

2020年の制度改正で寡夫控除は廃止されました。
参考)「特別の寡婦」「寡夫」廃止。新設「ひとり親控除」の適用対象は…
「寡夫」は「かふ」と読みます。「寡」という漢字は「少ない」「乏しい」という意味を持ち、配偶者を失った状態を表現しています。寡婦(かふ)も同じ読み方ですが、寡婦は女性、寡夫は男性を指す点が異なります。
参考)「寡夫」と「寡婦」の違い・使い分け!「かふ」の同音異義語 &…
税務実務では、この読み方を正しく理解しておくことが重要です。電話での問い合わせや口頭での説明時に「かふ」という発音だけでは男女の区別がつかないため、「男性の寡夫」「女性の寡婦」と補足説明するのが基本です。
参考)https://www.token.co.jp/estate/useful/archipedia/word.php?jid=00019amp;wid=07619amp;wdid=01
つまり発音は同じということですね。
読み間違いを防ぐため、税務書類では必ず漢字で記載します。「やもめ」という俗称もありますが、正式な税務用語としては「寡夫」を使用するのが原則です。音読みで「かふ」、訓読みでは「やもめ」と読むこともできますが、税務申告書類では音読みの「かふ」を使います。
覚えておくと便利なのは、「寡」の字が入る税務用語は配偶者関連の控除を指すということです。
参考)寡婦控除とは?適用要件やひとり親控除との違い、申告方法をわか…
2020年3月まで存在していた寡夫控除の適用要件は、次の3つすべてを満たす必要がありました。
参考)No.1172 寡夫控除|国税庁
寡夫控除の3要件(2020年3月まで)
これらは原則として、その年の12月31日の現況で判断されました。
3つの要件すべてが必須です。
特に注意が必要なのは、寡夫の場合は「子がいること」が必須条件だった点です。一方で寡婦の場合は子がいなくても控除を受けられるケースがあり、男性の方が要件が厳しく設定されていました。所得金額500万円以下という制限は、給与所得者であれば年収約688万円が目安になります。
参考)一般の寡婦・特別の寡婦・寡夫とは【要件、所得500万円以下の…
控除額は27万円でした。所得税率が5%の場合、実際の税負担軽減額は約1万3500円、住民税と合わせると年間約4万円程度の節税効果がありました。税務担当者は従業員の年末調整時に、この要件を満たす人を見落とさないよう注意する必要がありました。
参考)忘れると税金アップ!確定申告は寡婦・寡夫の控除にご用心
事実婚の場合は対象外です。
2020年4月(令和2年分の所得税)から、従来の寡夫控除と特別の寡婦控除は廃止され、新たに「ひとり親控除」が新設されました。この改正により、男女の区別なく統一的な控除制度に変更されています。
制度改正のポイント
改正で控除額が増えました。
ひとり親控除の要件は、所得500万円以下、同一生計の子あり、事実婚でないことの3つです。従来の寡夫控除を受けていた人は、ひとり親控除に自動的に移行し、控除額が27万円から35万円に増額されています。税負担の軽減幅は年間で所得税と住民税合わせて約8,000円増加しました。
参考)2020年分より確定申告に関する税制改正②~「ひとり親控除」…
税務担当者は2020年以降の申告では「寡夫」という用語を使わず、「ひとり親」として処理します。過去の年度の修正申告や更正請求では、その年度の制度に基づいて寡夫控除を適用する必要があるため注意が必要です。システムや帳票の更新も確認しておきましょう。
古い制度名は使えません。
寡夫と寡婦の最も大きな違いは性別です。
寡夫は男性、寡婦は女性を指します。
しかし税務上の取扱いでは、それ以上に重要な違いがありました。
寡夫と寡婦の要件比較(2020年3月まで)
| 項目 | 寡夫(男性) | 寡婦(女性) |
|---|---|---|
| 所得制限 | 500万円以下必須 | 一部要件では制限なし |
| 子の有無 | 必須 | なしでも可(死別の場合) |
| 控除額 | 27万円 | 27万円または35万円 |
男性の方が条件が厳しかったです。
寡夫は3つの要件をすべて満たす必要がありましたが、寡婦の場合は夫と死別後に再婚していない女性で所得500万円以下であれば、子がいなくても控除を受けられました。また、子がいて所得500万円以下の寡婦は「特別の寡婦」として35万円の控除が適用されていました。
この不公平さが2020年改正の背景にあります。ひとり親控除の新設により、男女の区別なく同じ要件で同じ控除額(35万円)が適用されるようになりました。税務担当者は従業員に制度変更を説明する際、改正前の不公平な扱いがなくなったことを強調すると理解が深まります。
現在は男女平等になっています。
寡夫控除(現在のひとり親控除)は、本人が申告しなければ適用されない制度です。税務担当者として最も注意すべきは、該当者の申告漏れです。
申告漏れが発生すると、従業員本人が本来受けられる控除を受けられず、余分な税金を支払うことになります。年末調整で見落とした場合、確定申告で訂正できますが、手間がかかります。過去5年分まで遡って更正の請求ができるため、気づいた時点で速やかに対応しましょう。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/widow_deduction/
5年前まで遡れます。
会社側の責任という観点では、年末調整で正しく処理しなかった場合、再調整が必要になり事務負担が増加します。該当者が多い場合は修正作業に相当な時間がかかることもあります。従業員からの信頼を失うリスクもあるため、年末調整の際には該当者の確認を徹底することが重要です。
国税庁のひとり親控除・寡婦控除の詳細ページで最新の要件を確認できます。
参考)No.1170 寡婦控除|国税庁
確認漏れは会社の信用を損ないます。
申告が必要な従業員には、年末調整の書類配布時に個別に声をかけるなど、積極的な周知が効果的です。離婚や死別という個人的な事情に関わるため、プライバシーに配慮した対応を心がけましょう。チェックリストを作成して、該当可能性のある従業員を把握しておくのも一つの方法です。
個人事業主や副業をしている従業員が自分で確定申告をする場合、寡夫控除(ひとり親控除)の申告を忘れることがあります。確定申告そのものを怠った場合は、さらに深刻なペナルティが発生します。
参考)確定申告をしていない(無申告)とどんなペナルティ(罰金)があ…
確定申告が必要なのに申告しなかった場合、無申告加算税(15%~20%)が課されます。さらに納税が遅れたことによる延滞税(年2.4%~8.7%)も加算されます。悪質と判断されれば重加算税(35%~40%)が適用され、最大で未納税額の70%に延滞税を加えた額を支払うことになります。
参考)確定申告をしないとどうなる?ペナルティやデメリットを税理士が…
最大70%の追徴です。
例えば本来の納税額が30万円だった場合、重加算税40%と延滞税を合わせると、追加で21万円以上を支払う可能性があります。これは東京ディズニーランドの年間パスポート約2枚分に相当する金額です。社会的信用を失ったり、悪質な場合は刑事罰の対象になることもあります。
税務調査で発覚すれば問題です。
税務担当者は、副業をしている従業員や個人事業主の従業員に対して、確定申告の重要性と期限(通常3月15日)を周知する必要があります。会社が源泉徴収していない収入がある場合は特に注意が必要です。国税庁の確定申告特設サイトを案内するなど、情報提供を積極的に行いましょう。
期限内の申告が絶対です。