給与収入とは給与明細との関係と税務で知るべき注意点

給与収入とは給与明細との関係と税務で知るべき注意点

給与収入とは給与明細の関係

給与明細12ヶ月分を合計しても源泉徴収票の支払金額と一致しないことがあります。


参考)源泉徴収票と給与明細の違いをわかりやすく解説!確定申告に代用…


この記事の3つのポイント
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給与収入の正確な定義

源泉徴収票の支払金額欄に記載される税金・社会保険料控除前の年間総額です

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給与明細との照合ポイント

非課税通勤手当や賞与の取り扱いが合計額に影響します

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税務担当者が注意すべき事項

給与所得控除や特定支出控除の計算基準となる重要な数値です

給与収入と給与明細の基本的な違い


給与収入とは、会社から支払われる給与・賞与・各種手当の総額を指し、税金や社会保険料が引かれる前の額面金額のことです。源泉徴収票では「支払金額」の欄に記載されます。


参考)給与収入とは?給与所得・年収・手取りの違いをわかりやすく解説…


一方、給与明細は毎月の給与計算における総支給額、控除額、差引支給額の内訳を通知する書類です。所得税法第231条により、企業は従業員に給与明細を交付することが義務付けられています。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/understanding-payslips/


給与収入は年間の総額を示すのに対し、給与明細は月々の詳細を示します。


つまり性質が異なるということですね。


給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が「給与所得」となり、これが所得税計算の基礎となります。給与所得控除は給与収入に応じて自動的に計算される経費相当分です。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/salary-income/


2026年の税制改正により、給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられました。給与収入が190万円以下の場合、この65万円が控除されます。


参考)2026年提出(令和7年分)の確定申告に影響する税制改正点と…

給与明細の総支給額と源泉徴収票の支払金額が合わない理由

多くの税務担当者が直面するのが、12ヶ月分の給与明細を合計しても源泉徴収票の支払金額と一致しないケースです。


参考)源泉徴収票と1年間の給与明細の総支給の合計金額が合わないので…


最も可能性が高い理由は非課税の通勤手当です。給与明細の総支給額に通勤手当が含まれている場合でも、所得税法上の非課税限度額内の通勤手当は源泉徴収票の支払金額には含まれません。


参考)パートの源泉徴収票の支払金額が合わない理由 – …


具体的には月額15万円までの通勤手当が非課税となります。例えば毎月3万円の通勤手当が支給されている場合、年間36万円が給与明細の総支給額には含まれても源泉徴収票からは除外されます。


参考)通勤手当の課税・非課税を徹底解説|交通費の取り扱いや非課税限…

賞与の取り扱いも注意が必要です。給与明細には毎月の給与のみが記載され、賞与は別の明細で発行されるため、給与明細だけを合計すると賞与分が抜け落ちてしまいます。


つまり賞与も含めて計算する必要があります。



年の途中で入退社した場合も金額が一致しない要因となります。源泉徴収票には在籍期間中の支払金額のみが記載されるためです。

現物支給給与や金一封なども正しく税処理されていれば給与明細に記載されますが、処理漏れがあると差異が生じます。

給与収入における課税・非課税の境界線

給与収入を正確に把握するには、何が課税対象で何が非課税かを理解する必要があります。


参考)No.2508 給与所得となるもの|国税庁

通勤手当は一定金額以下であれば非課税です。電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合は月額15万円まで、マイカー通勤の場合は通勤距離に応じて月額最大31,600円までが非課税となります。


転勤や出張のための旅費も通常必要と認められる範囲内であれば非課税です。


これは出張先での交通費や宿泊費を指します。



宿直や日直の手当も一定額までは非課税とされます。給与として支給される金銭のすべてが給与収入に含まれるわけではないということですね。

逆に基本給、残業手当、役職手当、住宅手当、家族手当などは全て課税対象となり給与収入に含まれます。非課税限度額を超える通勤手当も課税対象です。

税務担当者は給与明細を作成する際、これらの課税・非課税の区分を正確に行う必要があります。誤った区分は源泉徴収税額のミスにつながります。


給与収入から給与所得を算出する計算方法

給与所得は「給与収入 - 給与所得控除額」で計算されます。この給与所得が所得税計算の基礎となるため、税務担当者にとって極めて重要です。

給与所得控除額は給与収入の金額に応じて段階的に設定されています。2026年の改正後の控除額は以下の通りです:​

  • 給与収入190万円以下:65万円
  • 190万円超360万円以下:収入×30%+8万円
  • 360万円超660万円以下:収入×20%+44万円
  • 660万円超850万円以下:収入×10%+110万円
  • 850万円超:195万円

例えば給与収入が500万円の場合、給与所得控除額は144万円(500万円×20%+44万円)となります。したがって給与所得は356万円(500万円-144万円)です。


結論は356万円ということですね。


この計算結果は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されます。税務担当者はこの金額が正しく計算されているか確認する必要があります。


参考)https://www.mizuho-re.co.jp/knowledge/dictionary/wordlist/description/?n=255

給与収入が850万円を超える高額所得者の場合、所得金額調整控除の適用可能性も検討します。23歳未満の扶養親族がいる場合などに適用されます。

給与所得者の特定支出控除と給与収入の関係

通常、給与所得者は経費を計上できませんが、特定支出控除という例外制度があります。これは給与所得控除額の2分の1を超える特定の支出があった場合に追加控除できる制度です。


参考)給与所得と給与収入の違いとは? 計算方法や給与所得控除・所得…


特定支出として認められるのは以下の7種類です:
参考)給与所得者の特定支出控除とは?対象の支出や企業に求められる対…

  • 通勤費(会社から支給されない部分または支給額を超える部分)
  • 職務上の旅費(出張費の自己負担分)
  • 転居費(転勤に伴う引越し費用)
  • 研修費(職務に直接必要な技術や知識を習得するための費用)
  • 資格取得費(職務に直接必要な資格の取得費用)
  • 帰宅旅費(単身赴任者の帰宅費用)
  • 勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費で年間65万円まで)

パートや派遣社員で交通費を自己負担している場合や、遠方から通勤している正社員が利用するケースが多いです。


参考)給与所得者の特定支出控除とは?サラリーマン・会社員必見!


ただし会社から支給される通勤手当のうち非課税部分は特定支出に含めることができません。


これは二重控除を防ぐためです。



参考)給与所得者の特定支出控除

特定支出控除を適用するには従業員本人が確定申告を行う必要があります。税務担当者は従業員からの問い合わせに備えてこの制度を理解しておくことが大切です。

給与明細と源泉徴収票の発行義務と保管期間

税務担当者が把握すべき法的義務として、給与明細と源泉徴収票の発行義務があります。


参考)給与明細の必須項目をわかりやすく解説| 発行義務化の法的根拠…


給与明細は所得税法第231条により発行が義務付けられています。支給項目、控除項目、勤怠項目の記載が必要です。紙または電子データでの交付が認められています。

欠勤控除や遅刻・早退控除は控除項目ではなく支給項目に記載します。控除項目は社会保険料や所得税に限られるためです。


これは例外的なルールですね。



源泉徴収票は年末調整後に従業員に交付する義務があります。支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額の4つのブロックが記載されます。


企業側の保管義務も重要です。源泉徴収簿は7年間の保管が義務付けられています。帳簿に該当するため、国税庁の定める保管期間に従う必要があります。


参考)源泉徴収の対象期間とは?源泉徴収票の発行・保管期間を解説


給与所得者の扶養控除等申告書も提出期日の翌年1月10日から7年間保存します。税務署から要請があった場合は速やかに提出しなければなりません。


参考)源泉徴収票の適正な保管期間は何年?管理の負担を減らす方法

従業員が確定申告を行った場合、従業員自身も源泉徴収票を5年間保管する必要があります。

参考リンク:国税庁の給与所得に関する公式情報は以下をご確認ください
給与所得となるもの - 国税庁

給与計算ミスが発生した場合の税務対応

給与収入や給与所得の計算ミスが発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。


参考)給与計算ミス発生時の対処法|お詫び文書例や防止策も解説|コラ…


課税対象額や所得税額に誤りがあった場合、給与明細だけでなく源泉徴収簿も訂正する必要があります。さらに誤った金額の所得税を既に国に納付している場合は追加の手続きが必要です。

所得税を過剰に納付した場合は「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」を作成します。ただし給与や賞与に関連する所得税額の誤りの場合は「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額充当届出書」を提出します。


これらは税務署長に提出する書類です。



勤怠項目の誤りも給与計算ミスにつながります。シフト制を導入している企業では週40時間超分の手当や休日出勤の漏れが起こりやすいため注意が必要です。


参考)

割増手当額の計算も慎重に行います。雇用契約書に規定されている時間以外に働いた時間があれば就業規則の規定を確認し正確に計算します。

計算ミスや入力ミスの可能性がある場合は、従業員からの指摘を受けた時点で速やかに経理担当者が確認すべきです。


迅速な対応が信頼関係を維持します。



給与計算ミスは従業員の生活に直接影響するため、発生時には誠実なお詫びと明確な説明が不可欠です。再発防止策として給与計算システムの導入やダブルチェック体制の構築が効果的です。


年末調整と給与収入の確認ポイント

年末調整は給与収入と給与所得を確定させる重要な手続きです。税務担当者が押さえるべきポイントを解説します。

源泉徴収票の支払金額欄には1年間の給与収入が記載されます。この金額は1月から12月までの給与・賞与の合計から非課税通勤手当を除いた額です。

毎月給与から天引きされる所得税は概算の金額です。年末調整では1年間の正確な給与収入をもとに再計算し、過不足を精算します。


参考)給与とは?給料や手取りとの違いや給与明細書の見方、新しい給与…

給与所得控除後の金額は源泉徴収票の専用欄に記載されます。この金額から各種所得控除を差し引いたものが「所得控除後の金額」として記載されます。

所得控除には基礎控除配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除などがあります。2026年の税制改正で基礎控除も引き上げられているため最新の控除額を適用します。

ふるさと納税医療費控除を受ける従業員には、源泉徴収票の給与所得の金額が必要です。これらの控除額は給与所得を基準に計算されるためです。

年末調整を正しく行うには、従業員から提出される扶養控除等申告書や保険料控除申告書の内容を正確に反映させることが基本です。入力ミスや確認漏れがないよう細心の注意を払います。




日本法令 ワンタッチ式給与明細書・源泉徴収簿兼賃金台帳 給与S