介護保険の保険料は何歳から払い損になるか

介護保険の保険料は何歳から払い損になるか

介護保険の保険料は何歳から始まり、どう変わるのか

65歳になると、会社が払ってくれていた介護保険料の半分が突然あなたの全額負担に切り替わります。


📋 この記事の3ポイントまとめ
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保険料は40歳の「誕生日前日」から始まる

厳密には40歳の誕生日当日ではなく「前日」が起算点。1日生まれの人はなんと39歳のうちに徴収が始まります。

⚠️
65歳で負担構造が激変する

会社員は40〜64歳の間、保険料を会社と折半。65歳以降は全額自己負担となり、月額平均6,225円が丸ごとのしかかります。

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滞納すると介護サービスが10割負担になる

1年以上の滞納でサービスがいったん全額自己負担に。2年超では自己負担割合が3割に引き上げられる深刻なペナルティがあります。


介護保険の保険料が始まる年齢と「誕生日前日ルール」の落とし穴


介護保険の保険料が発生するのは、満40歳に達した時点からです。しかし「40歳の誕生日から」という表現は、厳密には正しくありません。


日本の法律(年齢計算ニ関スル法律)では、「年齢に達する日」は誕生日の前日と定められています。つまり介護保険料の徴収は、40歳の誕生日の前日が属する月から始まります。例えば9月2日生まれの人なら、40歳の誕生日前日は9月1日なので、9月分から徴収開始です。これは日常感覚と一致しています。


問題は1日生まれの人です。例えば5月1日生まれの場合、誕生日前日は4月30日となり、4月分から介護保険料が発生します。つまり、まだ39歳のうちに徴収が始まるのです。これは意外ですね。


給与からの天引きは「前月分を当月給与から差し引く」仕組みです。5月1日生まれの人なら、4月分の保険料が5月の給与明細に反映されるため、見た目上は「誕生月の給与から引かれ始めた」と感じますが、実際は1か月早く始まっています。


もう一点、会社員として加入している健康保険組合によっては「特定被保険者制度」を採用しているケースがあります。この制度は、被保険者(社員)が40歳未満であっても、扶養する配偶者が40〜64歳であれば、その社員から介護保険料を徴収できるというものです。協会けんぽにはこの制度はありませんが、企業の健保組合によっては適用される場合があります。気づかずに徴収されていても、制度として合法です。確認が必要です。


参考:介護保険料の徴収時期(協会けんぽ茨城支部の詳細解説)
協会けんぽ茨城支部「介護保険制度と介護保険料について」


介護保険の第2号・第1号被保険者の違いと保険料の計算方法

介護保険の被保険者は年齢によって2種類に区分されます。仕組みが違えば、保険料の計算方法も徴収先も変わります。つまり「何歳から」という問いは、この区分を理解することと表裏一体です。


第2号被保険者(40〜64歳)は、加入している医療保険(健康保険・国民健康保険など)を通じて保険料を納めます。会社員や公務員であれば、介護保険料率は毎年改定され、2025年度の協会けんぽの料率は1.60%です。標準報酬月額に料率をかけた額を、会社と本人で折半します。月収30万円の会社員なら、本人負担は月約2,400円(会社も同額)というイメージです。これが基本です。


第1号被保険者(65歳以上)は、住んでいる市区町村(保険者)に保険料を納めます。計算方法が大きく変わります。市区町村ごとに定められた「基準額」に、所得段階に応じた係数をかけて個人の保険料が決まります。2024〜2026年度の全国平均は月額6,225円で、過去最高額を更新しました。ちなみに第8期(2021〜2023年度)の平均は6,014円でしたから、約3.5%の引き上げです。


所得段階は市区町村によって異なりますが、国が定める標準では13段階に分かれています。住民税非課税で年金のみという方の実負担は基準額の0.285倍程度(国の公費軽減後)になるケースもあり、最低限の保護は設けられています。一方、合計所得が高い方は基準額の1.7倍以上になることもあります。


なお、第2号被保険者でも保険料を払わなくてよい人がいます。健康保険の被扶養者(例:会社員の配偶者)は、個別の保険料負担がありません。その分は被保険者全員で負担する仕組みになっているためです。ただし、この免除は第2号(40〜64歳)に限った話です。


参考:厚生労働省の介護保険制度の基本説明(PDF)
厚生労働省「介護保険制度について(第2号被保険者向けリーフレット)」


介護保険の保険料が65歳で「全額自己負担」に変わる仕組みと注意点

金融に関心のある人ほど、65歳前後のキャッシュフロー設計を意識しているはずです。しかし「65歳になると介護保険料の負担が変わる」という点を、見落としているケースは少なくありません。


会社員として働いている40〜64歳の間は、介護保険料を会社と労使折半で負担します。つまり、実際の保険料のうち半額は会社が支払ってくれています。しかし65歳になると第1号被保険者に区分が変わり、市区町村が設定した保険料の全額を自己負担するようになります。


具体的に数字で考えましょう。64歳の会社員が月収35万円だった場合、介護保険料は概算で月額約2,800円(本人負担)です。65歳になると、自治体平均の月額6,225円が丸ごと自己負担になります。差し引き毎月約3,400円、年間では約4万円以上の負担増につながる可能性があります。これは痛いですね。


さらに、65歳になってもすぐに年金からの天引き(特別徴収)が始まるわけではありません。年金天引きの準備には半年〜1年程度かかるため、その間は市区町村から送られてくる納付書で自分で支払う必要があります。この切り替えの時期に「なぜ急に請求が来るのか」と混乱する人が多いのです。


また、65歳到達のタイミングで就労している場合、給与からの介護保険料天引きが停止される一方で、市区町村への納付義務が発生します。この切り替えを意識せずにいると、市区町村からの納付書を見落として滞納状態になるリスクがあります。65歳前後の数か月は、保険料の請求元と金額の変化に特に注意が必要です。


参考:65歳以降の介護保険料の変化をわかりやすく解説した記事
ライフプランコンシェルジュ「65歳からの介護保険料…増える?〜労使折半から全額自己負担へ〜」


介護保険料を滞納すると最大「3割負担」になる深刻なペナルティ

介護保険料は「払わなくてもすぐに何か困ることはない」と思いがちです。しかし実際には段階的なペナルティが設けられており、長期滞納は老後の生活設計に直接ダメージを与えます。


滞納期間に応じたペナルティは以下のように段階的に重くなります。


| 滞納期間 | ペナルティの内容 |
|---|---|
| 1年以上〜1年6か月未満 | 介護サービスの費用をいったん全額(10割)自己負担し、後日申請で9割を返還 |
| 1年6か月以上〜2年未満 | 全額自己負担は継続。返還の保留(保険料の未納分と相殺)も発生 |
| 2年以上(時効成立分あり) | 自己負担割合が通常の1〜2割から3割に引き上げ。高額介護サービス費等の給付も停止 |


特に深刻なのは「2年以上の滞納」です。介護保険料の時効は2年のため、払わないまま時効を迎えた分が積み上がると、本来1割や2割の自己負担が3割に固定されます。月10万円の介護サービスを使った場合、1割負担なら1万円、3割負担なら3万円と、毎月2万円の差が生じます。年間24万円です。


「年金から自動で引かれているはずだから大丈夫」と思っている人も要注意です。65歳になったばかりで年金天引きがまだ始まっていない時期、あるいは年金受給額が年18万円未満の人は天引きの対象外となるため、自分で納付書を使って支払う必要があります。この点を見落として滞納になるケースが実際に起きています。


万が一、保険料の支払いが困難になった場合は、市区町村の窓口に相談することで減免制度が利用できる場合があります。失業・大幅な収入減・災害など、特定の事由があれば保険料の減額・猶予が認められるケースもあるため、放置せず相談することが最善策です。


参考:滞納時のペナルティと免除制度の詳細
SAGASIX「介護保険料を滞納していませんか?ペナルティと対応方法」


介護保険料の「払い損」を防ぐ視点で知っておきたい所得段階と節税の関係

金融に興味のある読者の視点から、もう一歩踏み込んだ話をします。介護保険料は「所得」に基づいて決まるため、資産の持ち方や収入の種類が保険料の水準に影響します。


第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、市区町村が定める所得段階で決まります。所得段階の判定には、前年の合計所得金額と課税年金収入が使われます。株式の譲渡益や不動産収入も合計所得に含まれるため、大きな売却益が出た年は翌年の介護保険料が一気に上がります。


例えば、老後に保有株を1,000万円分売却して大きな譲渡益が生じると、その翌年の介護保険料が最高段階(基準額の1.7〜1.9倍程度)になる可能性があります。毎月6,225円×1.9倍≒月額約1万1,800円、年間約14万円規模です。これは使えそうな知識ですね。


NISAの非課税口座を活用した場合は、譲渡益が合計所得に算入されないため、介護保険料への影響がありません。老後資産の売却方法が、介護保険料の多寡に直結するという意識を持っておくと、資産運用の設計がより精緻になります。


また、2024〜2026年度から国が低所得者向けの軽減措置を拡充しており、第1〜第3段階の方は公費投入によって保険料が基準額の0.285〜0.685倍程度に抑えられています。所得が低い時期に保険料が重くのしかかることを防ぐ仕組みです。


さらに第2号被保険者の期間(40〜64歳)に支払った介護保険料は、給与所得者の場合は給与から天引きされる社会保険料として年末調整で自動的に控除されます。一方、国民健康保険に加入している自営業者等の場合は、確定申告社会保険料控除として申告することができます。これが条件です。支払っている保険料をきちんと控除に反映させることが、払い損を防ぐ第一歩です。


参考:65歳以上の介護保険料の所得段階と計算の詳細
みんなの介護「介護保険料はいくら払う?40歳・65歳以上の月額目安と注意点を解説」






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