

親族が亡くなって相続放棄をしようと考えたとき、「死亡した日から3ヶ月が期限」だと思っていると、手遅れになることがあります。
那覇家庭裁判所は、沖縄県内のすべてを管轄するわけではありません。本庁と4つの支部に分かれており、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地がどの管轄に属するかによって、申立先の裁判所が異なります。この点を誤ると、書類を提出してもやり直しになるため注意が必要です。
那覇家庭裁判所本庁の管轄エリアは、那覇市・浦添市・糸満市・豊見城市・南城市・島尻郡(南風原町・与那原町・粟国村・渡名喜村・久米島町・渡嘉敷村・座間味村・南大東村・北大東村・八重瀬町)・中頭郡西原町です。
各支部の所在地は以下のとおりです。
| 支部名 | 管轄エリア(主要) | 所在地 |
|---|---|---|
| 沖縄支部 | 沖縄市・宜野湾市・うるま市・読谷村・嘉手納町・北谷町など | 沖縄市照屋6-7-7 |
| 名護支部 | 名護市・国頭郡・恩納村など北部エリア | 名護市字宮里451-3 |
| 平良支部 | 宮古島市・宮古郡多良間村 | 宮古島市平良字西里345 |
| 石垣支部 | 石垣市・八重山郡竹富町・与那国町 | 石垣市字石垣55 |
窓口の受付時間はいずれの支部も平日9:00〜11:00・13:00〜16:00です。土日・祝祭日・年末年始は休業となります。那覇家庭裁判所の本庁住所は沖縄県那覇市樋川1-14-10です。
相続放棄の申立書類は直接窓口に持参するか、郵送でも提出が可能です。遠方に在住している場合は、郵送(簡易書留またはレターパック推奨)で手続きを進めることができます。申立先の裁判所に事前に電話で確認しておくと安心です。
沖縄県全体の管轄情報は、裁判所の公式ページで確認できます。
費用は安いです。しかし、油断は禁物です。
那覇家庭裁判所への相続放棄の申立にかかる費用は、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手(84円切手3枚・10円切手2枚、合計272円分)が基本です。合計で1,072円程度という、一般的な法的手続きに比べると非常に安い費用で済みます。ただし、別途戸籍謄本の取得費用(1通450〜750円程度)や、専門家に依頼する場合の報酬が加算されます。
必要書類は、相続人との関係によって異なります。以下は成人が申述人となる標準的なケースです。
続柄によっては、さらに追加の戸籍書類が必要になることがあります。たとえば子が放棄した後に親が放棄する場合など、第2順位・第3順位の相続人が放棄するケースでは、被相続人の父母や兄弟姉妹の戸籍まで提出が求められます。書類の不備があると手続きが滞るため、事前に那覇家庭裁判所の窓口または公式PDFで最新の必要書類を確認することをおすすめします。
申述書を提出してから約1〜2週間で裁判所から照会書が届き、回答を返送すれば、さらに1〜2週間後に受理通知書が届くのが一般的な流れです。申述から受理まで合計で1ヶ月程度かかることを念頭に置き、余裕を持って手続きを開始する必要があります。
那覇家庭裁判所が公開している、申立時の提出書類・郵券一覧(最新版)も参考にしてください。
那覇家庭裁判所|申立時の添付書類・郵券一覧(2024年10月改訂版・PDF)
相続放棄の期限は「死亡した日から3ヶ月」ではありません。これが原則です。
正確には民法第915条1項により、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」と定められています。つまり、被相続人が亡くなった事実を知り、かつ自分が相続人になったことを認識した日が起算点になります。この違いは、実務上とても重要な意味を持ちます。
たとえば、疎遠だった親族が沖縄で亡くなり、その訃報を半年後に知った場合、起算点は「亡くなった日」ではなく「その事実を知った日」からカウントされます。半年後に知ったなら、そこから3ヶ月以内に手続きをすれば、原則として相続放棄が認められます。
さらに、3ヶ月の熟慮期間内に相続財産の状況を把握しきれない場合は、家庭裁判所に期間の伸長(延長)を申し立てることができます。通常1〜3ヶ月程度の延長が認められるケースが多く、申立費用は収入印紙800円と郵便切手が必要です。ただし、延長の申立は必ず3ヶ月の期限が切れる前に行う必要があります。この点を誤ると、延長申請自体が受け付けられません。
また、3ヶ月が経過した後でも、「借金があることを知らなかった」「財産調査を尽くしても発見できなかった」などの事情がある場合は、最高裁判所の判例(昭和59年判決)に基づき、例外的に相続放棄が認められることもあります。ただし、この例外は厳しい要件を満たす必要があり、弁護士への相談が必須です。
起算点の詳細については、法務省の公式情報も参照してください。
相続人の間で遺産の分け方についてまとまらない場合、次のステップとして「遺産分割調停」を那覇家庭裁判所に申し立てることができます。遺産分割協議が合意に至らないまま放置されると、相続財産の活用や売却・名義変更ができず、塩漬け状態が続くリスクがあります。これは金融資産の管理や不動産の活用を妨げる大きな問題です。
遺産分割調停の申立費用は、被相続人1人につき収入印紙1,200円と、連絡用の郵便切手(5,000〜6,000円程度、相手方が増えるごとに約2,000円追加)が必要です。弁護士費用とは別に、これらの実費はかかります。相続放棄と比べると申立費用はやや高くなりますが、訴訟に移行した場合の費用(訴額に応じた収入印紙代)に比べれば格段に安価です。
調停は原則として月1回程度のペースで行われ、3〜6回の調停期日を経て合意に至るケースが多いとされています。合意が成立すると「調停調書」が作成され、遺産分割協議書と同様の法的効力を持ちます。調停が不成立となった場合は、自動的に「審判」手続きへ移行し、裁判官が最終的な判断を下すことになります。
なお、管轄裁判所は「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」が原則です。相手方が那覇市に住んでいる場合は那覇家庭裁判所に申し立てます。一方で、当事者全員が合意すれば管轄外の裁判所でも申立が可能となる場合があります。遠方に住む相続人がいる場合は、弁護士を代理人に立てることで、本人が裁判所に出向く手間を省くこともできます。
沖縄でも高齢化が進む中、親の認知症を機に相続や資産管理の問題が浮上するケースが増えています。成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産を守るための制度であり、那覇家庭裁判所への申立によって開始されます。
申立費用の内訳は以下のとおりです。
鑑定が必要と判断されるのは全体の一部ですが、発生した場合は10万円近くの出費になることもあります。成年後見人には、親族が選ばれるケースと、弁護士・司法書士などの専門家が選ばれるケースがあります。専門家が後見人になると、月額2〜6万円程度の報酬が継続的に発生します。この点は長期的な費用計画の中で考慮しておくことが重要です。
金融資産の管理という視点から見ると、成年後見制度を利用することで、認知症の親の預貯金や不動産を適切に管理・保全することが可能になります。一方で、後見が開始されると本人の判断能力が法律上制限されるため、運用中の証券口座や積立型保険の取り扱いにも影響が出ることがあります。この点は事前に金融機関や専門家に確認しておくと安心です。
那覇家庭裁判所が公開している成年後見の申立の手引きも参照できます。
那覇家庭裁判所|成年後見申立ての手引き(2024年版・PDF)
金融に関心が高い方ほど、家庭裁判所の使い方を知ることで、財産の損失を未然に防げます。これは実践的な知識です。
相続の場面では、遺産分割が決まるまでの間に相続財産が流出・散逸するリスクがあります。特に複数の相続人がいる場合、誰かが被相続人の口座から無断で現金を引き出したり、不動産を処分しようとするケースも現実に起きています。このような事態を防ぐために、家庭裁判所に「相続財産の保全措置(仮処分・保全処分)」を申し立てるという手段があります。
また、相続人が全員相続放棄をした場合など、「相続財産管理人」の選任を家庭裁判所に申し立てることができます。相続財産管理人は法律上の中立者として財産を管理・清算する役割を担います。この制度を利用することで、無主の財産が適切に処理され、债権者への支払いが整理されます。申立費用は収入印紙800円のほか、財産管理のための予納金(数十万円単位になることも)が求められることがあります。
さらに、注目すべき独自の視点として「遺留分侵害額請求と家庭裁判所の関係」があります。遺言書によって自分の遺留分(最低限もらえる相続分)が侵害された場合、まず遺留分侵害額の請求を内容証明郵便で行い、話がまとまらない場合に家庭裁判所の調停を活用できます。遺留分の計算には金融資産の評価額が直接影響するため、株式・投資信託・生命保険の評価方法を事前に理解しておくことが、権利を守る上で非常に重要です。遺留分は法定相続人の相続分の2分の1(直系尊属のみの場合は3分の1)に相当します。
いずれの手続きも、那覇家庭裁判所のウェブサイトまたは窓口(電話:098-869-7171)で詳細を確認できます。
那覇地方裁判所・那覇家庭裁判所|裁判手続を利用する方へ(公式)