寡婦控除 条件を満たすための要件と所得制限の注意点

寡婦控除 条件を満たすための要件と所得制限の注意点

寡婦控除 条件

死別の場合は扶養親族がいなくても申告できる

寡婦控除の3つのポイント
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対象者は女性のみ

夫と離婚または死別した女性で、合計所得金額500万円以下の方が対象となります

💰
控除額は27万円

所得税から27万円、住民税から26万円が控除されます

📋
申告方法は2通り

年末調整または確定申告で申請できます。申告漏れがあっても5年以内なら還付申告が可能です

寡婦控除の対象者となる基本条件


寡婦控除の対象となるのは、女性で合計所得金額が500万円以下であり、住民票に事実婚の記載がない方です。法律上の婚姻関係があったことが前提となるため、事実婚の場合は対象外となります。


基本条件の確認項目:

  • 女性であること
  • その年の12月31日時点で要件を満たしていること
  • 合計所得金額が500万円以下であること
  • 住民票に事実婚の記載がないこと

これらすべてを満たす必要があります。

夫と離婚した場合は、子以外の扶養親族がいることが必要です。一方、夫と死別した場合または夫の生死が明らかでない場合は、扶養親族がいなくても寡婦控除を受けられます。死別と離婚で扱いが異なる点に注意が必要です。


寡婦控除の合計所得金額500万円の計算方法

合計所得金額とは、給与所得だけでなく事業所得、不動産所得雑所得などすべての所得を合計した金額です。給与収入のみの場合、年収約677万円が合計所得金額500万円の目安となります。


参考)年末調整における寡婦控除とは?要件や申告方法、ひとり親控除と…

つまり給与収入換算で677万円です。

合計所得金額の計算に含まれる所得:

  • 給与所得
  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 雑所得(年金など)
  • 一時所得
  • 譲渡所得

遺族年金などの非課税所得は合計所得金額に含まれません。所得の種類により控除の計算が異なるため、正確な把握が重要です。


国税庁の公式サイトでは寡婦控除の詳細が確認できます。


国税庁 No.1170 寡婦控除

寡婦控除とひとり親控除の違いと優先順位

ひとり親控除は婚姻歴の有無を問わず、未婚のひとり親を含む全ての性別の人が対象となります。控除額は35万円で、寡婦控除の27万円より高額です。


参考)令和2年分からの「ひとり親控除」と「寡婦控除」を整理してみま…


両方の要件に該当する場合は、ひとり親控除が優先して適用されます。


二重適用はできません。


項目 寡婦控除 ひとり親控除
対象の性別

女性のみ
参考)寡婦控除とは?適用条件や申告方法、ひとり親控除との違いについ…

男女どちらも​
婚姻歴 法律上の婚姻歴が必要​ 婚姻歴は問わない
扶養親族 子以外でも可​ 生計を一にする子が必要​
控除額(所得税)

27万円
参考)誤りが多い所得控除「寡婦控除と寡夫控除」の適用要件について

35万円​
所得制限 500万円以下​ 500万円以下​

寡婦控除は子以外の親族(親や祖父母など)を扶養している場合も適用できます。


これが原則です。


寡婦控除の申告方法と年末調整での手続き

寡婦控除の申告は、年末調整または確定申告で行います。年末調整の場合は「給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の「寡婦」欄にチェックを入れて提出します。


確定申告の場合は、確定申告書第二表の「本人に関する事項」欄の「寡婦」に〇をつけ、「死別・離婚・生死不明・未帰還」のうち該当するものにチェックを入れます。

手続きの方法は3通りです:

  • 税務署窓口への直接持参
  • 郵送での提出
  • e-Taxを利用した電子申告

どの方法でも申告できます。

年末調整で申告を忘れた場合、会社側で修正申告することはできません。


従業員自身で確定申告を行う必要があります。


期限後でも還付申告であれば5年以内は受け付けてもらえます。

寡婦控除の申告漏れと修正方法

寡婦控除は誤りが多く、控除を受けていないケースが見られます。国税庁も「誤りの多い事例」として寡婦控除の適用漏れを挙げています。


年末調整で申告を忘れた場合は、還付申告を行います。確定申告期間内に気がついた場合は改めて申告書を作成して期限までに提出し、期限後に訂正する場合は「更正の請求」を行います。

還付申告の期限は5年間です:

  • 還付申告:申告対象となる年の翌年1月1日から5年間可能​
  • 更正の請求:申告期限から5年間可能​

控除の適用を受け忘れたことに気づいたら、速やかに所轄税務署へ申請を行いましょう。年末調整は一度完了すると税務署からの依頼がない限り内容を修正できないルールのため、個人で対応する必要があります。


確定申告による寡婦控除の申告は年末調整よりも手続きが複雑になるため注意が必要です。

寡婦控除における事実婚と法律婚の扱い

寡婦控除の対象となるには、過去に法律上の婚姻関係があったことが必要です。内縁関係、いわゆる事実婚である場合には、役所に届け出る法的な結婚の手続きを行なっていないため、寡婦控除の適用対象外となります。


法律婚が必須です。


事実婚の場合の注意点:

  • 事実婚の夫と別れた場合は対象外​
  • 控除を適用するために籍を抜いたり入れたりしても対象にならない​
  • 住民票に事実婚の記載がある場合は適用不可​

これらに該当すると申告できません。


また、現在事実婚状態にある場合も寡婦控除は受けられません。住民票の記載内容が判定基準となるため、届出状況を確認することが重要です。

弥生株式会社の寡婦控除の解説記事では、適用要件とひとり親控除との違いが詳しく説明されています。


弥生 寡婦控除とは?適用要件やひとり親控除との違い、申告方法

寡婦控除における離婚と死別の違い

夫と離婚した後婚姻していない場合は、扶養親族または生計を一にする子がいることが寡婦控除の要件となります。


扶養親族がいない場合は対象外です。



一方、夫と死別した後婚姻していない場合、または夫の生死が明らかでない場合は、扶養親族がいない人でも本人の合計所得金額が500万円以下であれば寡婦に該当します。

状況別の要件:

  • 離婚後:扶養親族が必要、所得500万円以下​
  • 死別後:扶養親族不要、所得500万円以下のみで可​
  • 生死不明:扶養親族不要、所得500万円以下のみで可​

離婚と死別で扱いが異なります。


この違いは税務担当者でも見落としやすいポイントです。従業員の状況を正確に把握し、適切な控除適用を案内することが重要です。

寡婦控除の税務調査における確認項目

寡婦控除は適用判断で誤りが多いため、税務調査でも重点的にチェックされる項目です。離婚・死別の時期や、その後の状況によって適用可否が変わることがあります。

税務調査で確認される主な項目:

  • 婚姻関係の証明(戸籍謄本など)
  • 離婚・死別の時期と年度
  • 扶養親族の有無と関係性
  • 合計所得金額の正確な計算
  • 事実婚の有無(住民票の記載)
  • 再婚の有無と時期

これらを書類で証明します。


特に合計所得金額の計算では、すべての所得を正確に把握する必要があります。給与収入だけでなく、副業収入、不動産収入、株式の譲渡益なども含めて計算しなければなりません。

また、年の途中で再婚した場合、その年の12月31日時点で婚姻していれば寡婦控除は適用できません。


判定時点の確認が重要です。





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