

あなたの住民税は、所得税が0円でも課税される場合があります。
住民税には「所得割」と「均等割」という2つの構成要素があります。この違いを理解することが、住民税全体の計算を正確に把握する第一歩です。
所得割は、前年(1月1日〜12月31日)の所得をもとに計算される部分です。所得が多いほど納税額が増える仕組みで、住民税全体の大部分を占めます。税率は全国一律10%(道府県民税4% + 市区町村民税6%)が原則です。これは基本的にどの都市に住んでいても同じ割合がかかります。
均等割は所得額に関係なく定額で課される部分で、2024年度からの年額は5,000円(市区町村民税3,000円 + 道府県民税1,000円 + 森林環境税1,000円)です。2023年度までは4,000円でしたが、「森林環境税」の新設により1,000円増えました。
つまり基本です。
住民税は「所得割 + 均等割」で求めるというのが原則です。多くの人が気にするのは所得割の金額であり、ここをどう計算し、どう減らせるかが節税の核心になります。
なお、住民税は「前年の所得に対して翌年課税」される仕組みです。2025年1月〜12月の収入に対して、住民税の支払いは2026年6月から始まります。給与所得者であれば、毎月の給与から12分割されて天引きされます。
| 種類 | 計算方法 | 2024年度の金額・税率 |
|---|---|---|
| 所得割 | 課税所得 × 10%(道府県4% + 市区町村6%) | 所得に応じて変動 |
| 均等割 | 定額(全員同じ金額) | 年額5,000円 |
所得割の計算は、ざっくり「課税所得 × 10% − 税額控除 = 所得割額」という式で表されます。しかし、「課税所得」をどう計算するかがポイントです。手順を順番に整理します。
ステップ1:総所得金額を算出する
まず収入から「必要経費」や「給与所得控除」を差し引いて、所得金額を求めます。会社員の場合は、収入から給与所得控除を引いた金額が給与所得です。給与所得控除額は年収に応じて以下のように決まります。
| 年収 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 162.5万円以下 | 55万円 |
| 162.5万円超〜180万円以下 | 年収 × 40% − 10万円 |
| 180万円超〜360万円以下 | 年収 × 30% + 8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 年収 × 20% + 44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 年収 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
ステップ2:所得控除を差し引いて「課税所得」を求める
所得金額から、以下のような各種「所得控除」を差し引きます。これが課税所得になります。
- 基礎控除:43万円(住民税。所得税は58万円と異なる点に注意)
- 社会保険料控除:支払った全額
- 配偶者控除・扶養控除:家族構成に応じた額
- 生命保険料控除・地震保険料控除:支払額に応じた額
- iDeCo掛金(小規模企業共済等掛金控除):掛金の全額
重要なのは、住民税の基礎控除は43万円で、所得税(58万円)より15万円少ない点です。これが「所得税はゼロなのに住民税は課税される」という現象を生む要因のひとつです。
ステップ3:課税所得に10%を掛けて所得割額を計算する
課税所得に一律10%を掛けた値が「税額控除前の所得割額」です。ここからさらに「調整控除」や「税額控除」を差し引いて最終的な所得割額が決まります。
調整控除とは、所得税と住民税の人的控除の差額を調整するために設けられた控除です。ただし合計所得金額が2,500万円を超えると適用されません。
参考リンク(住民税の所得割の計算について、所得控除・税額控除の種類と内容を総務省が詳しく解説しています)。
個人住民税|総務省
実際に数字を使って計算してみましょう。具体例があると頭に入りやすいです。
ここでは「年収500万円、単身、扶養なし、社会保険料75万円、税額控除なし」という条件で試算します。
【計算の流れ】
① 給与所得控除を差し引く
500万円 ÷ の給与所得控除 = 144万円(360万円超660万円以下の区分)
→ 500万円 − 144万円 = 356万円(給与所得)
② 所得控除を差し引く
基礎控除43万円 + 社会保険料75万円 = 118万円
→ 356万円 − 118万円 = 238万円(課税所得)
③ 所得割を計算する
238万円 × 10% = 23万8,000円(所得割)
④ 均等割を加算する
23万8,000円 + 5,000円 = 24万3,000円(住民税年額)
つまり月割りで約2万円が給与から天引きされる計算です。コンビニ弁当なら毎日1個買えるくらいの金額が、毎月税金として引かれていることになります。
これが基本です。
なお、実際には調整控除が加わる分、わずかに安くなるケースもあります。生命保険料控除や住宅ローン控除がある場合はさらに所得割が下がります。自分の状況に合わせて計算してみることが重要です。
参考リンク(住民税の計算ステップを社労士が監修して詳細に解説しているfreeeのページ)。
住民税の計算方法とは?税率や計算シミュレーションを紹介 – freee
所得割は必ずかかるものではありません。収入が一定以下なら非課税になります。これは知らないと損する情報です。
所得割のみ非課税になる基準(東京23区などの1級地の場合)
- 単身世帯:年収約100万円以下(合計所得45万円以下)
- 夫婦のみ世帯:年収約170万円以下
- 夫婦 + 子ども1人世帯:年収約221万円以下
- 夫婦 + 子ども2人世帯:年収約271万円以下
所得割も均等割も両方が非課税になる条件は、生活保護受給者や、障害者・未成年者・ひとり親で前年の合計所得が135万円以下の場合などです。単身世帯であれば、年収100万円以下(給与のみ)が目安です。
住民税が非課税の状態は「住民税非課税世帯」と呼ばれます。非課税になると、介護サービス費の軽減や、各種給付金の対象になるなど、生活面でのメリットが多くあります。住民税非課税世帯かどうかは、毎年6月頃に届く「住民税決定通知書」や、市区町村が発行する「課税証明書」で確認できます。
注意が必要な点として、自治体によって非課税ラインの金額が異なります。東京など大都市(1級地)と地方(2・3級地)では基準が少し違うため、正確な基準は住んでいる自治体の窓口やウェブサイトで確認するのが確実です。
参考リンク(住民税非課税世帯の判定条件と年収目安をfreeeがわかりやすくまとめた記事)。
住民税非課税世帯とは?年収の目安や判定条件 – freee
所得割を減らすためには、「課税所得を下げる」か「税額控除を増やす」かの2つのアプローチがあります。金融に興味がある方なら特に注目してほしいのが、iDeCoとふるさと納税です。
🏦 iDeCoによる所得控除(課税所得を下げる)
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。控除された分、住民税の課税所得が下がり、所得割が直接減ります。
会社員の場合、iDeCoの掛金上限は月2.3万円(年27.6万円)です。年収500万円の人が月2.3万円を拠出した場合、住民税の所得割は以下のように変わります。
- iDeCo拠出なし:課税所得238万円 × 10% = 23万8,000円
- iDeCo拠出あり:課税所得(238万円 − 27.6万円 = 210.4万円) × 10% = 21万400円
- 節税額:約2万7,600円(住民税分のみ)
約3万円近く、住民税が安くなります。これは節税効果です。
さらに所得税も同様に節税でき、合計すると年間5〜6万円程度の税負担軽減につながるケースもあります。老後に向けた資産形成と節税が同時にできるため、金融リテラシーの高い層から特に人気があります。
🎁 ふるさと納税による住民税所得割からの控除
ふるさと納税は、寄附金額から2,000円を引いた分が、所得税と住民税から控除される制度です。住民税の控除には「基本分」と「特例分」の2種類があります。
- 住民税からの控除(基本分)=(寄附金額 − 2,000円)× 10%
- 住民税からの控除(特例分)=(寄附金額 − 2,000円)× (90% − 所得税率)
上限は住民税所得割額の20%です。これを超えた分は控除されないため、自分の所得割額をもとに「控除限度額」を計算しておくことが重要です。
年収500万円・単身・社会保険料75万円の人の場合、ふるさと納税の上限目安はおよそ6万1,000円前後です(税率・家族構成により変動)。この範囲内で寄附すれば、実質2,000円の自己負担で返礼品がもらえます。これは使えそうです。
参考リンク(ふるさと納税と住民税所得割の控除の仕組みを総務省が公式に説明しているページ)。
ふるさと納税の控除の仕組み|総務省
iDeCoの節税効果を手軽に確認したい場合は、iDeCo公式サイトの「かんたん税制優遇シミュレーション」を使うと、年収・年齢・掛金を入力するだけで節税額が計算できます(無料)。
参考リンク(年収・掛金を入力するだけで住民税を含む節税シミュレーションが可能なiDeCo公式ツール)。
かんたん税制優遇シミュレーション|iDeCo公式サイト