産前産後期間の特例で得する自営業・フリーランスの保険料免除術

産前産後期間の特例で得する自営業・フリーランスの保険料免除術

産前産後期間の特例で知っておきたい保険料免除の全知識

死産・流産でも産前産後期間の特例は申請でき、保険料が免除されます。


📋 この記事のポイント3選
💰
最大4か月分の保険料が丸ごと免除

国民年金(月額17,510円)+国民健康保険の所得割・均等割が最大4か月分免除。双子なら6か月分。将来の年金額は1円も減りません。

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申請は「自分でしないと」免除にならない

自動で適用される制度ではありません。市区町村の窓口または電子申請で届出が必要。出産予定日の6か月前から申請できます。

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すでに納付済みでも全額返金される

保険料を前納していた場合も、届出後に日本年金機構から「国民年金保険料還付請求書」が送付され、全額還付(返金)されます。


産前産後期間の特例とは何か:制度の基本と対象者


産前産後期間の特例とは、国民年金第1号被保険者自営業者・フリーランス個人事業主・学生など)が出産した際に、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度です。2019年(平成31年)4月に始まりました。これは制度です。


対象となるのは、「国民年金第1号被保険者」で、出産日が2019年(平成31年)2月1日以降の方です。ただし、国民年金の任意加入期間中の方は対象になりません。


免除される期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間です。たとえば10月に出産予定であれば、9月・10月・11月・12月の4か月分が免除されます。多胎妊娠(双子以上)の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間と、さらに手厚い扱いになります。


大切なのが「所得制限がない」という点です。通常の国民年金保険料免除制度(全額免除・半額免除など)は前年の所得に応じた審査がありますが、産前産後期間の特例には所得条件がありません。高収入のフリーランスでも申請できます。これは使えそうです。


2025年度(令和7年度)の国民年金保険料は月額17,510円です。4か月間免除されれば、単純計算で17,510円×4か月=70,040円の保険料負担がゼロになります。家賃1か月分程度の節約になるイメージです。


なお、この産前産後期間の特例は「自動適用されません」。自分で市区町村の国民年金担当窓口に届出をしないと、免除になりません。ここが最重要ポイントです。


日本年金機構:国民年金保険料の産前産後期間の免除制度(公式)


産前産後期間の特例の申請方法と必要書類:手続きの流れ

届出のタイミングは、出産予定日の6か月前から可能です。出産後でも届出できます。


出産前に申請する場合の必要書類は、母子健康手帳のコピーまたは医療機関が発行した出産予定日の証明書のいずれか一つです。出産後に申請する場合は、原則として添付書類は省略できますが、省略した場合は審査・認定まで1か月程度かかることがあります。お急ぎの場合は書類添付がおすすめです。


届出先は、住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口です。郵送や電子申請にも対応しています。電子申請は「個人の方の電子申請(国民年金)」ページから手続き可能で、窓口に出向く手間が省けます。


死産・流産・早産・人工妊娠中絶の場合も対象になります。ここを知らない方は多いです。妊娠85日(4か月)以上の出産であれば、赤ちゃんが生まれなかった場合でも申請できます。死産の場合は「死産証明書」や「死胎埋火葬許可証」、母子手帳などを添付します。精神的につらい状況の中での手続きになりますが、忘れず申請することで保険料の免除を受けられます。


保険料を口座振替やクレジットカードで前納(まとめ払い)していた場合も問題ありません。届出後、日本年金機構から「国民年金保険料還付請求書」が送付されるので、それに従って手続きをすれば全額返金されます。つまり返金が条件です。


厚生労働省:国民年金の産前産後期間の保険料免除制度について


産前産後期間の特例が通常の免除制度と決定的に違う3つのポイント

産前産後期間の特例は、一般的な国民年金の保険料免除(所得に基づく全額免除・半額免除など)と比べて、3つの大きな違いがあります。これが原則です。


① 将来の年金額が減らない


通常の全額免除制度では、免除を受けた期間の年金額は「保険料を全額納付した場合の2分の1」になります。追納をしない限り、将来の年金が半分になってしまうのです。ところが産前産後期間の特例は、免除された期間も「保険料を納付したもの」として老齢基礎年金の受給額に100%反映されます。追納の必要も一切ありません。痛いですね、通常の免除は。


② 付加保険料の納付ができる


通常の免除制度では、付加保険料(月額400円の上乗せ)を納付することができません。しかし産前産後期間の特例では、定額保険料は免除されつつも、付加保険料だけは引き続き納付できます。付加年金は「200円×付加保険料を納めた月数」が毎年受け取れる制度で、2年で元が取れる非常にお得な仕組みです。産前産後免除中もこれを継続できるのは大きなメリットです。


③ 既存の免除制度との重複申請が可能


すでに所得に基づく全額免除・3/4免除・半額免除・納付猶予・学生納付特例が承認されている期間でも、産前産後期間の特例の届出をすることができます。「もう他の免除を受けているから申請できない」と思い込んでいると損をします。既存の免除中でも届出することで、将来の年金額が「2分の1扱い」から「満額扱い」に切り替わるからです。


2025年度の老齢基礎年金の満額は年額約83万1,700円(月額約6万9,300円)です。全額免除期間と産前産後免除期間では、年金額の計算上の扱いが異なるため、この違いを知っているかどうかが将来の受給額に直結します。これが条件です。


通常の全額免除と産前産後免除の年金額の違いについて(くらしとお金の経済メディア)


産前産後期間の特例と国民健康保険:2024年からの新制度も要チェック

2024年(令和6年)1月から、国民健康保険でも産前産後期間の保険料免除制度がスタートしています。国民健康保険に加入しているフリーランスや自営業者にとって、見逃せない制度です。


国民健康保険の産前産後免除では、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月分(多胎妊娠の場合は3か月前から6か月分)の保険料が減額されます。免除される保険料の種類は「所得割額」と「均等割額」の両方です。


ただし、注意点があります。免除されるのは出産する本人(被保険者)分のみで、同一世帯の他の家族分は対象外です。また、産前産後期間の保険税が完全に0円になるとは限らない点も覚えておきましょう。年税額から産前産後期間相当分の所得割・均等割を差し引く計算になるため、自治体によって計算方法に差があります。


国民年金の産前産後免除と同様に、こちらも所得制限はありません。高収入の方でも申請の対象になります。国民健康保険の産前産後免除は2024年1月以降の保険料(税)分から対象です。


手続きは市区町村の国民健康保険担当窓口への届出が必要です。国民年金の届出と同時にまとめて行える自治体も多いので、一度に手続きを済ませると効率的です。


2024年1月産前産後の国民健康保険料免除制度スタート(社会保険労務士解説)


2026年10月からの育児期間保険料免除:産前産後期間の特例の延長線上にある新制度

産前産後期間の特例を理解する上で、今後の制度変更も押さえておく必要があります。意外ですね。


2026年10月1日より、国民年金第1号被保険者(フリーランス・自営業者等)を対象に、子どもが1歳になるまでの育児期間の国民年金保険料が全額免除される新制度がスタートする予定です。これは「こども未来戦略」の「加速化プラン」に基づく施策の一環で、企業勤務者(第2号被保険者)向けには既に実施済みの育児休業等期間中の厚生年金保険料免除と同様の措置です。


現行の産前産後期間の特例は「出産前月から4か月間」の免除です。新制度により産後は続けて最大9か月(子が1歳になるまで)の追加免除が受けられるようになります。つまり、実母であれば産前産後免除と育児期間免除を合わせると、最長で約13か月間の保険料が免除される計算になります。


この新制度の大きな特徴は2点です。まず、育児休業の取得有無を問わず対象になることです。仕事を休まずに働いているフリーランスの方でも、1歳未満の子どもを養育していれば免除の対象になります。次に、所得要件や休業要件がないことです。父親も含め、1歳未満の子を養育する国民年金第1号被保険者であれば対象になる見込みです。


免除期間は産前産後免除と同様に「保険料を納付したもの」として年金額に反映されます。将来の年金が減る心配はありません。


具体的な申請方法は2026年10月以降に詳細が公表される予定ですが、今のうちから制度の存在を把握しておき、施行後すみやかに申請できる準備をしておくと安心です。


【令和8年10月1日施行予定】育児期間中の国民年金保険料が免除となる新制度(社会保険労務士解説)


産前産後期間の特例の落とし穴:申請タイミングと前納・口座振替の注意点

制度の恩恵を最大限に受けるためには、申請のタイミングと前納に関する注意点を把握しておく必要があります。


まず申請のタイミングについてです。届出は出産予定日の6か月前から可能で、出産後でもいつでも申請できます。出産日が2019年2月1日以降であれば、「いつでも届出可能」という扱いです。ただし、届出をしなければ免除にはなりません。出産後の忙しい時期に忘れてしまうケースが多いため、できれば妊娠が確認できた段階で早めに申請しておくのがおすすめです。


次に、口座振替や2年前納(まとめ払い)をしている方への注意点です。産前産後期間の前後で振替方法が変更になることがあります。前納で免除対象期間分を支払い済みの場合は、届出後に日本年金機構から還付請求書が送られてきます。この手続きを忘れずに行うことが重要です。


免除の届出をすると、その期間の付加保険料の扱いにも影響が出ます。産前産後期間は付加保険料の「納付ができる」特例があり、定額保険料が免除されても付加保険料だけ継続して納めることができます。月400円で将来の年金を増やせるこの制度は、産前産後免除中も活用できます。


また、産前産後免除は追納不要である点も改めて強調しておきます。通常の免除制度(全額免除・半額免除など)では、将来的に追納(後払い)をすることで年金額を満額に近づけることができますが、産前産後免除は最初から「納付済み扱い」になるため、追納する必要が一切ありません。追納しなくてもいいということですね。


産前産後免除期間に通常の免除を受けていた方は、産前産後免除に切り替えることで年金上の扱いが有利になります。この切り替えは出産後でも遡って申請できるため、過去に出産した方(2019年2月1日以降の出産)で未申請の方は、今からでも届出する価値があります。


比較項目 産前産後期間の特例 通常の全額免除
所得制限 なし あり
将来の年金額 満額(100%) 1/2(50%)
付加保険料の納付 ⭕ できる ❌ できない
追納の必要性 不要 任意で可能(10年以内)
既存免除との重複申請 ⭕ できる
死産・流産 ⭕ 対象(妊娠85日以上)




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