法人税とは何か簡単にわかる仕組みと節税の基本

法人税とは何か簡単にわかる仕組みと節税の基本

法人税とは何か簡単にわかる仕組みと計算

赤字でも法人税が7万円かかり、申告を怠ると最大30%の追徴課税を受けることがあります。


📋 この記事の3つのポイント
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法人税の基本

法人税とは、法人の事業活動で得た所得にかかる国税です。税率は中小企業で年間所得800万円以下が15%、超過分は23.2%と段階的に設定されています。

⚠️
赤字でも税金はゼロにならない

法人税(国税)は赤字なら免除されますが、法人住民税の「均等割」は最低7万円が赤字でも発生します。申告義務も消えないため注意が必要です。

節税の基本を押さえると損を防げる

交際費の損金算入(中小企業は年800万円まで)や、赤字の10年繰越控除など、知っていると手取りに大きな差が出る制度があります。


法人税とは簡単にいうと「法人の利益にかかる国税」のこと


法人税とは、株式会社や合同会社などの法人が事業活動を通じて得た「所得(利益)」に対して課される国税です。個人が稼いだ収入に所得税がかかるように、法人が稼いだ利益には法人税がかかる、という構造になっています。


法人税を納める先は税務署です。都道府県や市区町村に納める地方税(法人住民税・法人事業税)とは別物であることを、まず押さえておきましょう。


つまり「法人税」は国に納める税金が原則です。


法人税の計算式はシンプルで、「課税所得 × 法人税率 − 税額控除額」で求めます。この「課税所得」は、売上などの収入から経費などを差し引いた「利益」を、さらに税法ルールで調整した金額です。会計上の純利益とイコールではない点が、実務上のポイントになります。


法人税の課税対象は「益金 − 損金」で計算されます。益金とは、商品・サービスの売上収入や不動産売却収入などです。損金とは、売上原価・販売費・災害による損失などです。この2つの差額が所得になります。









項目 内容
課税対象 法人の所得(益金 − 損金)
税の区分 国税(納付先は税務署)
申告期限 事業年度終了日の翌日から2か月以内
計算式 課税所得 × 法人税率 − 税額控除額


法人税の申告期限は、決算日の翌日から2か月以内が基本です。3月末決算の会社であれば、5月31日までに申告・納付を完了させる必要があります。


参考情報:国税庁「法人税の基本的な仕組み」では、益金・損金の考え方から申告手続きまで公式解説が掲載されています。


国税庁|法人税の基本的な仕組み(PDF)


法人税の税率を簡単に理解する「2つの境界線」

法人税の税率は、法人の規模や所得金額によって変わります。複雑に見えますが、普通法人であれば「2つの境界線」を覚えるだけで大半はカバーできます。


境界線の1つ目は「資本金1億円以下かどうか」です。資本金が1億円以下の中小企業には、軽減税率が適用されます。2つ目の境界線は「年間の課税所得が800万円以下かどうか」です。








法人の区分 所得区分 税率
資本金1億円以下の中小企業 年800万円以下の部分 ✅ 15%
資本金1億円以下の中小企業 年800万円超の部分 23.2%
資本金1億円超の大企業 全額 23.2%


800万円以下が15%、超過分が23.2%が基本です。


ただし、注意が必要なのは「法人税率」と「実効税率」の違いです。法人税率(23.2%)はあくまで国税としての税率です。ここに法人住民税や法人事業税、特別法人事業税などの地方税が上乗せされると、実際の税負担率(実効税率)は約30〜34%程度になります。


個人の所得税の最高税率は45%(住民税10%を加えると55%)ですから、所得が高い個人事業主が法人化を検討する理由の一つは、この実効税率の差にあります。課税所得が900万円を超えると、法人化による節税効果が現れやすい目安となります。


所得税と法人税の比較について詳しく知りたい方は、以下も参考になります。


みずほ銀行|法人税とは?税率や申告期限、計算方法をわかりやすく解説


法人税が課されない法人と「赤字でも払う税金」の違い

「赤字だから法人税はゼロ」と思っている方は多いですが、これは半分しか正しくありません。


法人税(国税)は確かに、課税所得が赤字(ゼロ以下)であれば課税されません。これが原則です。ただし、課税対象から完全に外れる法人もあります。


法人税が課されない法人の代表例を整理すると以下のとおりです。



  • 🏛️ 公共法人:地方公共団体、日本政策金融公庫、国立大学法人など → 法人税は一切かからない

  • 🎓 公益法人等:NPO法人、学校法人、宗教法人など → 収益事業を行う部分のみ課税

  • 🏠 人格のない社団等:PTAやマンション管理組合など → 収益事業を行う部分のみ課税


問題は「赤字の普通法人」です。赤字でも払う税金があります。


それが「法人住民税の均等割」です。均等割は、法人が存在しているというだけで課される固定の税金で、所得の有無は関係ありません。最低でも年間約7万円(都道府県民税2万円+市区町村民税5万円)が発生します。赤字でも申告義務は残るため、決算処理のコストも削減できません。


赤字だから関係ないは禁物ですね。


スタートアップや設立初年度の法人は特に見落としがちなポイントです。資本金や従業員数によって均等割の金額は変わりますが、最低ラインの7万円は避けられません。年間で7万円=月あたり約5,800円の固定コストとして、キャッシュフローに組み込んでおく必要があります。


クロスト税理士法人|赤字でも税金がかかる?法人に課される"均等割"とは


法人税の節税に使える「損金」の基本と交際費ルール

法人税を合法的に減らすうえで最も基本になる考え方が「損金の活用」です。損金を増やすことで課税所得が下がり、結果として法人税の負担が減ります。


損金として認められる代表的なものは以下のとおりです。



特に注目したいのが「交際費」です。交際費は原則として全額が損金不算入(損金にできない)とされていますが、中小企業(資本金1億円以下)には特例があります。年間800万円までの交際費は全額を損金に算入できる制度が設けられているのです。


これは使えそうです。


たとえば、年間の交際費が600万円だった場合は全額が損金になります。交際費が1,000万円なら800万円分までが損金、残り200万円は損金不算入として課税所得に加算されます。交際費800万円を全額損金にすれば、法人税率15%で計算すると単純計算で最大120万円の節税になる計算です。


交際費とは別に、役員報酬を適切に設定することも有効な節税手段です。役員報酬は、毎月同額で支払う「定期同額給与」の形式であれば損金として計上できます。役員個人の側では給与所得控除が適用されるため、法人と個人の間で所得を分散させる効果もあります。


損金算入の具体的な適用範囲については、税理士への確認が一番確実です。


中小企業庁|交際費課税の特例(中小企業向け800万円特例の公式案内)


赤字を10年間持ち越せる「繰越欠損金」の意外な活用価値

金融に関心がある人でも、案外見落としがちな制度があります。それが「繰越欠損金(くりこしけっそんきん)」です。


繰越欠損金とは、ある事業年度に発生した赤字(欠損金)を、翌年度以降の黒字と相殺して法人税の課税所得を減らすことができる制度です。青色申告の法人は、最大10年間この赤字を繰り越せます。


これが原則です。


たとえば、1年目に1,000万円の赤字が出て、2年目に800万円の黒字が出た場合を考えます。通常なら800万円の黒字に対して課税されますが、繰越欠損金を使えば「800万円 − 1,000万円(欠損金)=課税所得ゼロ」として法人税がかかりません。残り200万円の欠損金は、さらに翌年以降へ繰り越すことができます。


使える期間は最長10年です。東京ドームのグラウンド(約1.3万㎡)になぞらえるより、時間軸で考えると分かりやすいでしょう。10年という長い期間、赤字の「貯金」として将来の税金と相殺できるのは、長期的なキャッシュフロー管理において非常に強力な武器です。


ただし、この制度を活用するためには「青色申告の継続」が条件になります。青色申告が取り消されると、繰越欠損金の恩恵を失うため、申告期限の遵守が最低限の前提です。2期連続で確定申告期限を過ぎると青色申告が取り消されるため、この点だけは絶対に守る必要があります。


繰越欠損金は必須の知識です。


赤字が続くスタートアップや、景気変動の影響を受けやすい中小企業にとって、この制度は経営存続のバッファーになり得ます。黒字転換した年に一気に節税が実現するため、資金繰りの余裕を生む効果は無視できません。


マネーイズム|繰越欠損金を活用する節税術(10年繰越の効果を具体的に解説)


法人税の申告ミスが招くペナルティ「無申告加算税・延滞税」の実態

法人税の知識を持つうえで、申告漏れや遅延リスクを理解しておくことは不可欠です。ここが甘いと、思わぬ出費につながります。


法人税を期限までに申告・納付しなかった場合に発生する主なペナルティは以下の3種類です。



  • ⚠️ 無申告加算税:本来の納付額の15〜30%が追加で課税される

  • 💸 延滞税:納期限の翌日から完納日まで、年2.4〜8.7%程度の利息相当額

  • 🚨 重加算税:仮装・隠蔽(二重帳簿・架空経費など)が発覚した場合は35〜50%


無申告加算税の税率を具体的に見ると、納付額50万円以下の部分に15%、50万円超300万円以下は20%、300万円超の部分は30%が課されます。さらに、過去5年以内に同じペナルティを受けていると、税率がさらに10%加算されます。


痛いですね。


たとえば法人税の本来の納付額が500万円あったのに無申告だった場合、単純計算で「50万円×15% + 450万円×20% = 7.5万円 + 90万円 = 97.5万円」という追加コストが発生します。延滞税も加わると、さらに膨らみます。


加えて、2期連続で申告期限を過ぎると「青色申告の取り消し」が行われます。青色申告を失うと、繰越欠損金の制度や各種節税メリットがすべて使えなくなるという二次ダメージも覚悟しなければなりません。


申告期限を守ることが最低条件です。


なお、税務署に指摘される前に自主的に期限後申告を行えば、無申告加算税が5%に軽減される場合があります。気づいた時点で自主申告することが、金銭的ダメージを最小化する現実的な対応です。法人設立初年度は特に失念しやすいため、会計ソフトやカレンダーへの期日登録など、システム的に管理することをおすすめします。


小谷野公認会計士法人|法人税が無申告だとどうなる?5つの罰則について解説






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