仕訳帳とは簡単に理解する書き方と総勘定元帳の使い方

仕訳帳とは簡単に理解する書き方と総勘定元帳の使い方

仕訳帳とは簡単に理解する書き方と基礎知識

仕訳帳をきちんとつけていないと、税務調査で最大65万円の青色申告控除が取り消されます。


この記事の3つのポイント
📒
仕訳帳は「複式簿記の日記帳」

仕訳帳とは、日々の取引すべてを日付順に記録する主要簿。借方・貸方に分けて記帳し、総勘定元帳の元データとなります。

⚖️
保存義務は法律によって7〜10年

法人税法では原則7年、会社法では10年の保存が義務付けられており、不備があると税務上のペナルティを受ける可能性があります。

💡
クラウド会計ソフトで入力が自動化可能

銀行口座やクレジットカードと連携すれば、仕訳帳への記帳を大幅に自動化できます。手入力によるミスや転記漏れを減らすことができます。


仕訳帳とは何かを簡単に説明する「主要簿」の意味

仕訳帳(しわけちょう)とは、企業や個人事業主が行ったすべての取引を発生した日付の順番に記録していく会計帳簿のひとつです。簿記の世界では、総勘定元帳と並んで「主要簿」と呼ばれる最重要の帳簿に位置づけられています。


主要簿という言葉はやや堅く聞こえますが、「なくてはならない帳簿」という意味です。法人においては会社法によって作成と保存が義務付けられており、個人事業主においても青色申告を選択した場合は複式簿記による仕訳帳の作成が求められます。


仕訳帳のイメージとしては、ビジネス版の「日記帳」が最もわかりやすいでしょう。個人の家計簿が毎日の支出・収入をざっくり記録するものだとすれば、仕訳帳は「借方(左)」と「貸方(右)」の2列で金額を振り分けながら記録する、より精密な記録ツールです。


一点、金融に興味を持つ方がよく混同するのが「仕訳(しわけ)」と「仕訳帳」の関係です。仕訳とは取引を借方・貸方に振り分ける作業そのものを指し、仕訳帳はその作業結果を記入するための帳簿のことです。つまり「仕訳」が動詞・作業で、「仕訳帳」がその器というイメージです。


仕訳帳が原則です。


弥生株式会社「仕訳帳とは?書き方や作成の流れ」(税理士法人MIRAI合同会計事務所監修)


仕訳帳の記入例と書き方:勘定科目・借方・貸方を簡単に解説

仕訳帳を実際に書くには、5つのルールを押さえることが先決です。記入する項目は「日付」「借方の勘定科目と金額」「貸方の勘定科目と金額」「摘要(取引の内容)」「元丁(総勘定元帳の転記先ページ)」の5つです。


勘定科目とは、取引で動いたお金が「何に関係するか」を示すラベルのことです。たとえば、文房具を現金で500円購入した場合、「消耗品費(費用)」と「現金(資産)」という2つのラベルを使って記帳します。


| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|------|------|------|------|------|------|
| 4月1日 | 消耗品費 | 500 | 現金 | 500 | 文房具購入 |


この記入例で注目すべき点は、「借方の合計と貸方の合計が必ず一致する」という点です。これが複式簿記の大原則であり、仕訳帳の借方と貸方がズレることはありえません。


次に少し複雑な例を見てみましょう。4月1日にパンフレット制作費3万円を銀行振込で支払い、振込手数料が200円かかった場合、このように記入します。


| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|------|------|------|------|------|------|
| 4月1日 | 広告宣伝費 | 30,000 | 普通預金 | 30,200 | パンフレット制作 |
| | 支払手数料 | 200 | | | |


複数の勘定科目を使うこうした仕訳を「複合仕訳」と呼びます。これは使えそうです。


勘定科目は大きく5つのグループに分類されており、増えるか減るかによって借方・貸方が決まります。


- 資産(現金・預金・売掛金など):増えるとき→借方
- 負債(買掛金・借入金など):増えるとき→貸方
- 純資産(資本金など):増えるとき→貸方
- 収益(売上・受取利息など):増えるとき→貸方
- 費用(仕入・給料・消耗品費など):増えるとき→借方


5つのグループが基本です。最初はこの表を手元に置いておけば、仕訳の判断に迷ったときも安心です。


マネーフォワード クラウド会計「仕訳帳とは?書き方や記入例、帳簿付けの流れを解説」


仕訳帳と総勘定元帳の違いを簡単に理解するポイント

仕訳帳と総勘定元帳は、どちらも主要簿ですが役割がまったく異なります。この2つをきちんと区別することが、経理の基礎を理解するうえで欠かせないステップです。


仕訳帳は「時系列の記録帳」です。4月1日に何があったか、4月2日に何があったかを時系列で追えます。一方、総勘定元帳は「勘定科目ごとの整理帳」です。「現金」というページには、現金に関わるすべての取引だけが集まっています。


わかりやすく例えるなら、仕訳帳は「一日ごとに書いた旅の日記」、総勘定元帳は「目的地(勘定科目)ごとにまとめた旅行アルバム」と考えるといいでしょう。


| 比較項目 | 仕訳帳 | 総勘定元帳 |
|----------|--------|------------|
| 整理方法 | 日付順 | 勘定科目順 |
| 確認できること | 特定の日の全取引 | 特定科目の全取引と残高 |
| 作成タイミング | 取引発生のたび | 仕訳帳から転記 |


転記とは、仕訳帳に記録した内容を総勘定元帳に書き写す作業です。手書きの場合はこの転記作業が手間のかかる工程となりますが、クラウド会計ソフトを使えば転記は自動的に完了します。


つまり「仕訳帳→転記→総勘定元帳」の流れが基本です。


大事な点として、仕訳帳がないと総勘定元帳を作れず、総勘定元帳がなければ貸借対照表損益計算書などの決算書が作れません。仕訳帳はすべての会計作業の「出発点」になるのです。


jinjer「仕訳帳と総勘定元帳の違いや転記方法について解説」


仕訳帳の保存期間は7年ではなく実は10年が安全な理由

「仕訳帳は7年保存すればいい」と思っていると、会社法違反になる可能性があります。


法人税法では、仕訳帳を含む帳簿書類の保存期間は原則7年と定められています。しかし、会社法では会計帳簿の保存期間を10年と定めており、両方の法律が適用される法人の場合は、より長い方に従うのが原則です。


さらに見落としがちなのが欠損金(赤字)がある場合です。欠損金の繰越控除を利用した事業年度については、原則10年間の帳簿保存が必要になります(2018年4月1日以前に開始した事業年度は9年)。赤字の年があった場合は特に注意が必要です。


個人事業主の場合は事情が異なります。青色申告者の帳簿の保存期間は原則7年、白色申告者は5年です。ただし、青色申告で65万円の特別控除を受けるには、電子帳簿保存法に対応した形で仕訳帳・総勘定元帳を電子保存することが条件の一つになっており、この要件を満たさないと控除額が55万円に下がります。差額の10万円は痛いですね。


保存期間の起算日にも注意が必要です。法人税法では「その事業年度における確定申告書の提出期限の翌日」から数えます。つまり今期の帳簿をいつから保存義務が始まるかは、決算申告の翌日からカウントされます。


| 対象 | 根拠法 | 保存期間 |
|------|--------|----------|
| 法人(通常) | 法人税法 | 7年 |
| 法人(会社法) | 会社法 | 10年 |
| 法人(欠損金あり) | 法人税法 | 10年 |
| 個人事業主(青色申告) | 所得税法 | 7年 |
| 個人事業主(白色申告) | 所得税法 | 5年 |


10年が条件です。法人は「とりあえず10年保存」と覚えておくのが最も安全な対応といえます。


弥生「仕訳帳とは?書き方や作成の流れ、記載する目的などを解説」(保存期間の詳細セクション)


仕訳帳を簡単につけるクラウド会計ソフト活用と青色申告65万円控除

仕訳帳を手書きやExcelで管理している方は多いですが、記帳ミスや転記漏れが発生しやすく、後から修正する手間も大きくなります。クラウド会計ソフトを使えば、この問題を根本から解決できます。


クラウド会計ソフトの最大のメリットは、銀行口座やクレジットカードと連携することで取引データを自動取得し、AIが勘定科目を自動で提案してくれる点です。たとえばfreeeやマネーフォワード クラウド会計、弥生会計 Nextといった主要ソフトはすべてこの自動仕訳機能を搭載しています。


青色申告で最大65万円の特別控除を受けるための条件のひとつが、「仕訳帳および総勘定元帳を電子帳簿保存(優良な電子帳簿)として保存すること」です。この条件を満たすためにも、クラウド会計ソフトの活用が現実的な選択肢になっています。


ただし、クラウド会計ソフトにはデメリットもあります。


- ランニングコスト:月額料金がかかり、年間で数千〜数万円の費用が発生する
- インターネット依存:オフライン環境では利用できない
- 自動仕訳の精度:AIの提案が常に正確とは限らず、確認作業は必要


それでも、手書きで1件ずつ転記作業を行う手間と比べれば、導入コストを上回るメリットがあるケースがほとんどです。特に月の取引件数が30件を超えてくると、手動での管理は現実的ではなくなってきます。


経理の負担を減らしたい場合は、まずfreeeやマネーフォワード クラウド会計の無料トライアルを試してみることをおすすめします。1か月間無料で使えるサービスが多く、自分の業務スタイルに合うかどうかを確認してから本格導入できます。


freee「仕訳帳とは?総勘定元帳との違いや書き方の具体例を解説」