
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの課税基準となる重要な評価額です 。総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、都道府県知事または市町村長が決定し、固定資産課税台帳に登録されます 。この評価額は3年に1度の評価替えが行われ、固定資産税の課税明細書や固定資産課税台帳で確認することができます 。
土地の評価には「固定資産税路線価」が採用されており、これに画地調整を行い、対象土地の面積をかけて算出されます 。建物については「再建築価格方式」が用いられ、同じ土地に同じ建物を新築した場合の費用を試算して評価額を決定します 。固定資産税評価額は公示価格の約70%を目安に設定されており、地価の下落局面においても納税者にとって不利にならないよう配慮されています 。
参考)固定資産税評価額と相続税評価額の違いは?それぞれの計算方法や…
相続税評価額は、相続税や贈与税を申告する際の基準となる評価額で、固定資産税評価額とは異なり、納税者が自ら計算しなければなりません 。原則として時価で評価しますが、実務では財産評価基本通達に沿って一定の基準で評価することで、納税者間の公平性を確保しています 。
土地の相続税評価額は「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法で算出されます 。主に市街地の宅地は路線価方式で評価し、路線価が設定されていない地域の土地は倍率方式で評価します 。相続税評価額は公示価格の約80%を目安に設定されており、これは不動産の時価変動や換金にかかる負担を考慮した水準となっています 。
参考)土地の評価:相続税評価額と固定資産税評価額
両評価額の最も重要な違いは、公示価格に対する割合です 。固定資産税評価額は公示価格の約70%、相続税評価額は約80%を目安に設定されており、一般的には相続税評価額の方が高い水準となります 。この割合の違いから、「相続税評価額の目安=固定資産税評価額×114%」という概算式が成り立ちます 。
実際の投資判断や相続対策を行う際には、この水準の違いを理解することが重要です 。例えば、固定資産税評価額が3,000万円の土地であれば、相続税評価額の概算は「3,000万円×1.14≒3,420万円」となります 。ただし、これはあくまで概算であり、土地の形状や立地条件によって実際の評価額は大きく変わる可能性があります 。
参考)https://fuji-sogo.com/sozoku_knowledge/property_inheritance_tax/
金融業従事者にとって実用的なのが、固定資産税評価額から相続税評価額を概算する方法です 。最も簡単な計算式は「固定資産税評価額÷0.7×0.8」で、これは固定資産税評価額を一度公示価格の水準に戻してから、相続税評価額の水準に調整する方法です 。
より簡便な方法として、「固定資産税評価額×1.14」という計算式も広く使われています 。この1.14という数値は、80%÷70%で算出されます 。例えば、固定資産税評価額が5,000万円の土地の場合、相続税評価額の概算は「5,000万円×1.14=5,700万円」となります 。
参考)不動産の相続税評価額を簡単に計算する方法
ただし、これらは概算値であり、実際の相続税申告では正確な計算が必要です 。土地の形状による減価や権利関係による調整を適正に評価すると、概算額と実際の評価額が大きく乖離する場合があるため注意が必要です 。
金融業界で注目すべきは、両評価額の「評価タイミング」の違いです。固定資産税評価額は3年に1度の評価替えであるのに対し、相続税評価額は毎年更新される路線価に基づいて算出されます 。この違いにより、地価が急激に変動した年には、両評価額の乖離が通常よりも大きくなることがあります。
また、建物の評価では興味深い現象が見られます。建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額ですが、賃貸している場合は借家権相当額(30%)を控除することができます 。つまり、「貸家の相続税評価額=固定資産税評価額×0.7」となり、この場合は相続税評価額の方が低くなります 。
参考)家屋・建物の相続税評価額の計算方法|不動産にかかる相続税
さらに、倍率地域では固定資産税評価額に評価倍率を乗じて相続税評価額を算出するため、両評価額の関係がより密接になります 。例えば、評価倍率が1.1倍の地域では、「相続税評価額=固定資産税評価額×1.1」という直接的な関係が成立します 。
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