不動産所得とは何か、簡単に計算・申告を解説

不動産所得とは何か、簡単に計算・申告を解説

不動産所得とは何か、簡単に理解できる完全ガイド

不動産所得が年間20万円以下でも、住民税の申告を怠ると追徴課税される可能性があります。


この記事の3ポイント要約
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不動産所得の定義

土地・建物の貸付け、船舶・航空機の貸付けなどによる所得が対象。「収入−必要経費=不動産所得」が基本の計算式。

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確定申告の要否

給与所得者は不動産所得が年間20万円超で確定申告が必要。ただし20万円以下でも住民税の申告は別途必要なので注意が必要。

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節税の最大ポイント

青色申告+事業的規模(5棟10室以上)を満たすと最大65万円控除が可能。損益通算で給与所得と赤字を合算して税負担を減らせる。


不動産所得とは何か、簡単にわかる定義と3つの対象


不動産所得とは、所得税法で定められた10種類の所得区分のうちのひとつで、「不動産等の貸付けによって得られる所得」のことを指します。家賃収入があると聞くと「事業所得」や「雑所得」と混同する方もいますが、原則として賃貸経営による所得は不動産所得に分類されます。


国税庁の定義によれば、不動産所得の対象となるのは以下の3つです。



  • 🏠 土地や建物などの不動産の貸付け:アパート・マンション・駐車場・貸地など

  • ⚖️ 不動産上に存する権利の設定・貸付け地上権・借地権・永小作権など

  • 🚢 船舶や航空機の貸付け:意外に思われるが所得税法上は不動産所得に含まれる


3つ目が意外ですね。船舶や航空機のチャーター貸しも不動産所得として扱われます。


さらに知っておきたいのが、「収入そのものが不動産所得ではない」という点です。家賃として毎月受け取る金額(不動産収入)と、そこから経費を引いた後の金額(不動産所得)は明確に異なります。税金の計算に使うのはあくまでも「所得」の方です。これが基本です。


また、総収入金額には家賃だけでなく、礼金・更新料・返還不要の敷金・共益費(電気代・水道代名目で受け取るもの)も含まれます。看板やネオンサインの設置使用料も対象になるため、収入の漏れが起きやすいポイントとして覚えておきましょう。


不動産収入と不動産所得の定義を整理した国税庁の公式情報はこちらです。


不動産収入の種類や計算方法の公式解説(国税庁)
No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁


不動産所得の計算方法を簡単な数字で理解する

不動産所得の計算式は非常にシンプルです。






計算式 内容
不動産所得 総収入金額 ー 必要経費(ー 青色申告特別控除)


たとえば、年間の家賃収入が240万円、必要経費が100万円だった場合、不動産所得は140万円です。さらに青色申告の65万円控除が適用できれば、課税対象となる不動産所得は75万円まで圧縮できます。これは使えそうです。


必要経費として認められる主なものは以下のとおりです。



  • 🔧 修繕費(壊れた箇所の修理・設備交換など)

  • 📉 減価償却費(建物の価値が毎年少しずつ目減りする分を経費化)

  • 🏦 借入金の利息部分(ローンの元本返済は経費にならない点に注意)

  • 🔒 火災保険料・地震保険料などの損害保険料

  • 📝 固定資産税・都市計画税などの税金

  • 👔 管理会社への管理費・維持費

  • 🧑‍💼 税理士・司法書士などへの報酬


ここで注意が必要なのが「減価償却費」です。実際にお金が出ていかないにもかかわらず経費として計上できるのが減価償却費の特徴で、不動産投資において節税効果が高い経費のひとつです。木造建物の法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年と定められており、毎年一定額を経費として落とすことができます。


逆に経費にできないものも正確に把握しておく必要があります。ローンの元本返済部分・物件購入費用・所得税・住民税・自分自身への給与(青色事業専従者制度を使わない場合)などは経費として認められません。元本返済を経費だと思って計算してしまうと、実際の申告時に大きなズレが生じます。注意が必要です。


不動産所得の確定申告が必要になるケースを簡単に整理する

原則として、不動産所得がある人は確定申告が必要です。ただし、例外があります。









ケース 所得税の確定申告 住民税の申告
給与所得者で不動産所得が年間20万円超 ✅ 必要 ✅ 必要
給与所得者で不動産所得が年間20万円以下 ❌ 原則不要 ✅ 別途必要
不動産所得が赤字(経費が収入を上回る) 任意(損益通算したい場合は必要) ✅ 必要
年収2,000万円超の給与所得者 ✅ 必要(所得にかかわらず) ✅ 必要


ここで多くの人が誤解しているのが「不動産所得が年間20万円以下なら何もしなくていい」という思い込みです。所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は地方税法上の別制度であり、20万円以下という特例は存在しません。つまり住民税の申告が原則必要です。


給与所得者が確定申告をすれば税務署から自治体へ内容が通知されるため住民税の申告を兼ねることができますが、確定申告をしない場合は自分で市区町村に住民税の申告書を提出しなければなりません。申告を怠った場合、後から追徴課税が発生するリスクがあります。痛いですね。


20万円以下でも住民税の申告が必要である点については、以下の解説記事が参考になります。


所得税と住民税の申告要件の違いについて(freee)
副業所得20万円以下でも確定申告と住民税の申告は必要?|freee


不動産所得における「事業的規模」が節税の分岐点になる理由

不動産所得の中でも、貸付けの規模が「事業的規模」に達しているかどうかで、受けられる税務上のメリットが大きく変わります。これが原則です。


事業的規模と認められる目安は以下のとおりです。



  • 🏢 アパート・マンションの場合:貸付けられる独立した室数がおおむね10室以上

  • 🏠 独立家屋の場合:おおむね5棟以上

  • 🚗 駐車場の場合:おおむね50台以上が目安


この「5棟10室基準」を満たしていると、税務上で認められるメリットが一気に増えます。










項目 事業的規模あり 事業的規模なし
青色申告特別控除(最大) 65万円 10万円
家族への給与を経費計上 ✅ 可(青色事業専従者給与) ❌ 不可
回収不能賃料の経費化 ✅ 可能 ❌ 不可
建物除却損の全額計上 ✅ 可能 ❌ 不可
純損失の3年間繰越控除 ✅ 可能(青色申告の場合) ❌ 不可


特に青色申告特別控除は、事業的規模かどうかで65万円と10万円という大きな差が生まれます。年間55万円の差は無視できません。


ただし65万円控除を受けるには、複式簿記での帳簿記帳とe-Taxによる電子申告(または電子帳簿保存)が条件です。55万円控除は複式簿記だけで可能ですが、e-Taxを使うことでさらに10万円上乗せされます。帳簿の記帳方法が条件です。


事業的規模の判定基準について詳しくは国税庁の情報を確認してください。


事業的規模と非事業的規模の判断基準(国税庁)
No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁


不動産所得の損益通算で知らないと損する「土地利子の落とし穴」

不動産所得が赤字になった場合、給与所得などほかの黒字所得と合算して税負担を軽減できる「損益通算」という仕組みがあります。これを活用することで、課税所得全体を圧縮し所得税・住民税の両方を節税できます。いいことですね。


ただし、損益通算にはひとつ重大な例外があります。それが「土地購入のための借入金利子」です。


不動産投資でローンを組む際、借入金の利息は基本的に経費になります。しかし不動産所得が赤字になった場合、その赤字の中に「土地部分の取得にかかる借入金利子」が含まれているときは、その金額分だけ損益通算ができません。


たとえば、年間の不動産所得が▲50万円の赤字で、そのうち土地部分の利子が30万円だった場合、損益通算できるのは▲50万円ではなく▲20万円だけです。30万円分は給与所得などと相殺できないのです。これが見落とされやすいポイントです。



  • 損益通算できない赤字:土地取得のための借入金利子・別荘の貸付け・生活用資産の貸付け

  • 損益通算できる赤字:建物部分の減価償却費・建物の修繕費・建物分の借入金利子など


さらに、青色申告をしている場合は「純損失の繰越控除」によって、損益通算しきれなかった赤字を翌年以降最大3年間繰り越すことが可能です。一度損失が大きく出た年でも将来の利益と相殺できるため、長期的な税務戦略として非常に有効です。


損益通算と土地の負債利子の詳細は国税庁の公式情報で確認できます。


不動産所得の損益通算と注意点(国税庁)
No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算|国税庁






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