

50万円の特別控除後に所得がゼロでも住民税申告は必要です。
山林所得には最高50万円の特別控除が認められています。この控除は、総収入金額から必要経費を差し引いた後の金額から適用されます。
控除額の計算には注意が必要です。収入から必要経費を引いた金額が50万円未満の場合は、その残額全額が特別控除額となります。50万円以上の場合のみ、50万円を控除できる仕組みです。
つまり控除後は必ずゼロ以上です。
さらに青色申告者の場合、山林所得のみなら最大10万円の青色申告特別控除も適用できます。事業所得や不動産所得がある場合は最大65万円まで控除が可能です。
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/pdf/P/P7.pdf
特別控除を適用する際は、森林計画特別控除という制度も存在します。ただしこれは令和6年12月31日までの特例措置でした。
参考)山林所得の確定申告の注意点は?所得の計算方法2つや経費事例を…
給与所得者の場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。山林所得も「給与以外の所得」に含まれるため、特別控除後の山林所得が20万円以下なら申告不要となります。
参考)特定口座(源泉徴収なし)の利益が20万円以下でも必要な申告は…
どういうことでしょうか?
山林所得は分離課税で計算されますが、申告要否の判断では他の所得と合算して考えます。例えば山林所得が15万円、雑所得が10万円あれば合計25万円となり、確定申告が必要です。
参考)山林所得とは?計算方法や確定申告の方法を徹底解説!
給与収入が2,000万円を超える人は、山林所得の金額にかかわらず確定申告が必須です。
これは年末調整の対象外となるためです。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/beginner/
給与所得がない自営業者や専業主婦の場合、山林所得を含む全所得が48万円以下なら確定申告は不要です。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。これは多くの税務担当者が見落としがちな重要ポイントです。
給与所得者で年末調整を受けている場合、給与以外の所得がなければ住民税申告も不要です。しかし山林所得がある場合は、金額に関わらず住民税の申告が必要になります。
住民税の計算方法も所得税とは異なります。所得税では「5分5乗方式」という特別な計算方法を使いますが、住民税は区民税6%、都民税4%の通常税率を適用します。
参考)中央区ホームページ/山林所得
厳しいところですね。
住民税の申告を怠ると、後から追加課税される可能性があります。給与以外の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、必ず住民税の申告を行いましょう。
山林所得として認められるには、所有期間が5年を超えている必要があります。この保有期間の要件は非常に重要で、判断を誤ると所得区分が変わってしまいます。
所有期間が5年以内の山林を譲渡した場合、その所得は山林所得ではなく事業所得または雑所得になります。事業的規模(実務上は50ヘクタール以上)であれば事業所得、それ以外は雑所得です。
5年以内は山林所得になりません。
山林を土地付きで譲渡する場合、土地部分は譲渡所得として扱われます。山林部分と土地部分を分けて計算する必要があり、それぞれ異なる所得区分になる点に注意が必要です。
また以下のケースでは、5年以上保有していても所得税の課税対象外となります:
これらの非課税要件に該当するか判断に迷う場合は、管轄の税務署に事前相談することをおすすめします。
国税庁の山林所得に関する詳細な情報は、以下のページで確認できます。計算方法や申告書の記載例なども掲載されています。
山林所得の計算には一般方式と概算経費控除方式の2種類があります。一般方式では実際の必要経費を積み上げて計算し、概算経費控除方式では収入金額の50%を経費として計上します。
一般方式の計算式は以下の通りです:
総収入金額 - 必要経費 - 森林計画特別控除 - 特別控除(50万円) - 青色申告特別控除 = 山林所得金額
必要経費に含められるのは、植林費、取得費用、管理費、伐採費、育成・譲渡に要した費用、山林の災害・盗難・横領等の損失額などです。長期間にわたる経費を正確に把握する必要があります。
概算経費控除方式で使用される譲渡経費は、伐採費・運搬費・譲渡費用のみです。この方式を選択すると、実際の経費が収入の50%を超えていても、50%しか控除できません。
どちらの方式を選ぶかは納税者が選択できますが、一度選択すると原則として変更できない点に注意が必要です。
山林所得は他の所得と合算せず、分離課税で税額を計算します。所得税では「分離5分5乗課税方式」という特殊な計算方法を使い、税負担を軽減しています。
5分5乗方式の計算手順は以下の通りです。
例えば課税山林所得が600万円の場合、通常の計算では77万2,500円の税額になりますが、5分5乗方式では大幅に軽減されます。
長期間の山林経営に配慮した制度です。
結論は軽減措置があるということです。
山林所得の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。これは事業所得や不動産所得と同様の扱いです。
個人事業の場合、山林所得の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の申告は不要です。課税売上高とは、譲渡対価から必要経費を差し引いた金額ではなく、総収入金額を指す点に注意してください。
山林所得の確定申告には、申告書第一表・第二表に加えて、申告書第三表(分離課税用)と山林所得収支内訳書(計算明細書)の提出が必要です。通常の確定申告よりも提出書類が多くなります。
山林所得の申告方法の詳細については、国税庁の以下のページで確認できます。記載例や収支内訳書のフォーマットもダウンロード可能です。
山林所得は分離課税のため、他の所得とは別に個別の収支内訳書を作成する必要があります。事業所得や不動産所得と合算できない点は、実務上よく間違われるポイントです。
山林台帳の整備も重要です。山林所得の申告には、取得時期、取得価額、必要経費の内訳を証明する書類が必要になります。長期間にわたる記録を保存しておかないと、税務調査で説明できない事態になりかねません。
記録が原則です。
売買契約書や領収書は必ず保管しましょう。特に植林や管理にかかった費用の証拠書類は、数十年後の譲渡時まで保存する必要があります。
税務担当者として顧問先に山林所得が発生する可能性がある場合、早めに記録整備の指導を行うことが重要です。譲渡時になって慌てても、過去の経費を証明する書類が揃わないケースが多発しています。
また給与所得者の顧問先に山林所得が発生した場合、20万円以下の申告不要ルールを説明する際は、必ず住民税申告の必要性も伝えましょう。
所得税だけの説明では不十分です。
申告期限は通常の確定申告と同じく、翌年の2月16日から3月15日までです。山林所得の計算は複雑なため、早めの準備開始をおすすめします。
e-Taxでの電子申告にも対応していますが、山林所得収支内訳書の作成には専用のソフトウェアまたは国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると便利です。
山林所得の税務処理で不明点がある場合は、以下のような専門家への相談も検討してください。
特に初めて山林所得の申告を行う場合は、専門家のサポートを受けることで申告ミスを防げます。