福利厚生費個人事業主いくらまで|従業員計上条件と上限額

福利厚生費個人事業主いくらまで|従業員計上条件と上限額

福利厚生費個人事業主いくらまで

家族専従者の食事代も福利厚生費で落とせます。


この記事の3ポイント
計上できる個人事業主の条件

家族以外の従業員を雇用している個人事業主のみが福利厚生費を経費計上可能で、単独経営や家族経営では原則認められない

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項目別の上限額の目安

食事代は1日3,500円、社員旅行は年間10万円程度、忘年会は1人5,000円~1万円が一般的だが法的な明確な上限はない

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税務調査で指摘されるリスク

福利厚生費の否認事例は法人税調査の約15%を占め、給与認定されると追徴税額や社会保険料の差額精算が発生する

福利厚生費を個人事業主が計上できる条件


個人事業主が福利厚生費を経費計上するには、家族以外の従業員を雇用していることが絶対条件です。


参考)個人事業主は福利厚生費を経費計上できる?条件や事例を解説


一人で事業を営んでいる単独経営や、配偶者や子どもなど生計を同一にする家族だけを雇用している家族経営では、福利厚生費として計上できません。これは、福利厚生費が従業員の慰安を目的とした費用であり、事業主本人や生計が同一の家族は「従業員」に該当しないためです。


参考)個人事業主も福利厚生費を計上することは可能?条件や経費として…


家族は青色事業専従者という区分になります。専従者と事業主は家計内でお金が移動しているとみなされるため、福利厚生の対象外です。


参考)個人事業主は福利厚生費を計上できる?その要件や迷いやすい例を…


ただし、家族以外の従業員がいる場合は例外があります。専従者と従業員が等しく福利厚生を利用できる環境であれば、専従者分も含めて経費計上が可能です。


参考)一人親方は福利厚生費を経費で計上可能?その理由を解説


もう一つ重要な条件があります。


全従業員を対象範囲としていることです。


特定の従業員だけに提供する福利厚生は、給与とみなされる可能性が高くなります。


参考)個人事業主が福利厚生費を計上できる条件は?上限額や事例を解説…


さらに、金額が社会通念上妥当であることも求められます。具体的な上限は法律で定められていませんが、会社の規模や業績、従業員数に応じて妥当な範囲内に収める必要があります。


参考)福利厚生費の上限はいくらまで?税務上のルールと適切な活用法


福利厚生費として認められる食事代の上限額

従業員に提供する食事代は、1人1日あたり3,500円(税抜金額)を上限に、福利厚生費として認められます。


この金額を超える部分は、給与所得として扱われる可能性があります。たとえば月22日勤務の場合、1食あたり約159円が企業負担の上限となります。


参考)福利厚生の食事補助とは?月3,500円の非課税枠と導入手順を…


重要な条件がもう一つあります。従業員が食事代の50%以上を負担していることです。この2つの条件を同時に満たさないと、企業負担額の全額が給与として課税されてしまいます。

ケース 月間食事価額 従業員負担額 企業負担額 従業員負担割合 判定結果
非課税 7,000円 3,500円 3,500円 50% 両条件を満たすため非課税​
課税 8,000円 3,000円 5,000円 37.5% 企業負担が3,500円超のため全額課税​

例外的に認められるケースもあります。残業や宿日直時の食事は企業全額負担でも非課税です。深夜勤務者への食事代は1食300円(税抜)以下の現金支給が認められています。

社員食堂の運営費や外食チケットの配布なども、上記の範囲内であれば福利厚生費として計上できます。仕事中の従業員に弁当やデリバリーで食事を提供した場合も対象です。


福利厚生費における社員旅行や忘年会の上限額

従業員の慰安や親睦を目的とした旅行費用は、福利厚生費として認められます。1人あたり年間10万円程度までが目安とされていますが、具体的な上限額は法律で定められていません。


過度に豪華な旅行や頻繁な実施は、税務調査の対象となる可能性があるため注意が必要です。たとえば1人当たり15万円の旅行を実施した企業が、税務署から「社会通念上妥当な金額を超えている」と指摘され、給与認定された事例もあります。


参考)💴税務調査で指摘される福利厚生費ワースト5鐚❾莖≪膀g腟茖b…


つまり10万円が安全ラインです。


従業員全体を対象とした新年会や忘年会の費用も、福利厚生費として計上できます。1人あたり5,000円から1万円程度が一般的とされていますが、こちらも明確な上限額は設定されていません。

特定の従業員のみを対象とした飲食は、交際費として扱われる可能性があります。全従業員が参加できる機会を設けることが重要です。

社員旅行の実施には記録が欠かせません。参加者リストがない、領収書が不完全、就業規則に福利厚生の記載がないといった場合、「適切な福利厚生として実施された証拠がない」と判断され、福利厚生費全額が否認されるリスクがあります。

福利厚生費として認められる保険料や家賃補助の相場

従業員を被保険者とする生命保険の保険料は、福利厚生費として認められます。1人あたり月額5,000円から1万円程度が一般的ですが、明確な上限額は設定されていません。

特定の従業員のみを対象とした高額な保険は、給与所得として扱われる可能性があります。全従業員を対象とした制度設計が求められます。

従業員に対する家賃補助も、福利厚生費として計上できます。月額2万円から5万円程度が一般的ですが、地域や従業員の職位によって適切な金額は変動します。

公平性が重要なポイントです。特定の従業員のみに高額な補助を行うと、給与所得として扱われる可能性があります。

法定福利費も忘れてはいけません。社会保険料や労働保険料の会社負担分は、会社が支出することを法律で定められている費用です。これらは確実に福利厚生費として計上できます。


参考)勘定科目の福利厚生費とは?経費計上の条件や事例、課税対象にな…

従業員の健康診断費用や人間ドック費用も福利厚生費の対象です。結婚祝い金や社内イベント費用なども、妥当な範囲内であれば計上可能です。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/tax-investigation-individual/


ただし、就業規則として整えて労働基準監督署へ届出していなければ、福利厚生費に計上できない可能性があります。


制度の整備と記録の保管が不可欠です。



参考)個人事業主が福利厚生費で計上できる条件と基本をポイント解説

福利厚生費の税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査で福利厚生費が指摘されるケースは決して珍しくありません。国税庁の調査事績によると、法人税調査における否認事例の約15%が福利厚生費関連です。

福利厚生費として計上していた200万円が、すべて給与認定され、追徴税額が約80万円に達した事例もあります。


痛いですね。



税務調査官が重点的にチェックするポイントがあります。前年度比で急激に増加した福利厚生費、決算直前の大口支出、繰り返し計上される同じような費用などです。

社員旅行の参加者リストなし、食事補助の領収書が不完全、就業規則に福利厚生の記載なし、支給基準が口約束のみといった状態は危険です。ある製造業の企業では、これらの不備により福利厚生費180万円が全額否認され、追徴税額が約54万円に達しました。

認められなかった場合のリスクは大きいです。給与として再計算されると、法人税の増加だけでなく、過去に遡って保険料の差額を精算する必要が出てきます。

たとえば否認された福利厚生費が過去2年間にわたる給与と判断された場合、その期間分の健康保険料や厚生年金保険料を再計算し、従業員・企業ともに追加負担が生じます。


社会保険面でも影響が及ぶわけです。



確定申告で売上を1,000万円弱ぎりぎりで申告している個人事業主は、税務調査される可能性が高くなります。


消費税逃れ」を疑われるためです。



参考)税務調査されやすい個人事業主の特徴8つ|疑われない対策方法も…

勘定科目をあいまいに決めていた場合も要注意です。前年までは交際費で処理していたものを、今年は福利厚生費で処理するなど、一貫性のない処理は不審な点として指摘されやすくなります。


参考)個人事業主でも税務調査の対象に?対象者になりやすい傾向などを…

福利厚生費を適切に管理するための実務対策

福利厚生費を適切に管理するには、まず就業規則や社内規定に明記することが基本です。制度がなければ、当然福利厚生費に計上できません。


利用規定の整備と利用実態の記録を行う必要があります。家族以外の従業員がまったく利用していないと、福利厚生費と認められなくなるリスクがあるためです。


参考)個人事業主は福利厚生費を計上できるのか?|福利厚生費計上のポ…

領収書や参加者リストの保管が欠かせません。社員旅行を実施する場合は、参加者全員の名簿、旅行の日程表、領収書をセットで保管しておくと安心です。

食事補助を導入する場合は、従業員負担50%以上、企業負担月額3,500円以下という条件を厳密に守りましょう。条件を満たさないと、企業負担額の全額が給与として課税されてしまいます。

記録方法の工夫も有効です。月ごとに福利厚生費の明細を作成し、誰が何を利用したか、金額はいくらかを明確にしておくと、税務調査の際に説明しやすくなります。


予算管理も重要です。前年度比で急激に増加すると、税務調査官から不自然な計上パターンとして疑われます。計画的に予算を組み、年間を通じて平準化することが望ましいです。

決算直前の大口支出は避けましょう。これも税務調査で指摘されやすいポイントです。

外部の福利厚生代行サービスを利用する方法もあります。専門業者に委託することで、適切な制度設計と運用をサポートしてもらえます。従業員数が少ない個人事業主でも、手軽に福利厚生を導入できるメリットがあります。


参考)個人事業主は福利厚生費を計上できる?具体例を交えて解説|PR…

弥生の福利厚生費解説ページでは、具体的な仕訳方法や計上のポイントが詳しく紹介されています。


実務に役立つ情報が豊富です。


マネーフォワードの記事には、個人事業主が福利厚生費を計上できる条件や上限額の最新情報がまとまっています。税制改正にも対応しているため、定期的にチェックすると良いでしょう。
税理士や会計士に相談することも検討してください。専門家のアドバイスを受けることで、適切な処理方法を確認でき、税務調査のリスクを大幅に減らせます。




ゴム印 科目印 勘定科目 (440-福利厚生費)