

年末調整で対応できると思ってませんか
セルフメディケーション税制は、対象となるOTC医薬品の年間購入額が12,000円を超えた場合に、超過分について所得控除を受けられる制度です。控除額の上限は88,000円と設定されています。
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例えば、対象医薬品を年間25,000円購入した場合、25,000円から12,000円を引いた13,000円が控除額になります。この控除額に所得税率を乗じた金額が、実際に減税される所得税額です。
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控除の対象となるのは、本人だけでなく生計を一にする配偶者や親族の購入分も合算できます。つまり家族全員の対象医薬品購入費を合計して申告可能ということですね。
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計算例を見てみましょう。購入額が150,000円の場合、12,000円を差し引くと138,000円ですが、上限の88,000円を超えるため、控除額は88,000円となります。
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対象者となるには、まず所得税や住民税を納めていることが前提条件です。一定額以内の年金で生活している方など、これらの税を支払っていない方は対象になりません。
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加えて必須なのが、「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っていることです。具体的には以下のいずれかを受けている必要があります。
参考)セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について - …
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/ref2.pdf
これらの取組を証明する書類として、領収書や結果通知表の保管が求められます。健診の結果通知表には「特定健康診査」という名称または加入している健保組合等の名称が記載されている必要があります。
取組は申告する年に行っていることが条件です。税務担当者として従業員に案内する際は、この点を明確に伝えることが重要ですね。
この制度を利用するには、確定申告時に「セルフメディケーション税制の明細書」を作成して添付する必要があります。
明細書には以下の項目を記載します。
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記載項目の詳細
参考)https://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/uploaded/attachment/1208.pdf
支払先ごとにまとめて記入できるため、ドラッグストアAで購入した分を一行にまとめるといった記載が可能です。
これは事務処理の効率化に役立ちます。
領収書は提出不要ですが、5年間の保管義務があります。税務調査の際に提示を求められる可能性があるため、従業員への周知が必要です。
明細書の様式は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。e-Taxを利用する場合も、同様の情報を入力して電子申告が可能です。
多くの所得控除は年末調整で処理できますが、医療費控除とセルフメディケーション税制については年末調整の対象外です。これは制度上、確定申告でのみ適用を受けられる仕組みになっているためです。
参考)医療費控除は年末調整できない!確定申告のやり方を解説【会社員…
年末調整で対応できる所得控除には、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除などがあります。一方、医療費控除の他に寄付金控除や雑損控除も年末調整では処理できません。
会社員や公務員であっても、この制度の適用を受けるには自身で確定申告を行う必要があります。申告期間は医療費を支払った翌年の1月1日から5年間です。
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税務担当者としては、従業員から「年末調整で処理できないか」という問い合わせを受けた際、「会社では処理できない、確定申告が必要」と明確に伝えることが大切です。
参考)労務担当者向け|年末調整での医療費控除対応は必要?効率化を完…
この制度の最も重要な注意点は、通常の医療費控除との併用が不可能という点です。セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、どちらか一方のみを選択して適用することになります。
参考)No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除…
つまり、対象OTC医薬品以外の医療費が通常の医療費控除の適用下限額(10万円または総所得金額等の5%のいずれか低い方)を超える場合でも、セルフメディケーション税制を選択すれば通常の医療費控除は受けられません。
どちらが有利か判断するには、両方の控除額を計算する必要があります。
参考)セルフメディケーション税制と従来の医療費控除との関係 - 弥…
比較例1:医療費が少ない場合
通常の医療費控除:(50,000円 + 50,000円) - 100,000円 = 0円
セルフメディケーション税制:50,000円 - 12,000円 = 38,000円
この場合はセルフメディケーション税制が有利です。
参考)セルフメディケーション税制による医療費控除が行われます - …
比較例2:医療費が多い場合
通常の医療費控除:(200,000円 + 50,000円) - 100,000円 = 150,000円
セルフメディケーション税制:50,000円 - 12,000円 = 38,000円
この場合は通常の医療費控除が有利ですね。
税務ソフトによっては、どちらの控除額が大きいか自動判定し、控除額が小さい方を選択している場合に警告メッセージを表示する機能もあります。
対象となるのは「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる、医療用から転用された一般用医薬品です。具体的にはどの医薬品が対象か、購入時に確認する方法がいくつかあります。
対象医薬品のパッケージには、識別マークが表示されています。レシートにも対象商品であることが印字される場合が多いです。
参考)https://www.jfsmi.jp/lp/tax/common/item/reference.pdf
厚生労働省のウェブサイトでは、対象となるOTC医薬品の一覧が公開されています。日本一般用医薬品連合会のサイトでも詳細な情報を確認できます。
参考)セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生…
注意点として、すべての市販薬が対象ではありません。風邪薬や胃腸薬など一般的な医薬品であっても、対象外のものも多く存在します。購入時に薬剤師に確認するか、レシートで対象商品を確認することが確実です。
従業員への案内としては、「セルフメディケーション税制対象」というマークがついた商品を選ぶよう伝えると良いでしょう。
この制度には適用期限が設定されており、2017年1月1日から2026年12月31日までに購入した医薬品が対象です。つまり、2026年12月までの購入分については、2027年の確定申告で適用を受けることができます。
参考)年末調整で医療費控除はできる?会社員の手続きや確定申告を解説…
通常の医療費控除には期限がありませんが、セルフメディケーション税制は期間限定の特例措置という位置づけです。2027年以降の制度延長については、今後の税制改正で決定される予定です。
税務担当者としては、従業員に対して制度の終了時期を明確に伝えることが重要です。特に2026年後半には、「年内に対象医薬品をまとめて購入するか」といった判断をする従業員も出てくる可能性があります。
確定申告の期限は5年間あるため、過去5年分まで遡って申告できます。2026年に制度を知った場合でも、2022年分からの申告が可能ということですね。
従業員からの問い合わせ対応では、以下のポイントを押さえておく必要があります。
よくある質問への対応
Q: 配偶者の健康診断を受けていない場合は?
A: 申告する本人が健康診断等を受けていれば、配偶者や家族の購入分も合算できます。ただし本人が取組を行っていることが前提条件です。
参考)301 Moved Permanently
Q: 領収書は提出が必要?
A: 確定申告時の提出は不要ですが、5年間の保管義務があります。税務調査で提示を求められる可能性があるため、必ず保管するよう伝えてください。
Q: 医療費が10万円を超えそうな年はどうする?
A: 年の途中でも両方を計算して比較し、有利な方を選択できます。12月の時点で判断材料を整理しておくと良いでしょう。
給与計算システムを利用している場合、年末調整の案内と一緒に「医療費控除とセルフメディケーション税制は確定申告が必要」という注意喚起を配布すると効果的です。
国税庁の確定申告特集ページでは、入力方法の詳しい説明や動画解説も提供されています。従業員への案内資料として、このページのURLを共有するのも有効な方法です。
国税庁「セルフメディケーション税制とは」- 制度の概要と申告方法の詳細が記載されています
厚生労働省「セルフメディケーション税制について」- 対象医薬品の最新リストと制度の詳細情報が確認できます