ステーキング報酬の課税と確定申告で知らないと損する仕組み

ステーキング報酬の課税と確定申告で知らないと損する仕組み

ステーキング報酬の課税で知らないと追徴税を払うことになる落とし穴

売却していないのに、受け取っただけで税金が発生して手元の現金が消えることがあります。


この記事のポイント3選
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課税は「受取時」と「売却時」の2回ある

ステーキング報酬は日本円に換金していなくても、受け取った瞬間に雑所得として課税対象となります。税率は最大55%。売却時にも別途課税されます。

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20万円以下でも申告が必要なケースがある

「年間20万円以下なら申告不要」という常識は、医療費控除などを申請する年には通用しません。数千円の報酬でも全額申告義務が生じます。

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海外取引所・DEXも日本の課税対象

BinanceなどのDEXやDeFiでのステーキングも、日本居住者であれば日本の税法が適用されます。「海外だから申告不要」は通用しません。


ステーキング報酬の課税タイミングはいつ?「受取時」が最初の課税ポイント


ステーキング報酬に関して、多くの人が真っ先に思い込むのは「売って日本円にしたときに税金がかかる」という認識です。しかし、これは誤りです。


国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」では、ステーキングにより暗号資産を取得した場合、その取得時点の時価(円換算額)が総収入金額に算入されると明記されています。つまり、報酬を受け取ったその瞬間に所得が確定し、課税対象になるということです。


実際の動きを具体例で見てみましょう。



  • 2026年4月15日に、ETHのステーキング報酬として0.1ETHを受け取った

  • 受け取った時点のETH価格が1ETH=40万円だった場合、4万円が雑所得として課税対象になる

  • この0.1ETHを売却せず、そのまま保有していても、4万円の所得は発生済みとして扱われる


つまり、受け取った暗号資産を売っていなくても、その年の年収(所得)の一部として計算しなければなりません。これが一番の勘違いポイントです。


さらに重要なのが、ステーキング報酬は毎週・毎月など高頻度で付与されるケースが多いという点です。たとえばETHのステーキングでは、報酬が数日単位で付与されることもあります。そのたびに「受け取った日の時価×数量」を記録して課税額を計算しなければならないため、記録管理の手間は想像以上に大きくなります。


記録管理が面倒に感じる場合、クリプタクト(Cryptact)やGtaxなどの損益計算ツールを使うと、取引履歴を自動で取り込んで計算を効率化できます。確定申告シーズンに慌てないよう、日頃から準備しておくことが大切です。


参考:国税庁が公開しているステーキング・マイニング・レンディングへの課税方針(FAQの1-6)は以下から確認できます。


国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」|ステーキング・マイニング・レンディングに関する課税の根拠が示されている公式文書


ステーキング報酬の課税は2回ある?売却時の計算方法と総平均法の落とし穴

「二重課税では?」という声をよく耳にします。結論から言えば、二重課税ではありません。ただし、課税のタイミングが2回あることは事実です。


課税が発生する2つのタイミングはこの通りです。



  • ① 報酬を受け取った時点:受取時の時価が「雑所得」として課税される

  • ② 受け取った報酬を売却した時点:取得価額(受取時の時価)と売却価額の差額が「雑所得」として課税される


①と②は別々の所得として計算されるだけで、同じ利益に二重に税金がかかるわけではありません。これが解説のポイントです。


売却時の計算には「総平均法」が原則として適用されます。総平均法とは、1年間に取得した同じ銘柄の暗号資産の総額を、総数量で割って平均取得単価を算出する方法です。ここに落とし穴があります。


たとえば次のような状況を考えてみましょう。



  • 年初に1ETHを25万円で購入した

  • その後、ステーキング報酬として0.5ETHを30万円相当(1ETH=60万円のとき0.5ETH)で受け取った

  • 合計1.5ETH、取得総額は55万円。平均取得単価は55万円÷1.5ETH≒36.7万円


この状態で1ETHを50万円で売却した場合、50万円-36.7万円=13.3万円の利益として課税されます。報酬を受け取ったときと、売却したときで課税額が連動するため、取得単価の管理を怠ると計算が大幅にずれてしまいます。


複数の取引所で同じ銘柄を持っている場合も、全口座合算で平均取得単価を計算する必要があります。これは多くの投資家が見落としやすい点です。総平均法は届出なしで自動適用されますが、移動平均法への変更も可能(税務署への届出が必要)なため、自分の取引スタイルに合わせて選ぶことを検討してみてください。


ステーキング報酬の課税が「20万円以下でも申告必要」になる意外な条件

会社員だからステーキング報酬が20万円以下なら申告不要でしょ?」と思っている方は多いはずです。ところが、この常識が通じない例外ケースが存在します。


会社員(給与所得者)の場合、給与所得と退職所得以外の所得(つまりステーキング報酬などの雑所得)が年間20万円以下なら確定申告は不要というルールがあります。これ自体は正しい理解です。


しかし次の状況では、20万円以下でも確定申告が必要になります。



  • 医療費控除を申請する年:自ら確定申告をする場合、全所得を申告しなければならない

  • 住宅ローン控除の初年度:年末調整では処理できないため、確定申告が必要になる

  • ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合:同様に確定申告が必要になる

  • 副業収入などと合算して20万円を超える場合:ステーキング報酬単体は少額でも、他の収入と合計して20万円超になれば申告義務が発生する


厳しいところですね。つまり、「医療費が年間10万円を超えたから医療費控除を申請しよう」と思って確定申告を始めた途端に、わずか数千円のステーキング報酬も全て申告しなければならなくなるわけです。


このことを知らずに、医療費控除だけ申告してステーキング報酬を申告漏れにしてしまうケースが実際に起きています。小さな報酬だからと油断しないことが肝心です。


また、20万円以下で確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要なケースがあります。確定申告をしないで住民税の申告も怠ると、後から市区町村から指摘を受けることになります。住んでいる自治体の住民税申告ルールも確認しておくと安心です。


参考:仮想通貨の課税額・申告要否の判断基準については、三菱UFJ銀行の解説ページもわかりやすくまとめられています。


三菱UFJ銀行「暗号資産(仮想通貨)の税金はいくらから?確定申告が必要なケース」|会社員・個人事業主それぞれの申告要否基準が丁寧に解説されている


ステーキング報酬の課税を無申告にすると税務署にバレて無申告加算税が課された実例

「税務署に申告の仕方を相談していたから、申告が遅れても問題ないはず」と考えた投資家がいました。しかし実際には、その考えは国税不服審判所で認められませんでした。これは実際の裁決事例です。


令和5年5月19日の国税不服審判所の裁決によると、ある納税者が令和2年分のステーキング所得について税務署に申告方法を相談していたものの、税務署から明確な回答を得られないまま申告期限(令和3年4月15日)を過ぎてしまいました。その後、申告を行いましたが、無申告加算税(原則:税額の15%)が課されました


納税者は「税務署からの回答待ちだったので正当な理由がある」と主張しましたが、審判所は「自己の責任で期限内に申告すべき義務がある」として、この主張を認めませんでした。


つまり、次のような事情は「正当な理由」として認められません。



  • ❌ 税務署に相談中だったが、回答が得られなかった

  • ❌ 国税庁のFAQが申告期限後に公表された

  • ❌ 暗号資産のルールが不明確で判断が難しかった


現行の申告納税制度のもとでは、あくまで納税者自身が自分の責任で申告・納税を行うのが大原則です。判断に迷う部分があるなら、暫定的に申告を行い、後から更正の請求をするという方法が現実的な対策として挙げられます。


ペナルティの種類と規模はこの通りです。









ペナルティの種類 税率・条件
無申告加算税(自主申告) 税額の15%(50万円超の部分は20%)
無申告加算税(税務調査後) 税額の20%
重加算税(意図的な隠蔽) 税額の35〜40%
延滞税 年率最大14.6%(納付期限翌日から日割り計算)


痛いですね。延滞税は日割りで積み上がっていくため、気づいたときには本税よりも大きな金額になることもあります。税務署は取引所からの情報提供を受けているため、無申告は高確率で発覚します。


参考:実際の裁決事例の詳細については以下で確認できます。


伊豆順税理士事務所「暗号資産のステーキング所得に対して無申告加算税が賦課された事例(令和5年5月19日裁決)」|「税務署の回答待ち」が正当理由と認められなかった実例の解説


ステーキング報酬の課税を正しく乗り越えるための節税ポイントと2028年以降の税制変更

課税の仕組みを理解した上で、合法的に税負担を軽減する視点も持っておくことが重要です。ここでは知っておくと役立つポイントを整理します。


必要経費として計上できるものがある


ステーキングに関連した費用は、必要経費として雑所得から差し引くことができます。主な対象はこの通りです。



  • ステーキング報酬の受け取りにかかる取引手数料

  • 仮想通貨取引専用で購入したPC・スマートフォン(按分計算が必要な場合あり)

  • 取引のために利用したインターネット回線料・電気代(私用との按分が必要)

  • 仮想通貨の税務について学ぶための書籍代・セミナー参加費


ただし、「仮想通貨トレードのために使った部分」という根拠が必要です。私用と兼用のPC・回線費用は按分計算が求められます。按分割合の根拠を記録しておくことが大切です。


損益通算で税負担を抑える


同一年内の雑所得同士は損益通算が可能です。たとえば、ステーキング報酬で20万円の雑所得があった一方、他の暗号資産の売却で10万円の損失が出た場合、合算して10万円の課税所得として計算できます。これが条件です。ただし、株式や FXの損失とは通算できませんのでご注意ください。


2028年以降の税制変更を見据えた動き


2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱において、仮想通貨の申告分離課税化が正式に盛り込まれました。早ければ2028年1月以降の取引から、税率が現行の最大55%から一律20.315%へ大幅に引き下げられる見通しです。これはいいことですね。


さらに、3年間の損失繰越控除も導入される予定で、株式投資に近いルールで扱われるようになります。ただし、適用開始時期は金融商品取引法の改正法施行に依存しており、現時点では確定ではありません。



  • 2026年:現行ルール(雑所得・総合課税・最大55%)が引き続き適用

  • 2027年:移行期。金商法改正の動向を注視する必要あり

  • 2028年〜:申告分離課税20.315%、損失繰越3年が適用開始の見通し


つまり、現時点ではまだ最大55%の総合課税が適用されます。大きな報酬が見込まれる場合は、税制変更を見越した計画的な申告と、暗号資産に詳しい税理士への相談を検討することが有効です。


参考:2028年からの税制変更に関する詳細は以下で確認できます。


クリプタクト「令和8年度与党税制改正大綱における仮想通貨の分離課税化解説」|2026年税制改正大綱に基づく、申告分離課税導入の詳細と投資家への影響がまとめられている




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