

売上日に記入しないと税務調査で否認されます。
売掛帳には5つの必須項目があります。
参考)【青色申告】備付帳簿の説明と書き方・「売掛帳・買掛帳」につい…
取引年月日は売上が確定した日を記入します。商品の引き渡しやサービス提供が完了した日です。
請求書を発行した日ではありません。
参考)売掛帳の書き方を記入例付きで解説|最短で売掛帳を作成する方法…
摘要欄には取引内容を簡潔に書きます。「売上」「回収」といった言葉だけでなく、納品書番号や何月分かを記載すると後から確認しやすいですね。
参考)売掛金元帳とは?書き方や記入例を解説
借方・貸方の金額欄と残高欄も必須です。
売上発生時は借方に金額を記入し、入金時は貸方に記入します。残高欄の左側に「借/貸」の欄がある場合、プラスなら「借」、マイナスなら「貸」と記載してください。過入金などで売掛金がマイナスになるケースでは「貸」と書くことになります。
取引先ごとに1枚ずつ売掛帳を作成するのが原則です。
取引先が10件あれば10枚分の売掛帳を用意します。1つの帳簿に複数の取引先を混在させると、残高の把握が難しくなり税務調査でも指摘されやすいですね。
記入日を間違えると売上計上時期がずれます。
売上発生時の日付は、実際に商品が売れた日や売上が確定した日です。
請求日ではないので注意が必要ですね。
例えば6月20日に商品を納品したなら、請求書の発行が7月1日であっても、売掛帳には6月20日と記入します。
入金時の日付は、お金を実際に受け取った日です。
銀行振込なら口座に入金された日を記入します。振込手数料が差し引かれている場合、その金額も別途記録しておくと後で確認しやすいです。例えば売上150,000円に対し振込手数料648円が差し引かれて149,352円が入金されたなら、受入金額は149,352円、摘要欄に「振込手数料648円控除」と書いておきましょう。
参考)売掛金とは?仕訳方法を基本から特殊なケースまで徹底解説
税務調査では期末時点での売上計上漏れを重点的に確認されます。
サービス提供や商品受け渡しが完了しているのに売掛帳に記載していないと、売上の過少申告とみなされるということですね。決算日近くの取引は特に慎重に記録してください。
売掛帳は総勘定元帳や仕訳帳と連動します。
参考)https://www.musashino-aoiro.com/sp/yayoi_step5.php
売上を計上する際、売掛帳だけでなく仕訳帳にも「借方:売掛金/貸方:売上高」と記録します。売掛金を回収したときは「借方:普通預金/貸方:売掛金」です。このとき勘定科目を「売上高」にしてしまうと二重計上になるので注意が必要ですね。
預金出納帳や現金出納帳からも入力できます。
お金の動きを確認しやすい預金出納帳から入力する方が実務では便利です。預金出納帳で入金を記録する際、勘定科目に「売掛金」を選び、補助科目で取引先名を指定すれば、自動的に売掛帳にも反映されます。
請求書や納品書との整合性も重要です。
参考)税務調査に必要な準備資料とは?チェックリストで確認!
税務調査では売掛帳の金額と請求書・納品書の金額が一致しているか確認されます。不一致があると帳簿の信頼性が疑われ、他の項目も詳しく調べられる可能性があります。
具体例で記入方法を確認しましょう。
6月20日にパソコン3台(1台50,000円)を販売し、7月31日に振込手数料648円を差し引いた149,352円が入金されたケースです。
まず6月20日の行に以下を記入します。
次に7月31日の行に以下を記入します。
フォーマットは青色申告用と簡易簿記用があります。
参考)「売掛帳・売掛管理表」の書式テンプレート・フォーマットのダウ…
青色申告で65万円控除を受けるなら、複式簿記対応の売掛帳が必要です。簡易簿記の場合は日付・品名・売上金額・受入金額・差引金額の5項目があれば十分ですね。国税庁のWebサイトや会計ソフトの帳簿テンプレートを活用すると手間が省けます。
複数商品をまとめて記載する場合は「諸口」を使います。
参考)https://denkipro.com/tax/TAX3/tax13.html
A・B・C商品を同じ日に納入し、個別の金額を書くと見づらくなるときは摘要欄に「諸口」と記載し、別途明細を添付する方法が有効です。
手書きよりソフト入力が推奨される理由があります。
会計ソフトなら売上入力時に自動で売掛帳と総勘定元帳が連動します。手書きの場合、複数の帳簿に同じ内容を転記する手間がかかり、転記ミスのリスクも高まりますね。
補助科目機能で取引先管理が簡単になります。
売掛金の勘定科目に「武蔵野商店」「○○株式会社」といった補助科目を設定すれば、取引先ごとの残高を自動集計できます。期末時点での取引先別残高を一覧表示できるため、税務調査の準備も楽です。
預金データの自動取込で入力漏れを防げます。
銀行口座と会計ソフトを連携させると、入金データが自動で取り込まれ、売掛金の消込作業が効率化されます。手動で入力する場合と比べ、入金日や金額の記録ミスが大幅に減少するということですね。
弥生会計の売掛帳・買掛帳の書き方ガイドでは、具体的な入力画面と操作手順が図解されています。
期末残高の整合性が最重点項目です。
税務調査では、決算日時点の売掛金残高が総勘定元帳・売掛帳・取引先への請求書と一致しているか確認されます。不一致があると売上の計上漏れや架空売上の疑いを持たれ、詳細な説明を求められますね。
長期間入金されていない売掛金も注目されます。
6ヶ月以上入金がない取引については、回収の見込みや貸倒処理の妥当性を問われます。実際には回収できていないのに売掛金として残したままだと、利益の過大計上とみなされる可能性があります。
売上の計上時期のズレも指摘対象です。
参考)税務調査で修正申告が必要になったら?流れ・ペナルティ・対処法…
商品の引き渡しやサービス提供が3月に完了しているのに、請求書の発行が4月だからと4月に売上計上していると、期ズレとして修正を求められます。特に決算月前後の取引は慎重に記録する必要がありますね。
帳簿不備には最大10%の加算税が上乗せされます。
参考)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0022009-072_02.pdf
令和4年分以降の所得税から、税務調査で帳簿の提示を求められた際に提示できない、または記載に不備がある場合、過少申告加算税や無申告加算税が5%または10%加重される措置が適用されます。
参考)記帳水準の向上に資するための過少申告加算税等の加重措置【税務…
本来記載すべき売上金額の3分の1以上が帳簿に記載されていない場合、10%加重です。
例えば年間売上3,600万円のうち1,200万円以上が売掛帳に未記載だと、その申告漏れ分に対する加算税が通常より10%高くなります。3分の1未満でも2分の1以上不記載なら5%加重されますね。
7年分の税金と延滞税を請求される恐れもあります。
帳簿がない状態で税務調査を受けると、最大7年分の申告漏れを指摘され、本税に加えて延滞税とペナルティを支払う必要があります。仮に毎年100万円の申告漏れがあった場合、7年分で700万円の本税に加え、延滞税と加算税が上乗せされることになります。
国税庁の加算税加重措置の案内PDFで、具体的な加重割合と適用条件を確認できます。
月次で照合作業を行うのが基本です。
毎月末に売掛帳の残高と請求書の合計額を突き合わせ、一致しているか確認します。不一致があればその場で原因を調べ、記入漏れや金額誤りを修正しましょう。年度末にまとめて照合すると、ミスの原因特定が困難になりますね。
取引先別の残高確認書を送付する方法もあります。
決算前に取引先へ「○月○日時点での売掛金残高は××円です」という確認書を送り、先方の買掛金残高と照合してもらう手法です。双方の帳簿で金額が一致していれば、税務調査でも信頼性が高いと評価されます。
納品書番号を摘要欄に記入すると照合が楽です。
売掛帳の摘要欄に「納品書No.2024-0315」のように番号を書いておけば、後から納品書の実物と突き合わせる際にすぐ見つかります。複数の納品が同じ月にある場合は特に有効ですね。
決算日翌日の残高と帳簿を必ず一致させます。
3月31日決算なら、3月31日時点の売掛帳残高と総勘定元帳の売掛金残高が一致していることを確認します。不一致があると、どちらかの帳簿に記入漏れや誤りがある証拠です。
取引先別の残高明細を作成しておきます。
税務調査では「A社への売掛金はいくらか」と個別に質問されることがあります。取引先ごとの残高一覧表を用意しておけば、即座に回答でき、調査がスムーズに進みますね。
過年度の期末残高と当年度の期首残高も照合します。
前年の決算書に記載された売掛金残高と、当年の1月1日時点の売掛帳残高が一致しているか確認しましょう。ここにズレがあると、前年の帳簿か当年の帳簿のどちらかに誤りがあることになります。
2024年1月から電子データ保存の要件が厳格化されました。
メールで受け取った請求書や納品書は、電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。電子データと売掛帳の記録を紐付けられる状態にしておくことが求められますね。
検索機能の確保が義務付けられています。
取引日・取引先名・金額の3つで検索できる状態で電子データを保存する必要があります。会計ソフトの売掛帳機能を使えば、この要件は自動的に満たされることが多いです。
タイムスタンプや訂正削除履歴の保存も求められます。
データの改ざん防止のため、いつ記録されたかを証明するタイムスタンプ、または訂正削除の履歴が残るシステムでの保存が必要です。手書きの売掛帳をスキャンして保存する場合は、スキャン後すぐにタイムスタンプを付与しましょう。
6ヶ月以上未回収なら回収計画の見直しが必要です。
通常の取引サイトが月末締め翌月末払いの場合、6ヶ月経過しても入金がないのは異常な状態です。取引先の経営状況を確認し、督促や分割払いの交渉を始めるタイミングですね。
1年以上未回収だと貸倒処理の検討時期です。
取引先が倒産していないが支払いを拒否している、または連絡が取れない状態が1年続いているなら、貸倒損失として計上できる可能性があります。ただし税務上の要件を満たす必要があるため、税理士に相談してから処理しましょう。
取引先の法的整理が開始されたら即座に対応します。
破産手続開始の通知を受け取ったら、その時点で貸倒引当金を計上するか、回収不能額が確定した時点で貸倒損失を計上します。法的整理の開始は客観的な証拠となるため、税務調査でも認められやすいですね。
貸倒引当金は将来の損失に備える見積額です。
決算時点で回収が不安な売掛金がある場合、その一部を貸倒引当金として計上できます。青色申告者なら期末の売掛金残高の5.5%(金融業以外)を上限に、損金算入が認められています。
貸倒損失は実際に回収不能が確定した金額です。
取引先が破産し配当がゼロと確定した、または法的手続きなしに回収不能となった場合に計上します。貸倒損失として認められるには、客観的な証拠が必要ですね。
両者を使い分けることでリスク管理ができます。
回収に不安があるが確定していない段階では貸倒引当金で対応し、回収不能が確定した時点で貸倒損失に振り替える流れです。売掛帳には貸倒引当金設定額や貸倒損失計上額を摘要欄に記載しておくと、後で経緯が分かりやすいです。
請求書の発行タイミングを早めるだけで効果があります。
月末締め翌月初に請求書を送るのではなく、締め日当日または翌営業日に送付すれば、取引先の支払準備期間が長くなり、入金の確実性が高まります。
電子請求書を使えば即日送付も可能ですね。
入金予定日の3日前にリマインドを送ります。
「○月○日が入金予定日となっておりますので、ご確認をお願いいたします」という一文をメールで送るだけで、支払い忘れによる遅延が減ります。この連絡を売掛帳の摘要欄に「○日リマインド送信」と記録しておくと、督促履歴として残せます。
早期入金割引や分割払いの提案も検討できます。
支払期日より10日早く入金してくれたら1%割引、という条件を提示すれば、資金繰りに余裕のある取引先は早期入金に応じる可能性があります。長期未回収のリスクを考えれば、1%の割引は許容範囲ですね。
売掛帳から取引先の支払傾向が見えてきます。
過去6ヶ月分の売掛帳を振り返り、いつも期日通りに払う取引先と、毎回遅延する取引先を区別しましょう。遅延が多い取引先には、与信限度額を低めに設定するか、前払いや分割請求に切り替える判断が必要ですね。
売掛金回転率を月次で計算すると異常に気づけます。
売掛金回転率は「売上高÷平均売掛金残高」で計算します。この数値が急に下がったら、回収が遅れている証拠です。例えば通常6回転(年間)のところが4回転に落ちたら、60日で回収していたものが90日かかるようになったということですね。
取引先ごとの売掛金年齢表を作成します。
30日以内、31~60日、61~90日、91日以上のように、発生からの経過日数で売掛金を分類した表です。91日以上の欄に金額が増えてきたら、回収体制の強化や取引条件の見直しが必要なサインになります。
売掛金が増えすぎると資金ショートのリスクが高まります。
売上は上がっているのに現金が足りない状態を「黒字倒産」といいます。売掛帳の残高が月商の2ヶ月分を超えたら要注意ですね。例えば月商500万円の事業で売掛金残高が1,000万円を超えたら、回収サイトが長すぎるか、未回収が増えている証拠です。
ファクタリングで資金化する選択肢もあります。
売掛金を早期に現金化したい場合、ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらう方法があります。手数料がかかりますが、資金繰りの急場をしのげます。ただし、この取引も売掛帳に「○日ファクタリング実行」と記録し、通常の入金と区別しておきましょう。
売掛金の増減と運転資金の関係を把握します。
売掛金が100万円増えたら、その分だけ運転資金が必要になります。売上拡大期には売掛金も増えるため、銀行借入や自己資金で運転資金を確保しておく計画が重要ですね。売掛帳の月末残高推移をグラフ化すると、資金需要の予測がしやすくなります。
マネーフォワードの売掛金元帳解説では、会計ソフトを使った売掛金管理と資金繰り表の連携方法が紹介されています。