ひとり親控除とは何歳まで?所得要件と節税額を解説

ひとり親控除とは何歳まで?所得要件と節税額を解説

ひとり親控除とは何歳まで?条件・節税額・注意点を徹底解説

子供の年齢を気にしてひとり親控除を諦めているなら、年収678万円以下でも控除を受け損ねている可能性があります。


📋 この記事の3つのポイント
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子供の年齢制限はゼロ

ひとり親控除に「何歳まで」という年齢の上限はありません。成人した子供でも所得要件(年収123万円以下)を満たせば対象になります。

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所得税35万円・住民税30万円の控除

税率10%の場合、所得税で最大3.5万円、住民税で3万円の節税効果。2026年分からは控除額がさらに3万円ずつ引き上げられる予定です。

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申告漏れは5年以内なら取り戻せる

過去に申告を忘れていた場合でも、更正の請求を使えば最大5年分を遡って還付を受けることができます。


ひとり親控除とは?2020年に生まれた制度の基本

ひとり親控除は、2020年分(令和2年分)から適用が開始された比較的新しい所得控除制度です。それ以前は「寡婦控除」「特別寡婦控除」「寡夫控除」という3種類の制度に分かれており、婚姻歴がない未婚のひとり親は対象外という大きな問題を抱えていました。


この不公平を解消するために誕生したのが、現在のひとり親控除です。婚姻歴や性別を問わず、一定の要件を満たすすべてのひとり親が所得税住民税の控除を受けられるようになりました。


控除額は、所得税で35万円・住民税で30万円です。これは固定額であり、子供の年齢や人数によって変わることはありません。








制度 対象 所得税控除額
ひとり親控除(現行) 婚姻歴・性別不問 35万円
寡婦控除(現行) 婚姻歴ある女性のみ 27万円
旧・寡夫控除(廃止) 婚姻歴ある男性のみ 27万円


かつて男性のひとり親に適用されていた寡夫控除の控除額は27万円でした。ひとり親控除への一本化で、男性も35万円の控除を受けられるようになったことは実質的な改善といえます。つまり旧制度比で年間約8,000〜16,000円の節税改善です。


ひとり親控除の適用を受けるには、年末調整か確定申告で自己申告が必要です。申告しなければ自動的に控除されることはないため、要件を理解して確実に手続きを行うことが重要になります。


参考:ひとり親控除の制度概要(国税庁
国税庁「No.1171 ひとり親控除」


ひとり親控除は子供が何歳まで?年齢制限の正しい知識

検索ワードでも多く見かける「ひとり親控除は何歳まで?」という疑問ですが、正確な答えは「子供の年齢に上限はない」です。これは国税庁のQ&Aにも明示されています。


「未成年のうちしか使えない」「18歳までしか対象にならない」というのは誤解です。


子供が成人していても、大学院生でも、30代でも、次に示す所得要件と扶養要件を満たしていれば控除の対象になります。年齢制限がない点は、扶養控除(16歳以上という年齢要件あり)と大きく異なる特徴のひとつです。


子供に関する適用要件(年齢制限なし)


- 納税者と生計を一にしている子であること
- 子の総所得金額等が58万円以下(2024年分までは48万円以下)であること
- 他の人の同一生計配偶者・扶養親族になっていないこと


生計を一にする」は同居が必須ではありません。別居していても、生活費や学資金の仕送りを継続的に行っていれば対象になります。いいことですね。


注意が必要なのは子供の所得です。給与収入のみの場合、年収123万円以下が要件の目安です(2025年分以降)。123万円から給与所得控除の最低保障額65万円を引いた金額が、所得58万円以下という要件に対応します。アルバイトをする子供が増えた場合は毎年確認が必要です。


参考:国税庁「年少扶養親族とひとり親控除の関係」
国税庁「No.1171 ひとり親控除 Q&A」


ひとり親控除の3つの適用条件と所得制限のしくみ

ひとり親控除を受けるには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると適用されません。


【要件①】事実婚の関係にある人がいない


婚姻届を出していなくても、住民票の続柄欄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている場合は事実婚とみなされ、控除の対象外になります。交際相手と同居している場合は住民票の記載内容を必ず確認しておきましょう。


【要件②】生計を一にする子がいる(年齢制限なし)


前のセクションで解説した通り、子の年齢制限はありません。年収123万円以下(給与収入のみの場合)であることが主な条件です。


【要件③】本人の合計所得金額が500万円以下


給与収入でいうと、年収約678万円以下が目安です。これは給与収入から給与所得控除(年収678万円の場合は約178万円)を差し引いた金額が500万円となるためです。所得500万円が条件です。


注意が必要なのは「収入」ではなく「所得」で判定される点です。副業による雑所得不動産所得がある場合、給与所得と合算して判定されます。副業収入が数十万円あるだけで合計所得金額が500万円を超えてしまうケースもあるため、ボーダーライン付近の方は年末時点での試算をお勧めします。








要件 内容 注意点
婚姻状況 事実婚の相手がいない 住民票の記載内容で判定
子の条件 年収123万円以下・他の扶養でない 年齢制限なし
本人の所得 合計所得金額500万円以下 副業収入も含めて判定


2026年以降の制度拡充(要注目)


令和8年度税制改正により、2026年分の所得税から大きな変更が入ります。


- 本人の合計所得金額の上限:500万円 → 1,000万円以下に拡充
- 所得税の控除額:35万円 → 38万円に引き上げ
- 住民税の控除額:30万円 → 33万円に引き上げ(2027年度分から)


これまで所得制限で対象外だったひとり親世帯も、2026年分からは控除を受けられる可能性があります。


参考:こども家庭庁「令和8年度税制改正の概要」
こども家庭庁「令和8年度税制改正の概要(PDF)」


ひとり親控除で節税できる金額:年収別の具体的な計算例

ひとり親控除による節税効果は、所得税率によって変わります。節税額の計算式はシンプルです。


$$\text{所得税の節税額} = 35\text{万円} \times \text{適用税率}$$


$$\text{住民税の節税額} = 30\text{万円} \times 10\%(\text{一律}) = 3\text{万円}$$


年収別の節税効果の目安








給与年収の目安 所得税率 所得税の節税額 住民税の節税額 合計節税額
〜約330万円 5% 17,500円 30,000円 約47,500円
約330万円〜約680万円 10% 35,000円 30,000円 約65,000円
約680万円〜約900万円 20% 70,000円 30,000円 約100,000円


税率10%の方なら年間65,000円の節税です。月換算すると約5,400円の手取り増加に相当し、子供の習い事代や教材費として充当できる金額といえます。


特に見逃せないのが「課税所得が195万円のボーダーライン付近」の方です。ひとり親控除の35万円を差し引くことで課税所得が195万円を下回り、税率が10%から5%に切り替わるケースがあります。この場合、控除分だけでなく課税所得全体の税率が下がるため、節税効果はさらに大きくなります。


また、住民税が非課税になる可能性も重要です。ひとり親に該当する場合、前年の合計所得が135万円以下(給与収入約204万円未満)であれば住民税が全額非課税になります。一般の単身者の非課税基準(合計所得45万円以下)と比べると、ひとり親は格段に広い非課税範囲が設定されています。住民税が非課税になると、国民健康保険料の減額や就学援助の対象になるなど、税の節約以上の恩恵を受けられる場合があります。


ひとり親控除と扶養控除の併用で98万円の控除が可能な独自戦略

多くの解説では見落とされがちなポイントですが、ひとり親控除と扶養控除は条件を満たせば同時に使えます。これは非常に大きなメリットです。


子供が16歳以上で、かつひとり親控除の要件(年収123万円以下・他の扶養でない)を満たしている場合、両方の控除を同時に申告できます。


例:20歳の子供を扶養している場合(所得税)


$$\text{ひとり親控除} + \text{扶養控除(特定扶養親族)} = 35\text{万円} + 63\text{万円} = 98\text{万円}$$


$$\text{住民税の控除合計} = 30\text{万円} + 45\text{万円} = 75\text{万円}$$


合計98万円の所得控除は非常に大きな金額です。所得税率10%の場合、98万円×10%=9.8万円の所得税削減になります。住民税と合わせると年間で約17万円規模の節税になる計算です。


子供の年齢によって扶養控除の区分は変わります。


- 16〜18歳:一般扶養親族→所得税38万円
- 19〜22歳:特定扶養親族→所得税63万円(最大)
- 23歳以上:一般扶養親族→所得税38万円


一方、ひとり親控除と寡婦控除の同時利用は不可です。両方の要件を満たす場合は、控除額の大きいひとり親控除が優先されます。寡婦控除は27万円・ひとり親控除は35万円なので、ひとり親控除が優先されることは納税者に有利な扱いです。


子供が16歳以上なら両方請求が原則です。年末調整の「給与所得者の扶養控除等申告書」に、ひとり親のチェックと子供の扶養欄の両方を記載することを忘れずに確認してください。


参考:ひとり親控除と他の控除との関係(freee)
freee「ひとり親控除とは?対象者や寡婦控除との違い・申請方法について解説」


ひとり親控除の申告漏れ・よくある落とし穴と申告方法

ひとり親控除は申告しなければ自動で適用されません。実務上、思い込みによる申告漏れが多く発生している制度でもあります。代表的な落とし穴を確認しておきましょう。


❶ 子供のアルバイト収入が増えた年(要注意)


子供のアルバイト収入が年間123万円を超えると、総所得金額等が58万円を超えてひとり親控除の対象外になります。痛いですね。副業も給与に合算されるため、バイト+業務委託の収入合計で判定が変わるケースも多いです。


❷ 養育費を支払っている場合の二重申告は不可


養育費を元配偶者に継続して支払っている場合、「生計を一にする」と判定されて元配偶者もひとり親控除(または扶養控除)を申告できる状況になることがあります。ただし、1人の子供について両親が同時に控除を受けることはできません。どちらが申告するかを事前に確認・調整しておく必要があります。


❸ 住民票の「未届の夫・妻」記載による否認


交際相手と同居して住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されていると、事実婚と判定されて控除が否認されます。申告前に住民票を取得して確認することを強くおすすめします。


❹ 12月31日時点の状況で判定される


年の途中までひとり親の要件を満たしていても、12月31日に再婚している・事実婚状態であれば、その年の控除は受けられません。逆に、年の途中で離婚・死別・未婚出産によりひとり親になった場合でも、12月31日時点で要件を満たしていれば控除の対象です。


申告方法


- 会社員・パート:毎年秋の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「C欄」にある「ひとり親」にチェック
- 個人事業主・フリーランス:確定申告書第一表の「寡婦、ひとり親控除」欄に「35(0000)」と記入、第二表の「本人に関する事項」に「ひとり親」と丸印


添付書類は原則不要です。特別な証明書を求められることはありません。


申告漏れに気づいたら5年以内に取り戻せる


過去の申告でひとり親控除を申告し忘れていた場合でも、法定申告期限から5年以内であれば「更正の請求」で還付を受けられます。たとえば2021年分の申告漏れは2026年中であれば対応可能です。所轄の税務署に更正の請求書を提出してください。還付には期限があります。


確定申告の申告方法詳細(弥生)
弥生「ひとり親控除とは?適用要件や寡婦控除との違い、申請方法を解説」