定額減税の確定申告書き方と対象者の注意点

定額減税の確定申告書き方と対象者の注意点

定額減税の確定申告書き方・対象者・注意点まとめ

年末調整で定額減税を受けた人は、確定申告で同じ欄を書くと二重取りになると思っていませんか?


この記事の3ポイント
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第一表44番に必ず記入する

年末調整済みの人も確定申告する場合は「令和6年分特別税額控除」欄への記入が必須。書き忘れると定額減税がなかったことになり、本来より多く税金を納める羽目に。

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家族分も合算して記入できる

本人3万円+扶養親族1人につき3万円を合計して記入。16歳未満の子どもも対象に含まれるため、扶養控除の対象外であっても人数にカウントできる。

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合計所得1,805万円超は対象外

給与収入ベースで年収2,000万円超の人は定額減税そのものが受けられない。また記入漏れは5年以内なら更正の請求で取り戻せる場合もある。


定額減税の確定申告が必要な人・不要な人の違い

定額減税は令和6年(2024年)限定の税制措置で、所得税が1人あたり3万円、住民税が1人あたり1万円、合計4万円が控除されます。ただし、確定申告が必要かどうかは、働き方や状況によって変わります。


まず、確定申告が必要な人は次のケースに該当する方です。


- フリーランス個人事業主として事業所得や不動産所得がある人
- 令和6年5月以前に退職し、年末調整を受けていない人
- 医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例制度未利用)など、年末調整以外の控除を申告する会社員年金受給者
- 給与収入が2,000万円を超えており、そもそも年末調整が行われなかった人


反対に、確定申告が不要な人は以下のケースです。


- 給与所得者で年末調整が完了しており、それ以外に申告すべき所得や控除がない人
- 公的年金受給者で年金収入が400万円以下かつ、他の所得が20万円以下の人


ここで一つ重要な点があります。年末調整で定額減税を受けていても、医療費控除などで確定申告を行う場合は、必ず申告書に定額減税の内容を記入しなければなりません。これは二重取りではありません。


確定申告とは、最終的な所得と控除を申告し直す手続きそのものです。医療費控除だけ記入して定額減税の欄を空白にすると、「定額減税をゼロとして税金計算をする」という意味になってしまいます。つまり、記入しないと損します。


国税庁「定額減税と確定申告」|確定申告の要否や記入方法の公式情報


個人事業主の場合は、住民税の定額減税については手続き不要です。住民税は2024年6月からの納付通知書に控除済みの金額が記載されているため、別途申告する必要はありません。つまり、所得税分だけ確定申告で手続きするということです。


定額減税の確定申告・第一表44番の書き方

令和6年分の確定申告書には、通常年と異なる新設の記入欄があります。第一表の「税金の計算」セクション内、44番「令和6年分特別税額控除」です。ここが定額減税を記入する専用の欄になります。


記入する内容は以下の2つです。


| 記入内容 | 書き方の例 |
|---|---|
| 対象人数 | 自分を含めた人数(例:本人+配偶者+子1人 = 3人) |
| 控除額 | 人数 × 3万円(例:3人 × 30,000円 = 90,000円) |


重要なのは、「所得税の定額減税額のみを書く」という点です。住民税の1万円は含めません。この欄に書くのはあくまでも所得税分の減税額(1人あたり3万円)になります。


計算手順を整理すると次のようになります。


1. 対象人数の確認:本人(1人)+同一生計配偶者(条件あり)+扶養親族(16歳未満も含む)
2. 減税額の計算:対象人数 × 30,000円
3. 第一表44番に記入:人数欄と金額欄それぞれに数字を記入


注意したいのは、16歳未満の子どもも対象に含まれるという点です。扶養控除の申告においては16歳未満は「年少扶養親族」として控除額がゼロとなりますが、定額減税ではしっかりカウントできます。意外ですね。たとえば、0歳の赤ちゃんがいる家庭でも1人分の3万円が追加で控除されます。


e-Taxを使って申告する場合は、入力画面に定額減税に関する質問が出てきますので、それに沿って回答すれば自動計算されます。手書きで申告書を作成する場合は特に記入漏れが起きやすいため、国税庁の手引き(26ページ)を確認しながら進めることを強くお勧めします。


国税庁「令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」|定額減税の記載は26ページ参照


定額減税の確定申告・第二表の書き方と記入漏れのリスク

第一表に人数と金額を記入したら、必ず第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄にも情報を記入してください。これを忘れると、第一表での減税が認められない可能性があります。記入は2か所セットが原則です。


第二表に書く内容は次のとおりです。


- 定額減税の対象としてカウントした配偶者や扶養親族の氏名・生年月日・マイナンバー
- 配偶者については「同居か別居か」の選択(○をつける)
- 子どもについては「16歳未満か否か」の選択(○をつける)


第一表44番の人数欄に記入した人数と、第二表に記載する家族の人数は必ず一致させてください。人数だけ書いて第二表を空欄にしてしまうと審査で不備と判断されるケースがあります。


ここで怖いのが、記入漏れの結果です。確定申告書に定額減税の欄を記入しなかった場合、税務署は「定額減税をゼロとして税額を計算する」扱いになります。その結果、本来還付されるべき金額が減ったり、逆に多く納税してしまうリスクがあります。痛いですね。


朝日新聞の報道によると、「記入を忘れると減税が無効になる恐れがある」と税理士が警鐘を鳴らしており、実際に2025年の申告シーズンにミスが多発したと指摘されています。


もし申告後に記入漏れに気づいた場合はどうするか、という点も確認しておきましょう。


- 申告期間中(3月17日まで):申告書を出し直すことができます
- 申告期間後:「更正の請求書」を所轄税務署に提出すれば訂正が可能。原則として法定申告期限から5年以内であれば受け付けてもらえます


つまり、気づいたときに行動すれば取り返せます。ただし申告ミスを放置すれば、その分だけ余計に納めた税金が戻ってこなくなるため、早めに対処することが肝心です。


国税庁「申告が間違っていた場合」|更正の請求の方法と5年以内の手続きについて


定額減税の対象者・所得条件と扶養親族のカウント方法

定額減税を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。条件が条件なだけに注意が必要です。


本人が対象となる主な要件


| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 居住要件 | 日本国内に住所を有する居住者 |
| 所得要件 | 令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下 |
| 課税要件 | 所得税の納税義務者であること |


合計所得金額1,805万円というのは、給与収入のみであれば年収約2,000万円に相当します。この金額を超えると定額減税は一切受けられません。


ただし、ここに一つ見落としやすい注意点があります。たとえば「年内に自宅を売却した場合」、3,000万円の特別控除を受けていたとしても、控除前の売却益も合計所得に含まれるため、その年の合計所得が1,805万円を超えてしまうことがあります。普段の年収は基準内でも、不動産売却などがある年は定額減税の対象外になる場合があるので要注意です。


扶養親族のカウントで注意すべき点


定額減税の人数カウントで特に気をつけたいのが、配偶者の所得条件です。配偶者を定額減税の対象に含めるには以下の要件があります。


- 配偶者の年間所得が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
- 本人(個人事業主)の所得が年間1,000万円以下であること


本人の所得が1,000万円を超えると、たとえ配偶者の収入が少なくても同一生計配偶者としてカウントできなくなります。これは扶養控除における「配偶者控除」と同じ発想ですが、所得の上限金額が異なるため混同しやすい点です。


なお、先ほどお伝えしたとおり16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も人数に含まれます。通常の確定申告では16歳未満の子どもは扶養控除の対象外となり、控除額はゼロです。しかし定額減税においては年齢制限なく対象になります。小さな子どもがいる世帯にとってはメリットが大きい制度です。


税理士wish会計「定額減税の対象となる人」|16歳未満の扶養親族のカウント方法を詳しく解説


定額減税が引ききれないときの調整給付・不足額給付とは

定額減税の仕組みとして理解しておきたいのが、「所得税額より定額減税額のほうが大きい場合はどうなるのか?」という問題です。結論は、控除しきれなかった分は「調整給付(不足額給付金)」として現金で給付されます。これは使えそうです。


たとえば、所得税が年間2万円しかなく、定額減税額が本人+扶養親族3人で12万円になる場合、差額の10万円分が調整給付の対象となります。この場合の調整給付額は、万円未満を切り上げて計算されます。


具体的な計算例を見ると次のとおりです。


| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 所得税額 | 20,000円 |
| 定額減税額(4人家族) | 120,000円 |
| 引ききれない差額 | 100,000円 |
| 調整給付額(万円未満切り上げ) | 100,000円 |


調整給付の仕組みは市区町村が管理しており、対象者には自治体から確認書が送付されます。必要事項を記載して返送することで給付が受けられます。


重要なのは、この調整給付金は非課税所得であるという点です。受け取った給付金を確定申告書に収入として記載する必要はありません。これが原則です。定額減税の還元として受け取るお金なのに課税されてしまうのでは本末転倒ですが、制度上しっかり非課税として扱われています。


また、所得がゼロ・赤字で定額減税そのものを受けられない場合も、別途救済措置があります。


- 住民税非課税世帯:1世帯あたり7万円の給付(2023年分と合わせて10万円相当)
- 住民税均等割のみ課税世帯:1世帯あたり10万円の給付
- 18歳以下の子どもがいる世帯:子ども1人につき5万円の加算


たとえば住民税均等割のみの世帯で子ども2人がいれば、10万円+5万円×2人で合計20万円の給付を受けられます。制度の網の目が意外と広いことがわかります。


創業手帳「個人事業主は定額減税の対象?手続きと確定申告のやり方」|調整給付・予定納税ケース別の対応を詳しく解説


定額減税の確定申告でe-Tax・会計ソフトを使う際の独自視点メモ

ここからは、検索上位記事ではほとんど触れられていない視点として、「e-Taxや会計ソフトを使っても落とし穴がある」という点をお伝えします。


e-Taxを使えば定額減税は自動計算されると思われがちですが、家族情報の入力を正確に行わないと正しく自動計算されません。これだけ覚えておけばOKです。


たとえば国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、配偶者・扶養親族の情報を「配偶者」「家族や親族」の入力画面で入力することで、定額減税の対象人数が自動的に計算される仕組みになっています。逆に言えば、家族情報の入力を省略したり、マイナンバー連携でデータが不完全だったりすると、定額減税が過少に計算されたまま申告されてしまう可能性があります。


会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生など)を使っている場合も同様です。これらのソフトでは扶養家族の情報を正確に入力していることが前提で定額減税を計算します。年の途中で家族が増えた場合(出産など)や、前年から状況が変わった場合は、必ず家族情報を更新した上で申告書を作成してください。


もう一点、よく混同される話として「ふるさと納税の上限額への影響」があります。ふるさと納税の寄附金控除の上限額は、定額減税が適用される前の所得税額・住民税額をもとに計算されます。定額減税で税額が減るからといって、ふるさと納税の上限が変わるわけではありません。ふるさと納税と定額減税は独立した制度として扱われます。安心していいですね。


また、住宅ローン控除と定額減税の適用順序にも注意が必要です。住宅ローン控除は、計算上「定額減税の前に適用される」順番になっています。つまり、住宅ローン控除を引いた後の所得税額から、さらに定額減税が控除される仕組みです。この順序が逆になることはありません。所得税が住宅ローン控除でほぼゼロになっている場合は、定額減税分が調整給付として受け取れる可能性があります。


e-Taxと会計ソフトを正しく使えば、手書きよりもミスを大幅に減らせます。ただし「入力すれば大丈夫」という過信は禁物で、家族情報の正確な入力が制度全体の精度を左右するということです。気になる点は税務署や税理士へ早めに相談しておくと安心です。


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