

月払い契約の家賃を年払いしても短期前払費用として認められません。
決算月に家賃1年分を支払っても、月払い契約のままでは短期前払費用の特例は適用できません。税務上、短期前払費用として認められるには「契約に基づいた支払い」が必須要件となっているためです。
参考)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/02/03.htm
月払い契約で年払いしてしまうと、税務調査で全額否認されるリスクがあります。否認された場合、前払費用として資産計上し直し、役務提供を受けた月ごとに費用化する必要があります。加算税や延滞税も発生するため、契約内容の確認が重要です。
参考)https://www.mikagecpa.com/archives/4563/
適用を受けたい場合は、大家さんや不動産会社から年払いを承諾する書面を事前に取得してください。
口約束だけでは認められません。
契約書の変更または覚書として、年払いする旨を明記した文書を準備しましょう。
短期前払費用の特例を適用するには、以下5つの要件をすべて満たす必要があります。
参考)短期前払費用の特例とは?基本となる要件や実務上の注意点を解説…
1. 契約に基づく支払いであること
年払いする旨が契約書に明記されている必要があります。
月払い契約のままでは適用できません。
契約書の変更または覚書で対応してください。
参考)家賃や保険料を年払いで節税! 『短期前払費用』の適用要件
2. 支払日から1年以内の役務提供であること
3月決算の会社が3月に翌4月~翌年3月分の家賃を支払う場合は適用可能です。しかし2月に支払うと、翌年3月まで1年を超えるため全額否認されます。1か月分だけ否認されるのではなく、全額が対象外となります。
参考)短期前払費用の賢い活用術:負担軽減から注意点まで徹底解説 -…
3. 等質等量のサービスであること
家賃のように毎月同じ金額・同じ内容のサービスが継続的に提供される必要があります。サービス内容に変動がある顧問料などは適用できません。
4. 決算月に支払うこと
3月決算法人なら3月に支払う必要があります。決算月をまたいで4月1日以降に支払うと適用できません。
参考)Object moved
5. 毎期継続して適用すること
黒字の年だけ適用し、赤字の年はやめるという選択はできません。一度適用したら継続して同じ処理を行う必要があります。
3月決算の会社が3月末に翌4月~翌年3月分の家賃月10万円(年額120万円、税込132万円)を支払うケースで説明します。
特例を適用しない場合の処理
3月支払時。
消費税仮払 120,000
消費税仮払 120,000
社宅には従業員から賃料収入が発生します。金額が少額でも収益が計上されるため、費用を収益と期間対応させる必要があります。短期前払費用の特例は「収益に直接対応しない、重要性の低い費用」だけが対象です。
事務所の家賃は収益との直接的な対応関係がないため適用可能です。しかし社宅は家賃収入という収益が発生するため、厳密な期間対応が求められます。
この違いを理解せず社宅家賃を年払いで損金算入すると、税務調査で否認されます。社宅と事務所を分けて管理し、事務所家賃のみ特例を適用してください。同じ家賃でも性質が異なることに注意が必要です。
家賃以外にも、保険料、リース料、システム使用料などで短期前払費用を活用できます。
適用可能な費用の具体例
参考)「短期前払費用」について徹底解説! - シェルパコンパス
これらは等質等量のサービスが提供されるため、要件を満たせば適用できます。
実務での計算例
3月決算の会社が11月に翌4月~翌年3月分の保険料54万円を支払った場合:
特例適用なし → 当期費用22.5万円、前払費用31.5万円
特例適用あり → 当期費用54万円
契約初年度は31.5万円分の節税効果があります。
これは課税の繰り延べです。
適用にあたっては、利益とのバランスが重要です。利益に対して多額すぎる前払費用は、利益調整とみなされ否認される可能性があります。
常識的な範囲で活用してください。
国税庁の短期前払費用に関する質疑応答事例では、家賃やリース料の具体的な適用判断が示されています
短期前払費用の経費特例について、要件や対象取引、消費税の取扱いまで実務に即した解説があります