総平均法と移動平均法の違いと選び方を徹底解説

総平均法と移動平均法の違いと選び方を徹底解説

総平均法・移動平均法の違いと正しい選び方

総平均法を「なんとなく簡単だから」という理由で選ぶと、実際の利益より多い税金を払うことになります。


📊 この記事の3つのポイント
🔑
計算タイミングが根本的に違う

移動平均法は「仕入れ・購入のたびに」平均単価を更新する。総平均法は「年間まとめて1回」計算する。このタイミングの差が、単年度の税額を大きく左右します。

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届出しないと自動的に総平均法が適用

個人が何も届出しなかった場合、国税庁のルール上「総平均法を選択したもの」とみなされます。移動平均法を使いたい場合は、確定申告期限(翌年3月15日)までに届出が必須です。

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一度選んだら原則3年間変更不可

どちらの計算方法を選択しても、原則として3年間は変更できません。単年度の税額だけで判断せず、自分の取引スタイルに合った方法を最初から慎重に選ぶことが重要です。


総平均法と移動平均法の基本的な仕組みと計算タイミングの違い


総平均法と移動平均法は、どちらも「購入・仕入れた資産の平均単価を求める方法」という点では共通しています。棚卸資産(企業の在庫商品)や仮想通貨(暗号資産)の損益計算で使われ、売却または払出時の「取得原価」を算出するために必要な手続きです。二つの違いは一言で言えば、「平均単価をいつ計算するか」というタイミングにあります。


移動平均法は、商品や仮想通貨を仕入れる・購入するたびに、そのつど平均単価を計算し直す方法です。たとえばガソリン車でドライブ中、いつもと違うスタンドで給油したとしましょう。すでにタンクに残っているガソリンの単価と、新しく入れた単価が異なるため、混ざった状態で「1リットルあたりいくら」を計算し直すイメージです。仮想通貨であれば、1BTCを100万円で買い、後日もう1BTC を150万円で買い増した場合、合計250万円÷2BTC=125万円/BTCが新しい平均単価となります。この125万円がその後の売却時の取得原価として使われます。


総平均法は、一定期間(個人の仮想通貨なら原則1月1日〜12月31日の1年間)にわたって購入した全資産の合計金額を、合計数量で割って平均単価を一度に算出する方法です。1年が終わるまで平均単価が確定しないため、期中の損益はあくまで「推計」に過ぎません。年末になって初めて「今年の平均取得単価はいくらだった」という計算が確定します。


つまり移動平均法が「リアルタイム型」、総平均法が「期末まとめ型」です。


弥生会計による移動平均法の解説(棚卸資産評価・計算式の詳細)。
移動平均法とは?計算方法や総平均法との違い、メリットなどを解説|弥生


以下の表で2つの方法の基本的な違いを整理しておきましょう。


項目 移動平均法 総平均法
平均単価の計算タイミング 購入・仕入れのたび(都度) 一定期間(年・月)の終わり
計算の手間 🔴 多い(取引のたびに計算) 🟢 少ない(まとめて1回)
期中の損益把握 🟢 いつでも把握可能 🔴 年末まで確定しない
経済的実態との一致度 🟢 高い 🔴 低いケースあり
届出なし時の個人の扱い 🔴 自動適用される


計算タイミングの違いが原則です。


総平均法と移動平均法の具体的な計算例で所得の差を確認する

概念の理解だけでは「どれくらい税額が変わるのか」がイメージしにくいものです。実際の数値例で確認してみましょう。


シンプルなケース(購入2回・売却1回)


たとえばビットコインを以下の順で取引したとします。


  • 1月10日:1BTCを100万円で購入
  • 6月15日:1BTCを150万円で購入
  • 10月20日:1BTCを200万円で売却


移動平均法の場合、6月15日の購入後に平均単価が(100万円+150万円)÷2BTC=125万円/BTCに更新されます。10月の売却所得は200万円-125万円=75万円です。


総平均法の場合も、年間購入金額250万円÷2BTC=125万円/BTCとなり、所得は同じく75万円です。このように取引がシンプルな場合は両者に差が生じません。


複雑なケース(購入と売却が複数回の場合)


次に、売却が購入の途中に挟まるケースを見てみましょう。


  • ①1月10日:2BTCを100万円/BTCで購入(合計200万円)
  • ②3月15日:1BTCを150万円で売却
  • ③6月20日:1BTCを200万円で購入
  • ④9月25日:1BTCを180万円で売却


移動平均法の場合:①の購入後、平均単価は100万円/BTC。②の売却所得=150万円-100万円=50万円。③の購入後、平均単価=(100万円+200万円)÷2BTC=150万円/BTCに更新。④の売却所得=180万円-150万円=30万円。年間合計所得は80万円。


総平均法の場合:年間購入金額合計は①③で200万円+200万円=400万円。年間購入数量は3BTC。平均単価=400万円÷3BTC=約133.3万円/BTC。売却数量合計2BTCの取得価額合計=約266.6万円。売却収入合計330万円。所得合計=約63.4万円。


同じ取引をしているにもかかわらず、計算方法の違いだけで約16万円もの所得差が生まれます。これは驚きのある事実です。


ただし重要な点が1つあります。最終的にすべての資産を売却した(保有残高ゼロになった)タイミングで両者を通算すると、将来にわたる所得金額の合計は一致します。あくまで「年度をまたぐ所得のタイミング」が違うだけで、長期的な税負担総額は同じです。


これは長期的には同じということですね。


しかし所得税累進課税のため、「いつの年度に所得を認識するか」によって税率が変わる可能性があります。たとえば所得が1,000万円を超えると税率は33%、4,000万円超では45%にも達します。同じ総所得でも分散した方が税率を低く抑えられるケースがあるため、計算方法の選択は単純な話ではありません。


クリプタクトによる計算例(単年度・複数年度の両ケースを図解)。
総平均法・移動平均法どちらがお得?自分に合う仮想通貨の損益計算を解説|クリプタクト


総平均法と移動平均法それぞれのメリット・デメリットを整理する

どちらの計算方法が「正しい」というわけではありません。それぞれに明確な長所と短所があります。自分の取引スタイルや目的に合わせて選ぶことが重要です。


総平均法のメリットは、なんといっても計算が簡単なことです。1年間の購入金額合計を購入数量合計で割るだけなので、エクセルに数字を入力すれば誰でも計算できます。国税庁が公開しているExcel形式の計算書を使えば、年末に一度だけ作業すれば済みます。仮想通貨を積立感覚で年数回しか取引しない人にとっては、かなり手軽な方法です。計算が簡単ですね。


もう一つのメリットは、年末近くに相場が上昇したタイミングで大量購入した場合、その高値が平均単価に組み込まれるため、その年の所得が移動平均法より小さくなるケースがある点です。年末に大きく価格が上がった相場では総平均法が有利になることがあります。


一方、総平均法のデメリットとして最も注意が必要なのは、「年末まで平均単価がわからない」という構造的な問題です。3月に売却して利益を確定したと思っていても、年末の購入状況によって最終的な所得金額が変わってきます。納税資金の見積もりが難しく、年末になって「思ったより税金が多い」という事態が起きやすいのです。


さらに恐ろしいのが、実際の取引ベースでは少額の利益しか出ていないのに、総平均法の計算上では大きな利益になってしまうケースです。たとえば年前半に安値で購入・売却して実質50万円の利益を得ていたとしても、年末に高値で大量購入した場合、総平均法での平均単価は低下し、前半の売却時の利益が膨らんで見える計算結果になることがあります。これが痛いところです。


移動平均法のメリットは、経済的な実態に最も近い損益計算ができる点です。取引のたびに損益が更新されるため、「今の含み損益はいくらか」「今年の税額はどのくらいになりそうか」をリアルタイムで把握できます。売却タイミングの判断にも役立ち、年末に納税額を見て驚くリスクが低減します。これは使えそうです。


また、相場が下落前に購入して下落後に売却した場合、移動平均法では実際の損失に近い計算結果が得られるため、総平均法よりも所得が小さくなるケースもあります。


移動平均法のデメリットは、取引のたびに計算が発生する煩雑さです。特に仮想通貨で複数の銘柄を頻繁に売買している場合、手動計算は現実的ではありません。ただし、クリプタクトやGtaxなどの損益計算ツールを使えば自動計算されるため、実質的な手間はほとんどありません。ツールを活用すれば問題ありません。


項目 総平均法 移動平均法
✅ メリット 計算が簡単、年末まとめで済む リアルタイムで損益把握、実態に近い
❌ デメリット 年末まで所得不明、実態と乖離リスク 計算が複雑(ツール活用で解決可)
👤 向いている人 年間取引が少ない・積立投資 頻繁に取引・節税を意識したい人


さとう公認会計士・税理士事務所による詳細な比較(メリット・デメリット表あり)。
移動平均法と総平均法のメリットとデメリットについて|さとうCPA


総平均法と移動平均法の届出手続きと変更時の重大な注意点

計算方法をどちらにするかと同じくらい重要なのが、届出の手続きです。ここを知らないまま取引を始めてしまうと、あとで「選択できなかった」という痛手を受けることになります。


まず大原則を押さえましょう。個人が届出を行わなかった場合、自動的に「総平均法」を選択したものとみなされます(国税庁の定めによる)。一方、法人の場合は届出なしだと「移動平均法」が自動適用されます。この点、個人と法人で逆であることに注意が必要です。届出が条件です。


移動平均法を選択したい個人は、「所得税の(有価証券・暗号資産)の評価方法の届出書」を、仮想通貨を最初に取得した年の確定申告期限(翌年3月15日)までに、納税地を管轄する税務署に提出しなければなりません。提出方法はe-Taxによる電子申請か、書面での郵送・持参のいずれかです。


届出には以下の内容を記載します。


  • 氏名・住所・マイナンバー
  • 暗号資産の種類(ビットコイン、イーサリアムなど)
  • 選択した評価方法(総平均法または移動平均法)
  • 適用開始年分


なお、評価方法は暗号資産の銘柄ごとに選択可能です。ビットコインは総平均法、イーサリアムは移動平均法という組み合わせも認められています。


そして最も注意が必要なのが、一度選択した計算方法は原則として3年間変更できないという点です。これはGtaxをはじめ複数の情報源でも確認されているルールです。つまり「今年は移動平均法の方が税額が低いから移動平均法、来年は総平均法の方が得だから総平均法」という都合のよい切り替えはできません。


変更を希望する場合は「所得税の暗号資産の評価方法の変更承認申請書」を税務署に提出し、税務署長の承認を得る必要があります。提出期限は変更したい年の3月15日まで。変更が認められないケースもあるため、最初の選択がとても重要になります。


3年縛りが条件です。


国税庁の公式ページで評価方法の変更手続きを確認できます。
所得税の暗号資産の評価方法の変更承認申請手続|国税庁


移動平均法と総平均法の選択・届出についての概要(国税庁FAQ参照)を確認できます。
暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)|国税庁(PDF)


総平均法と移動平均法、取引スタイル別の正しい選び方

「どちらを選ぶべきか」という問いに対して、一概に「移動平均法が得」「総平均法が損」とは言えません。長期的な所得の合計は同じになるため、選択の基準は「税額の絶対値」ではなく「どちらが自分のスタイルに合っているか」です。


取引回数が年間50回以下の場合は、総平均法が向いています。計算が1年に1度で済み、国税庁のExcelシートを使えば手動でも十分対応できます。積立投資のように毎月一定額を購入して、年1〜2回売却するようなスタイルには特にマッチします。


取引回数が年間100回を超える場合は、移動平均法のほうが実態に即した損益管理ができます。クリプタクトやGtaxなどの損益計算ツールと組み合わせれば、計算の煩雑さはほぼ解消されます。リアルタイムで損益を見ながら売却タイミングを判断したい人にも向いています。


年末に大量購入を予定している場合は、総平均法の方が有利になる可能性があります。年末高値で購入した分が平均単価を引き上げ、その年の売却済み分に対する所得が圧縮される効果があるためです。逆に年前半に高値で購入して下落後に売却するパターンが多いなら、移動平均法の方が小さい所得になりやすいです。


複数の取引所や複数銘柄を扱う場合は、どちらの方法でも損益計算ツールの導入が事実上必須になります。ツールを使うことを前提にするなら、移動平均法の計算コストは総平均法とほぼ変わりません。


累進課税の観点では、所得を特定の年度に集中させないほうが税率を抑えられる可能性があります。移動平均法は実際の取引ベースで損益が計上されるため、売却タイミングと所得認識が一致しやすく、意図的な節税戦略を立てやすいという利点があります。年単位で所得をコントロールしたい方には移動平均法が有利に働くことがあります。これは使えそうです。


なお、取引スタイル別の選び方と損益計算ツールの比較に関しては以下も参考になります。
仮想通貨の計算方法と選び方【2026年】 総平均法と移動平均法の違い|SOICO


総平均法と移動平均法で見落とされがちな「複数年度またぎ」の落とし穴

これは検索上位の記事ではほとんど深掘りされていない、独自視点のポイントです。仮想通貨投資で特に注意が必要な「年をまたいだ取引」のリスクについて解説します。


総平均法は「1月1日〜12月31日」の1年単位で平均単価を計算します。そのため、昨年から保有しているビットコインがある場合、「前年末の残高(繰越分)」と「今年の新規購入分」を合算して平均単価を計算し直す必要があります。前年から保有していた分の取得価額を正確に把握していないと、今年の損益計算がすべてずれてしまいます。


たとえば前年に1BTCを100万円で購入して売らずに保有、今年に1BTCを200万円で購入し、その後1BTCを250万円で売却した場合を考えてみましょう。


移動平均法では今年の購入後、(前年末の残高100万円+今年の購入200万円)÷2BTC=150万円/BTCが新しい平均単価。売却所得=250万円-150万円=100万円。


総平均法では今年の購入金額のみ合計すると200万円(今年の新規購入分のみ)ではなく、前年からの繰越分(前年末の評価額)も含めた計算が必要です。前年末の残高が100万円(100万円×1BTC)であれば、今年の総平均単価=(100万円+200万円)÷2BTC=150万円/BTC。この場合も売却所得は100万円で同じになります。


ところが、前年の計算方法が異なっていたり、記録に不備があったりすると、今年の計算がすべて狂います。複数年度をまたいだケースでクリプタクトが公開している事例では、「前年:所得50円 vs 所得150円」という差が生じており、翌年に繰り越す取得単価(残高)が両者で異なってくるのです。この差が翌年以降の税計算にも波及します。


意外ですね。


もう一つの落とし穴は、仮想通貨同士の交換取引です。たとえばビットコインをイーサリアムに交換した場合、これは「BTCを売却して ETHを購入した」という扱いになり、交換時点での損益計算が発生します。総平均法を使っている場合、この交換によって年間の平均単価計算が複雑化するため、見落としが生じやすいのです。


さらに、取引履歴の保管義務についても触れておきます。仮想通貨の取引履歴は確定申告の根拠として7年間の保管が推奨されています。移動平均法・総平均法のどちらを選んでも、過去の取引データが消えてしまうと正確な損益計算ができなくなるため、取引所から定期的に取引履歴をダウンロードしておく習慣が重要です。


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