雑損控除計算書の書き方と対象資産

雑損控除計算書の書き方と対象資産

雑損控除計算書の書き方と計算方法

30万円超の貴金属は盗難でも控除対象外です

この記事の3つのポイント
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計算書の2つの計算式

差引損失額から総所得金額等の10%を引く方法と、災害関連支出から5万円を引く方法があり、大きい方を採用します

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対象となる資産の範囲

生活に必要な住宅・家財・自家用車が対象で、事業用資産や30万円超の貴金属・骨董品は対象外です

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確定申告書への記入

確定申告書第二表の雑損控除欄に損害原因と金額を記入し、罹災証明書や領収書を添付します

雑損控除計算書の基本構成と記入項目

雑損控除計算書は、災害や盗難によって生じた損失額を正確に算出するための書類です。計算書には「損害の原因等」「損害額」「災害関連支出の内訳」「保険金等で補填される額」の4つの主要項目があります。


参考)https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/023/R02/07zasson_s.xls


まず損害の原因として、震災・風水害・火災・盗難などを記入します。次に被害を受けた資産ごとに、住宅・家財・車両の区分で損害額を計算します。


参考)https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/023/R02/07zasson_s.pdf


損害額は「被災直前の時価相当額×被害割合」で求めます。被害割合は全壊・半壊などの被災区分に応じて判定します。災害関連支出には、取り壊し費用や除去費用、原状回復のための支出額を記入してください。


参考)https://www.town.tanagura.fukushima.jp/page/page000138.html


保険金や損害賠償金で補填される金額は、まず損害金額から差し引きます。保険金等の額が損害金額を超える場合には、災害関連支出の金額から差し引く点に注意が必要です。


参考)【確定申告書等作成コーナー】-雑損控除とは


計算書の記入時には、支払先の名称・所在地・工事内容・支払年月日を具体的に記載します。領収書や契約書を手元に準備しておくと、正確な記入が可能になります。

雑損控除の2つの計算式と選択方法

雑損控除額は以下の2つの計算式で算出し、金額の大きい方を採用します。


参考)雑損控除とは?災害や盗難の際に利用できる確定申告の控除を解説…


📊 計算式の比較

計算方法 計算式 適用場面
方法1 差引損失額 - 総所得金額等×10% 損害額が大きい場合に有利​
方法2 災害関連支出の金額 - 5万円 災害関連支出が多い場合に有利​

差引損失額とは「損害金額+災害等に関連した支出の金額-保険金等で補填される金額」で計算します。


具体例で確認しましょう。損害額(災害関連支出含む)が100万円、保険金が30万円、総所得金額等が300万円、災害関連支出が20万円の場合です。

差引損失額は100万円-30万円=70万円となります。方法1では70万円-300万円×10%=40万円、方法2では20万円-5万円=15万円です。金額が大きい40万円が雑損控除額になります。

損失額が大きくて控除しきれない場合は、翌年以降3年間にわたって繰り越せます。この繰越控除は災害による損失のみが対象で、盗難・横領による損失には適用されない点に留意してください。


参考)雑損控除 - Wikipedia


雑損控除の対象となる資産と除外資産

雑損控除の対象となるのは、納税者本人または生計を一にする配偶者・親族(合計所得金額48万円以下)が所有する生活に必要な資産です。


参考)雑損控除 


対象となる資産には、住宅(家屋や設備)、家電製品(冷蔵庫・洗濯機・エアコン)、家具(テーブル・椅子・ソファー)、自家用車、庭木などがあります。事業的規模でない賃貸用家屋や通勤用自動車も対象に含まれます。


参考)雑損控除の計算例と条件


つまり生活用資産が基本です。


一方で除外される資産も明確に定められています。別荘、貴金属、骨董品、書画などで1個または1組の価額が30万円を超えるものは「生活に通常必要でない資産」として対象外です。


参考)雑損控除の対象とは?押さえておきたい適用条件と申告時の注意点…


毎日使用していた100万円の金のブレスレットでも、30万円を超える貴金属であれば雑損控除の適用はできません。趣味・娯楽・保養・鑑賞の目的で保有する資産は、実用性の有無にかかわらず除外されます。


参考)高級貴金属の盗難(令和7年2月27日掲載)

事業用の固定資産や棚卸資産も対象外となります。これらの損失は雑損失や修繕費として経費計上する可能性があるため、税務担当者は資産の用途を慎重に判断する必要があります。


参考)事業用資産が災害や盗難にあったら雑損控除にできる?申告方法と…


個人の生活に密着し日常的に使用されている財産かどうかが、判定の重要なポイントです。

雑損控除の対象となる損害原因と除外事例

雑損控除が適用される損害原因は、災害・盗難・横領の3つに限定されています。


参考)確定申告で雑損控除を受ける方法とは?要件や計算方法も解説


災害には自然災害と人為的災害があります。震災・風水害・冷害・雪害などの自然災害、火災・火薬類の爆発などの人為的災害、害虫など生物による異常な災害が対象です。

盗難と横領も雑損控除の対象となります。自宅への侵入盗や車上荒らしなどで財産が失われた場合、警察への届出と受理証明があれば控除を受けられます。

これが原則です。


一方で詐欺による被害は雑損控除の適用外です。高級腕時計をシェアして使用料をもらうという話で貸した腕時計が処分され戻ってこない場合、詐欺と認められるため雑損控除は受けられません。

損害の原因が法律で限定列挙されているため、税務担当者は被害の状況を正確に把握し、適用要件を満たすか判断する必要があります。災害か詐欺かの境界が曖昧なケースでは、警察や消防署の証明書類が判断材料となります。


雑損控除の適用可否を判断する際には、損害原因の性質を慎重に見極めることが求められます。


確定申告書への記入方法と添付書類

雑損控除を受けるには確定申告が必要です。確定申告書第二表の「雑損控除に関する事項」の欄に記入します。


参考)【税理士監修】雑損控除は確定申告でいくら戻る?計算例や必要書…


記入項目は損害の原因、損害金額、保険金などで補填される金額、差引損失額のうち災害関連支出の金額です。確定申告書第一表の雑損控除の欄には、2つの計算式で大きい方の金額を記入します。


参考)「雑損控除」の申告方法は? 計算書を書く際の注意点を解説

記入漏れがないよう確認してください。


添付書類として、被害状況を証明できる罹災証明書が必要です。市区町村の窓口で発行されるこの証明書は、災害の事実と被害の程度を公的に証明するものです。

保険金支払い通知書や損害賠償金の受領証も添付します。修繕費や取り壊し費用の領収書は、災害関連支出を証明する重要な書類です。

盗難の場合は警察署の盗難届出証明書、横領の場合は告訴状の写しなどが求められます。被害を受けた資産の写真や被害前後の状況がわかる資料があると、申告内容の信憑性が高まります。


提出前に記載漏れや証明書類の不足がないか必ず確認してください。不備があると控除が適用されない可能性があるため、税務担当者はチェックリストを作成して漏れを防ぐことをおすすめします。


参考)雑損控除でいくら戻る?計算方法と具体例でわかりやすく解説

国税庁のウェブサイトには記載例が掲載されているので、参考にすると正確な記入ができます。


国税庁「雑損控除を受ける方の記載例」
確定申告書への具体的な記入方法が図解されており、初めて雑損控除を申告する税務担当者にとって有用な資料です。


雑損控除と災害減免法の選択判断

災害により損害を受けた場合、雑損控除と災害減免法による所得税の軽減免除のどちらかを選択できます。ただし両方を同時に適用することはできません。

雑損控除は所得控除の一種で、損害額に応じて課税所得から差し引かれます。控除しきれない損失は3年間繰り越せる点が大きなメリットです。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/disaster/


災害減免法は税額控除で、その年分の所得税額を直接軽減または免除する制度です。所得金額が1000万円以下で、住宅や家財の損害額(保険金等を除く)が時価の2分の1以上の場合に適用できます。


どちらが有利かの判断が重要です。


一般的に損失額が大きい場合は雑損控除の繰越控除が有利になります。当年の所得税額がゼロになる程度の損失なら、災害減免法を選択した方がシンプルです。


税務担当者は両方の計算を行い、納税者にとって有利な方法を選択することが求められます。選択のミスは納税者の不利益に直結するため、慎重な判断が必要です。


具体的な計算例を示して納税者に説明すると、理解が深まります。選択した方法とその理由を記録に残しておくと、後日の確認時に役立ちます。


雑損控除の適用判断では、対象資産の範囲・損害原因の性質・計算方法の選択・災害減免法との比較検討という4つの視点が不可欠です。税務担当者はこれらを総合的に評価し、適正な申告を支援する責任があります。