除を差し引き、課税所得を算出します。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/deduction/
課税所得に対して適用される税率は、195万円以下が5%、195万円超~330万円以下が10%、330万円超~695万円以下が20%、695万円超~900万円以下が23%、900万円超~1,800万円以下が33%、1,800万円超~4,000万円以下が40%、4,000万円超が45%です。
たとえば課税所得が200万円の場合、税率10%、控除額97,500円を適用すると、200万円 × 10% − 97,500円 = 102,500円が所得税額となります。
数字で見ると明確ですね。
複数の所得がある場合、赤字の所得と黒字の所得を相殺できる「損益通算」という仕組みがあります。しかし総合課税に該当する所得であっても、すべてが損益通算できるわけではありません。
事業所得や不動産所得の赤字は基本的に他の所得と通算可能ですが、給与所得は対象外です。また一時所得や配当所得は総合課税に含まれますが、他の所得と損益通算することはできません。
美術品や宝石、別荘など生活に通常必要と認められない資産の売却損も、損益通算の対象外です。税法上これらは趣味的・投機的な資産とみなされ、赤字が出ても他の所得と相殺できません。災害や盗難、横領などによって生じた損失は「雑損控除」として所得控除に分類されるため、損益通算の対象にはなりません。
例外が多いところですね。
分離課税は、特定の所得を他の所得と分離して税金計算を行う課税方式です。株式の譲渡所得や退職所得、不動産の譲渡所得などが対象で、総合課税の所得とは別に扱われ、適用される税率も異なります。
分離課税の意義は、一時的に発生する大きな所得に対して、通常の所得と合算すると税率が跳ね上がってしまうのを避ける点にあります。たとえば退職金を給与所得と合算すると、その年だけ極端に高い税率が適用されてしまいます。
上場株式等の配当所得については、総合課税と申告分離課税の選択が可能です。総合課税を選ぶと配当控除が適用でき、課税所得金額が900万円未満なら所得税で見ると有利になります。ただし確定申告で総合課税を選択した場合、その後に申告分離課税へ変更することはできません。
参考)配当所得は申告した方が良い?所得税・住民税の課税方式統一で大…
選択は慎重に行う必要があります。
国税庁の課税方法に関する詳細は以下のページで確認できます。総合課税と申告分離課税の選択に関する具体的な注意事項が記載されています。
確定申告で総合課税を適用する際は、対象となる所得をすべて合算し、所得控除を適用した後の課税所得を正確に計算する必要があります。申告書には課税される所得金額、適用税率、控除額を記入し、所得税額を算出します。
配当控除などの税額控除がある場合は、所得税額から差し引く形で適用します。会社員の場合、雑損控除、医療費控除、寄附金控除は年末調整の対象外なので、これらの適用を受けるには確定申告が必要です。
税務担当者が陥りやすいミスとして、配当所得の課税方式選択があります。一度確定申告で総合課税または申告分離課税を選択すると、その年度内での変更は一切できません。申告前に配当控除の適用可否や損益通算の可能性を十分に検討し、どちらが有利かシミュレーションすることが重要です。
参考)【確定申告書等作成コーナー】-課税方法(総合課税と申告分離課…
事前検討が申告のカギです。
マネーフォワードクラウドの総合課税と損益通算に関する解説記事では、実務での注意点が詳しく説明されています。