森林環境税いくらか知らないと損する仕組みと使い道

森林環境税いくらか知らないと損する仕組みと使い道

森林環境税はいくらで誰が払うのか、仕組みと実態を徹底解説

森林環境税は「1,000円だけ」と思っていませんか?あなたが住む県によっては、すでに2,000円以上の出費になっています。


🌲 森林環境税 3つのポイント
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税額は年額1,000円(国税)

2024年度から、住民税均等割と合わせて年1,000円が全国一律で徴収。対象者は約6,000万人にのぼります。

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37都道府県で「二重課税」状態

神奈川・大阪など37府県では独自の森林税をすでに導入しており、国税の森林環境税と合わせて二重の負担になっています。

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自治体の9割が税を使い切れていない

会計検査院の調査(2019〜23年度)では、配分された額を使い切れていない自治体が調査対象の約9割を占め、未活用分は計145億円に上っています。


森林環境税はいくら?税額の計算と住民税との関係

森林環境税は、2024年(令和6年)度から正式に徴収が始まった国税です。税額は1人あたり年額1,000円で、個人住民税均等割と一緒に市町村が徴収します。


住民税の均等割は、市民税(区民税)が3,000円、都道府県民税が1,000円の合計4,000円が標準税率です。これに森林環境税1,000円が加わるため、合計では年間5,000円の均等割負担になります。コンビニのコーヒー1杯(約200円)で換算すると、25杯分が毎年自動的に引かれていくイメージです。


給与所得者の場合、住民税は6月から翌年5月にかけて毎月の給与から天引きされます。そのため「気づいていなかった」という人が少なくありません。つまり静かに引かれているのが実態です。


自営業者や個人投資家など確定申告をする方は、住民税の納付書で一括または4分割で支払う形になります。森林環境税は住民税の納付書に内訳として記載されますが、見落としやすいため、一度ご自身の住民税通知書を確認することをおすすめします。


参考リンク(総務省:森林環境税の制度概要・税額の仕組み)
総務省|地方税制度 森林環境税及び森林環境譲与税


森林環境税の納税義務者と非課税になる条件

「全員が払う税金」と思われがちですが、非課税になるケースがあります。これが条件です。


森林環境税は、個人住民税の均等割が非課税の人には課されません。具体的には次のいずれかに当てはまる場合、支払いが免除されます。



  • 生活保護法による生活扶助を受けている人

  • 障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下の人

  • 前年の合計所得金額が自治体ごとの非課税限度額以下の人(例:扶養なし・単身の場合、給与収入100万円以下が目安)


非課税限度額は自治体によって異なります。大阪市の場合、合計所得45万円以下(給与収入100万円以下相当)であれば住民税・森林環境税ともに非課税です。


「1月1日時点」で国内に住所があることが課税の条件になります。1月2日以降に転出・移住しても、その年の課税は回避できないので注意が必要です。これは意外なポイントです。


また、赤ちゃんや学生など未成年でも、住民税均等割が非課税でなければ課税対象になり得ます。ただし、多くの未成年・学生は所得が少なく非課税限度額に収まるケースが多いです。非課税が基本と考えておけばOKです。


自分が非課税かどうか確認したい場合は、毎年5月〜6月頃に届く「住民税・森林環境税の課税通知書」をチェックするのが最も手確実です。


参考リンク(Freee:非課税対象者・納税義務者の解説)
freee|森林環境税・森林環境譲与税とは?納税義務者や税額を解説


森林環境税の使い道と「森林環境譲与税」の仕組み

集められた税金は、どこに行くのでしょうか?


森林環境税の税収は全額、国から各都道府県・市町村へ「森林環境譲与税」として配分されます。令和6年度の総譲与額は629億円(市町村566億円・都道府県63億円)にのぼります。日本の全市区町村数が約1,700であることを考えると、1自治体あたり平均3,000万円以上が毎年配られていることになります。


使途は法律で「森林整備・人材育成・木材利用促進・普及啓発」に限定されています。森林を持つ地方自治体では間伐や境界測量などの森林整備費に使われるケースが多く、都市部の自治体では学校の机・いすや公園のベンチを木製に替える取り組みなど、「木材利用促進」として活用する例が増えています。


問題は、森林を持たない都市部の自治体が使い道に困っているという実態です。厳しいところですね。大阪の泉南市では公園ベンチへの木材利用、越谷市では「木材調達のノウハウがない」という課題が報告されています。


税収を受け取りながら活用できず基金に積み立てたままの自治体も多く、令和6年度時点で全体の約7%の市町村が基金への全額積み立てを続けています。


参考リンク(林野庁:森林環境税と譲与税の仕組み)
林野庁|森林環境税及び森林環境譲与税の状況


森林環境税の問題点:二重課税・未活用・配分基準の不公平

金融や家計に関心のある方ほど、この制度の問題点を把握しておく価値があります。


二重課税の問題


神奈川・大阪・長野など37府県ではすでに独自の「県民森林税」「みどりの税」などを導入しています。これらの地域では、国税の森林環境税(年1,000円)に加え、さらに都道府県独自の森林税が別途徴収される形になります。結果として、同じ「森林整備」を名目にした税が2本立てで課税される二重課税の状態になっているのです。


未活用の問題


会計検査院が2019〜2023年度分の執行状況を調べたところ、配分された額を使い切れていなかった自治体は調査対象の約9割に達し、未活用分の合計は145億円に上っています。これはコーヒー缶(約150円)に換算すると約9,600万本分に相当する金額が眠ったままということです。痛いですね。


配分基準の問題


譲与税は①私有林人工林面積・②林業就業者数・③人口の3基準で按分されます。このうち「人口」基準が含まれているため、森林を持たない東京都内の23区にも多額が配分される仕組みになっています。森林整備が本来の目的なのに、使い道に困る都市部にお金が流れる構造は制度の矛盾として指摘が続いています。


参考リンク(日本経済新聞:自治体9割が未活用の実態)


森林環境税と復興特別税の関係:金融リテラシーから読み解く税負担の変遷

「以前から住民税の負担が同じなのに、なぜ増えた気がするのか?」という疑問を持った方は鋭い見方をしています。


2014年(平成26年)から2023年(令和5年)まで、東日本大震災の復興財源として「復興特別税」が住民税均等割に年1,000円上乗せされていました。これにより均等割の標準税額は4,000円→5,000円になっていたわけです。


2024年度からは復興特別税(住民税分)が終了し、同じ1,000円が今度は「森林環境税」に切り替わっています。つまり手取りへの影響は変わらず5,000円のままですが、税の名目と使い道が替わった形です。これが「増税ではないが新税」という政府の説明の根拠になっています。


ただし、個人所得税の復興特別税(所得税額の2.1%上乗せ)は2037年まで継続されており、所得税側の復興負担はまだ残っています。つまり所得税の復興特別税は別物です。


金融に関心のある方が家計を正確に把握するには、住民税の内訳を年1回確認する習慣が役立ちます。住民税通知書(毎年5〜6月)には均等割・所得割・森林環境税が別々に記載されているため、税負担の変化を追うことができます。確定申告をする場合、翌年の住民税の計算根拠にもなります。


参考リンク(林野庁パンフレット:森林環境税の導入背景と仕組みの概要)
林野庁|森林を活かすしくみ 森林環境税・森林環境譲与税