

租税公課を固定費にしても損金算入できない税金があります。
租税公課とは、事業運営で支払う税金(租税)と公共団体への会費や手数料(公課)を合わせた勘定科目です。固定費として分類される理由は、これらの費用が売上高の変動に左右されず、事業を継続する限り定期的に発生するためです。
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具体的には、固定資産税、事業税、自動車税、印紙税などが該当します。これらは建物や土地を所有している限り、または事業を営んでいる限り、毎年一定額を納める義務があります。製造業や建設業では、労務費や福利厚生費とともに租税公課を固定費として管理するのが一般的です。
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原価管理の観点では、固定費と変動費を正しく区別することが損益分岐点の計算に直結します。売上がゼロでも発生する租税公課は、固定費の代表例として理解しておく必要があります。
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ただし、会計上は費用として認識しても、税務上は損金算入できない租税公課も存在する点に注意が必要です。所得税や住民税、延滞税、加算税などは事業のために必要な費用ではなく、懲罰的性格を有するため経費として認められません。
損金算入が可能な租税公課には、固定資産税、不動産取得税、事業税、自動車税、登録免許税、印紙税、都市計画税などがあります。これらは事業運営に直接関連する税金として、確定申告の際に必要経費として計上できます。
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特に固定資産税は、事業用の建物や土地に課される代表的な租税公課です。固定資産税評価額に標準税率1.4%を乗じた金額を、租税公課として処理します。納税通知書が届いた時点で損金算入が認められ、分割納付の場合も各納期の開始日または実際の納付日を基準に経費計上できます。
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消費税の取り扱いは経理方式によって異なります。税込経理方式を採用している場合は、消費税を租税公課として損金算入が可能です。一方、税抜経理方式では租税公課ではなく仮受消費税や仮払消費税として別で計上するため、損金算入の対象外となります。
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公課については、商工会議所の会費、組合費、賦課金、印鑑証明書や住民票の発行手数料なども損金算入できます。ただし、事業に由来しない支出、例えば自宅の固定資産税などは認められません。事業用と個人用を明確に区別することが求められます。
租税公課の計上時期は、支払金額が確定した事業年度が原則です。しかし、納税方式によって具体的なタイミングが異なるため、正確な理解が必要です。
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申告納税方式の場合、納税申告書を提出した事業年度に租税公課として計上します。事業税や消費税(税込方式)がこれに該当し、申告書の提出により税額が確定した時点で費用として認識します。
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賦課課税方式では、税務当局から賦課決定の通知を受けた事業年度に計上するのが基本です。固定資産税や不動産取得税、自動車税などが該当します。納期が分割されている場合は、各納期の開始日の属する年または実際に納付した日の属する年の経費として計上することも認められています。
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期ずれは税務調査で最も指摘されやすい項目の一つです。本来当期に計上すべき租税公課を翌期に繰り延べると、修正申告の対象となり、加算税や延滞税といった本来納付しなくてよい税金が発生します。発生主義の原則に基づき、当該決算期中に確定した部分のみを計上しなければなりません。
未払金での処理も認められています。賦課決定を受けた年に未払分を租税公課(借方)と未払金(貸方)に計上することで、その事業年度の経費にできます。計上時期を間違えると課税時期や納税額に影響を及ぼすため、速やかに修正することが重要です。
会計上は租税公課として処理しても、税務上は損金算入できない税金が存在します。
つまり損金です。
所得税や法人税、住民税は損金不算入の代表例です。これらは事業のために必要な費用ではなく、所得に対する課税であるため、租税公課で計上しても経費として認められません。会計上の当期利益と税務上の所得金額に乖離が生じる原因となります。
延滞税、加算税、罰金も損金算入できません。これらは税金や法律上の義務を怠った場合に課される懲罰的性格を有する支払いです。過少申告加算税は10%、意図的な仮装隠蔽と認定されると重加算税として35%が課されることもあります。
税務調査で指摘を受けやすい項目として、建物の固定資産相当額の支払いを誤って租税公課として費用処理してしまうケースがあります。前所有者が負担した固定資産税相当額を不動産売買時に清算した場合、これは租税公課ではなく建物の取得価額に含めるべきものです。
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事業に由来しない租税公課も損金算入できません。自宅の固定資産税や個人的な目的で支払った印鑑証明書の発行手数料などは、事業との関連性がないため対象外です。事業用と個人用の支出を明確に区別し、適切に処理することが求められます。
固変分解(固定費と変動費の区分)において、租税公課は勘定科目法で固定費に分類するのが一般的です。勘定科目を基準にすることで、簡単に区分できるメリットがあります。
製造業では、直接材料費や外注費が変動費に含まれる一方で、租税公課は固定費として管理します。建設業の場合も、工事に直接かかる材料費や運搬費は変動費ですが、労務管理費や租税公課は固定費に該当します。
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ただし、すべての経費を明確に固変分解することは不可能です。絶対的な基準は存在せず、企業の実態に応じて判断する必要があります。例えば売上に応じて増える派遣社員費用やインセンティブ費用、テナント料の一部は変動費として扱うケースもあります。
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税務調査での指摘を避けるためには、日頃からの正確な会計処理が不可欠です。期限を守り、適切な計上時期で処理していれば、追徴課税のリスクは低くなります。必要に応じて顧問税理士を持つなど、専門家のサポートを受けることも有効な対策です。
参考)税務署はここを見ている!税務調査で指摘されやすいポイント -…
固定費と変動費の正しい理解は、損益分岐点分析や限界利益の計算に直結します。固定費と変動費の合計金額と売上金額が交わる点が損益分岐点であり、この分析により経営判断の精度が高まります。租税公課を適切に固定費として管理することで、より正確な原価管理が可能になります。
国税庁タックスアンサー
租税公課の損金算入の可否や計上時期について、国税庁の公式見解を確認できます。