

あなたが支払った保険料、全額経費にしてませんか?
個人事業主が支払う保険料のうち、経費にできるのは事業用資産にかかる損害保険料だけです。店舗や事務所の火災保険、営業車の自動車保険、商品在庫にかかる保険などが該当します。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/non-life-insurance-premium/
逆に、個人事業主本人の生命保険や傷害保険、自宅のみの火災保険、プライベートで使う車の保険は経費にできません。これらは事業主貸として処理するか、仕訳自体が不要です。
参考)損害保険料とは?個人事業主の生命保険は経費になる?仕訳例など
事業とプライベートの両方で使っているものは、事業使用割合で按分すれば一部を経費計上できます。例えば自宅兼事務所の火災保険や、半分を営業で使う車の自動車保険などが該当します。按分割合は床面積や使用日数など、合理的な基準で算出する必要があります。
参考)勘定科目「損害保険料」とは 個人事業主が経費にできる保険料
損害保険料を支払ったときの勘定科目は「保険料」または「損害保険料」を使います。1年契約の営業車の自賠責保険料20,000円を現金で支払った場合、借方に保険料20,000円、貸方に現金20,000円と仕訳します。
参考)損害保険料とは?契約期間ごとの仕訳・積立保険の計上方法を解説…
家事按分が必要な場合は、事業用部分を保険料、プライベート部分を事業主貸で処理します。例えば自動車保険料15,000円を支払い、事業使用割合が50%の場合、借方に保険料7,500円と事業主貸7,500円、貸方に普通預金15,000円と仕訳します。
参考)勘定科目『損害保険料』で経費にできる費用の種類と家事按分のや…
摘要欄には事業用とプライベート用が判別できる記載をしておきましょう。税務調査の際に按分根拠を説明できるよう、使用割合の計算方法もメモしておくと安心です。
契約期間が1年を超える保険契約では、支払時に全額を経費計上できません。各年度に対応する保険料を年度ごとに期間按分して計上する必要があります。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/fire-insurance-individual/
3年契約で火災保険料108,000円を7月に現金で支払った場合、7月から12月までの6ヶ月分18,000円を損害保険料、残りの90,000円を前払費用として仕訳します。計算式は108,000円÷36ヶ月×6ヶ月分=18,000円です。
翌年以降は年末の日付で、前払費用を損害保険料に振り替える仕訳を行います。2年目と3年目は各36,000円、最終年は残り18,000円を損害保険料として計上します。契約期間が2年以上の場合は、翌期分を前払費用、翌々期以降分を長期前払費用に振り替えるケースもあります。
個人事業主が損害保険金を受け取った場合、原則として非課税で収入に計上しません。突発的な事故により加えられた資産の損害に基因して取得する保険金は、所得税法で非課税とされています。
非課税の保険金で完全に補填される費用は、経費計上の対象外です。損害額が保険金を上回る場合のみ、超過部分を経費として算入できます。例えば機械の損害額150万円に対して保険金100万円を受け取った場合、差額50万円のみが必要経費になります。
参考)損害保険金は雑収入になる?個人事業主が確定申告で知っておくべ…
ただし商品(棚卸資産)の損害補償は例外で、課税対象となります。店舗在庫が火災で焼失し保険金500万円を受け取った場合、保険金は事業所得に計上し、商品の仕入原価400万円を経費算入します。
差額100万円が課税所得となります。
保険金受取の仕訳は、事業用資産以外の損害では「事業主借」を使います。500万円の保険金を受け取った場合、借方に普通預金500万円、貸方に事業主借500万円と仕訳します。修繕費を支払った場合も事業主貸で処理し、収入や経費に計上しません。
家事按分を行う際、按分割合の根拠が曖昧だと税務調査で否認されるリスクがあります。自宅兼事務所の火災保険なら、床面積や使用時間など客観的な基準で事業使用割合を算出しましょう。
自動車保険の按分では、走行距離や使用日数の記録が有効です。年間5万円の保険料を支払い、事業使用が50%なら2万5,000円が経費になります。按分割合は毎年同じである必要はありませんが、大きく変動する場合は理由を説明できるようにしておくと安心です。
自賠責保険は強制保険であることから、特例として1年以上の前払いでも一括損金処理が認められるケースがあります。一方で任意保険は原則通り期間按分が必要です。保険の種類によって処理が異なる点に注意しましょう。
参考)自賠責保険は前払費用になる?|澁谷典彦税理士事務所
個人事業主本人の生命保険料や医療保険料は、経費にはできませんが確定申告で生命保険料控除の対象になります。経費計上できなくても所得控除で税負担を減らせるので、控除証明書は必ず保管してください。
国税庁の確定申告特集ページでは、所得控除の詳細や記入方法が確認できます。
国税庁 確定申告特集
損害保険金の課税・非課税判定は複雑なため、判断に迷ったら税理士に相談するのが確実です。マネーフォワードやfreeeなどのクラウド会計ソフトを使えば、仕訳パターンを登録して入力ミスを防げます。
支払日から1年以内にサービスを受ける場合、短期前払費用として支払日に一括で損金処理できる特例があります。例えば決算月に翌1年分の保険料を支払った場合、前払費用として計上せず当期で全額経費にできます。
ただしこの特例は、毎期継続して同じ処理を行う必要があります。年によって処理方法を変えると税務調査で指摘される可能性があるため、一度決めたら継続しましょう。
長期契約の保険料を期間按分する際、契約開始日が期中の場合は月割計算が基本です。7月契約なら初年度は6ヶ月分のみ計上し、翌年度以降は12ヶ月分ずつ振り替えていきます。最終年度には残りの月数分を計上して前払費用を使い切ります。
5年契約で保険料5万円を1月に支払った場合、初年度は1万円を保険料、残り4万円を前払費用として処理します。2年目から5年目の期首に、前払費用から保険料へ1万円ずつ振り替える仕訳を行います。
複数年契約の損害保険料は、前払費用の管理が煩雑になりがちです。会計ソフトの自動仕訳機能や、スプレッドシートで振替スケジュールを作成しておくと管理が楽になります。
freeeの経費精算機能を使えば、保険料の支払いから仕訳まで一元管理できます。
freee 損害保険料の勘定科目解説
契約更新時には、保険内容の見直しと同時に前払費用の残高確認を行いましょう。前期からの繰越額と当期の振替額が一致しているか、年に一度はチェックすると安心です。