消費税の納付で使う勘定科目の選び方と仕訳

消費税の納付で使う勘定科目の選び方と仕訳

消費税の納付に使う勘定科目と正しい仕訳方法

税抜経理方式を選んでいると、消費税の納付分は経費にならず法人税の節税ができません。


この記事の3つのポイント
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勘定科目は経理方式で変わる

税込経理なら「租税公課」、税抜経理なら「未払消費税」が納付時の主な勘定科目です。どちらを選ぶかで帳簿の記帳方法が全く異なります。

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経費計上できるのは条件あり

消費税を経費(損金)に算入できるのは、税込経理方式で「租税公課」を使うケースのみです。税抜経理方式では消費税は経費になりません。

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中間納付は別途仕訳が必要

前年の確定消費税が48万円超になると中間申告が義務化されます。中間納付の仕訳も経理方式によって勘定科目が異なるため、正確な処理が求められます。


消費税の納付で使う5つの勘定科目の基本


消費税の仕訳で登場する勘定科目は、大きく分けて5種類あります。これらを混同すると決算書の数字が狂い、税務調査のリスクにも直結します。


まず「租税公課」は、国や地方自治体に納める税金・公的な負担金をまとめた費用科目です。税込経理方式を採用している場合に、消費税の納付額を計上するために使います。損益計算書では費用として表示され、所得税法人税の計算上も損金に算入できる点が大きな特徴です。


次に「仮払消費税(仮払消費税等)」と「仮受消費税(仮受消費税等)」です。これらは税抜経理方式専用の勘定科目です。仕入れや経費にかかった消費税は仮払消費税(貸借対照表上は資産)、売上にかかって預かった消費税は仮受消費税(負債)として日々計上します。「仮」という名のとおり、決算時に相殺されてゼロになる一時的な科目です。


「未払消費税(未払消費税等)」は、税込・税抜の両方で登場する科目です。決算時点でまだ納付していない消費税額を負債として計上するときに使います。そして「未収消費税(未収消費税等)」は、輸出業者など課税売上げより課税仕入れが多い場合に還付される消費税を計上する科目です。


税抜経理方式が原則です。ただし、どちらが自社に合っているかは後述します。


以下の表で5科目をまとめて確認できます。








































勘定科目 使う経理方式 B/S分類 使うタイミング
租税公課 税込経理 費用 決算時・納付時
仮払消費税 税抜経理 資産 仕入・経費支払時
仮受消費税 税抜経理 負債 売上計上時
未払消費税 税込・税抜両方 負債 決算時(未納分)
未収消費税 税込・税抜両方 資産 決算時(還付分)


5科目の使い分けを押さえれば大丈夫です。


消費税の仕訳に関する国税庁の公式見解も確認しておきましょう。


国税庁による納付税額の経理処理方針(税込・税抜の両方式について公式解説)。
国税庁 No.6901 納付税額又は還付税額の経理処理


消費税の納付仕訳を経理方式別に具体的な数字で解説

「税込経理方式」と「税抜経理方式」は、消費税をどこで切り出すかが違うだけですが、仕訳の見た目は全く変わります。具体的な数字で比較します。


【例】税抜10万円(税込11万円)の商品を仕入れ、税抜20万円(税込22万円)で販売。消費税納付額は1万円。翌期に納税。


▼税込経理方式の仕訳









タイミング 借方 金額 貸方 金額
仕入時 仕入高 110,000円 現金 110,000円
売上時 現金 220,000円 売上高 220,000円
決算時 租税公課 10,000円 未払消費税 10,000円
納付時 未払消費税 10,000円 現金 10,000円


▼税抜経理方式の仕訳












タイミング 借方 金額 貸方 金額
仕入時 仕入高 100,000円 現金 110,000円
仮払消費税 10,000円
売上時 現金 220,000円 売上高 200,000円
仮受消費税 20,000円
決算時 仮受消費税 20,000円 仮払消費税 10,000円
未払消費税 10,000円
納付時 未払消費税 10,000円 現金 10,000円


ポイントは2点です。税込経理方式では、日々の仕訳に消費税が入り込まず、決算時に初めて「租税公課」として費用計上されます。一方の税抜経理方式では、仕入の都度に仮払消費税、売上の都度に仮受消費税が出てきて、決算時に相殺する仕組みです。


消費税を経費(損金)に計上できるのは租税公課を使う税込経理方式だけです。


つまり税抜経理方式では消費税が「仮払」と「仮受」のやり取りで完結し、所得や利益の計算に直接影響しない設計になっています。どちらを選んでも最終的な消費税納付額は同じですが、利益への見え方が異なることはしっかり把握しておきましょう。


国税庁 No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理(公式)


消費税の納付勘定科目を間違えると損する、経理方式の選択ポイント

多くの人が「仕訳が簡単な税込経理方式でいい」と考えています。しかし選択を誤ると、年間で数万円単位の節税機会を逃す可能性があります。


税抜経理方式には、金融や会計の知識がある人ほど見逃せないメリットが2つあります。


① 固定資産の取得価額が10万円未満かどうかの判定で有利


固定資産を購入した際、取得価額が10万円未満なら減価償却せず全額を一括経費にできます。この「10万円」の判定基準が、税込経理方式と税抜経理方式で異なります。


例えば、税抜9万8,000円(税込10万7,800円)のパソコンを購入した場合を考えてみましょう。税抜経理方式では9万8,000円で判定するので「10万円未満」→その年に一括経費計上できます。しかし税込経理方式では10万7,800円で判定→「10万円以上」となり、原則として減価償却が必要になります。意外ですね。


一括計上できれば課税所得が下がり、法人税・所得税が少なくなります。税抜経理方式の方が有利です。


② 中小企業の交際費800万円の損金算入枠判定でも有利


中小企業は年間800万円以下の交際費を全額損金算入できます。この800万円の枠も、税抜経理方式なら消費税抜きの金額で判定されます。税込経理方式に比べ、同じ金額を使っても消費税分(約9%)だけ枠を節約できるので、ギリギリのラインにいる会社では実質的な差が出ます。


節税面では税抜経理方式が有利です。ただし、簡易課税制度を利用している事業者は注意が必要です。簡易課税ではみなし仕入率(第1種~第6種で40~90%)を使うため、税抜経理方式を採用すると仮受消費税と未払消費税の間に差額が生じ、「雑収入」または「雑損失」で別途処理が必要になります。これは手間が増えるデメリットです。


経理方式の選択は届出不要です。ただし原則として全取引で同一方式を適用する必要があります。事業の規模・使用するソフト・課税方式と照らし合わせて選びましょう。


国税庁 No.6513 簡易課税制度の適用と経理処理


消費税の中間納付で使う勘定科目と仕訳の手順

消費税に慣れてきたころに必ず直面するのが「中間納付」です。前年の確定消費税額が48万円を超えると、翌年から中間申告・納付の義務が発生します。中間納付は、金額・回数ともに前年の確定消費税額によって決まります。





























前年確定消費税額 中間申告回数 1回あたりの納付額(目安)
48万円以下 不要
48万円超〜400万円以下 年1回 前年確定額の約1/2
400万円超〜4,800万円以下 年3回 前年確定額の約1/4ずつ
4,800万円超 年11回 前年確定額の約1/12ずつ


中間納付時の仕訳は、採用している経理方式によって勘定科目が変わります。これが中間納付で最も間違いやすいポイントです。


税込経理方式の場合:中間納付時は「租税公課」として費用計上します。決算時には清算仕訳は原則不要で、その年の費用としてそのまま処理されます。


```
(借)租税公課 200,000円 / (貸)現金 200,000円
```


税抜経理方式の場合:中間納付時は「仮払消費税等」または「仮払金」「前払消費税」で資産計上します。決算時に仮受消費税と相殺して未払消費税を計算する際に、この中間納付分も一緒に清算します。


```
【中間納付時】
(借)仮払消費税等 200,000円 / (貸)現金 200,000円


【決算時(例:仮受消費税500,000円・仕入等の仮払消費税100,000円・中間納付200,000円)】
(借)仮受消費税 500,000円 / (貸)仮払消費税(仕入分) 100,000円
(貸)仮払消費税(中間納付分)200,000円
(貸)未払消費税 200,000円
```


中間納付で税込経理方式を採用している場合、決算での清算仕訳は不要です。これを知らずに二重計上するミスが起きやすいので注意が必要です。また、年11回の中間申告が必要な事業者(前年の確定消費税が4,800万円超)は、毎月仕訳が発生します。会計ソフトに自動仕訳を設定しておくのが現実的です。


国税庁による中間申告の方法と回数に関する公式情報。
国税庁 No.6609 中間申告の方法


消費税の還付と未収消費税の仕訳・インボイス後の新常識

消費税の処理は「納付だけ」だと思っている人は多いですが、還付が発生するケースもあります。還付が起きる場面を正確に把握しておくことは、キャッシュフロー管理の面でも重要です。


還付が発生する主なケースは次の3つです。


- 輸出業者:輸出売上は消費税が免税(ゼロ税率)のため、仕入分の仮払消費税が控除しきれず還付になる
- 多額の設備投資をした年:仕入れにかかる消費税が売上にかかる消費税を上回る場合
- 新たに課税事業者になった初年度:課税売上が少なく、仕入・設備投資が多い場合


還付が見込まれる場合、決算時に「未収消費税等」として資産計上します。税込経理方式の場合は「雑収入」として益金に算入します。


```
【税抜経理・還付の場合】
(借)未収消費税等 XX,XXX円 / (貸)仮払消費税等 XX,XXX円
```


インボイス制度適格請求書等保存方式)が2023年10月に始まって以降、消費税の仕訳はさらに複雑化しています。仕入税額控除の対象になるのはインボイス(適格請求書)を受け取った取引だけです。インボイス以外の請求書には控除割合の経過措置があり、2023年10月〜2026年9月末は仕入税額の80%控除、2026年10月〜2029年9月末は50%控除と段階的に縮小されます。


これが金融・会計に詳しい人でも盲点になりやすい部分です。勘定科目の設定が正しくても、インボイスかどうかの区分が誤っていると仕入税額控除の計算が崩れ、申告額が変わってしまいます。会計ソフト上で「適格」「非適格」の税区分を正確に設定しておくのが条件です。


インボイス制度に対応した適切な勘定科目設定と仕訳区分は、確定申告の精度を左右します。会計ソフトのインボイス対応状況を一度確認しておきましょう。対応ソフトの多くでは取引先ごとに「適格請求書発行事業者かどうか」を登録するだけで、仕入税額控除の計算を自動化できます。


インボイス制度後の経過措置の詳細は、国税庁の公式ページで随時確認することをおすすめします。


国税庁 No.6921 控除できなかった消費税額等(控除対象外消費税額等)の処理






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