

還付請求すると7割が調査対象になります。
更正の請求を提出すると、税務署は申告内容を詳細に確認する必要があります。通常の確定申告では全件を細かくチェックすることは難しいですが、納税額を減らす請求が出された場合は話が別です。
参考)更正の請求書を提出するデメリットは?しないとどうなるかについ…
税務署は請求内容だけでなく、過去の申告状況まで遡って確認する可能性があります。特に税額に大きな変更が生じる場合や、審査の過程で疑問点が見つかった場合、税務調査に発展するリスクが高まります。
参考)更正の請求のデメリットとは?審査が厳しいとの噂は本当?
調査が入れば対応に時間と手間がかかるだけでなく、他の項目で否認されて追徴課税を受ける可能性もあります。還付を期待していたのに、逆に追加の税金を納めることになったケースも実際に存在します。
参考)確定申告で税金を納め過ぎた場合は更正の請求が必要! - 個人…
これが最大のリスクです。
実は税務調査全体の約75.8%が修正申告の対象となっており、調査で何かを指摘されるのは一般的なことです。更正の請求をきっかけに税務署の目に留まれば、その確率はさらに高まると考えるべきでしょう。
参考)https://grove-tf.co.jp/nta_statistics1/
更正の請求ができる期間は、法定申告期限から原則として5年以内です。この期限を過ぎると、たとえ明らかな計算ミスや控除漏れがあっても、還付を受けることはできません。
参考)https://www.nta.go.jp/information/other/encho/index.htm
5年という期間は一見長く感じられますが、申告の誤りに気づくタイミングは様々です。相続税の場合、遺産分割のやり直しや新たな財産の発見などで数年後に判明することも珍しくありません。
参考)「更正の請求」のメリット・デメリットを解説 - 横浜相続税相…
贈与税については6年、移転価格税制に係る法人税等については7年と、税目によって期限が異なる点にも注意が必要です。
参考)https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_2.pdf
期限が原則なのです。
ただし例外もあります。訴えについての判決により事実が確定した場合など、特別な事由がある場合は、その確定日の翌日から2ヶ月以内に請求できます。
更正の請求には複数の書類が必要になります。所得税及び復興特別所得税の更正の請求書に加えて、請求の理由の基礎となる事実を記載した書類を1部提出しなければなりません。
参考)更正の請求とは?期限や書き方を理解する
相続税の場合は、相続税の更正の請求書及びその次葉、更正の請求の必要性を証明する書類、修正申告書、本人確認書類などが求められます。請求書には提出する税務署、請求書提出の年月日、更正の請求ができる事由を知った日、添付書類、更正の請求をする理由などを詳細に記載する必要があります。
参考)「更正の請求」をする場合の必要書類 - 横浜相続税相談窓口
請求書の用紙に書き切れない場合は、別紙で「更正の請求をするに至った理由書」を作成し、どのような事情があったのか概要を文章で説明することが実務上の慣例です。
参考)「更正の請求」をする際の注意点
これは手間がかかります。
郵送の場合はマイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類のコピーも添付し、窓口提出時は税務署員に提示します。証拠書類が不十分だと請求が認められないリスクがあるため、税務の専門知識がない場合は税理士に依頼するケースも多く、その分の費用負担も発生します。
参考)【確定申告】更正の請求とは?必要書類やe-Taxでの方法をパ…
更正の請求を提出しても、必ず認められるとは限りません。更正の請求ができるのは、当初の申告内容が法律の規定に従っていなかった場合、または計算ミスがあった場合に限られます。
所得金額が減る場合や控除を追加する場合でも、最終的な税額が変わらなければそもそも請求の対象となりません。単なる「思い込み」や「推測」では認められず、税額が少なくなる根拠について税務署が厳しくチェックします。
参考)コラム|ON税理士法人
更正を求める理由の説明や提出した証拠資料が不十分だと、更正は認められず還付金を受け取ることができません。誤った請求や説明不足は、かえって税務署の調査を招くリスクがあります。
つまり却下されます。
特殊なケースとして、自らの主導で通謀虚偽表示により申告をした後に、その無効を確認する判決が確定したとして更正の請求をした事例では、最高裁が「やむを得ない理由があるとはいえない」として請求を認めませんでした。条文上の要件に当てはまっても、実質的な判断で却下されることがあるのです。
確定申告後に申告内容の誤りに気づいた場合、税額を増やす訂正は「修正申告」、税額を減らす訂正は「更正の請求」と手続きが異なります。納税者が損をしているときに行うのが更正の請求、と覚えるとよいでしょう。
参考)「修正申告と更正の請求」「更正と決定」、手続きの違い│法人税…
修正申告では「修正申告書」と必要な追加書類を税務署に提出します。訂正前の金額と訂正後の金額を記入するだけで比較的簡単ですが、追徴課税や延滞税が発生し、修正申告書を提出すると不服を申立てる権利を放棄することになります。
参考)修正申告と更正処分の違いとは ? それ ぞれのメリットとデメ…
一方、更正の請求では詳細な証拠書類と理由書が必要で、審査に時間がかかります。通常の還付申告は本人の申告に基づいて機械的に処理されますが、更正の請求は内容を正確に判断してから可否を決めるため、提出から半年かかって認められることもざらにあります。
手続きが違うのです。
税務調査中に更正の請求を行うケースもあります。調査による税額の増加のほうが更正の請求による税額の減少よりも多い場合には修正申告となりますが、その場合には更正の請求の取下げを求められることになります。
参考)https://www.zeiken.co.jp/souzoku/jirei-43.html
更正の請求は義務ではありません。納税額を多く申告した場合でも、そのまま放置することは法律上問題ありません。ただし、払いすぎた税金は自動的には戻ってきません。
税務署から「払いすぎていますよ」と連絡が来ることは基本的にないため、更正の請求をしなければ還付を受けられないまま期限が過ぎてしまいます。法定申告期限から5年を過ぎると、税金を取り戻す手続きは原則としてできなくなります。
参考)https://tomorrowstax.com/knowledge/2023082412110/
例えば、売上の二重計上や経費の計上漏れが数百万円規模であった場合、それに対応する税額が数十万円から百万円以上になることもあります。この金額を放置するのは企業にとって大きな損失です。
放置すると損します。
相続税の場合も同様で、小規模宅地等の特例の適用漏れや財産評価のミスがあれば、還付額が数百万円に達することも珍しくありません。気づいた時点で速やかに対応しないと、取り戻せる権利を失ってしまいます。
国税庁「申告が間違っていた場合」のページでは、更正の請求と修正申告の基本的な手続きについて公式情報が確認できます。
更正の請求をすべきかどうかは、還付見込額とリスクを天秤にかけて判断する必要があります。還付額が数万円程度と少額で、過去の申告に不安要素がある場合は、税務調査のリスクを考慮して請求を見送る選択肢もあります。
逆に還付額が数十万円以上と大きく、申告内容に自信がある場合は、積極的に請求すべきです。ただし、請求内容を税務署が調査する過程で、本来の請求とは別の項目について指摘を受ける可能性があることを忘れてはいけません。
更正の請求に係るポイントは認められても、その他の必要経費を否認されて結果的に追徴課税されてしまうケースも報告されています。これが更正の請求のデメリットであり、最大のリスクです。
慎重な判断が必要です。
税務調査で修正申告を求められた際に、修正申告を拒否すると更正処分を受けることになります。更正処分の場合、税務署が法律に則って手続きを行うため一切妥協してもらえず、結果として支払う税金の額が多くなる可能性があります。
参考)税務調査後に修正申告をする流れ!しないとどうなるか、加算税・…
実務上は、税理士などの専門家に相談し、申告内容全体を再度レビューしてから請求の是非を判断することが推奨されます。特に複数年度にわたって同様の誤りがある可能性がある場合は、一度に複数年分の更正の請求を行うことで、トータルでの還付額を最大化できます。
国税庁「更正の請求期間の延長等について」のページでは、平成23年の改正により更正の請求期間が5年に延長された経緯や詳細が確認できます。