特別法人事業税地方法人特別税違いとは何か

特別法人事業税地方法人特別税違いとは何か

特別法人事業税と地方法人特別税の違い

特別法人事業税と地方法人特別税の概要
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制度創設の背景

地方法人課税における税源の偏在を是正するための措置として創設

🔄
制度変更のタイミング

令和元年10月1日を境に地方法人特別税から特別法人事業税へ移行

📊
税収の配分方式

国税として徴収後、人口基準で都道府県に再配分する仕組み

特別法人事業税の制度概要と導入背景

特別法人事業税は令和元年10月1日以後に開始する事業年度から適用される国税です。この制度は地方法人課税における税源の偏在を是正するため、法人事業税の一部を分離して導入されました。
参考)特別法人事業税

 

地方法人課税は都道府県によって税収に大きな差が生じており、特に大企業が集中する東京都などの都市部と地方部との格差が問題となっていました。この格差を解消するため、法人事業税の一部を国税として徴収し、人口基準で各都道府県に再配分する仕組みが構築されています。
参考)https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/zaimu/301115kenkaisyo

 

特別法人事業税の根拠法令は「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律」であり、法人事業税と併せて都道府県に申告・納付します。国税でありながら都道府県に申告する特殊な形態をとっています。
参考)特別法人事業税とは?法人事業税との違いや対象となる法人、計算…

 

地方法人特別税制度の概要と廃止経緯

地方法人特別税は平成20年10月1日以後に開始する事業年度から令和元年9月30日までに開始する事業年度をもって廃止された国税です。この制度も地方法人課税の偏在是正を目的として創設されましたが、あくまで暫定措置として位置づけられていました。
参考)地方法人特別税とは?いつから廃止されるのか、さらに勘定科目を…

 

地方法人特別税は「偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置」として創設され、当初は消費税引き上げのタイミングに合わせて平成29年に廃止される予定でした。しかし、消費税率引き上げの延期に伴い、実際の廃止は令和元年まで延長されました。
参考)宮崎県:特別法人事業税、地方法人特別税について

 

法人事業税の一部を分離して地方法人特別税を創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として都道府県に譲与する仕組みでした。この制度により、法人事業税と地方法人特別税を合わせた税負担は改正前の法人事業税の負担を上回ることはありませんでした。
参考)地方法人特別税 - 福岡県庁ホームページ

 

特別法人事業税と地方法人特別税の税率と計算方法の違い

特別法人事業税の税率は法人の種類や事業開始年度によって区分されており、例えば資本金1億円以下の普通法人の場合は37%の税率が適用されます。計算方法は「基準法人所得割額(基準法人収入割額)× 税率」で算出されます。
参考)特別法人事業税/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osak…

 

地方法人特別税の税率は事業年度によって変動していました。平成20年10月から平成26年9月30日までに開始する事業年度では、付加価値割等の合算額による法人で148.0%、所得割額のみの法人で81.0%でした。その後の期間では大幅に税率が変更され、最終期間(平成28年度以降)では414.2%と43.2%となっていました。
両制度とも法人事業税の申告書と同時に申告・納付を行い、法人事業税と特別法人事業税(または地方法人特別税)を合わせた税負担は従来の法人事業税の負担を基本的に上回らない設計となっています。
参考)法人事業税とは|福岡アーム税理士事務所

 

特別法人事業税の譲与税制度による地方への配分メカニズム

特別法人事業税で徴収された税収は、特別法人事業譲与税として各都道府県に再配分される仕組みになっています。この譲与基準は人口となっており、都道府県の人口に応じて配分されますが、不交付団体に対する譲与制限が設けられています。
譲与制限とは、地方交付税の不交付団体(財政力の豊かな自治体)に対して譲与額を制限する措置です。これにより、財政力の弱い地方自治体により多くの税収が配分される仕組みとなっています。

 

法人事業税と併せて納付された特別法人事業税は、都道府県から国に対して払い込まれた後、特別法人事業譲与税として各都道府県に再配分されます。この仕組みにより、大企業が集中する都市部から地方部への実質的な税収移転が実現されています。

特別法人事業税導入による金融業界への実務的影響と対応策

金融業界では特別法人事業税の導入により、法人税実効税率の計算や税務申告実務に変更が生じました。特別法人事業税は国税でありながら都道府県に申告・納付するため、申告書作成時の記載場所や税務ソフトでの処理方法を確認する必要があります。
参考)「特別法人事業税」と「法人事業税」の違いは?実務上の注意点も…

 

金融機関では収入割による課税対象となるケースが多く、特別法人事業税の税率は収入割額に対して30.0%または40.0%が適用されます。発電事業や小売電気事業を行う場合は税率が異なるため、事業内容に応じた税率の確認が重要です。
中間申告についても法人事業税と同様の取り扱いとなり、前期の特別法人事業税額をもとに中間納付が必要です。税務処理においては、特別法人事業税も法人事業税と同様に損金算入が可能であり、これは他の税金にはない特殊な取り扱いです。
複数都道府県に事業所を有する金融機関では、分割基準による按分計算も必要となり、従業員数や固定資産価額などを基準として各都道府県への納税額を計算する必要があります。