賦課課税方式の一覧と申告納税方式との違いを徹底解説

賦課課税方式の一覧と申告納税方式との違いを徹底解説

賦課課税方式の一覧と申告納税方式の違いを徹底解説

固定資産税を払いすぎていても、5年分しか取り戻せません。


この記事でわかること
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賦課課税方式の対象税金一覧

固定資産税・住民税・自動車税など、国税・地方税に分けて対象税金をまとめて解説します。

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申告納税方式との根本的な違い

「自分で計算するか、役所が計算するか」の違いが、納税者にとってどんな影響をもたらすかを解説します。

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賦課課税方式で知らないと損するポイント

固定資産税の過払い還付・加算税のリスク・住民税と副業の関係など、お金に直結する実務情報を紹介します。


賦課課税方式とは何か:申告納税方式との根本的な違い

「賦課課税方式(ふかかぜいほうしき)」という言葉、税金の勉強を始めると必ず出てくる用語ですが、意外と混乱しやすいポイントがあります。まずはその仕組みを、申告納税方式と対比しながら整理しましょう。


税金の納付方法は、大きく2種類に分類されます。ひとつは申告納税方式、もうひとつが賦課課税方式です。この2つの最大の違いは「誰が税額を計算するか」です。


申告納税方式は、納税者自身が所得や控除を計算し、申告書を作成して税額を確定させる方式です。所得税・法人税・消費税相続税・贈与税などがこれに該当します。確定申告で自分の所得をまとめる作業がまさに「申告納税方式」の象徴です。正確な申告は納税者の義務であり、過少申告や無申告には後述する加算税が課されます。


これに対して賦課課税方式は、国や地方公共団体など税務官庁が税額を計算し、「いくら払ってください」と納税者に通知する方式です。つまり、納税者はその通知書に書かれた金額を期日までに払うだけでOKです。手間がない分、「役所任せ」になりやすく、誤りが発生しても気づきにくいという側面もあります。これは重要な点です。


法的な根拠は国税通則法第16条第1項第2号に定められています。昭和22年の税制改正以前は、所得税も賦課課税制度が採用されていましたが、戦後のシャウプ勧告による改革で申告納税制度に移行しました。つまり、申告納税は「民主主義の税制」として設計された歴史があります。


つまり「通知が来たら払う税金=賦課課税方式」が基本です。




参考:国税庁「申告と納税の仕組み」より、賦課課税制度と申告納税制度の根拠に関する公的解説
国税庁:申告と納税の仕組み(PDF)


賦課課税方式の対象税金一覧:国税と地方税に分けて整理

賦課課税方式が採用されている税金は、国税と地方税の2つのカテゴリに分かれます。ここを一覧として整理すると、日常生活や資産運用に直結する税金ばかりだと気づくはずです。


【国税】賦課課税方式が適用される税金


国税のうち賦課課税方式が適用されるのは、主に「ペナルティ系の税金」です。具体的には以下のとおりです。


- 過少申告加算税:正しく申告しなかった場合に課される加算税。税率は10〜15%(2024年1月以降の改正後)
- 無申告加算税申告期限までに申告しなかった場合に課される。税率は原則15%、調査により発覚した場合は高くなる
- 不納付加算税:源泉徴収税等の納付が遅れた場合に課される。税率は10%
- 重加算税:意図的な隠蔽や仮装があった場合に課される最も重いペナルティ。過少申告に代わる場合は35%、無申告に代わる場合は40%
- 過怠税:印紙税の納付漏れがあった場合に課されるペナルティ


これらは自分で申告するものではなく、税務署の調査や判断によって「賦課決定通知書」が送付される形になります。受け取った側は原則として修正申告ができず、不服があれば審査請求という形で争う必要があります。


【地方税】賦課課税方式が適用される税金


地方税は、賦課課税方式が特に多く採用されている分野です。日常生活に密接な税金が並びます。


| 税金の種類 | 課税主体 | 納付方法 |
|---|---|---|
| 個人住民税均等割・所得割) | 市区町村 / 都道府県 | 特別徴収(天引き)または普通徴収 |
| 固定資産税 | 市区町村 | 普通徴収(納税通知書) |
| 都市計画税 | 市区町村 | 固定資産税と同時 |
| 不動産取得税 | 都道府県 | 納税通知書による |
| 自動車税(種別割) | 都道府県 | 納税通知書による |
| 個人事業税 | 都道府県 | 普通徴収 |
| 軽自動車税(種別割) | 市区町村 | 納税通知書による |


地方税の賦課課税方式では、税務当局が「賦課決定通知書」または「納税通知書」を送付することで税額が確定します。これが来て初めて「いくら払うべきか」がわかる仕組みです。


通知書が届いたら金額確認が必須です。




参考:関東信越税理士会「はじめての税金」申告納税方式と賦課課税方式の税目一覧の確認に有用
関東信越税理士会:申告納税方式と賦課課税方式


賦課課税方式の中でも要注意:加算税の種類と税率を深掘り

賦課課税方式が適用される国税の中でも、特に知っておきたいのが「加算税」の仕組みです。申告納税方式で申告・納付を誤ると、税務署がこの賦課課税方式で加算税を課してきます。つまり、申告납税方式と賦課課税方式は切り離せない関係にあるわけです。


加算税は大きく4種類に分類され、それぞれに異なる要件と税率が設定されています。


① 過少申告加算税
申告はしたが、金額が少なかった場合に課されます。本来の税額との差額(追加本税)に対して原則10%が課されます。ただし、追加本税が50万円を超える部分については15%となります(2023年12月31日以前と変わらず)。自主的に修正申告した場合は課されません。


② 無申告加算税
申告自体をしなかった場合に課されます。2024年1月1日以降の改正では、税率が本税50万円以下の部分は15%、50万円超300万円以下は20%、300万円超は30%と、より段階的・厳格になりました。これは2024年度税制改正による強化です。かつての「20万円以上稼いでも黙っていれば大丈夫」という感覚は通用しなくなっています。厳しいところですね。


③ 不納付加算税
給与から天引きすべき源泉所得税を期限内に納付しなかった場合に課されます。税率は原則10%ですが、督促される前に自主的に納付すれば5%に軽減されます。


④ 重加算税
故意に帳簿を偽造したり、所得を隠蔽したりした場合に課されます。これが最も重く、本来の過少申告加算税に代わって35%、無申告加算税に代わって40%が課されます。さらに、過去5年以内に同様のペナルティを受けたことがある場合は税率がさらに10%加算されます。一度でも重加算税を課されると翌回は最大50%になる計算です。


これは使えそうな知識です。


加算税は賦課課税方式で確定されるため、自分で修正できる余地がありません。税務署から「賦課決定通知書」が届いた時点で税額が確定し、異議申立ては処分を知った日の翌日から3ヶ月以内という期限付きです。通知を受け取ったら即日確認が必要です。




参考:freee「延滞税・加算税の種類と税率まとめ」加算税の税率と適用条件の詳細確認に有用
マネーフォワードクラウド:延滞税・加算税の種類と税率


固定資産税は賦課課税方式だから「払いすぎ」が発生しやすい

賦課課税方式の代表格である固定資産税は、役所が計算して通知書を送ってくる仕組みですが、この「役所任せ」の構造が思わぬ落とし穴になることがあります。固定資産税は不動産を保有している限り毎年課税され、更地・建物・農地それぞれに複雑な評価基準が設けられています。


役所の計算は完璧ではありません。


実際のところ、固定資産税の課税ミスは全国的に報告されています。たとえば、建物を取り壊して更地にしたのに「住宅用地の特例(軽減措置)」が継続適用されたまま課税されているケース、地目(土地の利用区分)の変更が反映されずに過大な評価額で課税され続けているケース、店舗等の廃業届を出したのに事業用資産として課税され続けているケースなどがあります。こうした誤りが数年にわたって続いた場合、合計すると数十万円単位の過払いになることもあります。意外ですね。


還付が認められる期間は直近5年分が原則です。ただし、市区町村が評価額の誤りを正式に認定した場合、状況によっては最大20年分まで遡って返還を受けられた判例も存在します。つまり「5年過ぎたから諦める」のは早計かもしれないということです。


還付を受けるための手順は以下のとおりです。


1. 市区町村の税務担当窓口で固定資産課税台帳(縦覧帳簿)を確認する
2. 地目・床面積・減額特例の適用状況などに誤りがないかチェックする
3. 誤りが疑われる場合は「審査の申出」または「審査請求」を行う
4. 市区町村がミスを認めたら「還付請求」の手続きへ進む


審査の申出ができる期間は、納税通知書を受け取った日の翌日から3ヶ月以内というのが一般的です。毎年4〜5月頃に届く固定資産税の納税通知書を受け取ったら、金額だけでなく課税明細書の内容も確認する習慣をつけましょう。疑問があればすぐ確認が条件です。


不動産を複数所有している投資家や、過去に用途変更・建物解体・事業廃止などを行ったことがある方は、固定資産税の課税内容を税理士に点検してもらうことも選択肢のひとつです。




参考:三菱UFJ不動産販売「課税ミスにより払いすぎた固定資産税の返還請求」について判例をもとに解説
三菱UFJ不動産販売:払いすぎた固定資産税の返還請求について


住民税の賦課課税方式が「副業バレ」の仕組みをつくっている

金融や資産運用に関心の高い方の中には、副業や投資収益を持つ方も多いはずです。ここで重要になるのが、個人住民税が賦課課税方式を採用しているという事実です。この仕組みが、意図せず勤務先に副業を知られてしまう「副業バレ」の構造を生み出しています。


住民税の計算の流れを確認しましょう。所得税は申告納税方式であり、確定申告をすることで自分の所得を税務署に伝えます。その確定申告情報をもとに市区町村が住民税額を計算し、「特別徴収税額通知書」を会社に送付します。これが賦課課税方式の動きです。会社はこの通知書に記載された金額を毎月の給与から天引きして納付します(特別徴収)。


ここで問題が起きます。副業収入を含めた合計所得をもとに住民税が計算されると、住民税の天引き額が本業の給与だけの場合より高くなります。会社の経理担当者はこの変化に気づき、「何か収入が増えたのでは?」と察知することがあるのです。


副業が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税の申告は別途必要になる場合があり、申告を怠ると無申告の状態になります。これは「20万円以下なら何もしなくてOK」と思っている人が陥りやすい落とし穴です。


対策として有効なのは、確定申告書の提出時に「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択することです。こうすることで、副業分の住民税は会社経由の特別徴収ではなく、自宅への納税通知書による自己納付になります。ただし、この普通徴収が認められない自治体も一部存在するため、居住地の自治体に確認するのが確実です。


賦課課税方式の「受動的な仕組み」を逆手に取ることが大切です。




参考:マネーフォワードクラウド「副業は住民税でバレる?会社にバレない方法と正しい確定申告方法」より、住民税の仕組みと副業バレの詳細
マネーフォワードクラウド:副業は住民税でバレる?