広告宣伝費 いくらまで損金算入できるか限度と注意点

広告宣伝費 いくらまで損金算入できるか限度と注意点

広告宣伝費 いくらまで損金算入可能か

10万円以上の看板は広告宣伝費にできません。


この記事のポイント
📊
上限なしで全額損金算入可能

法的な金額制限はないが、事業規模との合理性が必要

⚠️
10万円以上は固定資産扱い

看板や電光掲示板は減価償却対象となり即時経費化不可

🔍
税務調査での否認リスク

交際費との区分が曖昧だと追徴課税の可能性あり

広告宣伝費の基本的な損金算入ルール


広告宣伝費に法的な上限はありません。企業が事業に必要と判断した金額を全額損金算入できるのが原則です。


参考)広告宣伝費はいくらまで?相場や経費計上のポイント、注意点など…


ただし、事業規模や収益と合理的な関係がない場合、税務調査の対象となります。例えば年商1,000万円の企業が500万円の広告費を計上すると、その必要性を税務署に説明する義務が生じるということですね。

過度な広告宣伝費を計上する際は、効果測定データや事業計画書など、客観的な証拠を準備しておくことが重要です。


説明できる根拠があれば問題ありません。



参考)https://www.ht-tax.or.jp/navi/tax-audit-denial

広告宣伝費の適正額の業種別目安

業種によって適正な広告費の比率は大きく異なります。通信・サービス業や化粧品業界は売上の15~20%、健康食品は10%、外食・飲料業は5%、不動産は4%、金融業界は1~5%が一般的です。


参考)https://megdai.jp/markebatake/ads/6619/


売上規模でも差があります。売上5,000万円以下の企業は年間平均29万円、5,000万円超~1億円以下は65万円、1億円超は229万円という調査結果があります。


参考)業種別・業界別の最適な広告予算はいくら?計算方法と考え方


粗利益が高い商品やリピート率の高いサービスを扱う業界ほど、広告宣伝費の比率が高めです。つまり顧客生涯価値が高い業種ほど、初回獲得コストに投資できるということですね。

広告宣伝費で10万円以上の資産は即時経費化できない

広告目的で看板や電光掲示板を設置する場合、取得価額が10万円未満なら広告宣伝費として即時経費にできます。しかし10万円以上の場合は「固定資産」として計上し、3年間で減価償却する必要があります。


参考)広告宣伝費(広告費)とは?仕訳と勘定科目、注意点を解説

一組20万円以上で使用期間が1年以上のものは、固定資産に計上しなければなりません。


展示品も同様のルールが適用されます。



参考)https://www.b-post.com/info/info_tax/jyouhou_zeimu_030.html

ホームページの制作費も同じです。作成費用が20万円以上で使用期間が1年超の場合、使用期間に応じて均等償却する必要があります。制作費を一括経費にすると、税務調査で否認されるリスクがあります。

特約店に贈与する看板や陳列棚が20万円未満なら損金算入できますが、20万円以上なら繰延資産として処理し、法定耐用年数の10分の7(最高60ヶ月)で償却します。この区分を間違えると追徴課税の対象になります。

資産計上すべき広告宣伝費の詳細な判定基準

広告宣伝費と交際費の区分で否認されるケース

税務調査で最も厳しくチェックされるのが、広告宣伝費と交際費の区分です。広告宣伝費として処理したものが交際費と認定されると、損金算入額が制限され追徴課税が発生します。


参考)税務調査で否認されない!交際費と広告宣伝費の境界線とは? &…

区分の基本原則は明確です。不特定多数の一般消費者を対象にしていれば広告宣伝費、特定の顧客や取引先を対象にしていれば交際費になります。


参考)広告宣伝費とは?似ている勘定科目との違いや仕訳例などを解説 …


得意先へのお土産、事業関係者との会食や旅行、会社のレクリエーション費用は広告宣伝費として認められません。これらは交際費として処理する必要があります。


参考)【税理士が解説】広告宣伝費とは?範囲や計上する際の注意点、販…

協賛金も注意が必要です。宣伝効果が見込めず、関係構築のために支出する協賛金は交際費として処理します。目的が「広告」か「接待」かで判断が分かれるということですね。


参考)広告宣伝費の仕訳・勘定科目、販売促進費との違いを解説

広告宣伝費の駆け込み計上による前払費用否認のリスク

決算直前の「駆け込みチャージ」は要注意です。あるITスタートアップ企業は、決算日の3日前にGoogle広告へ500万円を一括チャージし、全額を広告宣伝費として計上しました。


参考)ネット広告費の計上時期|リスティング・SNS広告の消化基準と…

しかし実際に3月末までに役務提供を受けたのは20万円のみ。残りの480万円は資産(前払金)として否認され、多額の追徴課税が発生しました。


厳しいですね。



契約期間が事業年度を越える場合、翌年度対応分は前払費用となります。ただし契約期間が支出から1年以内であれば、翌年度対応分を含めて広告宣伝費として損金処理できる特例があります。

この特例を使う場合、継続適用が条件です。


つまり翌年度以降も同じ処理をする必要があります。


広告宣伝費の貯蔵品計上と期末在庫の処理

カタログやポスター、ティッシュペーパーなどの広告宣伝物は、期末現在未使用のものを貯蔵品に計上する必要があります。実地棚卸を行い、未使用分を資産計上しなければなりません。

ただし例外があります。毎期おおむね一定量を取得し、経常的に支出するもので、継続的に一定量の消費が行われている場合は、取得時の一括損金算入が認められます。


継続性が鍵です。



広告宣伝用の見本品(無償サンプル)については、未使用分を期末に貯蔵品として資産計上するのが原則です。サンプルだからといって在庫管理を怠ると、税務調査で指摘されます。

期末棚卸をしっかり行い、未使用の広告物を正確に把握することが必要です。


在庫管理台帳をつけておけば大丈夫です。


広告宣伝費として否認されないための記録保存方法

税務調査で「これは広告宣伝目的でした」と口頭で主張しても、客観的な証拠がなければ認められません。


記録が重要です。



仕訳時には「広告媒体名」「キャンペーン名」「目的」を簡潔に記載しましょう。例えば「○○新聞広告・新商品Aキャンペーン・一般消費者向け認知拡大」のように具体的に書くことが推奨されます。


参考)広告宣伝費とは?勘定科目・消費税・相場・税務処理までポイント…

支出の際には以下の証拠を残しておくべきです。広告の企画書や見積書、実際の広告物の写真やスクリーンショット、配布先や掲載媒体の情報、効果測定データなどです。

特に高額な広告費を計上する場合は、事業計画書や予算会議の議事録も保管しておくと安心です。


根拠を持って説明できれば問題ありません。


広告宣伝費における消費税の課税区分と注意点

広告宣伝費は原則として消費税課税対象となります。広告代理店などの外部業者に支払う広告宣伝費には、通常、消費税が課税されます。


参考)勘定科目「広告宣伝費」とは?該当費用・類似科目との違い・仕訳…


支払った消費税額は税務上の仕入税額控除の対象にできます。


これは事業者にとって重要なメリットです。



ただし例外があります。海外見本市での出店など、海外で行われる広告活動は消費税の対象外となる場合があります。国内取引か国外取引かで判定が変わるということですね。

仕訳時には課税仕入れの扱いで処理する必要があります。経理ソフトで「課税仕入10%」を選択すれば大丈夫です。

関連会社の広告宣伝費を負担した場合の寄附金認定リスク

関連会社の広告宣伝費を負担する場合、寄附金と認定されるリスクがあります。客観的にみて、その広告が自社の商品やサービスの優越性を訴える効果を意図していれば、広告宣伝費として損金算入できます。


参考)連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第11回 関連会社の…

しかしそうでなければ、子会社への寄附金とみなされ、費用の一部が損金不算入となります。寄附金には損金算入限度額があるため、全額経費にできなくなります。

法人税法上、金銭その他の資産の贈与または無償の供与は「寄附金」とされます。損金算入限度額を超える部分は損金にできません。

関連会社の広告に自社名やロゴが明確に表示され、自社製品の宣伝効果が認められる場合のみ、広告宣伝費として処理できます。


曖昧な場合は事前に税理士に相談すべきです。


関連会社の広告宣伝費負担の税務判断

広告宣伝費と販売促進費の実務上の使い分け

広告宣伝費と販売促進費は似ていますが、支出の目的が異なります。広告宣伝費は不特定多数への「認知拡大」、販売促進費は「購買促進」が目的です。


参考)販売促進費とは?広告宣伝費との違い・仕訳方法を解説|コラム&…


具体的には、テレビCMやインターネット広告、新聞広告は広告宣伝費です。一方、試供品やノベルティ、展示会出店、特売セールのPOP制作は販売促進費として処理します。

どちらも損益計算書の「販売費及び一般管理費」に分類される点は共通しています。


会計処理の方法も基本的に同じです。



ただし税務上の扱いが異なる場合があるため、正しく使い分けることが重要です。迷ったら「誰に向けた支出か」を考えれば判断できます。


広告宣伝費の適正額を超えた場合の説明責任

業種平均を大きく超える広告費を計上する場合、税務署への説明責任が生じます。新規事業の立ち上げやブランド刷新など、合理的な理由があれば認められます。

説明に必要な資料は以下の通りです。事業計画書(新規顧客獲得目標、予想売上など)、広告効果測定データ(クリック数、コンバージョン率など)、競合他社の広告費データ、経営会議の議事録などです。


特に重要なのは「将来の収益につながる投資である」という説明です。単なる浪費ではなく、戦略的な投資であることを数字で示す必要があります。

高額な広告費を計上する前に、税理士に相談して説明資料を準備しておくと安心です。


事前準備が否認リスクを大幅に減らします。


広告宣伝費の税務調査で否認された場合の対応方法

税務調査で否認された場合、修正申告または更正が必要となります。追徴課税として不足分の税金と附帯税が課される可能性があります。

否認を回避するための交渉ポイントは5つです。調査官に指摘の理由を確認する、根拠を持って対応する、誤りがあれば正直に認める、質問調書の内容をしっかり確認する、税理士に立ち会ってもらう、です。

指摘を覆すために最も重要なのは証拠や根拠です。「経費として必要だった」と口頭で訴えても効果はありません。


客観的な証拠を提示することが必要です。



質問調書に事実ではない内容が含まれている場合は、修正を依頼できます。法律上は署名を拒否することもできますが、税務調査が長引く可能性があるため、協力的な姿勢で適切に対応すべきです。

不服がある場合は、不服申し立ての手続きも可能です。ただし、専門的な手続きになるため税理士のサポートが不可欠です。




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