外注工賃とは確定申告での仕訳方法・給与との判定基準・源泉徴収

外注工賃とは確定申告での仕訳方法・給与との判定基準・源泉徴収

外注工賃とは確定申告での仕訳・判定基準

外注費を給与と誤ると過去数年分の修正申告を求められます。


この記事の3つのポイント
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外注工賃の定義と仕訳

外部に業務を委託した際の費用を外注工賃として処理。確定申告では青色申告決算書に記載する勘定科目

⚖️
給与との判定基準

指揮命令関係、時間的拘束、代替性など5つの基準で実態を判断。契約書だけでは不十分

💰
誤認時のリスク

源泉所得税の追徴、消費税の仕入税額控除否認、延滞税などのペナルティが発生

外注工賃とは確定申告で使う勘定科目の基本


外注工賃とは、業務を外部の個人事業主や法人に委託した際に発生する費用を処理する勘定科目です。確定申告では所得税青色申告決算書に記載する項目として使われます。


参考)外注工賃の確定申告、仕訳や給与工賃との違いを解説

外注工賃と外注費は基本的に同じ意味で使われますが、青色申告決算書では「外注工賃」という勘定科目が2つ存在します。1つは製造原価の外注工賃、もう1つは経費の外注工賃です。製品の製造に関わる外部委託費用は製造原価として、営業・事務・庶務などの業務委託費用は経費として処理します。


参考)外注工賃、青色申告決算書の勘定科目

外注工賃として処理できる具体例には、以下のようなケースがあります。

  • 外部のデザイナーへのホームページ制作費
  • フリーランスのライターへの原稿料
  • 建設業での一人親方への工事代金
  • システム開発の業務委託費
  • コンサルタントへの顧問料

消費税法上、外注費は課税取引に該当するため、課税事業者は納付する消費税額から控除できます。


つまり課税仕入として扱えるということですね。



参考)個人事業主が「外注費」を支払う場合の仕訳と確定申告の注意点

外注工賃の確定申告での仕訳方法と源泉徴収

外注工賃を支払った際の基本的な仕訳は、借方に「外注工賃」、貸方に「現金」または「普通預金」を計上します。例えば法人のデザイン業者にホームページデザイン料として現金で10万円を支払った場合、以下のように処理します。


参考)外注先へ工賃を支払った場合の仕訳例 【勘定科目・仕訳大全集】…


借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
外注工賃 100,000円 現金・預金 100,000円

個人事業主に業務を委託する場合は、源泉徴収が必要になるケースがあります。原稿料、講演料、モデル、コンパニオン、外交員などに支払う報酬は、相手が個人であれば源泉徴収してから支払います。

源泉徴収する場合の税率は報酬額に10.21%(復興特別所得税を含む)を掛けた金額です。


源泉徴収が必要ということですね。



参考)外注費の勘定科目の使い方と源泉徴収や消費税などの仕訳例も解説…

例えば個人事業主に10万円の外注工賃を支払い、源泉徴収した場合の仕訳は以下のようになります。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
外注工賃 100,000円 現金・預金 89,790円
預り金 10,210円

源泉徴収した所得税は、支払側が預かり税務署に納めます。ただし支払い先が企業や法人の場合、源泉徴収は不要です。


常時雇用人数が2人以下の個人事業主が特定の業務を委託する場合など、例外的に源泉徴収が不要なケースもあります。


参考)個人事業主が外注費を支払うケースは?源泉徴収や仕訳について解…


参考: 国税庁「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm

外注工賃と給与の判定基準5つ

外注工賃と給与の区別は、契約書の内容ではなく実態で判断されます。国税庁が公表している5つの判定基準を使って総合的に判断します。


1. 指揮命令関係の有無
事業者から具体的な指示や監督を受けている場合は給与、業務の進め方を委託先が自由に決められる場合は外注費です。会社の指揮監督下で働いているかが基準ということですね。


参考)外注費と給与の違いは? 判断基準や判例、仕訳例も解説

2. 時間的拘束の有無
勤務場所や勤務時間が固定されている場合は給与、委託先が自由に決められる場合は外注費です。


3. 代替性の有無
本人以外の人が代わりに業務を行えるかどうかも重要な判断基準です。他人が代替できる場合は外注費、本人でなければならない場合は給与に該当します。


参考)個人事業主で外注費の支払いがあるときの税金と注意点について …


4. 報酬の決定方法
時間給や月給など時間に応じて報酬が決まる場合は給与、成果物や仕事一件あたりの報酬の場合は外注費です。


成果に応じた報酬請求があるかが条件です。



5. 材料や機材の費用負担
業務に必要な材料や道具を自分で用意し費用を負担している場合は外注費、会社が提供している場合は給与となります。


過去の裁判例では、一人親方、トラック運転手、ホステスなどの事例で判断が分かれています。


実態を細かく確認することが大切です。


判断基準 給与 外注工賃
時間的拘束性 あり なし
報酬の決定 時間で決まる 成果で決まる
代替性 本人のみ 他人で代替可能
材料・道具代 会社負担 自己負担
指揮監督 会社の指示あり 委託先が自由に決定
成果物滅失時 報酬を受けられる 報酬を受けられない


参考: 国税庁「給与所得と事業所得の区分」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm

外注工賃を給与と誤認した場合の追徴リスク

外注費を給与と認定されると、重大な税務リスクが発生します。


具体的には以下のペナルティが課されます。



源泉所得税の追徴課税
給与として支払う場合は源泉徴収義務がありますが、外注費として処理していた場合は徴収漏れとなります。過去の分をまとめて支払う必要があり、延滞税や不納付加算税も発生します。


参考)外注費と給与の判定は契約書があれば大丈夫?税務調査のポイント…


例えば毎月30万円の外注費が給与と認定された場合、1ヵ月の源泉所得税の徴収漏れは54,500円になります。契約が1年間であれば、約65万円を後から支払うことになります。

消費税の仕入税額控除の否認
外注費として処理していた消費税の仕入税額控除が全額否認され、追加で消費税を支払うことになります。例えば11万円の支払いを外注費として処理していた場合、消費税1万円分の控除が否認されます。


つまり控除が使えなくなるということです。



参考)外注費を給与と否認されないために


過少申告加算税などのペナルティ
本来納めるべき税金が漏れているため、過少申告加算税が課されます。期限内申告書を提出した後に修正申告書の提出や更正があった際に発生する税金です。

税務調査により外注費が給与と認定された場合、過去数年分に遡って修正申告を求められる可能性があります。特に意図的に外注費として処理していたと判断された場合、重加算税が適用されることもあります。


参考)税務調査で外注費が認められない?判断基準とリスクを解説

給与を受け取った側も追加で確定申告が必要になったり、税金を余計に支払ったりする可能性があります。

外注工賃として認定されるための実務対策

税務調査で給与と指摘されるリスクを減らすには、以下の5つの対策が有効です。


請負契約書の作成
まず請負契約書を必ず作成し、業務内容、報酬額、支払条件などを明確に記載します。契約書があるだけでは不十分ですが、実態を示す証拠として重要です。


業務の進め方は委託先に任せる
仕事の進め方、作業時間、作業場所などを委託先が自由に決められる環境を整えます。細かい指示を出すと指揮監督関係があると判断されるためです。


これが原則ということですね。


請求書は委託先に作成してもらう
報酬の支払いは、委託先が作成した請求書に基づいて行います。成果に対する報酬請求という形式を明確にするためです。


報酬は成果に対して支払う
時給や日給ではなく、成果物や業務完了に対して報酬を支払う形にします。「デザイン1件あたり5万円」「記事1本あたり3万円」といった設定が効果的です。


機材は委託先に用意してもらう
業務に必要な機材、ソフトウェア、材料などは可能な限り委託先に用意してもらいます。経費負担が委託先にあることを示すことが条件です。


これらの対策を実施することで、税務調査で外注工賃として認められる可能性が高まります。実態が伴っていることが最も重要なポイントです。


参考: 税理士法人による外注費と給与の判断基準の詳細解説
https://itayama-syo-zeirishi.jp/salary-outsourcing/

外注工賃の確定申告でよくある間違いと注意点

税務担当者が外注工賃を処理する際に、よくある間違いをいくつか紹介します。


個人事業主の屋号を法人名と誤認する
個人事業主の屋号を法人名と誤認して、源泉徴収が不要だと判断してしまうケースがあります。うっかりミスでも源泉所得税の支払いを求められるため注意が必要です。


参考)https://rstandard.co.jp/ac-bpo-contents/outsourcing_costs.html

源泉徴収の対象になる報酬を理解していない
どの報酬が源泉徴収の対象になるか正確に理解していないと、徴収漏れが発生します。原稿料、講演料、デザイン料など特定の業務は源泉徴収が必要です。


製造原価と経費の区別ができていない
青色申告決算書には外注工賃が2つあるため、製造に関わる外注と営業・事務に関わる外注を正しく区別する必要があります。製造原価の外注工賃と経費の外注工賃を混同しないことが基本です。

契約書だけで判断してしまう
請負契約書があるから外注費として問題ないと考えるのは危険です。税務調査では実態がどうなっているかで判断されます。


インボイス制度への対応漏れ
2023年10月からインボイス制度が開始され、適格請求書がないと仕入税額控除ができなくなりました。外注先が適格請求書発行事業者かどうか確認する必要があります。


参考)外注工賃とは?外注費との違い・仕訳例・税務リスクまで解説

これらの注意点を押さえておくことで、確定申告時のトラブルを避けられます。少しでも不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。


参考: マネーフォワードによる外注工賃の確定申告ガイド
外注工賃の確定申告、仕訳や給与工賃との違いを解説




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