延納とは所得税の分割制度で知らないと損する仕組み

延納とは所得税の分割制度で知らないと損する仕組み

延納とは何か・所得税の仕組みと活用法を完全解説

延納の届出を出しているのに、実は税金が全額引き落とされていたとしたら大損です。


📋 この記事の3ポイント要約
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所得税の延納とは「2回分割で払う制度」

確定申告で確定した所得税を、3月期限と5月末の2回に分けて納付できる制度。半額以上を期限までに払えば残額を延期できます。

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延納額が約37万円未満なら利子税ゼロ

延納には利子税(年1.3%)がかかりますが、計算上1,000円未満は免除。令和7年分では延納額37万円未満なら実質タダで延期できます。

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振替納税ユーザーが延納届を出すと逆効果になる場合も

振替納税設定済みの場合、延納届を出しても全額が5月31日(または6月1日)に一括引落しされることがあり、延納の意味が失われる点に要注意。


所得税の延納とは何か・制度の基本的な仕組みと定義


所得税の「延納」とは、確定申告で確定した税額を一度に全額払わず、2回に分けて納付できる制度のことです。根拠は所得税法第131条に定められており、正式には「確定申告税額の延納」と呼ばれます。


通常、確定申告分の所得税は3月15日(令和7年分は2026年3月17日)が納期限です。しかし、期限までに税額の2分の1以上を納付すれば、残りの税額は同年5月31日(令和7年分は2026年6月1日)まで支払いを延期できます。期限が約2ヶ月半後ろにずれる、というイメージです。


重要なのは、この制度が「申請して認められる」ものではなく、確定申告書に記載するだけで使える点です。確定申告書第一表の右下に「延納の届出」欄があり、そこに1回目の納付額と延納額を記入するだけで手続きが完了します。審査も許可も不要です。



















区分 納付期限 内容
1回目(通常納付) 2026年3月17日(月) 税額の1/2以上を納付
2回目(延納分) 2026年6月1日(月) 残りの1/2以下を納付


延納は「所得税」に特有の制度です。つまり大事なポイントがあります。消費税住民税には延納制度はありません。個人事業主が確定申告のタイミングで支払う消費税については、延納は使えないので注意してください。


また、所得税と似た税目として「贈与税」にも延納制度がありますが、そちらは5年以内の分割払いが対象で、利子税率も異なります。所得税の延納とは別物と考えてください。これが原則です。


参考リンク(国税庁・令和7年分の延納に関する公式説明)。
国税庁 確定申告書等作成コーナー「税金の延納について(令和7年分)」


所得税の延納で発生する利子税の計算方法と37万円のボーダーライン

延納を利用すると、延納期間中は「利子税」がかかります。これを知らずにいると、思わぬ出費が生じることがあります。


利子税の割合は、租税特別措置法第93条の特例により、現在は年1.3%が適用されています(法律上は年7.3%ですが、特例で引き下げられています)。令和7年分であれば、延納期間は2026年3月17日翌日から6月1日までの77日間です。


実際の計算式は次のとおりです。



  • 利子税 = 延納額 × 1.3% × 77日 ÷ 365日 ≒ 延納額 × 約0.27%

  • 利子税が1,000円未満の場合は徴収されません(国税通則法第118条)


この「1,000円未満は免除」というルールがポイントです。逆算すると、延納額が約37万円未満であれば、利子税の計算結果が1,000円を下回るため、実質的にコストゼロで延納できることになります。


たとえば、所得税の総額が60万円で延納額を30万円にした場合、利子税は約810円となります。端数計算により1,000円未満として切り捨てられるため、負担はゼロです。これは使えそうです。


一方、延納額が50万円の場合、利子税は約1,350円となり、1,000円単位で1,000円の利子税が発生します。金額自体は小さいですが、事前に知っておくと計画が立てやすくなります。


なお、延納額が大きくなるほど利子税は増えますが、それでも年利1.3%は銀行カードローン金利(年10〜18%程度)と比べると格段に低い水準です。一時的なキャッシュフロー不足に対しては、合理的な選択肢と言えます。


参考リンク(利子税の計算根拠となる国税庁の法令解釈)。
国税庁「【税金の納付】確定申告での延納と利子税について」


所得税の延納手続きの方法と振替納税との正しい組み合わせ方

延納の手続き自体はとても簡単です。確定申告書第一表の右下「延納の届出」欄に2つの金額を記入するだけで完了します。



  • ⑯65欄(期限内納付額):1回目に支払う金額(税額の1/2以上)

  • ⑯66欄(延納届出額):2回目に支払う金額(残額)


計算手順は以下です。



  • ① 確定した所得税額を確認する

  • ② その1/2の金額を計算し、千円未満を切り捨てる

  • ③ ②以下の金額を延納額として決定する

  • ④ 税額から延納額を引いた残りが1回目の納付額になる


たとえば所得税が755,500円の場合、755,500円 × 1/2 = 377,750円(千円未満切捨て → 377,000円)。延納額を377,000円とすれば、1回目は378,500円を3月17日に、2回目は377,000円を6月1日に納付することになります。


ここで見落としがちな重要ポイントが「振替納税との組み合わせ」です。


振替納税とは、預貯金口座からの自動引き落としで税金を支払う方法です。振替日は通常の申告期限(3月15日頃)より約1ヶ月後の4月下旬に設定されており、利子税はかかりません。資金繰りを後ろにずらすだけであれば、延納より振替納税の方が合理的です。


しかし、すでに振替納税の手続きを済ませている方が延納の届出を出すと、想定外のことが起きます。振替納税の設定がある場合、延納届を出しても「延納しない部分の税額」と「延納する部分の税額」が、どちらも5月31日(または6月1日)に全額まとめて引き落とされる仕組みになっているのです。


つまり、1回目の早期納付が行われず、延納の恩恵を受けたつもりが全額後払いになる、という状態になります。これは口座残高の管理で思わぬ問題につながることがあります。口座振替を設定済みの場合は、延納届の効果を事前に確認しておくことが必要です。


参考リンク(振替納税と延納の関係を解説した税務専門家コラム)。
経理ドリブン「確定申告の延納はいつまで大丈夫なのか?振替納税との関係も解説」


所得税の延納で油断するな・届出なし納税遅延は延滞税14.6%の地獄

延納制度の届出をしないまま、期限を過ぎて所得税を支払った場合はどうなるか。この点を理解しておくことが、延納を正しく活用するうえで最も重要です。


届出なしで納付が遅れた場合、「延滞税」が自動的に課されます。延滞税と利子税は似て非なるものです。延滞税は正式なペナルティであり、延納の利子税(年1.3%)とは比較にならない高率が適用されます。




















延滞の状況 適用される延滞税率(令和7年)
納期限の翌日〜2ヶ月以内 年2.4%(特例基準割合+1%)
納期限の翌日から2ヶ月超 年8.7%(特例基準割合+7.3%)
悪質ケースの上限 最大年14.6%


たとえば50万円の所得税を2ヶ月超にわたって届出なしで滞納した場合、年率8.7%の延滞税が発生します。60日分を計算すると、約7,150円の延滞税が追加でかかります。さらに状況次第では「督促状」が届き、それでも放置すると財産差し押さえに至ることもあります。痛いですね。


延滞税は「払いたかったのに間に合わなかった」という状況でも容赦なく課されます。一方、延納の届出を事前に行いさえすれば、年1.3%の利子税のみで済みます。どちらが得かは明らかです。


延納の届出は確定申告書の記入だけで済みます。資金繰りに少しでも不安がある場合は、まず届出だけ行っておくことが合理的です。届出後に早く納付できた場合は、延納期限より前に全額払えば問題ありません。延納届出=必ず分割払いになるわけではなく、あくまで「期限を延ばせる権利を確保する」行為です。これだけ覚えておけばOKです。


参考リンク(国税庁・延滞税の仕組みと適用割合)。
国税庁「No.9206 国税を期限内に納付できないとき(延滞税について)」


所得税の延納後に待つ予定納税・資金計画を立てないと二重苦になる

延納で一時的にキャッシュを確保できても、その先に「予定納税」が待っています。この見落としが、多くの個人事業主やフリーランスにとって二重の資金負担を生む原因になっています。


予定納税とは、前年の所得税額(予定納税基準額)が15万円以上の場合に、翌年の税金を前払いする制度です。国税庁から6月中旬に通知が届き、以下の2回に分けて納付します。



  • 📅 第1期:7月1日〜7月31日(予定納税基準額の1/3)

  • 📅 第2期:11月1日〜11月30日(同じく1/3)


具体的な数字で確認してみましょう。前年の所得税が75万円だった場合、予定納税基準額は75万円です。1回あたりの予定納税額は75万円 × 1/3 = 25万円。年間で50万円が別途必要になります。


延納で6月1日まで支払いを先延ばしにした翌月には、7月の予定納税が控えているわけです。タイミングがほぼ重なる場合もあり、資金繰りがさらに厳しくなるケースも少なくありません。


このような状況を防ぐには、3ヶ月ごとに概算税額を試算しておくことが有効です。現在の所得(収入−経費)に所得税率表を当てはめて計算し、「今年はいくらくらいになりそうか」を早めに把握しておくだけで、資金の積み立てが格段にしやすくなります。


もし予定納税の金額が今年の実情に合わない(所得が大幅に減少した)場合には、7月15日または11月15日までに「予定納税額の減額申請」を税務署へ提出することができます。これは見落とすと損になるため、前年より所得が下がりそうなときは必ず確認しておきましょう。


資金繰り管理ツールとして、freeeやマネーフォワードクラウド確定申告などの会計ソフトを活用すると、税額の自動試算や納税スケジュールの把握がしやすくなります。確定申告書の作成から予定納税の管理まで一元化できるため、複数の納付期限を同時に追う場面での活用をメモしておくとよいでしょう。


参考リンク(国税庁・予定納税の仕組みと手続き)。
国税庁「No.2040 予定納税(制度の概要・計算方法・申請手続き)」






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