法人税の中間申告仕訳と勘定科目を完全攻略

法人税の中間申告仕訳と勘定科目を完全攻略

法人税の中間申告の仕訳を基礎から実務まで徹底解説

中間申告書を出さなくても、あなたの会社には自動で税額が確定し延滞税まで加算されます。


この記事の3つのポイント
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中間申告の仕訳は「仮払法人税等」が基本

中間納付時は「仮払法人税等(借方)/普通預金(貸方)」で処理。確定前の前払いなので「仮払」科目を使うのが原則です。

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予定申告か仮決算かで納税額が大きく変わる

前期比で業績が悪化している場合は仮決算を選ぶと節税につながります。ただし仮決算のほうが申告書類の作成負担は重くなります。

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決算時に仮払を「精算」するのが仕訳の肝

決算で確定税額が決まったら、仮払法人税等を取り崩し、差額を未払法人税等(または未収還付法人税等)で処理します。


法人税の中間申告とは何か・中間納付が必要な企業の条件


法人税の中間申告とは、事業年度の開始日から6か月が経過した時点で、その年の法人税の一部を概算で前払いする制度のことです。年度末の確定申告時にまとめて納める方式だと、企業の一時的な資金負担が非常に大きくなります。この制度はその負担を平準化する目的で設けられており、国・自治体にとっても財政収入を安定させるメリットがあります。


中間申告が義務となる条件は明確です。前事業年度の確定法人税額が20万円を超えた法人が対象となります。


| 前期の確定法人税額 | 中間申告の要否 |
|---|---|
| 20万円超 | 必要 |
| 20万円以下 | 不要 |
| 設立1期目 | 不要 |
| 非営利型の一般社団法人 | 不要 |


つまり中間申告が必要です。前期に20万円を超える法人税を納めたかどうかが分岐点になります。


新設法人は1期目に前事業年度の実績がないため、原則として中間申告は不要です。ただし、会社を合併した場合は初年度であっても合算した前期実績をもとに中間申告が必要になるケースがある点には注意が必要です。


納付の期限は、事業年度開始日から6か月を経過した日の翌日から、さらに2か月以内と定められています。3月決算の法人(4月1日〜翌3月31日)であれば、9月末を起点として11月30日が期限となります。4月決算の法人であれば10月末が期限です。自社の決算月から逆算して、期限を必ずカレンダーに入れておきましょう。


国税庁|法人税の中間申告の対象要件についての公式解説ページ


法人税の中間申告の仕訳と勘定科目・基本パターン一覧

中間申告の仕訳で使う主な勘定科目は「仮払法人税等」「法人税、住民税及び事業税(法人税等)」「未払法人税等」の3つです。この3つが中心です。それぞれの役割を表に整理します。


| 勘定科目 | 分類 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 資産(流動資産) | 中間納付時(前払い計上) |
| 法人税、住民税及び事業税 | 費用 | 決算時(確定税額の費用計上) |
| 未払法人税等 | 負債(流動負債) | 決算時(未払い分の計上) |
| 未収還付法人税等 | 資産(流動資産) | 還付が発生する決算時 |
| 租税公課 | 費用 | 外形標準課税・延滞税・加算税の計上 |


ここで疑問を持つ方が多いのが「仮払法人税等はなぜ資産なのか」という点です。中間申告の段階では年間の法人税額がまだ確定していません。確定していない税金を先に払っているわけですから、「税務署への貸し」、つまり後で回収できる権利として資産に計上するのが正しい処理となります。前払費用と同じ発想です。


中間納付時の仕訳(基本パターン)


たとえば中間納付額が30万円の場合の仕訳は次のとおりです。


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 |


この仕訳の段階では「法人税等(費用)」は使いません。費用として計上するのは確定税額が明らかになる決算時です。中間納付時の仕訳に「法人税等」を使ってしまうのが最も多いミスの一つなので、注意が必要です。


弥生会計やfreeeなどのクラウド会計ソフトで処理する際は、税区分を必ず「対象外(課税対象外)」に設定してください。誤って課税区分を設定してしまうと、消費税の計算に影響が出ます。これは意外な落とし穴です。


マネーフォワードBiz|仮払法人税等の計上の流れと仕訳をわかりやすく解説したページ


法人税の中間申告における予定申告と仮決算の選び方・計算方法

中間申告の方法は「予定申告」と「仮決算」の2種類から選べます。どちらを選ぶかで納付額が大きく変わることがあるため、自社の業績を踏まえた判断が重要です。


予定申告(前年度実績を基準にする方法)


予定申告の計算式はシンプルです。


$$\text{中間納付額} = \frac{\text{前事業年度の確定法人税額}}{\text{前事業年度の月数}} \times 6$$


たとえば前期の法人税額が400万円(12か月決算)の場合、中間納付額は200万円になります。税務署から書類が届いて指示通りに記入すればよいため、事務負担は軽い方法です。多くの企業がこの予定申告を選んでいます。


仮決算(6か月間の実績に基づく方法)


仮決算は、事業年度の最初の6か月を一つの事業年度とみなして中間決算を行い、その損益に基づいて法人税額を算出する方法です。前期より業績が落ちている場合、実態に即した税額で納付できるため、資金繰りの面で有利になります。


ただし仮決算には注意点が2つあります。一点目は、仮決算で算出した税額が予定申告による税額を「上回る」場合は仮決算を選べないルールです。仮決算はあくまで納付額を減らすために選ぶ方法であり、増額には使えません。二点目は、申告書類の作成負担が確定申告と同水準になることです。税理士に依頼する場合、中間決算報酬が別途発生することもあります。


| 比較項目 | 予定申告 | 仮決算 |
|---|---|---|
| 計算のベース | 前期の確定法人税額の1/2 | 当期6か月間の実績損益 |
| 事務負担 | 軽い | 重い(確定申告と同程度) |
| 向いている状況 | 前期と業績が変わらない | 前期より大幅に減益している |
| 税額が0円の場合 | 申告書提出が必要 | 申告書のみ提出で納付不要 |


前期に比べて売上が大きく落ちた年は仮決算を検討する価値があります。予定申告のまま放置すると、実際より多い税額を中間で納め、確定申告での還付を長期間待つことになるからです。これは資金繰りの観点から見て損です。


国税庁|法人税の中間(予定)税額の算出方法について(公式Q&A)


法人税の中間申告の決算時・確定申告時の仕訳と精算処理

中間納付後の決算では、確定した税額と仮払法人税等を精算するための仕訳が必要です。ここが仕訳処理の中で最も混乱しやすい部分です。年間の流れを数値例で一気通貫で見てみましょう。


前提条件
- 3月決算法人(4月1日〜3月31日)
- 前期法人税額:100万円 → 中間納付額:50万円(予定申告)
- 当期確定法人税額:120万円


STEP1:中間申告時(11月)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 500,000円 | 普通預金 | 500,000円 |


STEP2:決算時(3月末)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 1,200,000円 | 仮払法人税等 | 500,000円 |
| | | 未払法人税等 | 700,000円 |


ここでのポイントは3つあります。①借方の「法人税、住民税及び事業税」120万円が当期の税金費用の総額です。②貸方の「仮払法人税等」50万円で中間納付分を取り崩して精算します。③差額70万円を「未払法人税等」として負債に計上します。仮払いと未払いを使い分けるのが原則です。


STEP3:確定申告・納付時(5月末)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払法人税等 | 700,000円 | 普通預金 | 700,000円 |


決算時に計上した負債を実際の納付で解消します。この仕訳は「翌期(新しい事業年度)」の仕訳になる点に注意してください。


還付が発生するケース(中間納付50万円、確定税額30万円の場合)


業績が想定以上に悪化し、確定税額が中間納付額を下回ることがあります。その場合の決算仕訳は次のとおりです。


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 300,000円 | 仮払法人税等 | 500,000円 |
| 未収還付法人税等 | 200,000円 | | |


「未払法人税等」ではなく「未収還付法人税等」を借方に立てるのが還付ケースの特徴です。税務署から20万円が入金されたタイミングで「普通預金 / 未収還付法人税等」として消し込みます。なお、還付には還付加算金(利息に相当)が加算される場合があり、その金額は「雑収入」として別に処理して益金に算入します。


国税庁|No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期


法人税の中間申告でやりがちな仕訳ミスと「みなし申告」の落とし穴

中間申告に慣れていない担当者が陥りやすいミスとペナルティをここで整理します。知らないと思わぬ損失につながります。


❶ 中間申告書を出さない → みなし申告が自動的に成立


「忙しかったので申告書を出し忘れた」というケースは珍しくありません。しかし中間申告書を提出しなかった場合、法律上は予定申告を行ったものとみなされます。これを「みなし申告」といいます。


問題は、みなし申告が成立しても、納付義務は消えないという点です。申告書を出さなくても税額は自動で確定しており、納付期限を過ぎれば延滞税が発生します。申告さえしなければ税金が猶予されると思っていると、延滞税という余計な出費を招きます。


❷ 赤字でも中間申告が必要な場合がある


当期が赤字であっても、前期の法人税額が20万円超であれば中間申告は必要です。予定申告を選んでいる場合、当期が赤字であっても前年実績ベースの税額が確定し、納付義務が発生します。こういった場合は仮決算を選んで申告することで、当期利益がゼロ以下なら納税額を0円にできます。仮決算の場合は申告書の提出だけ行えば、納付は不要です。


❸ 延滞税と加算税の違いを混同する


| 種類 | 発生原因 | 税率の目安 | 損金算入 |
|---|---|---|---|
| 延滞税 | 納付期限を過ぎた | 年2.4〜8.7%程度 | 不可 |
| 過少申告加算税 | 申告額が少なかった | 原則10%(一定の場合15%) | 不可 |
| 重加算税 | 意図的な隠蔽・仮装 | 35〜40% | 不可 |


これらはいずれも勘定科目としては「租税公課」で処理しますが、法人税の計算上は損金に算入できません。損金不算入である点に注意が必要です。申告書上で加算(損金不算入)の調整が必要になります。


❹ 仮払法人税等を「法人税等(費用)」で処理してしまう


中間納付時に「仮払法人税等」ではなく「法人税、住民税及び事業税」を使ってしまうミスがあります。これをやってしまうと、決算時に確定した税額の全額を再度費用計上することになり、法人税費用が二重に計上される事態になります。中間納付時は必ず「仮払法人税等(資産)」で処理するのが基本です。


国税庁|No.9205 延滞税について(延滞税の計算方法・税率の詳細ページ)


法人税の中間申告で損金になる税金・ならない税金と仕訳への影響

法人が負担する税金には、法人税計算上「損金に算入できるもの」と「できないもの」があります。この区分を誤ると勘定科目の選択ミスに直結するため、金融・経理に関わる人ほど正確に押さえておきたいポイントです。


損金不算入の税金(損益計算書税引前当期純利益の下に表示)


- 法人税、地方法人税
- 法人住民税(法人税割・均等割)
- 加算税(過少申告・無申告・重加算税)
- 延滞税


これらは「法人税等」または「租税公課」で仕訳しますが、法人税の所得計算では経費として認められません。


損金算入できる税金(販売費及び一般管理費「租税公課」に計上)


- 法人事業税(所得割・外形標準課税の付加価値割・資本割)
- 固定資産税・都市計画税
- 印紙税
- 自動車税・軽自動車税
- 不動産取得税登録免許税
- 利子税


特に注意が必要なのは法人事業税です。事業税の所得割は損金算入できますが、算入できるタイミングは「発生した事業年度」ではなく、「申告書を提出した事業年度」です。これは意外です。つまり前期に発生した事業税が当期の申告時に損金になるというずれが生じます。


また、資本金1億円超の大企業に課される外形標準課税(付加価値割・資本割)は「法人税等」ではなく「租税公課」で計上し、販売費及び一般管理費に含めます。これも混同しやすい処理の一つです。


赤字でも発生する住民税均等割に注意


法人住民税の均等割は、法人の所得がゼロ以下(赤字)であっても毎年必ず発生します。金額は資本金と従業員数によって異なりますが、最低でも年間約7万円(都道府県分2万円+市区町村分5万円)です。たった7万円に見えても、仕訳を忘れると決算の帳簿が合わなくなります。赤字決算であっても均等割の仕訳は必ず計上してください。


決算時の仕訳(均等割7万円のみ発生するケース)。


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 70,000円 | 未払法人税等 | 70,000円 |


均等割が条件です。所得がゼロでも均等割の仕訳は発生します。


国税庁|法人事業税の損金算入時期についての公式解説ページ






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