

保険料を1円も払わなくても、将来の年金が半額もらえることをご存知ですか?
国民年金保険料の免除制度とは、経済的な事情で保険料の納付が難しい人が、申請・承認を受けることで保険料の支払いを免除または猶予してもらえる制度です。厚生年金に加入している会社員は対象外ですが、自営業者・フリーランス・無職の方など、国民年金第1号被保険者は活用できる重要な制度です。
免除の種類は1つではありません。所得に応じて「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4段階があり、それぞれ免除される保険料の割合が異なります。令和7年度の月額保険料は17,510円で、4分の3免除なら残り4,380円、半額免除なら8,760円、4分の1免除なら13,130円をそれぞれ納めることになります。
重要なのは、「免除=保険料ゼロ=年金ゼロ」ではない点です。全額免除であっても、国庫負担(税金)によって将来の老齢基礎年金の2分の1は受け取れます。つまり、全額免除で40年間保険料を払わなかった場合でも、年間約415,850円(令和7年度)の年金を受給できます。未納のままでは将来の年金は0円になるリスクがあるのとは、天と地ほどの差があります。
一方で、納付猶予(20歳以上50歳未満が対象)は「免除」とは異なります。納付を猶予されるだけで年金額には反映されません。つまり追納しなければ、老齢基礎年金の年金額に一切反映されない点に注意が必要です。
| 種類 | 納付額(令和7年度) | 年金額への反映 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 0円 | 全額納付の1/2 |
| 4分の3免除 | 4,380円 | 全額納付の5/8 |
| 半額免除 | 8,760円 | 全額納付の6/8 |
| 4分の1免除 | 13,130円 | 全額納付の7/8 |
| 納付猶予 | 0円(後払い) | 反映なし |
免除制度の全体像はこちらの日本年金機構の公式ページで詳しく確認できます。所得基準の計算式や最新の保険料額も掲載されています。
本人の収入がゼロでも、免除が通らないケースがあります。
免除申請には「本人・世帯主・配偶者」の3者それぞれの前年所得が審査されます。この3者の所得が全員規定内に収まってはじめて承認されるのが原則です。自分は無収入でも、同居している親が世帯主で高収入だった場合、全額免除が却下されることがあります。知らないまま申請して驚く人は少なくありません。
全額免除の場合、本人・配偶者・世帯主それぞれの前年所得の目安は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下です。扶養親族等が0人の単身者であれば67万円以下が目安となります。所得67万円は給与収入に換算すると約122万円程度です(給与所得控除を適用した場合)。
また注意が必要なのが「1月〜6月申請」と「7月〜12月申請」では、審査対象の年度が変わる点です。1月〜6月に申請する場合は「前々年の所得」が審査されます。たとえば2026年3月に申請する場合は、2024年1〜12月の所得が基準になります。これを知らずに申請タイミングを誤ると、前年に収入が多かった影響を受けてしまいます。
全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除のそれぞれの所得基準は下記の通りです。
所得の基準が原則です。ただし、世帯主が高収入で免除の申請が難しい場合も、「納付猶予制度」は本人と配偶者の所得のみで審査されるため、親と同居している場合は納付猶予の方が通りやすいケースもあります。免除と猶予の審査対象の違いは見落としがちなポイントです。
「免除」と「猶予」では所得審査の対象が違う – くらしすと(免除と猶予の審査対象の違いを比較した解説ページ)
退職・失業した場合は前年の所得が多くても、特例として免除を申請できます。これが「失業等による特例免除」です。
通常の免除申請では前年所得が審査されますが、特例免除では「失業した本人の前年所得」をゼロとみなして審査します。前の年まで年収400万円あったとしても、離職票や雇用保険受給資格者証などの書類を提出することで、失業した月の前月から免除を受けられます。これは非常に大きなメリットです。
さらに意外と知られていないのが、自己都合退職でも特例免除の対象になる点です。会社都合か自己都合かを問わず、雇用保険の被保険者であったことが確認できれば対象となります。「自分から辞めたから無理」と諦めてしまっている方は、特例免除の対象になっている可能性があります。
特例免除の対象となる主なケースは以下の通りです。
特例免除が認められた場合、退職した月の前月から翌々年の6月まで免除期間が続きます。たとえば2026年3月に退職した場合、2026年2月〜2028年6月の分が対象となりえます。申請は年金事務所や市区町村の窓口、またはマイナポータル経由でオンラインでも手続きが可能です。
退職(失業)による特例免除のご案内 – 室戸市(失業特例免除の手続き・必要書類の具体的な解説)
一部免除を受けたのに、残りの保険料を払い忘れると「全額未納扱い」になります。痛いですね。
半額免除や4分の1免除などの「一部免除」が承認された場合、残りの保険料(例:半額免除なら8,760円)は必ず納付しなければなりません。この残りを払わないと、一部免除の効力が失われ、「未納」として扱われてしまいます。受給資格期間への算入もされず、年金額にも反映されません。
つまり、「4分の3免除が承認された→ちょっとだけ払えばいいか」と4,380円の支払いを先延ばしにしているうちに未払いのまま時効(2年)が来てしまうと、その期間は丸ごと「未納」になるということです。未納1ヶ月につき将来の年金額は約1,700円(年間換算)ほど減少します。
全額免除と一部免除の扱いはまったく異なります。全額免除は「払うべき金額がゼロ」なので支払い漏れのリスクはありませんが、一部免除は「承認+残り支払い」の2ステップが完了して初めて有効になります。
一部免除の残額の支払い方法は通常の国民年金保険料と同様で、送付される納付書を使った口座振替やコンビニ払い、Pay-easy(ペイジー)払いが利用できます。引き落としの設定が残額にも適用されているか確認しておくことが大切です。
国民年金保険料の免除制度 – 春日井市(一部免除と残額未納が未納扱いになる旨の注意事項を含む公式説明)
申請はマイナポータルからスマートフォン1台で完結できます。これは使えそうです。
免除申請の方法は、大きく「電子申請(マイナポータル)」と「窓口・郵送」の2種類があります。マイナポータルを使えば、マイナンバーカードさえあればスマートフォンから手続きが可能で、窓口に出向く必要がありません。申請の流れは、マイナポータルにログイン→「年金」を選択→「国民年金に加入する方・加入中の方の手続き」→「保険料の免除・納付猶予」という手順です。
申請後、承認結果が届くまでの期間は概ね2〜3ヶ月かかります。承認通知を待っている間も免除期間はさかのぼって有効になるので、申請だけは早めに行うことが肝心です。
また、全額免除の場合は翌年度以降の自動継続審査(継続申請)を利用できます。毎年申請し直す手間が省けるため、収入が継続的に低い方は継続審査のチェックを入れておくとスムーズです。ただし、失業等の特例免除で承認された場合は継続審査の対象外です。翌年度は再申請が必要です。
免除を受けた後の追納についても計画的に考えることが重要です。免除を受けた期間は10年以内であれば追納(後払い)が可能ですが、免除を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。1年間追納すると老齢基礎年金が年間約10,000円(全額免除の場合)増えますが、3年以上経過した保険料の追納には約2%程度の加算金が生じます。できるだけ2年以内に追納するのが得策です。
追納を検討している方は、どの年度の免除分を追納するかを確認するために「ねんきんネット」で保険料の記録を照会しておくことをおすすめします。自身の免除期間の確認から追納申込書の取り寄せ・提出まで一連の流れで進められます。
日本年金機構の追納制度の詳細・申請方法は以下のページを参考にしてください。
国民年金保険料の追納制度 – 日本年金機構(追納の手続き・加算額の説明ページ)

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