学生納付特例追納の方法と損しない手順を解説

学生納付特例追納の方法と損しない手順を解説

学生納付特例の追納方法と知っておくべき手順・注意点

追納は「卒業後すぐに始めればOK」は大間違い、3年放置で支払額が増えます。


この記事でわかること
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追納の手続きの流れ

年金事務所への申請からマイナンバー書類の準備、納付書受取まで、ステップごとに解説します。

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追納しないと年金がいくら減るか

1年未納で年約2万円減、4年未納なら30年間で約250万円もの差が生まれます。

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追納の節税メリット

追納した保険料は全額・社会保険料控除の対象。年末調整や確定申告で所得税・住民税を減らせます。


学生納付特例の追納とは:制度の仕組みと対象者


学生納付特例制度とは、20歳以上の学生が国民年金保険料の納付を在学中に猶予してもらえる制度です。対象となるのは、前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下の学生で、大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専門学校(修業年限1年以上)などに在学していることが条件です。


厚生労働省の「令和2年国民年金被保険者実態調査」によると、学生の約63.9%がこの制度を利用しています。つまり、学生のうち6割以上が追納という課題をいずれ抱えることになります。これは決して他人事ではありません。


重要なのは、猶予期間は「受給資格期間」にはカウントされるが、「年金額の計算」には含まれないという点です。つまり、追納をしないと将来受け取る老齢基礎年金が減ってしまいます。追納とは、その猶予された保険料をあとから納付することで年金額を満額に近づける制度です。


追納できる期間には上限があります。期限は10年以内です。


| 制度の特徴 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 前年所得128万円以下の学生(大学・短大・専門学校など) |
| 猶予期間の扱い | 受給資格期間に算入されるが、年金額には反映されない |
| 追納の期限 | 承認を受けた月から起算して10年以内 |
| 追納のメリット | 年金増額+社会保険料控除で節税効果あり |


日本年金機構の公式情報が確認できます:

学生納付特例の概要と追納制度について詳しく記載されています。


国民年金保険料の学生納付特例制度|日本年金機構


学生納付特例の追納をしないとどうなるか:年金減額の具体的な数字

追納しなかった場合の影響は、数字で見ると非常に大きいです。2025年度の老齢基礎年金の満額は年額831,696円(月額約69,300円)です。追納しなかった期間の長さによって、年金の減額幅は以下のように変わります。


| 追納しなかった期間 | 年金の減額(年額) | 30年間受給した場合の総損失 |
|---|---|---|
| 1年分(12か月) | 約20,800円 | 約62万円 |
| 2年分(24か月) | 約41,600円 | 約125万円 |
| 3年分(36か月) | 約62,400円 | 約187万円 |
| 4年分(48か月) | 約83,200円 | 約250万円 |


4年間の大学生活で学生納付特例を利用した場合、30年間年金を受け取ると仮定すると、満額受給者との差は約250万円にのぼります。老後の250万円は、月換算で約8,300円の差が毎月続くことを意味します。これは毎月の食費1〜2週間分が永久に消えてしまう計算です。


年金減額はそれだけではありません。追納しないと障害基礎年金・遺族基礎年金の受給にも影響する可能性があります。これらは「保険料納付済期間が加入期間の2/3以上」であることが受給要件の一つとなっているためです。学生時代の猶予期間が長くなるほど、この2/3要件を満たしにくくなります。


さらに意外に思われるかもしれませんが、住宅ローン審査の際に年金の保険料納付状況を金融機関が確認するケースもあります。つまり老後だけでなく、30〜40代のライフプランにも影響が及ぶ可能性があるのです。痛いですね。


年金の減額シミュレーションと追納期限超過後の対処法についての詳細情報:

追納期限10年が過ぎた場合の具体的な年金減額額と対処法が記載されています。


国民年金の学生特例の追納期限10年が過ぎた!いくら減る?どう対処する?|東京海上日動あんしん生命


学生納付特例の追納方法:申請手順をステップ別に解説

追納はただ保険料を振り込めばOKではありません。事前に年金事務所への申請が必要で、厚生労働大臣の承認を得てから保険料を納めます。


手順は大きく次の3ステップです。まず申込書を準備し、次に年金事務所へ提出・承認を得て、最後に送付された納付書で保険料を納める流れです。


ステップ1:追納申込書を準備する(2つの方法)


方法①:日本年金機構のホームページからダウンロードする
- 日本年金機構の「国民年金関係届書・申請書一覧」ページにアクセスする
- 「国民年金保険料追納申込書」をダウンロード・印刷する
- 必要事項を記入し、マイナンバー確認書類と身元確認書類を添付する


方法②:ねんきんネットで書類を作成する
- ねんきんネットにログインし、追納申込書の作成画面を開く
- 基礎年金番号などの基本情報が自動入力される
- 印刷して署名・捺印を行う


ねんきんネットを使うと、入力エラーも防げて手間が省けます。ただし、これはオンライン完結の電子申請ではありません。印刷した書類を年金事務所へ提出する必要があります。


ステップ2:年金事務所に申請する


提出先は最寄りの年金事務所です(街角の年金相談センターでは手続き不可)。窓口持参でも郵送でも対応可能です。


申請に必要な本人確認書類。
- マイナンバーカード(1点のみでOK)
- カードがない場合は「通知カード+運転免許証やパスポートなど」の2点


申請が承認されると、日本年金機構から追納用の納付書が郵送されます。


ステップ3:納付書で保険料を納める


届いた納付書を使って金融機関・コンビニ・Pay-easy(ネットバンキング)などで支払います。口座振替や電子納付にも対応しています。つまりいくつかの支払い手段から選べます。


なお、追納は必ず「古い月分から順番に」行う必要があります。新しい月分を先に払うことはできないため、注意が必要です。


追納申請の流れと申請書ダウンロード先:

申請方法、マイナンバー書類の種類、納付方法まで公式情報が確認できます。


国民年金保険料の追納制度|日本年金機構


学生納付特例の追納に加算額がかかる:3年経過後は保険料が割高になる

追納を検討している方が見落としがちな重要ポイントがあります。それは、猶予を受けた年度の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合、当時の保険料に「追納加算額」が上乗せされるという事実です。


3年以内に追納すれば加算額はゼロです。3年が経過すると、追納額は当時の保険料に数十円〜数百円が加算されていきます。10年前の分になると、加算率はおおよそ2%前後になります。


令和7年度(2025年度)に追納する場合の年度別保険料は次のとおりです。


| 猶予を受けた年度 | 月額追納保険料(全額猶予) |
|---|---|
| 平成27年度(2015年度) | 15,930円(加算あり) |
| 平成28年度(2016年度) | 16,600円(加算あり) |
| 令和4年度(2022年度) | 16,740円(加算あり) |
| 令和5年度(2023年度) | 16,520円(加算なし) |
| 令和6年度(2024年度) | 16,980円(加算なし) |


加算額は1か月あたり数十円〜数百円と「少額」に見えますが、複数年・複数か月を追納する場合はその積み重ねが無視できない金額になります。加算ゼロが原則です。


2年間の猶予期間(24か月)で追納する場合、翌年度から3年度目以内なら加算なしで約40万2,000円で済みます。しかし、これを10年近く放置して追納すると加算後の金額はそれより高くなります。早めに動くことが基本です。


なお、節税の観点からは「あえて数年かけて分割追納する」という戦略もあります。一括で追納すれば一度に大きな社会保険料控除が得られますが、課税所得が低い年には控除の恩恵が薄くなります。収入が増えた年に追納すれば控除効果が最大化できるため、所得状況に応じた計画的な追納もありです。ただし加算額との兼ね合いには注意が必要です。


追納保険料の年度別金額の一覧と加算額の仕組み:

令和7年度の年度別追納保険料の詳細な表が記載されています。


国民年金保険料の追納制度(保険料額一覧)|日本年金機構


学生納付特例の追納と節税:社会保険料控除で所得税・住民税を減らす方法

追納した保険料は、全額が社会保険料控除として所得から差し引かれます。これが追納の「隠れた恩恵」です。


節税効果の仕組みはシンプルです。追納した年に年末調整または確定申告で申告すると、課税所得が減り、所得税住民税の両方が軽減されます。所得税の税率は所得に応じて5〜45%、住民税は一律10%なので、合計15〜55%の節税効果が期待できます。


たとえば、課税所得が330万円を超える人(所得税率20%)が40万円分を追納した場合、節税効果は次のように計算できます。


- 所得税の軽減:40万円 × 20% = 8万円
- 住民税の軽減:40万円 × 10% = 4万円
- 合計節税額:約12万円


つまり、40万円の追納でも実質的な手出しは28万円程度となります。これは使えそうです。


会社員の場合、年末調整の「給与所得者の保険料控除申告書」に追納した保険料額を記入し、日本年金機構から送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付して勤務先に提出します。自営業副業所得がある方は確定申告で申告します。


ただし注意点があります。社会保険料控除の恩恵は「その年の課税所得が十分にある場合」に大きくなります。学生のうちや収入が少ない年に追納しても、課税所得がゼロに近ければ控除の節税効果はほとんどありません。就職して収入が安定してきた20代後半〜30代に計画的に追納する方が、節税の面では有利になるケースもあります。ただし加算額が発生する前に追納するのが条件です。


社会保険料控除の申告方法(確定申告・年末調整)については国税庁の情報も参照できます:

社会保険料控除の対象範囲と申告方法が詳しく記載されています。


No.1130 社会保険料控除|国税庁


学生納付特例の追納か投資か:金融リテラシーで選ぶ賢い判断軸

金融に関心がある方なら「追納に回すお金をNISAやiDeCoで運用した方が得では?」と考えることもあるでしょう。これは正当な疑問です。追納か投資かという問いは、一概にどちらが正解とは言い切れないのが実情です。


追納の最大のメリットは「確実性」です。1年分追納すれば老齢基礎年金が年間約2万円増えるという数字は固定されています。この「元が取れるまでの年数」は約10年前後です。65歳から受給を開始し75歳まで生きれば、追納の投資回収が完了する計算になります。日本人の平均寿命(男性81歳・女性87歳)を考えると、統計的には元を取れるケースがほとんどです。


一方、NISAやiDeCoで年利5〜7%程度の運用ができた場合、同じ資金を投資に回した方が資産の伸びは大きくなります。特に20代のうちに追納に充てる費用を長期積立投資に回せば、複利の恩恵を最大限に受けられます。


ただし、投資には元本割れリスクがあります。年金は終身受給(生きている限り受け取れる)という「長生きリスクへの保険」としての機能もあります。これはNISAやiDeCoには代替できない要素です。


判断の目安として、以下のポイントを参考にしてください。


- 📌 追納を優先すべき場合:3年以内に加算額なしで追納できる / 収入が増えて節税メリットが大きい / 老後の安定収入を確実に確保したい / 障害・遺族年金の受給要件を満たしたい
- 📌 投資を優先できる場合:追納期限まで十分に余裕がある / 長期運用で複利効果を最大化したい / 追納後も余裕資金が十分ある


結論は「追納と投資はトレードオフではなく、両立が理想」です。まず3年以内の加算なし期間に少しずつ追納を進めながら、残りの余剰資金でNISA等を活用するのが最も合理的な選択といえます。iDeCoとNISAについては三菱UFJ銀行などの金融機関でも比較情報が公開されており、自分の収入状況に合わせた使い分けを検討してみることをおすすめします。


追納か運用かの判断について、三菱UFJ銀行による解説:

学生納付特例の追納メリットとiDeCoの活用について詳しく説明されています。


学生特例で国民年金の猶予を受けた場合は追納すべき?追納方法までくわしく解説|三菱UFJ銀行




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