路線価計算方法と相続税評価の実践ガイド

路線価計算方法と相続税評価の実践ガイド

路線価計算方法の基礎知識

路線価計算で重要なポイント
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基本の計算式

路線価×奥行価格補正率×地積で基本評価額を算出

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補正率の適用

土地の形状や立地に応じて適切な補正率を選択

借地権割合

A~Gのアルファベットで示される借地権の権利割合

路線価は相続税や贈与税計算における土地評価の基準価格で、1平方メートルあたりの価格を千円単位で表示しています 。この路線価を基に適切な計算方法を理解することで、正確な不動産評価額を算出できます。
参考)路線価とは|路線価の見方から土地評価額の計算方法まで

 

路線価図に記載されている数字は土地の基本価格を示し、その右隣のA~Gの記号は借地権割合を表します 。例えば「215D」と表示されている場合、1平方メートルあたり21万5千円の路線価で、借地権割合が60%であることを意味します。
参考)https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm

 

路線価計算の基本公式と読み方

路線価による土地評価額の基本的な計算式は「路線価 × 奥行価格補正率 × 土地面積」です 。この計算方法により、標準的な一つの道路に面する土地の相続税評価額を求めることができます。
参考)路線価とは?路線価の調べ方から土地評価額の計算方法までわかり…

 

路線価図の見方として、数字部分は千円単位の価格を表し、アルファベットは以下の借地権割合を示しています :
参考)路線価のアルファベットは何を意味している?「D」や「E」の意…

 

  • A:90%、B:80%、C:70%、D:60%
  • E:50%、F:40%、G:30%

借地権割合は地価の高い都市部ほど高く設定され、東京の商業地では80%~90%、住宅地では60%~70%の場合が多くなっています 。
参考)【借地権割合】価格計算の基礎|借地権相談所

 

路線価計算における奥行価格補正率の活用

奥行価格補正率は土地の奥行距離に応じて適用される重要な補正要素で、道路からの距離が利用価値に与える影響を数値化したものです 。奥行が標準的な範囲を外れる土地では、この補正率により適正な評価額を算出します。
具体的な計算例として、路線価200C、奥行距離60m(補正率0.86)、土地面積300平方メートルの場合:20万円×0.86×300平方メートル=5,160万円となります 。
奥行価格補正率表は国税庁ホームページで確認でき、地区区分ごとに異なる補正率が設定されています 。ビル街地区、普通住宅地区、工場地区など、それぞれの地区の特性に応じた補正が必要です。

路線価計算で使用する借地権割合の実務

借地権割合は路線価による土地評価において、所有権と借地権の価値配分を決定する重要な要素です 。路線価600Cの土地100平方メートルの場合、更地価格6,000万円に対し、借地権価格は4,200万円(70%)、底地価格は1,800万円(30%)となります。
参考)借地権の相続税は路線価で計算ができる!

 

借地権の相続税評価では、自用地価格に借地権割合を乗じて算出し、借地権価格=自用地価格×借地権割合の計算式を使用します 。この計算方法により、借地権者と底地所有者それぞれの権利価値を適正に評価できます。
地域の商業性や利便性が高いほど借地権割合も高く設定される傾向があり、都市部の商業地域では90%、住宅地域では60~70%が標準的な水準となっています 。

路線価計算における側方路線影響加算の方法

角地や準角地のような二つの道路に面する土地では、側方路線影響加算率を用いて正面路線のみの場合より高い評価額を算出します 。正面路線と側方路線の判定は、それぞれの路線価に奥行価格補正率を乗じた金額の高い方が正面路線となります。
参考)側方路線影響加算率とは?評価方法や調整が必要なケース

 

側方路線影響加算の計算式は「側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率」で、地区区分と角地・準角地の区別により加算率が決定されます 。普通住宅地区の角地の場合、側方路線影響加算率は0.03が適用されます。
側方路線が土地の一部のみに接する場合や、路線価が途中で変わる場合には、接する部分の長さの割合や加重平均による調整計算が必要です 。これにより、実際の土地の利用価値により適合した評価額を算出できます。

路線価計算と倍率方式の使い分け実務

路線価が設定されていない郊外や農村部では、倍率方式による土地評価を行います 。計算式は「評価額=固定資産税評価額×倍率」で、路線価方式と比較してシンプルな構造となっています。
参考)相続税路線価の基礎知識を解説!計算方法や調べ方を知ろう|相続…

 

倍率方式では固定資産税評価額を基準とし、国税局長が定める一定の倍率を乗じて相続税評価額を算出します 。この評価方法は市街化調整区域の土地に多く適用され、都市計画による土地利用制限が評価額に反映されます。
参考)https://fuji-sogo.com/sozoku_knowledge/magnification_method/

 

路線価方式と倍率方式の選択は地域により決定され、評価者が任意に選択することはできません 。路線価図と評価倍率表は国税庁ホームページで確認でき、対象地の評価方式を事前に確認することが重要です 。
参考)【確定申告書等作成コーナー】-路線価方式と倍率方式