

年末在庫の計上漏れは脱税とみなされます
せどり事業では仕入以外にも多様な経費が発生します。経費として認められるのは「事業に関連する必要な支出」のみで、プライベートな出費を混同すると税務署から指摘を受けるリスクがあります。
参考)せどり経費の基本と注意点 – スマート確定申告
経費の分類は勘定科目によって整理します。
主な勘定科目は以下の通りです。
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| 勘定科目 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 仕入高 | 商品本体価格、仕入時の送料・手数料 |
売れた分のみ経費、在庫分は資産扱い |
| 荷造運賃 | 発送用段ボール、梱包材、発送時送料 | 販売に直接関わる費用 |
| 消耗品費 | プリンターインク、納品書用紙、10万円未満の備品 | 使用期間1年未満の物品 |
| 通信費 | インターネット回線代、業務用携帯電話代 | 按分が必要な場合あり |
| 地代家賃 | 自宅兼事務所の家賃、レンタル倉庫代 | 事業で使う面積の割合で按分必須 |
| 水道光熱費 | 自宅兼事務所の電気代 | 作業時間など合理的基準で按分 |
| 交通費 | 店舗仕入れのガソリン代、電車代、高速代 | 事業目的の記録を残すこと |
| 支払手数料 | プラットフォーム利用料、決済手数料 | 事業運営に必要な費用 |
見落としがちな経費例として、クラウドストレージ利用料や事務用品なども計上できます。ただし何でも経費計上できるわけではありません。必ず事業に関わっているものである説明ができることが大事です。
参考)経費でお金が返ってくる?個人事業主が気をつけたい勘違い
商品を仕入れた際の送料処理は初心者が間違えやすいポイントです。仕入時の送料は「荷造運賃」ではなく「仕入高」に含めるのが原則です。
商品仕入れに際して要した費用は、取得価額に含めることとされています。つまり、商品の本体価格に送料を加えた額を「仕入」として会計処理します。一方、商品販売時にかかった送料は「荷造運賃」を用いて処理します。
この区別は重要です。
仕入時と販売時で使う勘定科目が異なるため、レシートや領収書を見て「いつ発生した送料か」を判断する必要があります。仕入付随費用を取得原価に含めることで、正確な売上原価の計算につながります。
せどりツールの利用料や梱包材購入費も、使用目的によって勘定科目が変わります。段ボールなど梱包資材は「消耗品費」、商品保管用の棚(10万円未満)も「消耗品費」として処理できます。
税務調査で調査官が最も厳しくチェックする項目が在庫計上です。年末(12月31日)時点で売れ残っている商品の仕入代金は、その年の経費には絶対になりません。
経費として認められるのは、その年に「売れた」商品の仕入代金(売上原価)のみです。
売上原価の計算式は以下の通りです。
売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入高 − 期末在庫
期末在庫の計上漏れは、売上原価を過大に計上して利益を不当に圧縮することになり、意図せず脱税のような状態になるリスクがあります。税務署から見ると、期末在庫の計上漏れは典型的なミスであり、税務調査の際に厳しくチェックされるポイントです。
参考)せどりの節税と在庫管理の重要性
具体的な調査では、期末在庫に計上すべき商品を経費(仕入)に入れて原価を大きく見せていないか、仕入数と在庫数が帳簿上矛盾していないか等を確認されます。在庫が決算期末に残っていると経費にはならず利益となるため税金の対象になります。意図的に在庫の数を誤魔化せば脱税することもできるため、税務署の注意が厳しいのです。
棚卸の計上漏れで修正申告する場合、隠蔽や仮装がなければ過少申告加算税(新たに納める税額の10%、50万円超部分は15%)が課されます。ただし、社長が棚卸し除外を指示した事実があるなら仮装に該当し重加算税(35%、50万円超部分は40%)になります。
事業と私用で併用する支出は按分(ビジネス利用分だけを計算)して計上する必要があります。自宅の家賃・光熱費やマイカーのガソリン代、スマホ代などは事業で使った割合だけ経費にしてください。これを怠って100%経費計上すると税務署に高い確率で指摘されてしまいます。
按分の基準は以下のように合理的な根拠が必要です。
参考)間違えると恐い!フリーランスが経費計上できるものや割合・率と…
一般的に、按分割合は事業使用分の実態に応じて20〜30%程度が妥当とされることが多く、マックスで50%程度です。税務署は文句を言わない目安として全金額の3割程度という情報もあります。
ただし重要なのは「根拠」です。
面積、使用時間、通信量などを基準に割合を出して按分するのが良いでしょう。日常の生活でも使用していると考えられるものについては、100%を経費として計上するのではなく、仕事で使っている割合を計算し按分する必要があります。
レシートに事業とプライベートの支出が混在している場合は一括で処理せず、事業とプライベートで分けて計上します。プライベート利用については「事業主貸−プライベート支出」で処理を行ないます。
2024年1月1日以降、電子データとして受け取った証憑書類(領収書、請求書など)は、電子データのまま保存する必要があります。今までは紙で印刷したものを原本として保管できましたが、電子取引データは電子保存が義務化されました。
電子帳簿保存法の要件は以下の通りです。
参考)改正電子帳簿保存法!AMAZONせどり,楽天などの大手5大E…
検索可能な状態とは、「日付・取引先・金額」(タイムスタンプ)を用いて主要な項目ですぐに検索できる状態でPDFやスプレッドシート等に保存することです。
検索方法の例は以下です。
参考)ネットビジネスで領収書の電子帳簿保存、やり方を間違えると罰則…
なお、2023年12月に追記された国税庁の一問一答によれば、ECサイト上で領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差支えありません。電脳仕入れにおいて各モールでダウンロードする必要があったインボイス番号の印字された領収書等のダウンロードが不要になりました。
一方、紙で受け取った領収書は紙の形式のまま保存することが鉄則です。紙媒体で受け取った領収書をスキャンで電子データとして保存することも認められていますが、最長2ヶ月以内という期限があります。
参考)改正電子帳簿保存法|せどりで受け取った領収書や請求書の保存方…
領収書・レシート類は提出不要ですが7年間の保管が必要です。仕入れ、送料、梱包資材、ツール代など経費に関連する領収書は必ず保管してください。
参考)せどりの確定申告に必要な書類と書き方とは?そもそも私は確定申…
せどり事業者にとって、個人からの仕入れが多い場合はインボイス上の仕入税額控除の取り扱いが論点になります。消費税は売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を差し引いて計算し、この差し引く計算を「仕入税額控除」と言います。
参考)せどりの消費税は売上1000万円超で原則課税になる|インボイ…
買手は、インボイスがない仕入れや経費については「仕入税額控除」ができません。インボイス制度の下では、免税事業者等からの仕入れは原則として仕入税額控除ができません。
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_kojin_01.htm
ただし開始後の一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。フリマアプリやオークションサイトで個人から仕入れることが多いせどり事業者は、この経過措置を理解しておく必要があります。
消費税の課税事業者になるのは、売上が1000万円を超えた翌々年からです。せどりで一定の利益を得ている方は、たとえ副業であっても税務調査の対象となり、税金逃れを指摘されペナルティを課される恐れがあるため注意が必要です。
参考)せどりで脱税を指摘されるリスクはある?確定申告が必要となるケ…
経費を不正に計上すると「所得隠し」や「脱税」とみなされ、追徴課税が課されます。特に、申告した経費が多すぎたり、申告した収益と税務署が把握している収益が異なっていたりすると税務調査の対象となりやすいです。
国税庁のインボイス制度解説ページでは、制度の詳細と仕入税額控除の要件が確認できます。インボイス制度への対応が不安な方は参考にしてください。